アートをビジネスに取り入れる!SDGsとの関係性やアート思考の研修を紹介

​​​​​​​​​​​​​​福利厚生制度で多様性を受け入れダイバーシティを推進するイメージイラスト

この記事のまとめ

アート思考により、論理モデルや科学的プロセスではたどり着きにくいアイデアを生むことが可能

・アート思考を鍛えることで革新が生まれやすくなり、会社のビジネススピードが向上する

障がい者がアートを通じて社会参画し、企業が後押しすることで持続可能な社会に寄与できる

人事研修として実際に絵を描く研修やアート思考のフレームワークを学ぶ研修がある

目次[非表示]

  1. 1.アートとビジネス
    1. 1.1.アートがビジネスに求められる時代
    2. 1.2.これまでのアートとビジネスの関係
    3. 1.3.現在のアートとビジネスの主な関係
  2. 2.SDGsやダイバーシティにおけるアート×ビジネス
    1. 2.1.SDGsとは
    2. 2.2.ダイバーシティとは
    3. 2.3.アートの力によるSDGsやダイバーシティの実現例
  3. 3.アートが拓くビジネスの可能性
    1. 3.1.コト社会に対応できる
    2. 3.2.代替しにくい思考法を獲得できる
    3. 3.3.変化の早い市場で戦うことができる
    4. 3.4.イノベーションを生みやすくなる
  4. 4.アートを取り入れた人事研修例とメリット
    1. 4.1.研修モデルその1:実際に絵を描く研修
    2. 4.2.研修モデルその2:アート思考のフレームワークを学ぶ研修
  5. 5.まとめ

アートとビジネス

カメラを構えて食品サンプルを撮影しようとしている男性従業員

アートがビジネスに求められる時代

近年、アート×ビジネスが注目を集めており、関連する記事や書籍をよく見かけます。これまで「アート」と「ビジネスパーソン・企業」との関わりは限定的だったため、アートとビジネスは一線を画すイメージを持つ方も多いかもしれません。

これまでのアートとビジネスの関係

対象
アートとの主な関係
ビジネスパーソン
嗜み(例:エリートビジネスマンの象徴、教養の証)
企業

社会貢献や芸術文化への投資はステータスの一つ(例:独自の文化施設、美術展の後援)

アートを商品として販売(例:百貨店、サプライヤーと取引をするバイヤー)

しかし、近年では上記に加えて、以下のような関わりが生まれています。

現在のアートとビジネスの主な関係

対象
アートとの主な関係
ビジネスパーソン

モチベーション向上のソリューション(例:会社のオフィスにアート作品の展示)

アートを通じた人材育成(例:展覧会やアートセミナーを通じた美意識の醸成)
企業
アートを商品そのもののデザインやプロモーションに使用
アーティスト(芸術家)を従業員として雇用

特に、「アートを通じた人材育成」は注目を集めており、独立研究家で著作家の山口周氏は、「これからのビジネスに美意識が重要で、アート鑑賞は美意識を磨く方法に適している」という旨を主張しています。

これまで当たり前だった分析・論理・理性に軸足を置いた経営、すなわちサイエンス重視の意思決定では、これからのコト社会で重視される個々の「ロマン」「ストーリー」「懐かしさ」等の自己実現的な消費モデルの対応が容易ではないため、これらに対応するべく”美意識”や“感性”のブラッシュアップが求められるようになりました。

参照:山口周 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営におけるアートとサイエンス 光文社 2017年


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SDGsやダイバーシティにおけるアート×ビジネス

SDGs 17つのゴールのイメージ

アートは新たな視点やアート的な思考法を生むツールとしてだけでなく、SDGsやダイバーシティの文脈でも注目されています。

SDGsとは

Sustainable Development Goalsの略称で、「持続可能な開発目標」を意味します。2015年に国連サミットで採択された、2030年までに達成すべき17の国際目標です。


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ダイバーシティとは

ダイバーシティ(Diversity)とは、日本語で「多様性」を意味する言葉です。多様性の意義には可変的なものと不変的なものがあり、前者は「ライフスタイル」や「働き方」など、後者は「年齢」や「人種」などが該当します。多様な人材を採用して多様な価値観を取り入れることで、組織の生産性や競争力を高めると同時に、個々のビジネスパーソンの幸せも実現することをダイバーシティと表現します。


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アートの力によるSDGsやダイバーシティの実現例

アートとSDGsやダイバーシティはどのように交わり、どのような特徴があるのでしょうか。例えば、言語による意思疎通が難しい障がいを抱える方が、アートを制作して販売する活動を継続する場合、以下のようなことが実現できます。


SDGsやダイバーシティとの関係

障がいを持つ方が、積極的な社会参画を果たして経済的に自立することは、SDGsの8つ目の目標である「働きがいも経済成長も」や、ダイバーシティそのものにつながります。


アートを購入した企業の視点

アートを購入した企業は、そのアートを自社のパンフレットやプレゼン資料の表紙に使用したり、商品そのもののデザインとして使用する例があります。


このように、SDGsやダイバーシティの取り組みに、企業が慈善事業ではなくビジネスとして参画できる点は、従来あまり見られなかった特徴の一つであり、ビジネスとして成立することで持続可能性を高めることができます。


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アートが拓くビジネスの可能性

ウェビナーの登壇者が図で解説しているイメージ

ここでは、アートやアーティストがビジネスと深く交わることや、アートを通じて美意識をブラッシュアップしたビジネスパーソンが増えることによるメリットと、会社視点で役に立つポイントを紹介します。

コト社会に対応できる

最初に紹介した通り、モノ社会が過渡期を迎え、コト社会が到来しています。コト社会では、モノだけでなく経験や体験に価値が置かれます。よって、「便利なもの」「高機能なもの」で計っていた価値基準が「個々の消費者にとって意味があるもの」にシフトするため、価値が多様化します。

価値が多様化する市場では、ロジックだけでなくインスピレーションや感性も含めたさまざまな角度から価値提供をすることで、その多様なニーズに対応することが可能です。


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代替しにくい思考法を獲得できる

例えば、ロジカルシンキング(論理的思考)はビジネスで必須の思考法ですが、近年発達しているAI技術によってそう遠くない未来に代替される可能性が高いといえます。一方で、個々の自由な発想やクリエイティブな能力が起点となるアート思考は、代替しにくいアウトプットを生む思考法といえます。


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変化の早い市場で戦うことができる

論理的な思考は「正解・不正解」の議論に陥りやすく、いい意味でも悪い意味でも議論の余地が多分にあり、合意形成まで一定の時間を要します。一方で、アート思考は個の自由な発想や美意識が起源なので、批判の余地はあまりありません。よって、スピーディーな意思決定が可能です。

モノの供給が不足していた時代は、マスメディアがトレンドを作り、モノを作れば売れる時代でした。しかし、モノが飽和状態である最近のコト社会では、個人によるSNSをはじめとした情報発信も可能となった影響もあり、ニーズが細分化し、その移り変わりも早くなります。よって、素早い意思決定で「直感的に」商品やサービスを提供することも必要です。


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イノベーションを生みやすくなる

社会の課題やニーズを前提に、論理的な展開とアプローチで解決に至るロジカルシンキングは、似通った答えにたどり着くことが多いのですが、自由な発想を起源にするアート思考は、0から1を生み出す思考法のため、似たような答えが生まれにくくサプライズアイデアが生まれやすいといえます。よって、新規事業やプロジェクトの企画開発部門でも、アート思考は大きな効果を発揮します。

また、アートは正解・不正解がない世界を前提としますが、この発想はダイバーシティの促進にもつながります。相手と見え方や価値観が異なることを許容することで、多様な特徴を持った従業員同士のコラボレーションが生まれ、イノベーションが発生しやすい環境となります。


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アートを取り入れた人事研修例とメリット

リアル集合研修を受講している従業員と講師

これまでは、狭き門の美術系大学や大学院を卒業した学生が、アーティストとして生計を立てられる可能性は決して高いとは言えず、そして、それ以外の求人も限定的なため、就職活動は困難を極めていました。しかし、近年では美術系大学院で修士・博士課程を修了した学生が、一般企業の求人に採用されるケースも増えています。

また、欧米の企業では、求人対象から美術系を排除することは日本よりも少なく、むしろ幹部候補を美術系大学院のアートプログラムやイベント・セミナーに参加させ、アート思考を磨かせることを目的とする例もあります。日本国内でも担当者向けの人事研修にアートを導入する企業がありますので、一例を紹介します。

研修モデルその1:実際に絵を描く研修

美術系の大学や大学院を卒業していない限り、従業員は長らくアートに触れる機会がないことが一般的です。そこで、研修で絵を描く時間を設けることで自由な発想を引き出す訓練となり、新たな視点で自分自身や業務を見つめ直すことが期待できます。「現代アートとは何か?」などの難しい講義に焦点を当てるのではなく、自由で好きなように絵を描いてもらうことが大切です。

研修時間は2時間ほどで実施する企業もあれば、腰を据えてアートと向き合う時間や自分が描いた絵を説明する時間、他の従業員からの質問や感想をもとにディスカッションする時間を設けるために、2・3日間かけて実施する企業もあります。

研修にアート制作を取り入れた企業の従業員からは、「普段使わない脳の部分を使った感覚で、仕事に役に立つと思う」といったポジティブなコメントが多くあります。デメリットとしては、準備に時間がかかることと、研修成果を高める振り返りを実施するファシリテーターの難易度が高いことがあげられます。

研修モデルその2:アート思考のフレームワークを学ぶ研修

アート思考を体系的に学ぶ方法です。具体例として、京都大学と凸版印刷によってフレームワーク化されたステップを紹介します。

【アーティストが作品を生み出す際の思考ロジックを基に、その作品を制作するプロセスをビジネスシーンに応用したもの】

STEP1  発見   主観と好奇心で価値を発見
STEP2  調査   認識を深め徹底的に調査
STEP3  開発   オリジナルな表現手法を検討
STEP4  創出   イメージを膨らませアウトプット
STEP5  意味づけ 他者にも理解できる言語ラベルを貼る

セミナーの開催によって体系的に学べるため、整理された内容をインプットできるメリットがあります。デメリットとしては、セミナーの講師に深い知識レベルが求められることや、講義のみでは実体験を持ってインプットできず研修の効果が高まらない点があげられます。

出典:京都大学 アート思考により人財育成を支援する新手法を開発 -アーティストの思考ロジックをフレームワーク化し、新たな価値創造で企業の人財育成・事業開発を支援-


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まとめ

今回は、アートとビジネスの関係性やアートがもたらすビジネスでの効果と、アート作品を活用した人材育成の具体例を紹介しました。先行きが見えず激しく変化するVUCAの時代では、これまでとは異なる斬新な手法でアイデアを生み出すイノベーション人材の育成が必要で、アート作品に実際に触れることでその効果を最大化することが期待できます。

また、障がいのある人の個性を活かしながら、社会が必要とする革新的なサービスや商品を創出している株式会社フクフクプラスの共同代表である磯村歩氏は、会社の理念を「障がいのあるなしに関わらず、お互いの違いを認め合い、誰もが自分の可能性を発揮できる社会の実現」とした上で、自社が障がいのある人のアートを採用している理由に、「企業や個人にとって価値あるものだからこそ」と言い切ります。歴史的背景などの事前知識は不要で、身近な画材で手書きされたものが多い障がい者のアートは、鑑賞者を束縛せず、これまでアートに馴染みがなかった人へ広く門戸を開いています。そして、障がい者が描くアート作品には、SDGsの目標達成支援の他にノーマライゼーションダイバーシティの推進にも寄与し、CSRを果たすことができます。このように、アートがビジネスにもたらす影響は多方面に広がっています。


この記事のまとめ

アート思考により、論理モデルや科学的プロセスではたどり着きにくいアイデアを生むことが可能

・アート思考を鍛えることで革新が生まれやすくなり、会社のビジネススピードが向上する

障がい者がアートを通じて社会参画し、企業が後押しすることで持続可能な社会に寄与できる

人事研修として実際に絵を描く研修やアート思考のフレームワークを学ぶ研修がある


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