「同一労働同一賃金」の施行はいつから?2020年から企業がすべき対応

人材確保に向けた取組を支援。人材確保等支援助成金とは?

※この記事は2020年9月23日に更新しました。


2020年4月から順次導入されている「同一労働同一賃金」。正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な格差解消が目的です。同一労働同一賃金によって企業側、従業員側にどういったメリット、デメリットがあるのでしょう。今回は本制度の概要から導入される背景、そして企業が対応すべきことについて考察していきます。

目次[非表示]

  1. 1.2020年4月から同一労働同一賃金の施行が開始
  2. 2.企業規模によって適用時期が異なる
    1. 2.1.大企業
    2. 2.2.中小企業
  3. 3.同一労働同一賃金の概要と導入が決定した背景
  4. 4.同一労働同一賃金のガイドライン案4項目とは?
    1. 4.1.基本給
    2. 4.2.賞与・手当
    3. 4.3.福利厚生
    4. 4.4.その他(教育・訓練)
  5. 5.同一労働同一賃金のメリット
    1. 5.1.企業側のメリット
    2. 5.2.従業員側のメリット
  6. 6.同一労働同一賃金のデメリット
    1. 6.1.企業側のデメリット
    2. 6.2.従業員側のデメリット
  7. 7.同一労働同一賃金導入に伴い、企業側が対応すべきこと
  8. 8.人事評価制度の効率的な見直しを

2020年4月から同一労働同一賃金の施行が開始

労働者派遣法における同一労働同一賃金は、企業規模に関係なく2020年4月から施行が開始されました。

これまで非正規雇用労働者の賃金など待遇における正規雇用労働者との格差は、非正規雇用労働者のモチベーションや生産性を低下させ、企業に定着しない原因として課題となっていました。働き方改革で推進されている多様な働き方を自由に選択できるように、このような雇用形態における格差をなくすべく、公正な待遇を確保するために同一労働同一賃金が施行されました。

ただし、パートタイム・有期雇用労働法では、企業規模により施行時期が異なります。企業規模による導入時期については次項で説明します。


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企業規模によって適用時期が異なる

同一労働同一賃金の適用時期は、いわゆる大企業と中小企業と言われる企業規模によって異なります。大企業か中小企業かの区別は、資本金の額または出資の総額もしくは常時使用する労働者の数が以下の表を超える場合は大企業と判断され、それ以下の場合は中小企業であると判断されます。

常時使用する労働者数には、パートやアルバイトなど非正規雇用でも一時的な雇用でなければ含まれます。また、出産や介護など一時的な休業中であれば、その従業員は常時使用する労働者数に含まれます。


企業規模を判断する基準
大企業 :以下の表の数値より「超える」場合(表の数値は含まない)
中小企業:以下の表の数値より「以下」の場合(表の数値を含む)

業種

資本金の額または出資の総額



または

常時使用する労働者数

小売業
5,000万円
50人
サービス業
5,000万円
100人
卸売業
1億円
100人

その他

(製造業、建設業、運輸業、他)
3億円
300人

大企業

大企業では2020年4月から適用が開始されました。

中小企業

中小企業では大企業の適用時期から1年間の猶予期間を経て、2021年4月から適用される予定です。


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同一労働同一賃金の概要と導入が決定した背景

同一労働同一賃金は2018年6月、働き方改革関連法の成立により決定しました。具体的には、無期雇用のフルタイム従業員(正社員)と有期雇用、パートタイム、派遣といった非正規雇用の従業員との間での均等・均衡待遇を確保するものです。これによりどのような雇用形態であっても、納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択することが可能になります。

そもそもこの同一労働同一賃金とは、欧米などの多人種国家で、主に人種により賃金が変わる差別的要素を排除することを目的に生まれたものです。また、欧米などでは賃金制度が労働協約により定められていることで職務による賃金が明確であることも、同一労働同一賃金を導入しやすかったという側面としてあります。

しかし、日本は総合職など人によっては職務の範囲が広い上、業務だけではなく会社への貢献度なども賃金評価に含まれているケースが少なくありません。そのため賃金制度が明確に定められている欧米に比べ、同一労働同一賃金を導入することは難しいと言われてきました。


少子化対策の一環として
それでも今回、同一労働同一賃金が導入された背景には、正規雇用と非正規雇用の格差を解消することはもちろん、少子化対策の一環といった側面もあります。厚生労働省職業安定局が発表した「非正規雇用対策・若者雇用対策について」によると、正規雇用の男性の有配偶率は30~34歳で62.1%であるのに対し、非正規雇用は25.0%です。35~39歳でも正規雇用71.1%に対して非正規は32.4%にとどまっています(2013年平均)。

そして20代、30代の既婚率は、おおむね年収の増加に伴って上昇しています。この状況を解消するには、非正規雇用の賃金を少しでも正規雇用に近づける必要があります。世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進む日本。同一労働同一賃金は、そうした社会課題を解消する手段のひとつでもあるのです。


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同一労働同一賃金のガイドライン案4項目とは?

同一労働同一賃金の導入にあたり、厚生労働省では正規雇用と非正規雇用との間で待遇差がある場合、その待遇差が不合理であるかないかの原則となる考えを示したガイドライン案を策定しています。そのなかでも重要となる4項目の概要をご紹介します。

基本給

基本給が従業員の能力や経験、業績や成果、勤続年数など、どういった項目で決定していたとしても、それぞれの項目の趣旨、性格に照らし、実態に違いがなければ同一、違いがあればその違いに応じた額を支給しなければなりません。これは昇給であっても同様です。

賞与・手当

ボーナス(賞与)のように、企業の業績に対する従業員の貢献に応じて支給するものは、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた額を支給しなければなりません。また、役職手当のように、役職の内容に対して支給するものは、同一の内容の役職には同一の、違いがあれば違いに応じた額を支給しなければなりません。

その他、特殊作業手当、特殊勤務手当、精皆勤手当、時間外労働手当の割増率、深夜・休日労働手当の割増率、通勤手当、出張旅費、食事手当、単身赴任手当、地域手当などについては、正規雇用、非正規雇用にかかわらず同一の支給をしなければなりません。

福利厚生

食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設の利用や転勤者用住宅、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除、有給保障などに関しては同一の利用・付与をしなければなりません。また、病気や休職についても無期雇用の短時間労働者には正規の従業員同一の、有期雇用の労働者に労働契約が終了するまでの期間は、同一に付与しなければなりません。

さらに、法定外の有給休暇その他の休暇について、勤続期間に応じて認めているものは、同一の勤続期間であれば同一の付与をしなければならず、特に有期労働契約を更新している場合には、当初の契約期間から通算して勤続期間を評価しなければなりません。


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その他(教育・訓練)

現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施する教育や訓練は、同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じて実施しなければなりません。


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同一労働同一賃金のメリット

まず、同一労働同一賃金の施行によって発生するメリットを、企業側、従業員側からご説明します。

企業側のメリット

不合理な格差がなくなることで従業員のモチベーションが上がる
正規、非正規雇用を問わず、従業員が待遇に対して不公平感を覚えなくなり、仕事に対してモチベーションが上がれば、結果として企業の業績向上が期待できます。


従業員満足度が上がり、離職率が低下する
待遇に対する不公平感がなくなることで、従業員満足度が上がり、離職率が下がれば、新たな従業員獲得、教育にかかるコストを削減できます。

従業員側のメリット

非正規雇用労働者の場合、賃金アップ・福利厚生制度の利用が可能になる
非正規雇用労働者が正規雇用の従業員と同一の職務に就いていれば賃金がアップします。また、これまでは正規雇用の従業員しか利用できなかった福利厚生制度を正規雇用の従業員と同様に活用することができるようになります。


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同一労働同一賃金のデメリット

次に同一労働同一賃金の施行によって発生するデメリットを、企業側、従業員側からご説明します。

企業側のデメリット

人件費の上昇
非正規雇用の待遇を正規雇用と同一、もしくはそれに近い水準にすることで、人件費が上昇します。


賃金格差がある際の説明責任が生じる場合がある
正規雇用と非正規雇用の間、もしくは正規雇用同士でも、総合職や地域限定正社員など複数の雇用管理区分けがあり、そのなかで不当に賃金格差があると判断された場合、その説明をおこなう責任が生じます。

従業員側のデメリット

正規雇用労働者の場合、賃金が下がる場合がある
原則として正規雇用と非正規雇用の間で待遇差がある場合、正規雇用の待遇を下げることで均衡を確保することは望ましくないとされていますが、それでも労使間の同意があれば待遇が下がる場合があります。


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同一労働同一賃金導入に伴い、企業側が対応すべきこと

非正規の従業員に対しても正規雇用の従業員と同様の待遇をしなくてはならないという面だけを見ると、企業にとって人件費の上昇というデメリットばかりが目についてしまうかもしれません。しかし、企業としてはこれを機会に派遣労働者やパート、直接雇用の準社員などさまざまな形態で働く従業員の区分けを明確にすれば、既存従業員の不満が解消するだけではなく、今後、新規や中途採用がおこないやすくなるメリットもあります。
そういった意味でも、同一労働同一賃金導入を前に企業側が対応すべき点は、ガイドラインに沿った賃金形態を改めて確認し、従業員それぞれの役割を明確にすることです。


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人事評価制度の効率的な見直しを

同一労働同一賃金が導入されて定着していけば、いずれは正規雇用労働者と非正規雇用労働者といった区分けがなくなっていくかもしれません。そうなれば技術や成果によって賃金が決まるようになることも十分に考えられます。企業はいつそうなっても対応できるよう、同一労働同一賃金が導入されるまでの期間で、改めて人事評価制度を見直すことが重要です。

従業員の多様な働き方に合わせて同一労働同一賃金のような公正な賃金形態とともに、人事評価制度についても公正な基準を明確にすることが企業の持続的な成長につながります。JTBベネフィットの「flappi(フラッピ)」には、組織の仕組みを整え、生産性を向上させるコンテンツがあり、コンサルタントが組織の課題を分析して適切な施策を提案することで、公正な人事制度や評価制度の策定が可能になります。中小企業においては同一労働同一賃金の施行までまだ時間がありますが、人事評価制度の策定には時間がかかりますので、企業規模にかかわらず今からでもflappiを導入して公正な人事評価制度を策定してみてはいかがでしょうか。


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