ダイバーシティ対応で押さえるべき5つの重要ポイントと2つの注意点
日本国内でも多くの企業が注目するダイバーシティ対応は、競合他社との競争を優位にする上でも、早めに実践したい取り組みです。また、様々な背景により、必要な人材が枯渇しがちな今の時代は、ダイバーシティのような取り組みによって企業内の意識を変える必要もあるでしょう。
今回は、ダイバーシティの定義やメリット、その対応で求められる重要ポイントなどを、わかりやすく解説していきます。
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ダイバーシティとは
ダイバーシティとは「多様性」を意味する言葉です。ここから転じて、異なる多様な人材を尊重し、それぞれの能力を包括することによって、個人と組織における持続的な成長と競争優位性を高める人材活用戦略のことを指すようになりました。
また、このダイバーシティを受容することで、組織の成長や課題解決を推進する取り組み全般を「ダイバーシティ&インクルージョン」、ダイバーシティを活かすことで組織変革を図るマネジメントアプローチを「ダイバーシティマネジメント」といいます。
こういった考え方は、仕事や採用活動、雇用などで女性や社会的少数派のマイノリティが差別を受けないことを求めるアメリカの運動からスタートしたといわれています。
そして、近年の日本国内で特に広がりを見せているのは、次の観点を中心としたダイバーシティです。
・人種
・宗教
・性別
・ライフスタイル
・国籍
・学歴
・職歴 など
官民一体でダイバーシティ
経済産業省では、企業経営とダイバーシティ推進を結びつけた先進的な取り組みを紹介しています。また、さらにすそ野を広げる目的で、「新・ダイバーシティ経営企業100選」や「なでしこ銘柄」の選定・表彰もおこなっています。
このように、行政機関から好事例が公開されるダイバーシティは、この考え方に着目したばかりの企業でも、比較的容易に自分の会社に合う取り組みを探しやすい人材活用戦略でしょう。
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ダイバーシティ対応で得られる企業のメリット
企業がダイバーシティ対応をおこなうと、以下のようなメリットが得られます。
有能な人材の確保
高度情報化社会では、国の垣根を超えて有能な人材の争奪戦が起きています。
こうした環境下で高度な知識やスキルを持つ人材を採用するには、かつての採用活動で重視していた国籍や性別、宗教といった細かな属性にこだわらず、対象層を広げる取り組みが必要です。
また、自社の公式サイトやSNSなどでダイバーシティにおける真剣な取り組みを公開すると、社員の個性を大切にする、魅力的な企業であると評価されやすくなるでしょう。
企業評価の向上
ダイバーシティの推進に成功すると、多様な人材が働きやすい環境が生まれることにより、社内だけでなく社外からの評価も高まりやすくなります。これは、従業員の属性に偏りのある従来型の人材活用では、なかなか実現しにくいことです。
ですから、地域社会などで企業としての評価を上げたい場合には、人材の採用や活用における意識を変えた上で、すべての従業員が働きやすい環境をつくるのが理想です。
また、こうした取り組みによって離職率が下がり、優秀な人材が満足して働ける環境が整うと、企業の社会的責任であるCSRの分野などでも良案が浮かびやすくなるでしょう。
開発力の向上
企業の開発力を上げるためには、高い技術やスキル、経験のある人材を採用する必要があります。ですから、ダイバーシティをきっかけに人種や宗教、ライフスタイルといった属性へのこだわりを減らすことは、企業にとって採用時の選択肢を広げることにもなるのです。
そして、多様な人材による優秀な開発チームができると、今まで抱えていた業務問題も改善し、品質の高い製品やサービスの生産につながります。
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ダイバーシティへの対応に必要な4つのポイント
ダイバーシティ対応を成功させるためには、企業は以下のポイントを重視した推進活動をおこなう必要があります。
経営理念とビジョンの明確化
企業に有能な人材が多く集まると、各自の強い個性によって軋轢が生まれる可能性も出てきます。そのため、ダイバーシティを推進する際には、企業としての理念やビジョンを明確化し、従業員同士が異なる意見で不和を起こすことなく同じ目標に向かって働ける組織づくりが必要です。
多様な人材の活用が推進されるダイバーシティにおいても、自社の理念に合う従業員を採用するという基本的な考え方は、従来の採用活動と同じように重視すべきポイントであると捉えて良いでしょう。
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ダイバーシティを推進する体制整備とトップの行動
採用された人材の活用は、経営陣や現場リーダーの腕の見せどころです。従業員に最大限の能力を発揮してもらうためには、円滑に業務運営ができる体制や、中期的な目標に向けてPDCAを回す取り組みが求められます。
ですから、ダイバーシティによる経営を成功させるには、優秀な人材にすべてを任せるのではなく、トップ自らが環境整備などをおこなう必要があるでしょう。
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属性を理解し評価する
ダイバーシティによって人材を活用するためには、女性や外国人といった多様な従業員の属性を理解し、成果や貢献度などを適正に評価しなければなりません。そのためには従業員からの情報収集も必要となりますが、不適切なヒアリングをおこなうと、人種差別や不信感につながることもありますので注意しましょう。
ダイバーシティの取り組みにおけるトラブルを防ぐために、採用時の履歴書やパーソナルシートに宗教や信仰などを記入してもらい、人事部内で共通認識を持っておくと安心です。
特に食生活は、社内行事などとも関係する重要項目となります。フードダイバーシティの観点から、宗教や信仰によって口にできない飲食物があることも理解した上で、従業員の多様性を尊重するようにしましょう。
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多様な働き方への理解と実践
多様な属性の受容は、多様な働き方とセットで考えると推進しやすくなります。例えば、短時間勤務やテレワークなどを導入すると、女性という性別と、子育てや介護といったライフスタイルという2つ以上の属性への理解が進みます。
また、全従業員が働きやすい環境の整備は、結婚や妊娠、出産といったライフイベントを機に職場を離れてしまう従業員の問題も解消してくれることでしょう。
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ダイバーシティに対応するときの注意点
ダイバーシティに対応した人材活用では、以下の点に注意を払う必要もあります。
円滑なコミュニケーションを支援する
多様な人材を採用する際には、組織の中に生じる多くの「違い」に対して、企業や従業員がどのように対応するかということに注意しなければなりません。例えば、外国籍のプログラマーを採用した場合は、言語コミュニケーションにおける摩擦を防ぐために、翻訳ツールの導入を考える必要があるでしょう。
また、価値観が異なる人材が集まると、ハラスメントによる離職やモラルの低下などが起こる可能性もあります。ですから、採用の幅を広げるだけでなく、実際にコミュニケーションをおこなう従業員の意識改革や円滑に交流できる仕組みづくりも、忘れずに進めることが大切です。
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待遇や人事評価への不公平感は「相手の立場に立つこと」で解消
ダイバーシティ対応によって、多様な人材の採用や様々な働き方の推進をおこなうと、その対象に含まれない一部の従業員から「不公平だ」という声が出てくるかもしれません。このような場合には、まずは相手の立場に立って一人ひとりが置かれている環境を考えましょう。
常に相手の立場に立って考えることができれば、自社の抱える問題や潜在的な不満の解消につながる、ダイバーシティの良案が浮かびやすくなります。また、経営陣の対応によって「自分は理解されている」「認められている」と感じる従業員が増えれば、満足度の向上により離職率の増加といった問題も解消しやすくなるでしょう。
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ダイバーシティ対応は注意点を押さえて進めましょう
顧客ニーズの多様化やグローバル化が進み、少子高齢化による人材不足が深刻化する今、日本企業でもダイバーシティの視点に基づく企業経営が不可欠になりつつあります。
ただし、ダイバーシティ対応を実践する際には、自社が進むべき方向性や将来的な目標をきちんと定め、自社に合った行動方針に基づいて社内協議や準備を進めていくことが必要です。
JTBグループでは、全社をあげてダイバーシティの推進に取り組んでいます。また、ダイバーシティ関連のイベントやセミナーも開催していますので、気になる方はぜひ以下のページをチェックしてみてください。
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