ESGとは?CSRとの違いやSDGsとの関係性について定義と事例を紹介

​​​​​​​事例	従業員のストレス軽減に役立つ「ストレスコーピング」とは?具体例も解説3

投資家は投資対象を選別する際、これまでは企業の財務状況に着目するのが一般的でしたが、近年変わりつつあります。

機関投資家を中心に、多くの投資家が重視し始めている視点、それがESGです。今回は、ESGが登場した背景とその具体的事例、SDGsとの関係についても理解を深め、自社でも導入できるアイディアについて学びましょう。

目次[非表示]

  1. 1.ESGとは?
    1. 1.1.ESGの定義
    2. 1.2.ESGが重視されるようになった理由
    3. 1.3.CSRとの違い
    4. 1.4.ESG投資とは?
  2. 2.ESGとSDGs
    1. 2.1.SDGsとは?
    2. 2.2.日本のSDGsへの取り組み
    3. 2.3.「SDGsアクションプラン2020」とESGとの関係性
  3. 3.ESGを推進するメリットとデメリット
    1. 3.1.企業にとってのメリットとデメリット
    2. 3.2.従業員にとってのメリットとデメリット
  4. 4.事例から学ぶ自社でもESGを浸透させる方法
    1. 4.1.「環境(Environment)」を意識した事例
    2. 4.2.「社会(Social)」を意識した事例
    3. 4.3.「企業統治(Governance)」を意識した事例
    4. 4.4.ESGの視点を理解することから始めよう
  5. 5.まとめ

ESGとは?

ESGの定義

ESGは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を組み合わせたものであり、企業が長期的に成長を続けるために欠かせない3つの要素を表しています。近年、これらの指標は企業を評価する際に用いられるようになっています。


ESGの3つの要素

Environment(環境):自然環境に配慮する様々な施策 (例)CO2排出の削減や省エネ

Social(社会):従業員の健康や尊厳に配慮した職場環境の整備 (例)地域社会への貢献

Governance(企業統治):ガバナンス (例)経営の管理体制が健全かつ透明

ESGが重視されるようになった理由

ESGの観点が重視されるようになったのは、温暖化や異常気象など、環境問題が顕在化してきたからです。

2006年に国連が「責任投資原則(PRI)」を表明し、世界の機関投資家が参加したところ、持続可能な社会達成のために投資の際にはESGの要素を考慮に入れるよう提唱されました。当初、参加した機関投資家は数十社でしたが、2018年には1,900社あまりになり、今後もESGは機関投資家の投資基準のメインストリームになると予想されます。

とりわけ、150兆円もの運用資金を保持し、世界最大級の機関投資家の一つである年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も2015年に署名し、日本の各企業の経営方針や取り組み方を大きく変えました。


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CSRとの違い

ESGと類似の概念としてよく取り上げられるのがCSR(Corporate Social Responsibility)です。日本語では「企業の社会的責任」と訳され、企業は自社の株主や従業員のこと以外に、社会全体の利益にも目を向けなければならないという観点のことです。

CSRの背景にも環境問題の顕在化があり、CSRは企業に倫理的な責任に重きを置いているのに対し、ESGはより戦略的な観点という違いがあります。

さらに言うならば、CSRは「責任」ですから、企業にとって「やらなければならない」ことですが、ESGは企業がより主体的に対応し、いかに自社の事業として取り組んでいくかと関係しています。


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ESG投資とは?

これまでに述べたESGの視点を重視した投資手法を「ESG投資」と言いますが、これは従来の財務状況だけに注目する投資とは異なり、企業の環境や社会に対する取り組みや長期的な財務リターンに着目します。

以前からSRI投資という類似の投資方法は存在していましたが、投資家にとってはあまり利益がないと考えられていた傾向がありました。しかし、前項のPRI(国連責任投資原則)の影響もあり、企業が次第にESGを意識して経営するようになってきたため、ESG投資は投資家たちにとっても財務リターンがあり、なおかつ潜在的なリスクを回避できる投資手法として注目されるようになってきたのです。

その証拠に、世界最大手の投資運用会社であるブラックロックは、2012年から2018年の6年間のリターンにおいてESGファンドが従来のファンドを超えたとしています。


ESG投資には7つに分類されます。

1.ネガティブ・スクリーニング
2.ポジティブ・スクリーニング
3.国際規範スクリーニング
4.ESGインテグレーション
5.サスティナビリティ・テーマ投資
6.インパクト・コミュニティ投資
7.エンゲージメント・議決権行使


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SDGsとは?

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略であり、日本語では「持続可能な開発目標」と訳します。2015年9月の国連サミットで、2016年から2030年の15年間に国際社会が目指すべき努力目標として採択されました。

SDGsは「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを掲げ、先進国と途上国が一体となって取り組むことを特徴としています。これは、言語や国籍、性別に関係ない設計を目指すユニバーサルデザインやWHOが提唱する持続可能な幸福な状態であるWell-Beingとも共通していると言ってよいでしょう。

SDGsは以下に挙げる17のゴールとそれらを具体化した169のターゲット、さらにその下の232の指標と多岐にわたります。

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8.働きがいも 経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう


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日本のSDGsへの取り組み

日本はSDGsに対して合計約4000億円の投資をおこなっており、積極的にその実現に向けて取り組みを続けています。その一つに「SDGsアクションプラン2020」があります。

「SDGsアクションプラン2020」は2030年までに日本社会として達成したい大きな3本の柱から成り立っています。

1.ビジネスとイノベーション ~SDGsと連動する「Society 5.0」の推進~
2.SDGsを原動力とした地方創出、強靭かつ環境に優しい魅力的なまちづくり
3.SDGsの担い手としている次世代・女性のエンパワーメント


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「SDGsアクションプラン2020」とESGとの関係性

SDGsアクションプラン2020が提唱する3本の柱とESGの視点を比べてみると、ESG投資は1.の「ビジネスとイノベーション」と大きく関連していることがわかります。
実際、日本の一部上場企業の7割が加盟する経団連も2017年11月にSDGsに取り組むとした行動企業憲章を採択しており、各企業はESGの視点を経営に取り入れなければならなくなっています。

2.の「強靭かつ環境に優しいまちづくり」に取り組むためには、グリーンインフラの整備や海洋プラスチックごみ対策などが必要であり、ESGの「環境(Environment)」と視点と共通しています。

3.の女性のエンパワーメントを重視する視点は、ESGの「社会(Social)」、つまり女性が生き生きと働ける社会づくりと関係していることがわかります。

このようにESGは投資家、SDGsは市民社会・企業それぞれの視点で、目指すべき将来のかたちである「持続可能な世界」は共通しています。


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ESGを推進するメリットとデメリット

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長期的に見れば、ESG投資やESG経営は環境問題を始め、多くの社会問題の解決につながると思われますが、企業側、従業員にとってまったくデメリットがないわけではありません。

企業にとってのメリットとデメリット

メリット
前述のとおり、現在多くの機関投資家が各企業の財務状況よりも、ESGに沿った経営方針や戦略に注目しているため、ESG経営をおこなう企業は安定した資金調達が容易になります。
また、政府も積極的にESGを推進していることから、自社はそれと調和した戦略により、企業価値を向上させ、ブランド力を強化が可能です。
さらにESG経営により、職場環境は改善されていくため、従業員の休職や離職を未然に防ぎ、高い生産性を保つことができます。


デメリット
ESGを意識した経営は、売上や利益を実感するのに時間がかかります。当初は設備投資なども必要になり、コストがかかることを覚悟しなければなりません。

そうはいっても、サプライチェーンがますますグローバル化する中にあってESGは大企業だけの問題ではなく、協力会社や下請け企業にも同じ基準を求めてくることが考えられます。また、企業の規模にかかわりなく、取引銀行もESGに配慮していない企業には融資を控えることがあり得ることを念頭に置いておく必要があるでしょう。


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従業員にとってのメリットとデメリット

メリット
ESGを意識した企業は、これからの社会のリーディングカンパニーです。成長性が高く安定した企業で働くことで自己成長を促し、経済的にも安定した生活を見込めます。
そして、なによりも社会に貢献している企業の一員として働いているというやりがいや達成感、充足感を感じることができるでしょう。


デメリット
メリットとは裏返しに、従業員へ賞与や給与として反映される短期的なリターンとしては感じにくくなります。


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事例から学ぶ自社でもESGを浸透させる方法

では、具体的にESGの視点をどのように経営に反映させることができるのでしょうか。いくつかの事例を見てみましょう。

「環境(Environment)」を意識した事例

住宅メーカーでは「5本の樹」計画と題して、住宅を通じた自然保全を目指しています。
これは日本各地で里山が消失している結果、生物多様性が失われていることに鑑み、「3本は鳥のため、2本は蝶のために、日本の在来樹種を」というメッセージのもとに、人間と自然との共生を目指す試みです。2001年の事業開始以来、2018年時点で植栽本数は1502万本にもなったと言われています。

また、鉄道会社ではEU諸国でも取り組みがなされている「3R」を実施しています。「3R」とは、「廃棄物の削減(Reduce)」「再利用(Reuse)」「リサイクル(Recycle)」の頭文字であり、ICカード乗車券の導入や切符のリサイクル、社内会議のペーパーレス化、建設廃棄物の削減などをすすめています。

「社会(Social)」を意識した事例

住宅設備機器メーカーでは、「水環境基金」を設立、2005年以来、国内外の250団体に3億円にも上る助成金を交付しました。それにより、地域社会の水問題解決に貢献し、結果として企業のブランド力強化につながりました。

「企業統治(Governance)」を意識した事例

菓子製造業社は製造過程で使用したエネルギーや資源を項目ごとにまとめESGデータを自社ホームページで開示しています。中には企業にとっては公開を躊躇してしまいたくなるデータも含まれていますが、この会社では経営の透明性をアピールすることに成功し、投資家の信頼を勝ち得ています。

ESGの視点を理解することから始めよう

これらの事例はどれも経営者の決断が必要になるため、取り組みを開始するには時間がかかり、難しく感じる方もおられるでしょう。
しかし、すぐに企業全体の経営戦略がドラスティックに変化しないとしても、まずは従業員一人ひとりがESG経営を研究するなどして、ESGの視点を理解することから始めてみましょう。

そのためには現場や年次が若い従業員が中心となって推進することが重要です。ボトムアップで推進することで経営者や経営陣にもESGに対する認知度は高まり、やがて経営理念にまで影響を与えることになるはずです。そこから経営者や経営陣の判断を仰ぎましょう。

企業としてESGの取り組みに対する構築やステークホルダーへの公表はトップダウンでおこないますが、推進や取り組みについてはボトムアップでおこなうことでより理解を深められます。


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まとめ

ニューノーマルの働き方イメージ

世の中は日々変化しています。特に、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大は社会や経済だけでなく、わたしたちの生活や働き方までにも変化をもたらしました。
企業は短期的な成長だけに重きを置くのではなく、社会への価値創造をおこなうことで自社の利益が創造され、従業員一人ひとりのWell-Beingを重要視することが企業を長期的な成長へと導きます。

稲森和夫氏の「アメーバ経営」の目的は、組織を「アメーバ」と呼ばれる小さなグループに分割し、従業員一人ひとりが主役、つまり経営者であるという意識を持つことを提唱していますが、ESG経営を意識することでどんな状況にも屈しない強い企業や強い組織を作ることが必要ということです。

JTBベネフィットではSDGsの本質を楽しみながら理解できる「SDGsワークショップ」を提供しています。単にSDGsを知識として学ぶだけでなく、「SDGsがなぜ今の私たちの世界にとって大切なのか?」「どのように行動すればSDGsの達成に協力できるか」など、それぞれの目標を達成する道のりをワークショップにて体験できます。

従業員全体にESGとSDGsを浸透させ、社会的に抱えている問題を解決することでステークホルダーの信頼を勝ち取り、長期的な事業継続への成功をもたらすことでしょう。


「SDGsワークショップ」 の詳細はこちら

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