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「同一労働同一賃金」の導入はいつから?企業がすべきこととは?

2020年4月以降からの導入が決定している「同一労働同一賃金」。正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な格差解消が目的です。同一労働同一賃金によって企業側、従業員側にどういったメリット、デメリットがあるのでしょう。今回は本制度の概要から、導入される背景、そして企業が対応すべきことについて考察していきます。

目次[非表示]

  1. 1.同一労働同一賃金の概要と導入が決定した背景
  2. 2.同一労働同一賃金のガイドライン案4項目とは?
  3. 3.同一労働同一賃金のメリットとデメリット
  4. 4.同一労働同一賃金導入に伴い、企業側が対応すべきこと
  5. 5.人事評価制度の効率的な見直しを

同一労働同一賃金の概要と導入が決定した背景

同一労働同一賃金は2018年6月、働き方改革関連法の成立により決定、大企業では2020年4月から、中小企業では1年間の猶予期間を経て、2021年4月から実施されます。具体的には、無期雇用のフルタイム従業員(正社員)と有期雇用、パートタイム、派遣といった非正規雇用の従業員との間での均等・均衡待遇を確保するものです。これによりどのような雇用形態であっても、納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択することが可能になります。

そもそもこの同一労働同一賃金とは、欧米などの多人種国家で、主に人種により賃金が変わる差別的要素を排除することを目的に生まれたものです。また、欧米などでは賃金制度が労働協約により定められていることで職務による賃金が明確であることも、同一労働同一賃金を導入しやすかったという側面としてあります。

しかし日本は総合職など人によっては職務の範囲が広い上、業務だけではなく会社への貢献度なども賃金評価に含まれているケースが少なくありません。そのため賃金制度が明確に定められている欧米に比べ、同一労働同一賃金を導入することは難しいと言われてきました。

少子化対策の一環として

それでも今回、同一労働同一賃金が導入された背景には、正規雇用と非正規雇用の格差を解消することはもちろん、少子化対策の一環といった側面もあります。厚生労働省職業安定局が発表した「非正規雇用対策・若者雇用対策について」によると、正規雇用の男性の有配偶率は30~34歳で62.1%であるのに対し、非正規雇用は25.0%です。35~39歳でも正規雇用71.1%に対して非正規は32.4%にとどまっています(2013年平均)。

そして20代、30代の既婚率は、おおむね年収の増加に伴って上昇しています。この状況を解消するには、非正規雇用の賃金を少しでも正規雇用に近づける必要があります。世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進む日本。同一労働同一賃金は、そうした社会課題を解消する手段のひとつでもあるのです。


同一労働同一賃金のガイドライン案4項目とは?

同一労働同一賃金の導入に当たり、厚生労働省では正規雇用と非正規雇用との間で待遇差がある場合、その待遇差が不合理であるかないかの原則となる考えを示したガイドライン案を策定しています。そのなかでも重要となる4項目をご紹介します。

ガイドライン案4項目の概要

基本給

基本給が従業員の能力や経験、業績や成果、勤続年数など、どういった項目で決定していたとしても、それぞれの項目の趣旨、性格に照らし、実態に違いがなければ同一、違いがあればその違いに応じた額を支給しなければなりません。これは昇給であっても同様です。

賞与・手当

ボーナス(賞与)のように、企業の業績に対する従業員の貢献に応じて支給するものは、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた額を支給しなければなりません。また役職手当のように、役職の内容に対して支給するものは、同一の内容の役職には同一の、違いがあれば違いに応じた額を支給しなければなりません。

そのほか、特殊作業手当、特殊勤務手当、精皆勤手当、時間外労働手当の割増率、深夜・休日労働手当の割増率、通勤手当、出張旅費、食事手当、単身赴任手当、地域手当などについては、正規雇用、非正規雇用にかかわらず同一の支給をしなければなりません。

福利厚生

食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設の利用や転勤者用住宅、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除、有給保障などに関しては同一の利用・付与をしなければなりません。また病気休職についても無期雇用の短時間労働者には正規の従業員同一の、有期雇用の労働者に労働契約が終了するまでの期間、同一に付与しなければなりません。

さらに法定外の有給休暇その他の休暇について、勤続期間に応じて認めているものは、同一の勤続期間であれば同一の付与をしなければならず、特に有期労働契約を更新している場合には、当初の契約期間から通算して勤続期間を評価しなければなりません。

その他

現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施する教育や訓練は、同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じて実施しなければなりません。


同一労働同一賃金のメリットとデメリット

次に同一労働同一賃金の施行によって発生するメリットとデメリットを、企業側、従業員側からご説明します。

企業側のメリット

不合理な格差がなくなることで従業員のモチベーションが上がる

正規、非正規雇用を問わず、従業員が待遇に対して不公平感を覚えなくなり、仕事に対してモチベーションが上がれば、結果として企業の業績向上が期待できます。

従業員満足度が上がり、離職率が低下する

待遇に対する不公平感がなくなることで、従業員満足度が上がり、離職率が下がれば、新たな従業員獲得、教育にかかるコストを削減できます。

企業側のデメリット

人件費の上昇

非正規雇用の待遇を正規雇用と同一、もしくはそれに近い水準にすることで、人件費が上昇します。

賃金格差がある際の説明責任が生じる場合がある

正規雇用と非正規雇用の間、もしくは正規雇用同士でも、総合職や地域限定正社員など複数の雇用管理区分けがあり、そのなかで不当に賃金格差があると判断された場合、その説明を行う責任が生じます。

従業員側のメリット

非正規労働者の場合、賃金アップ・福利厚生制度の利用が可能になる

非正規労働者が正規雇用の従業員と同一の職務に就いていれば賃金がアップします。またこれまでは正規雇用の従業員しか利用できなかった福利厚生制度を正規雇用の従業員と同様に活用することができるようになります。

従業員側のデメリット

正規雇用労働者の場合、賃金が下がる場合がある

原則として正規雇用と非正規雇用の間で待遇差がある場合、正規雇用の待遇を下げることで均衡を確保することは望ましくないとされていますが、それでも労使間の同意があれば待遇が下がる場合があります。


同一労働同一賃金導入に伴い、企業側が対応すべきこと

非正規の従業員に対しても正規雇用の従業員と同様の待遇をしなくてはならないという面だけを見ると、企業にとって人件費の上昇というデメリットばかりが目についてしまうかもしれません。しかし企業としてはこれを機会に派遣労働者やパート、直接雇用の準社員などさまざまな形態で働く従業員の区分けを明確にすれば、既存従業員の不満が解消するだけではなく、今後、新規や中途採用が行いやすくなるメリットもあります。
そういった意味でも、同一労働同一賃金導入を前に企業側が対応すべき点は、ガイドラインに沿った賃金形態を改めて確認し、従業員それぞれの役割を明確にすることです。


人事評価制度の効率的な見直しを

同一労働同一賃金が導入されて定着していけば、いずれは正規労働者と非正規労働者といった区分けがなくなっていくかもしれません。そうなれば技術や成果によって賃金が決まるようになることも十分に考えられます。企業はいつそうなっても対応できるよう、同一労働同一賃金が導入されるまでの期間で、改めて人事評価制度を見直すことが重要です。


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