在籍出向とは?契約の仕組みやメリット、転籍との違いも紹介!

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この記事のまとめ

・在籍出向とは、出向元に籍を残したまま、出向先とも労働契約を結ぶこと

・在籍出向により、出向先・出向元には人材育成や他社のノウハウを吸収できるメリットがある

・出向者のメリットは、新たな知識やスキルの獲得をベースに自律性を養えること

・在籍出向を実施する際は、出向元は金銭的な利益を享受しないことが必須

・社員の特性や思考性を把握した上で出向先とマッチングさせることで出向の効果が上がる

目次[非表示]

  1. 1.在籍出向とは?
    1. 1.1.在籍出向とは
    2. 1.2.転籍出向との違い
    3. 1.3.派遣との違い
    4. 1.4.クロスアポイントメントとの違い
  2. 2.在籍出向のメリット・デメリット
    1. 2.1.出向元のメリット・デメリット
    2. 2.2.出向先のメリット・デメリット
    3. 2.3.出向者のメリット・デメリット
  3. 3.在籍出向の注意点&よくある疑問
    1. 3.1.労働契約などに注意
    2. 3.2.職業安定法第44条に注意
    3. 3.3.就業規則・社会保険などの適用は?
  4. 4.在籍出向が自律型人材の育成を促す理由
    1. 4.1.そもそも自律型人材とは
    2. 4.2.なぜ在籍出向が自律型人材の育成に寄与するか
    3. 4.3.在籍出向を成功させるために最も重要なこと
    4. 4.4.在籍出向を成功させるための仕組みを導入
    5. 4.5.在籍出向先の紹介サービスを活用
  5. 5.まとめ

在籍出向とは?

在籍出向とは

在籍出向のイメージ

出向元(現職)に籍を残した状態で、出向先(他社)で勤務することを在籍出向といいます。

出向元と出向先で出向に関する契約を結んでいることが条件で、出向者は出向元に加えて、出向先とも労働契約を結ぶ必要があります。出向元は、出向者と結んでいる労働契約の一部を出向先に移転し、指揮命令権も出向先に移転します。

※出向先には出向元の関係会社も含まれます。

転籍出向との違い

転籍出向のイメージ

転籍出向は、転籍元(現職)に籍を残さない点が在籍出向との違いです。よって、転籍元との労働契約は消滅し、転籍先との労働契約のみとなります。転籍元の会社を退職して、転籍先の会社へ転職することと同じ意味です。

派遣との違い

派遣のイメージ

派遣の場合は、労働契約が派遣元(派遣会社)との間に発生するため、派遣先(他社)との間に発生しない点が在籍出向との違いです。また、労働者派遣法が改正された2015年以降は派遣期間に制限があり、最長3年間となっています。

クロスアポイントメントとの違い

クロスアポイントメントのイメージ

クロスアポイントメントとは、研究者などが大学や公的研究機関、民間企業の間で、それぞれと労働契約関係を結び、定められた従事比率(エフォート)で業務をおこなうことです。

つまり、1週間のうち、月曜日から水曜日は出向元で勤務し、木曜日と金曜日は出向先で勤務するといった働き方が可能となります。一定期間は「出向先のみ」で勤務することとなる在籍出向とは、働き方が異なります。


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在籍出向のメリット・デメリット

メリットとデメリットを目の前にして考える男性従業員

出向元のメリット・デメリット

メリット

・会社の風通しが良くなる

・社員の育成に繋がる

・離職を防ぐことができる(退職をせずに新しいチャレンジができるため)

・他社のノウハウを吸収できる
デメリット
・出向者分のマンパワーが減ってしまう

出向先のメリット・デメリット

メリット

・会社の風通しが良くなる

・組織が活性化する(既存社員の人材育成も含む)

・採用コストをかけずに人材を獲得できる

・他社のノウハウを吸収できる

デメリット
・出向者はいずれ出向元に戻る前提なので、長期的な戦力化が見込めない

出向者のメリット・デメリット

メリット

・新しい環境で新しい業務を遂行できる

・異質に触れることで視野を広げ、新たなスキルを獲得し経験を積める

・自律性を養える
デメリット
・新たな環境で仕事を覚えなければならず、ストレスがかかる


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在籍出向の注意点&よくある疑問

就業規則や労使協定の疑問

在籍出向を実施する際の一般的な注意点やよくある疑問を紹介します。

労働契約などに注意

出向元が出向を命じる際に注意すべきことは、以下の通りです。


3つの注意点

1.従業員(出向者)との労働契約に、「出向を命じ得る」などの出向命令の根拠の記載があること
2.出向先での基本的な労働条件(給与等の処遇、出向期間、復帰条件等)が明瞭になっていること
3.法令違反権利濫用でないこと

※労働契約に出向の根拠がない場合は、出向に際して従業員の同意が必要となります。


法令違反や権利濫用の具体例

法令違反や権利濫用はイメージしにくいのですが、具体的な例としては以下の通りです。


法令違反の例

法令違反となる出向目的の例
違反する法令

労働組合の活動の阻害

出向者の思想信条


権利濫用の例

出向命令が権利濫用となる可能性のある例
権利濫用と認められた時に
出向が無効となる根拠の法令

身体に持病があり肉体労働が難しい社員を、

肉体労働が必須の会社へ出向させる
セクハラ・パワハラを告発した社員を出向させる

参考:
日本レストランシステム事件(大阪地裁 平成16年1月23日、大阪高裁 平成17年1月25日)
新日鐵事件(最高裁 平成15年4月18日)


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職業安定法第44条に注意

この法律は「労働者供給事業の禁止」を定めています。

職業安定法第44条---------------------------------------------------------------
「何人も、次条(※)に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。」
--------------------------------------------------------------------------------
出典:電子政府の総合窓口e-Gov(※)のみ著者加筆
※「次条」には「労働供給事業の許可」について規定されています。

当該条文の趣旨は、「出向を、利益を得るビジネス(事業)としておこなってはならない」ということです。

就業規則・社会保険などの適用は?

就業規則や社会保険に関して、よくある疑問・質問を紹介します。


Q .出向者は出向元と出向先と雇用関係を結びますが、就業規則はどちらを適用すべきですか?

A. 基本的にはどちらも適用することになります。ただし、出向元と出向先の就業規則で整合性が取れない規定があることが一般的ですので、出向先と出向元で話し合い、出向者に適用する就業規則を決定する必要があります。


出向者に適用する就業規則の区分例

適用する規則
適用する規定内容
出向元の就業規則

福利厚生、年次有給休暇、休暇(※)、解雇、転職、定年など

出向先の就業規則
労働時間、休憩、休日、服務規定など
双方の就業規則
懲戒処分など

※いわゆる特別休暇にあたる休暇は、出向者が出向することで不利益を被らないように出向元で適用される特別な措置でありますが、利益以上のものが発生する場合は出向先の就業規則が適用される場合もあります。


Q.社会保険の適用はどうなりますか?

A.社会保険には「医療保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」があります。ケースに応じて出向先での加入手続きが必要な場合や負担先が異なりますので、以下の表で一般的な例をご確認ください。

保険の種類

出向先が賃金を

支払うケース

出向元が賃金を

支払うケース
出向先と出向元それぞれが、
別々に賃金を支払うケース
医療保険
出向先の負担
出向元の負担

賃金額の高い方

(条件によっては両社で

按分のケースもあり)

年金保険
介護保険
雇用保険
賃金額の高い方
労災保険
出向先の負担


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在籍出向が自律型人材の育成を促す理由

エンゲージメント向上によってモチベーションが高まった従業員

そもそも自律型人材とは

自律型人材とは、「自ら課題を認識し、その解決に向けて自律的に行動する人材」です。マニュアルや指示がなくとも、主体性を持って変化に対応しながら成果を挙げ、会社の成長に貢献する人材を指します。


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なぜ在籍出向が自律型人材の育成に寄与するか

在籍出向によって出向社員を対象とした自立型人材の育成に効果的である理由を、以下の通り紹介します。


理由その1:目標を立て、その達成に向けて努力する

新しい環境で業務を覚える必要があるため、出向者にはストレスがかかります。その克服のために、主体的に目標や目的を持って業務に取り組む(取り組まざるを得ない)状況となるためです。


理由その2:自己分析ができる

異質の中に身を投じることで、自分を客観視できるようになり、出向元の慣れ親しんだ組織の中では、気付きにくい自身の強みや改善点を把握できるためです。


理由その3:企業分析ができる

出向先の会社で勤務することで、出向元の会社との比較が可能になり、出向元の会社の長所や短所を明確に把握することができるためです。

在籍出向を成功させるために最も重要なこと

出向によるストレスがモチベーションを生み出さず、最悪の場合は出向者が休職または離職してしまうケースもあり、そういった事態を回避することは大変重要です。そのポイントは以下の2つです。

1.従業員のスキル・能力・思考性を正確に把握すること
2.出向先の環境を正確に把握し、1.と照らし合わせて出向者を決定すること

特に1.の「社員の情報を正確に収集する」については、「重要性はわかるが、なかなかできない」というお悩みを抱えている企業が多くいらっしゃると思います。その理由としては、以下の3つが考えられるのではないでしょうか。

・従業員本人がスキルやキャリアプランを描けていない
・評価面談などでは、各部署の評価者のフィルターを通るので、画一的に従業員を管理できない
・人事や総務で情報収集を試みようにも、大きな手間がかかる

在籍出向を成功させるための仕組みを導入

JTBベネフィットが提供する「flappi(フラッピ)」はその解決ツールとして大変有効です。flappiは、従業員のデータを収集し、分析することで、適切なフィードバックとレコメンドを一人ひとりにおこない、従業員の自発的な行動を促します。あわせて、収集したデータは上司や人事・経営層向けにも可視化され、従業員を画一的な基準で管理・把握することが可能です。

在籍出向先の紹介サービスを活用

在籍出向のメリットを理解していても、受入先企業の候補が見つからず頓挫してしまうケースもあります。そこでJTBベネフィットでは、企業間レンタル移籍プラットフォームである「LoanDEAL(ローンディール)」という、人材をベンチャー企業の事業開発に参加させ、育成する仕組みを提供しています。

LoanDEALを活用してベンチャー企業へ出向させることで得られるメリットは、以下の3つです。
1.出向先を探す手間が省ける
2.専属のメンターが移籍者(出向者)をフォローしてくれる
3.上司向け報告会などがあり、出向によるメリットの還元が出向者任せではない


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まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の記事のポイントは以下の5つです。


この記事のまとめ

・在籍出向とは、出向元に籍を残したまま、出向先とも労働契約を結ぶこと

・在籍出向により、出向先・出向元には人材育成や他社のノウハウを吸収できるメリットがある

・出向者のメリットは、新たな知識やスキルの獲得をベースに自律性を養えること

・在籍出向を実施する際は、出向元は金銭的な利益を享受しないことが必須

・社員の特性や思考性を把握した上で出向先とマッチングさせることで出向の効果が上がる


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