【上司視点】コーチングを受ける従業員へ効果的なスキルや資格と方法を紹介

​​​​​​​​​​​​​​応募者とオンライン面接をしている人事採用担当者の従業員(役員クラス)

どの企業にとっても、優秀な人材はビジネスの成功に欠かせない要素です。しかし、ダイヤの原石を得たとしても、それを磨かなければ光を輝かせることはできません。また、採用した際は決して優秀でなくても、入社後に育成することでその企業や業界に合った優秀な人材に育つ可能性も十分ありえます。人材育成にはコーチングが有効です。今回は、コーチングとはそもそも何なのか、また、その具体的な方法について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.コーチングとは?
  2. 2.コーチングの三原則とは?
    1. 2.1.インタラクティブ
    2. 2.2.オンゴーイング
    3. 2.3.テーラーメイド
  3. 3.コーチングとティーチングの違い
  4. 4.コーチングとカウンセリング・セラピー
    1. 4.1.カウンセリングとは
    2. 4.2.セラピーとは
    3. 4.3.コーチングとカウンセリング、セラピーの違い
  5. 5.コーチングが必要なのはなぜか?
    1. 5.1.企業にとって必要な理由
    2. 5.2.従業員一人ひとりにとって必要な理由
  6. 6.3種類のコーチングスキル
    1. 6.1.傾聴
    2. 6.2.質問
    3. 6.3.承認
  7. 7.コーチングスキルを身につける方法
    1. 7.1.コーチングスキルの習得方法2つ
    2. 7.2.コーチングにも資格がある?
  8. 8.コーチングの方法
    1. 8.1.現状の確認
    2. 8.2.ゴールの設定
    3. 8.3.行動計画の策定
    4. 8.4.評価とフィードバックを定期的に実施
  9. 9.まとめ

コーチングとは?

コーチングは、様々な分野で活用されていますが、統一的な定義はないと言われています。
そもそも「コーチ」とは、中世ヨーロッパのハンガリーで馬車(コチ・kocs)を指して用いられており、人間を目的地まで連れて行ってくれる手段と理解されていました。この言葉から派生して、家庭教師やスポーツのトレーナーを指す際に「コーチング」と用いられるようになり、1950年代からはビジネスにおいても使われるようになりました。


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コーチングの三原則とは?

オフィス内での対話イメージ

インタラクティブ

インタラクティブとは双方向という意味です。
コーチングのコミュニケーションは、1on1ミーティングと同様にインタラクティブにおこなわれます。これにより、相手(クライアント)の自発的な思考を促し、自ら意見を発信できる人材を育成します。これは、緊急事態であっても、上司(コーチ)の指示がない場合でも対応できる能力を培うために不可欠です。
コーチングにおいてコーチとクライアントが会話する時間を「セッション」と呼びます。まるで、ミュージシャンがステージで自由に演奏してオーディエンスへ呼びかけを求めて対話するコール&レスポンスのように、コーチングにおいても二人が会話をインタラクティブに交わす概念を伝えています。

オンゴーイング

オンゴーイングとは、現在進行形という意味です。
コーチングでは単発的な知識の伝授ではなく、クライアントの思考の習慣を変化させることを目指します。そのため、従業員のモチベーションを維持することと、変化がみられるまでにある程度の時間がかかることから継続し続けることが必要になります。

テーラーメイド

テーラーメイドとは、特別仕立てのことです。ちなみに、衣服でいうオーダーメイドと同じ意味で、オーダーメイドは和製英語になります。
コーチングはクラス単位でおこなわれる授業とは異なり、コーチとクライアントの個別対応です。なぜなら、従業員一人ひとりコーチングの目的そのものに違いがあることと、スキルを習得するスピードや学び方、個性も異なるためにクライアントである従業員の能力に応じた内容で進めることが必要です。


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コーチングとティーチングの違い

ティーチングとは、教える側が答えを持っていることを前提にし、それを対象者に伝えることです。それに対して、コーチングは対象者が答えを持っていることを前提にしており、コーチはあくまでもそれを引き出す、もしくは見つけるサポートをする役割に徹します。

前述のコーチングの由来に基づくと、コーチングとは相手の目的達成を助ける手法であることがわかりますが、ただ一方的に知識を伝授して能力向上の支援したり、悩みや不安を聞いて解決へ導くアドバイスをするティーチングとは違い、相手の内面にある気づきを引き出すことを重視する点に特徴があります。このように、コーチングとティーチングは相手の状況や取り上げたいテーマに合わせて使いわけると良いでしょう。

ただし、ティーチングは一方通行のコミュニケーションのため、対象者の認識が不十分だとせっかく教えたものもあっという間に忘れられてしまいますので、明確に伝わるように工夫してアドバイスや情報提供に努めましょう。


コーチングとティーチングの違いとそれぞれのメリット&デメリット


コーチング
ティーチング
回答を持っている側
対象者(クライアント)
教える人(ティーチャー)

コミュニケーション

双方向(インタラクティブ)

一方向(ワンウェイ)

かかる時間

長期

※2~3年かかる場合もあり

短期

メリット
クライアントの思考のフレームワークまでも変化させ、問題を解決し、達成する能力を培わせる
スピーディーにスキルや知識量を向上させる
デメリット
浸透するまでにかかる時間が長い
対象者の認識度合いによっては忘れられてしまいやすい


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コーチングとカウンセリング・セラピー

美容院でセラピストからマッサージを受ける女性従業員

カウンセリングとは

カウンセリングとは、専門的な知識やスキルを保有する「カウンセラー」と呼ばれるカウンセリングのプロと対話することで、悩みごとや不安を解決へ導くことです。

セラピーとは

セラピーとは、手術や投薬を実施せずに対話や自然のエネルギーでもってメンタルやフィジカルへアプローチして症状を癒すことです。セラピーを仕事にする人を「セラピスト」と呼びます。

コーチングとカウンセリング、セラピーの違い

カウンセリングやセラピーは現状の変化を目指しますが、コーチングではさらに先を見据えており、相手が将来の目標達成をするサポートをします。

言い換えると、カウンセリングやセラピーは、相手がすでに直面している問題を引き出すということです。対象者の治療や経営上の課題を解決するためには、過去に相手や相手の会社に起きた問題について理解することも必要でしょう。そのためカウンセリングやセラピーもインタラクティブなコミュニケーションを重視し、多くの時間をかけておこなわれる点はコーチングと共通しています。また、直接的な解決をするのではなく、対話することで対象者の内面にある気づきが引き出されて、対象者が置かれている状態を把握して気づきを得る部分はコーチングと似ています。


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コーチングが必要なのはなぜか?

企業にとって必要な理由

変化の激しいビジネスシーンにおいて、従業員がいつでも上司の指示を待つだけでは、現場でスピーディーな対応ができません。コーチングにより、従業員一人ひとりが的確に状況を判断し、それに基づいて自分の頭で考え、行動するスキルを身につけることができれば、企業全体の生産性の向上につながります。

また、組織や部署・チームとしてプロジェクトを遂行し、成功裏に導くために必要なのは相互のコミュニケーションです。日本式の「空気を読む」コミュニケーションはプライベート上の人間関係では良いかもしれませんが、ビジネスでは誤解を生み、ひいては企業に経済的損失をもたらすことにもなりかねません。コーチングで自分の考えや感情について言語化する術を学べば、オフィスの円滑なコミュニケーションを促進することができます。


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従業員一人ひとりにとって必要な理由

相対的に他国に比べて日本人は自尊心が低く、自尊心が低いとセルフエフィカシー(自己効力感)も低いといわれています。つまり、自分で取り組んだ仕事や目標に対して成果が出る、達成できるという自信を持てる人が少ないということです。

この課題は、コーチングを通して、設定した目標について段階的に達成する方法や能力が自分の中にあることに気づけるようになります。日々の仕事の中でコーチングスキルを活用し、体験した結果を目にすることができれば、自信や達成感につながります。最終的には、自分の仕事に対するやりがいや喜びを得ることで、従業員満足度が向上します。


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3種類のコーチングスキル

コーチングを実践している上司(コーチ)と部下(クライアント)

コーチングを効果的におこなうためには「傾聴」「質問」「承認」の3つのスキルが必要です。

傾聴

傾聴とは相手が話すことに耳を傾けることです。日常会話の中では相手の言うことを聞いているようでも、ただ聞き流していたり、相手が話したすぐ後に自分が言いたいことを話したりすることが多いため、「傾聴する」ことは決して簡単なことではありません。相手が話しているときには頷き、相槌を入れるなどして、相手が安心して話せるように配慮しましょう。

質問

質問は、「答えは相手の中にある」というコーチングの基本原則を実践する上で、非常に重要なスキルです。インタラクティブなコミュニケーションにおいては、質問を多用することになりますが、相手がプレッシャーを感じないように質問の仕方を工夫しましょう。

承認

承認とは、質問に対する相手の答えを否定するのではなく、肯定し、認めるということです。場合によっては惜しみない誉め言葉を与え、相手のやる気を引き出します。


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コーチングスキルを身につける方法

コーチングスキルの習得方法2つ

コーチングスキルを身につける方法は2つあります。

1. 書籍などを活用して独学で身につける方法
2. 研修セミナーを活用する方法

すでに高いコーチングスキルを身につけている講師から直接座学を受けて、ロールプレイによって学べる2.の方が効率が良いのですが、一般的な受講期間の2日間という時間と受講に際して大きなコストがかかります。また、いずれにしても、学んだスキルを本当に身につけるためには、コーチ側も日常生活の様々な場面で前述した3つのスキルを意識しましょう。

コーチングにも資格がある?

社内でコーチングをおこなうために資格が必須というわけではありませんが、体系的にコーチングの基礎や方法を学ぶ点では、認定資格を取得しておくのも一つの方法です。現在、日本国内のコーチングに関する国家資格は存在せず、すべて民間資格になります。
代表的なものとしては「国際コーチ連盟(IFC)認定コーチ資格」「日本コーチ連盟認定コーチ」などが挙げられます。それぞれの認定資格を得るためには修了しなければならない講座や経験が定められています。
例えば、IFCには「アソシエート認定コーチ」「プロフェッショナル認定コーチ」「マスター認定コーチ」が設けられており、認定基準を満たした団体によって実施されているトレーニングプログラムを受講することが条件です。


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コーチングの方法

オンラインで採用面接を実施している人事担当者と求職者

コーチングの方法にはいろいろあり、専門のコーチ(プロコーチ)は相手に合わせてそれを使いわけていますが、以下では一般的な方法を紹介します。

現状の確認

コーチングの大前提として、目標を設定する必要がありますが、まず今の立ち位置や現状を正確に把握しましょう。そのためにコーチは相手の状況について質問して深堀していきます。このステップで重要なことは、仕事において成果を生み出すのを妨げている障害が何かを相手に気づかせてあげることです。コーチの側が指摘するのではなく、相手が自分自身で分析できるように誘導します。

ゴールの設定

具体的に相手が手に入れたい状態についてイメージしてもらい、ゴールを設定します。このステップで重要なのは、相手がなぜその目標を達成したいと思っているのか、その背後にある価値観や欲求まで引き出すことです。

上司が部下をコーチングする場合、部下は会社や上司が望むゴールを口にする傾向があります。それが他人から与えられたゴールだと、それを達成するための動機づけや熱意は不十分であり、コーチングも途中で挫折してしまう可能性があります。コーチである上司は、部下が安心して自分の考えを説明できるように相手の反応を褒め、肯定してあげることが必要です。

行動計画の策定

ゴールが決まったら、いよいよそこへ向かうための具体的な行動計画を立てます。これは旅行に行く前に、目的地にどういうルートを通って行くのか、どんな交通手段を利用して行くのかなどをあらかじめ考えておくことに似ています。

このステップで重要なことは、決してコーチが一方的に決めるのではなく、「答えは相手の中にある」というコーチングの基本を忘れないことです。また、設定したゴールを具体的に計画へ落とし込んでいくことが必要です。「いつまでそのゴールを達成するのか?」「誰とどこでおこなうのか?」「どのように進めていくのか?」といった、5W1Hに基づく視点で具体化していくのです。

評価とフィードバックを定期的に実施

目的地までのルートを決めたら実際に動き出しますが、このステップで大切なことは、機会あるごとにあらかじめ策定したルートから外れていないかチェックすることです。行動計画を策定する際に、どのくらいの頻度で、どんな基準で評価・フィードバックするかあらかじめ決めておき、それを実際におこないます。そして、コーチが相手の気持ちを確認し、やる気を高めてあげることも重要です。上から目線で叱ったり、批判したりするのではなく、相手を褒めて、冷静になって一緒に現状を分析しましょう。

実施方法は、対面が理想ですが、オンラインでも可能です。対面かオンラインの選び方には特に決まりがありませんので、自社に合わせて継続的におこなうようにしましょう。


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まとめ

今回は、コーチングの概要や具体的な方法ついて紹介しましたが、コーチングにはスキル以上のことが関係していることがおわかりになれたと思います。そして、社内でコーチングを実施する場合、コーチである上司側のマインドがより重要です。

コーチングを実施する際、上司は部下をサポートし、その成功を心から願って実施しますが、部下の出世に戦々恐々としているようではコーチングが成功するはずもありません。コーチングの文化が醸成されれば、社内にはお互いの成功を願うポジティブな空気が生まれ、オフィス全体もより働きやすい場所になるはずです。従業員一人ひとりの人生のために、そして、企業の未来のためにも、コーチングスキルを身につけて双方の成長と成功に取り組みましょう。


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