服装規定を撤廃して私服通勤を実現するメリットとデメリット
スーツやヒール靴の指定といった服装規定を撤廃する企業が増えています。堅苦しい服装ではない私服通勤を実現することは、従業員だけでなく企業にも様々な恩恵がもたらすようです。
服装規定を撤廃したり私服通勤を実現したりすることは、企業にとってどのようなメリットやデメリットがあるのかを見てみましょう。
目次[非表示]
- 1.なぜ今、服装規定撤廃・私服通勤がおこなわれているのか
- 1.1.働き方改革
- 1.2.クールビズの延長
- 1.3.女性の重要性が増した
- 2.服装規定撤廃・私服通勤実現のメリット
- 2.1.業務を効率化できる
- 2.2.強制された服装による苦痛がなくなる
- 2.3.制服のコスト削減
- 2.4.人材の画一化を防げる
- 2.5.新鮮な気持ちで業務に臨める
- 3.服装規定撤廃・私服通勤実現のデメリット
- 3.1.負担増となる従業員もいる
- 3.2.服装で従業員に差がつきやすくなる
- 3.3.職場の空気が緩む可能性も
- 4.服装規定撤廃・私服通勤実現の際の留意点
- 4.1.接客対応時の服装に気をつける
- 4.2.カジュアルが苦手な社員を気遣う
- 4.3.上層部が進んで実施する
- 5.服装規定撤廃・私服通勤実現の実践例
- 6.服装規定撤廃・私服通勤制度には、柔軟な対応が必要です
なぜ今、服装規定撤廃・私服通勤がおこなわれているのか
服装規定を撤廃したり私服通勤を実現したりすることは、企業の体制そのものを変化させるだけでなく、人材確保にも大きな影響を与えます。
なぜ今、多くの企業で服装規定の撤廃や私服通勤がおこなわれているのでしょうか。
働き方改革
政府が推進する「働き方改革」により、仕事のやり方だけでなく服装にも自由化の波が押寄せています。少子高齢化による労働人口の減少など、労働にまつわる様々な課題が山積みとなっていますが、仕事と私生活の調和を図るワークライフバランスを始めとする働き方改革によって、これらの課題を解決しようとする動きが見られます。
多様な働き方を進める上で、従業員の服装にも多様性を持たせることが、服装規定の撤廃や私服通勤の実現に影響しているのです。
クールビズの延長
クールビズが定着したことで、季節を問わず業務中の服装全体を見直す動きが広がっています。とくに、夏から秋にかけては異常気象になることが多く、規定の服装では業務に支障が出る可能性があるため、自由な服装が認められるようになってきました。
なお、これまで全国一斉に期間が設定されていたクールビズは、2021年以降、廃止され、各企業や自治体が自由に設定できるようになります。組織単位でクールビズに取り組む場合、それぞれの地域の気候や気温に合わせて設定しましょう。
女性の重要性が増した
女性の労働力の重要性が増す中で、企業側から指定・支給される「お仕着せ」の事務服・制服に対して疑問の声が上がるようになりました。それにより、服装規定の撤廃や私服通勤という動きが加速しています。
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服装規定撤廃・私服通勤実現のメリット
服装規定が撤廃され、私服通勤が実現したことで、従業員や企業にどのようなメリットがもたらされたのでしょうか。
業務を効率化できる
働きやすい服装で仕事をおこなうことで、従業員は業務の効率化を図ることができます。動きにくい服装では体が窮屈に感じるだけでなく、モチベーションが下がってしまう可能性があるからです。
強制された服装による苦痛がなくなる
男性・女性を問わず、強制された服装を苦痛に感じる従業員は少なくないでしょう。
女性だけがヒール靴の着用を求められることに抗議する、「#Kutoo」のような社会運動もあるほどです。服装規定を撤廃すれば、このような問題に対応する必要がなくなります。
制服のコスト削減
従業員に貸与する制服には大きなコストがかかるため、服装規定を撤廃することでコストを大幅に削減できます。特に、女性に制服を支給している場合はファッション性や機能性を求める声が上がることが多く、それらに応えるとよりコストがかかってしまいます。夏と冬で制服が異なる場合は、さらにコスト削減効果が大きくなるでしょう。
人材の画一化を防げる
服装の自由化を認めることで、多様な人材確保につながります。制服などの規定がないことで、人材募集における門戸を広げられます。「堅苦しいスーツを着て働くのは気が進まない」「Tシャツやスラックスといった楽な格好で働きたい」といったニーズは、今後若手世代を中心にますます広がっていくことが予想されます。
新鮮な気持ちで業務に臨める
自由な服装を許可することで、従業員の自主性・創造性を刺激することができます。好みの服を身につけて仕事ができれば、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
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服装規定撤廃・私服通勤実現のデメリット
前項では様々なメリットがあることをお伝えしましたが、服装規定の撤廃や私服通勤の実現は、メリットばかりではありません。ここからは、服装規定撤廃と私服通勤の実現におけるデメリットを紹介します。
負担増となる従業員もいる
私服を購入するための費用負担が増えたり、「パンツはこれ、ジャケットはあれ」と毎日のコーディネートを考えることを負担に感じたりする可能性があります。制服があれば、毎日洋服のコーディネートを考える手間が省け、また行き帰りの私服を用意するだけで済むので費用もあまりかかりません。
従業員によって感じ方は異なりますが、服装規定撤廃や私服通勤を賛成する人ばかりではないということです。
服装で従業員に差がつきやすくなる
服の品質やコーディネートの差がつくことで、それを気にする従業員が出てくる可能性があります。ファッションセンスは個人差が大きい上に、ラフな服装とフォーマルな服装が混在するところでは、従業員のセンスに対する評価に偏りがでる場合もあるでしょう。
職場の空気が緩む可能性も
露出の多い服装や、オフィス向きではないカジュアルすぎる服など、オフィスワーク・内勤にふさわしくない服装をしていると、職場の士気に影響するおそれがあります。
服装規定の撤廃によって服装を注意しにくくなるため、あらかじめサンダルや派手な色柄のものは禁止するなど、最低限のルールを設定したほうが良いでしょう。
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服装規定撤廃・私服通勤実現の際の留意点
実際に、服装規定の撤廃や私服通勤の導入をする際は、以下の点に注意しましょう。
接客対応時の服装に気をつける
接客や交渉などの業務にあたる際は、TPOに合った服装が求められます。取引先に対して、最低限のマナーや礼儀を持って接することができるよう、適切な服装を身につけるための指導が必要になるかもしれません。
カジュアルが苦手な社員を気遣う
「勤務時にはスーツなどのフォーマルな服装を身につけるべき」と考える従業員は少なくありません。過度にカジュアル化した服装で働くことに抵抗のある従業員に配慮し、カジュアルからフォーマルまでの段階的な服装の例を示して、スムーズな移行を図ると良いでしょう。
上層部が進んで実施する
服装規定を撤廃しても、従業員はどのような服装を身につければ良いか迷うかもしれません。この場合は上層部が進んで実践し、手本になりましょう。実際に上層部の人間がどのような服装をしているのかを見せることで、従業員もイメージが湧きやすくなり、スムーズに移行できるようになります。
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服装規定撤廃・私服通勤実現の実践例
ここからは、服装規定を撤廃した企業や、私服通勤を導入した企業の実例を紹介します。実際に服装の自由化をおこなった企業は、従業員にどのようなメリットをもたらしたのでしょうか。
マインド効果を得られた事例
まずは、マインド効果を得られた事例です。堅苦しいスーツではなく、着心地が良いビジネスカジュアルやファッションアイテムを身につけることによって、業務効率の向上やモチベーションアップにつながりました。
服装規定によって毎日同じような服装でいると、代わり映えしない日常を過ごすことになりますが、服装規定の撤廃や私服通勤によって、従業員が新鮮な気持ちで業務に臨むようになったそうです。
服装規定を撤廃したことでより清潔感を演出できた事例
スーツ着用を義務づけていた際は、毎日の手入れやワイシャツの洗濯など服装に対して手間がかかっていたことを、服装規定撤廃の理由に挙げる企業もあります。
服装規定を撤廃したことで、手入れに手間がかからないシンプルな服装で、職場の清潔感を演出できるようになったようです。手入れが行き届いていないスーツだとだらしなく見えますが、小綺麗なカジュアルスタイルは周囲に好印象を与えます。
このように、服装規定の撤廃が功を奏した企業は少なくありません。あまりに派手だったり、だらしない着こなしになったりすることなく、最低限のTPOをわきまえておけば、様々な服装が受入れられます。このように「仕事の際の服装は必ずしもスーツではない」という考え方は、浸透しつつあるのです。
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服装規定撤廃・私服通勤制度には、柔軟な対応が必要です
服装規定撤廃や私服通勤制度の導入は、企業に自由なイメージを与えるだけではありません。従業員の個性を引き出し、モチベーションアップや業務効率化を図る手段にもなっており、様々な企業で導入されています。
JTBベネフィットは、JTBグループの中でいち早く服装規定を廃止したことで注目されました。社内ルールを記載した「社内ハンドブック」にも服装ガイドラインがありましたが、それを撤廃し、現在は従業員の自由な服装を認めています。オフィスには、スーツを着用している人もいればジーンズの人もいるなど、従業員の多様性を認めている企業としてのイメージが高まりました。
また、就業規則は変更せず、「社員は、就業時間中は節度ある服装に努めなければならない」として、細かな服装については従業員の自主性に任せています。
JTBベネフィットでは、「衣服を通じたブランディング」を実現する次世代のサービスとして、「ブランドユニフォーム」を提供しています。ブランドユニフォームは「コミュニケーションウェア」と位置づけられ、各種制服やグッズの制作をおこなっています。
着用を強制しなくとも、共通のユニフォームがあるだけで社員間に自然と一体感が生まれるため、インナーブランディングに資するソリューションとしておすすめです。
・私服通勤で自由度が増したばかりに何を着ていこうか迷っている
・ビジネスカジュアルの定義がわからず、毎日服選びに苦労している
・私服通勤で会社のエンゲージメントを感じられない
もし、社内から上記のような意見が聞こえてくる場合は、ブランドユニフォームの導入をぜひご検討ください。
ブランドユニフォームを含む組織活性サービス一覧はこちら
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