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多様な人材を効果的に活用するための手法、インクルージョンとは?

近年、人材の多様性を認め、積極的に採用するといった意味の「ダイバーシティ」が、ビジネスにおいてすでに一般的な言葉として使われるようになっています。これに対し「インクルージョン」という言葉は、まだまだ認知を得られていないというのが実情です。しかし本来、インクルージョンはダイバーシティとセットで考えなくてはならないものであり、それぞれの持つ意味をしっかりと理解していなくては、どちらも中途半端なまま終わってしまいます。そこで今回はインクルージョンの意味から、ダイバーシティとの違い、そしてインクルージョンを企業で始める際の注意点について考察していきます。

目次[非表示]

  1. 1.インクルージョンとは組織の一体感を高めるための戦略
  2. 2.インクルージョンはダイバーシティと何が違うのか?
  3. 3.インクルージョンを推進する際の注意点
  4. 4.インクルージョンを取り入れてダイバーシティを深化させる

インクルージョンとは組織の一体感を高めるための戦略

インクルージョンはもともと、日本においてビジネスではなく、教育分野で取り入れられた言葉でした。障害児と健常児を識別した上で、同じ教室で教育を受けることを統合教育といいます。インクルージョンはこれを超え、障害児と健常児を障害の有無ではなく、生徒一人ひとりの個性に合った教育を行うことを意味します。

近年こうした考え方がビジネスにも用いられるようになっています。ビジネス分野では、障害の有無といった視点だけではなく、国籍、性別、年齢など多種多様な価値観を持つ一人ひとりの能力、経験などを含めて受け入れます。そして多様性を活かしつつ、組織としての一体感を高めることを最終的な目標とした戦略をインクルージョンと呼んでいます。


インクルージョンはダイバーシティと何が違うのか?

国籍や性別、年齢、そして障害の有無にかかわらず多様性を受け入れるという点では、インクルージョンはダイバーシティと何ら変わりがないのではと思われるかもしれません。そこで、ここではあらためてダイバーシティとはどういったものか、インクルージョンとは違う点について考察していきます。

ダイバーシティとは、そもそも多様性という意味を持つ言葉で、さまざまな人材を登用し、多様な働き方を受け入れようとする考え方のことです。具体的には、定年の延長、外国人や障害者の採用、子育てや介護をしながらでも働ける環境づくりなどが挙げられます。

これに対してインクルージョンとは、前述したように多様性を持った人材を受け入れた上で、それらの人材を活かし、組織の一体感を高めていくものです。ダイバーシティが多様性を認めることがポイントであるのに対し、インクルージョンのポイントは、多様な人材の個性を活かすにはどうするべきかを考えることにあります。

さて、日本ではダイバーシティはすでに一般的な言葉とされていると冒頭で触れましたが、実際に取り入れている企業は実はそれほど多くはありません。2018年6月、経済産業省が発表した「ダイバーシティ2.0一歩先の競争戦略へ」によると、日本企業の役員に占める女性比率は3.7%です。これは米国の16.9%、英国の22.8%、フランスの30.0%などに比べて著しく低い数字です。また総人口に占める外国人就業者の割合でも日本は1.2%(2014年)です。これも韓国2.9%(2013年)、シンガポール37.0%(2012年)、ドイツ6.1%(2014年)などに比べて非常に低い数字です。

日本でダイバーシティが思うように進まない理由は決してひとつではありません。しかしそのなかでも大きな理由として、さまざまな人材を受け入れる側の企業がインクルージョンをしっかりと理解していない点が挙げられます。例えば積極的に女性を管理職に登用しようとしても、子育て、介護などによって働き方を変えざるを得ないときにそれを受け入れる環境が整っていなければ女性の定着はありません。

インクルージョンへの理解が不足している限り、制度としてのダイバーシティを導入したとしても、受け入れた人材を活用できないということになります。ダイバーシティを深化させていくためには、まずインクルージョンの推進から始める必要があるのです。


インクルージョンを推進する際の注意点

労働力不足や優秀な人材の採用、海外・地方戦略を見据えた際の競争力強化など、今後、企業が生き残っていくためにもダイバーシティは欠かすことのできない戦略のひとつです。しかし前述したようにインクルージョンが不足している限り、ダイバーシティが深化していくことはありません。そこでインクルージョンを推進する際のポイント、注意点について考えていきます。

■場合によっては社内制度を大きく変えることも必要
インクルージョンを推進していくためには、時短制度や育休、介護休暇などの社内制度を大きく変えなければならない場合があります。前項でも触れましたが、いかに多くの女性を役員や管理職に登用したとしても、さまざまな事情によってフルタイムで働けなくなった場合に、働き方を調整できる制度は欠かせません。

また年功序列ではなく、経験や能力を重視した評価制度および給与体系を設けることや、どういった役職・就業形態であっても自由に意見を提案できる制度のように、多様性を持った人材がそれぞれの立場で快適に働ける環境をつくることができなければ、インクルージョンの推進は困難になります。


■成果を数値化して目標を明確にする
ダイバーシティでは、例えば女性の役職者が〇〇%います、外国人の採用率は〇〇%です、介護や育児での休暇取得率が〇〇%ありますなど、その成果を数値として表すことが可能です。そのため明確な目標を立てやすく、その成果を社内外にアピールすることも可能です。しかしインクルージョンは成果を明確な数値に表すことが難しい場合が多く、それが推進の妨げになってしまうことがあります。
そこで取組める対策として、個別面談やアンケートを行い、従業員満足度調査を行うことが効果的です。多くの従業員としっかり向き合い話し合うことで、現状の満足度、不満点、改善点を把握し、それを数値化します。またインクルージョンを取り入れる前の離職率と取り入れたあとの離職率をデータとして出すことでも満足度を測ることが可能です。


■従業員とのコミュニケーションを今まで以上に積極的に行う
多様な人材を活かすためにはコミュニケーションが欠かせません。それぞれの意見や価値観は、直接じっくりと話し合うことでしか理解することはできません。前述した個別面談はもちろん、普段から積極的に声をかけ合い、コミュニケーションを取るようにすることで、多様な人材の活かし方を考えていくことが重要です。


インクルージョンを取り入れてダイバーシティを深化させる

障害者、外国人の積極的な採用、モバイルワーク、在宅勤務といった働き方の許容など、人材や働き方の多様性を認めるのがダイバーシティの考え方です。しかし実際に成果を挙げるには、単に多様性を認めるだけではなく、そのなかでそれぞれの意見を尊重し、日々の業務や制度として取り入れる意思、つまりインクルージョンの考え方を欠かすことはできないのです。

そういった意味でダイバーシティを実現させるには、まずインクルージョンの意識をしっかりと持つことが重要であり、そうすることで初めてダイバーシティが大きな効果を発揮します。労働力が不足しているからダイバーシティで多様な人材を採用しようといった表面的な部分だけで考えるのではなく、多様な人材の個性をどう活かしていくのかをしっかりと考えることが最も重要であり、それこそがインクルージョンの本質なのです。


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