制度を悪用する「生活残業」の実態。原因と対策について

制度を悪用する「生活残業」の実態 企業は時間ではなく成果で評価しよう

※この記事は2020年10月28日に更新しました。


「働き方改革」が推進されるなか、無駄な残業を減らす努力をする企業が多く見られます。その一方で、賃金を得るために、不必要な残業をおこなう従業員の存在が問題となっています。企業の利益を損なうことはもちろん、ほかの従業員にも迷惑を掛ける「生活残業」をなくすため、企業側ができる取り組みを紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.生活残業とは
  2. 2.生活残業が引き起こす問題
    1. 2.1.企業から見た生活残業の問題点
    2. 2.2.従業員から見た生活残業の問題点
  3. 3.生活残業が生じる原因
    1. 3.1.企業側の原因
    2. 3.2.従業員側の原因
  4. 4.生活残業をなくすための対策
    1. 4.1.賃金の見直し
    2. 4.2.プロジェクト管理を徹底する
    3. 4.3.人事評価制度の見直し
    4. 4.4.正当な残業は評価する
  5. 5.働き方改革が生活残業に及ぼす影響
    1. 5.1.残業時間の上限
    2. 5.2.収入の変化
    3. 5.3.生産性の向上が重視される
  6. 6.「働くふり」が悪影響を及ぼす前に対策を

生活残業とは

生活残業とは「従業員が生活費を稼ぐために、必要のない残業をすること」です。企業は払わなくていい賃金まで支払うことになり損失を被ります。生活残業をする従業員は、通常の勤務時間中、意図的に仕事のペースを落とします。これは非常に困った状態で、作業効率が下がるだけではなく、組織全体にも影響を及ぼしかねません。一人ひとりの生活残業は小さくとも、総体としては大きな問題となるため、企業は早急に対策を練る必要があります。

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生活残業が引き起こす問題

生活残業が引き起こす問題を、企業と従業員、それぞれの視点から把握しましょう。

企業から見た生活残業の問題点

コスト増加
最大にして明確なリスクはコストの増加です。企業が労働に対して対価を支払うのは当然のことですが、本来払うべきでない賃金を払うのは人件費の無用な増加を生みます。しかも、残業時間が長くなるほど残業代は割り増しされます。
増加するのは賃金ばかりでなく、経費も同様です。社内に人がいると必ず水道光熱費がかかりますし、備品のような細かな経費がかかることもあるでしょう。必要な残業に対する費用なら問題ないものの、不要な残業のためとなるとただの無駄遣いです。


ほかの従業員の意欲が下がる
生活残業をする従業員が同僚に悪影響が及ぼすケースもあります。同僚であれば、以下のような異変を感じることも多いでしょう。

「同じ作業量のはずなのに、不自然に時間がかかるな」
「やけに席を立つ回数が多い。どこかで時間をつぶしているのかな」

きちんと勤務時間内に仕事をこなした自分より、まともに仕事をせず生活残業をした同僚が多くの賃金を得るのは理不尽でしょう。企業が生活残業を見逃すと、当該の従業員以外の者の労働意欲まで削ぐことになるのです。ひいては職場全体の雰囲気も悪くなります。
また、日本人特有の連帯感が余計な残業を誘発することもあります。「隣の席の○○さんが残業しているのに自分だけ帰るのは申し訳ない」または「○○さんに比べて評価が下がるのではないか」と考え、不要な残業に付き合ってしまう従業員も出てくるのです。


「ブラック企業」の疑いを掛けられる
実情を知らない第三者からは「残業の多い企業」に見えてしまいます。時流に合っていない企業、さらには「ブラック企業」と捉えられる可能性もあります。不本意な理由で悪いイメージを植え付けられるのは避けなければいけません。


生産性の低下
単純に考えれば、一つの仕事に対してかかる時間が多いほど生産性は落ちます。その意味で、生活残業は生産性が下がる要因のひとつになるでしょう。悪循環も発生することから、やがて企業全体の生産性が低下する可能性が高まります。


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従業員から見た生活残業の問題点

企業に問題を与える生活残業は、従業員自身にも悪影響を与えます。


自身のスキル低下
残業代は生活の足しにはなるでしょうが、自身のスキルは低下します。賃金アップを優先するのは労働者にとってはひとつの考えではあるでしょう。しかし、それを優先するあまり、決められた時間内に成果を上げるというスキルを失っているかもしれません。


時間をロスすることになる
必要のない残業は時間を無駄にします。その時間を資格の勉強に使えば、任される仕事もランクアップし、賃金も増えるかもしれません。習い事をするお金がないというなら、副業といった選択もあります。企業によっては資格取得制度で補助をもらえるケースもあるかもしれません。無駄な残業をする時間を有効活用する視点が必要になります。


ワーク・ライフ・バランスの低下
そもそも残業が問題視されているのは、ワーク・ライフ・バランスの充実の妨げになるからです。生活残業をしている人は、家族と過ごしたり、趣味に没頭したりリラックスしたりする時間を失っています。自ら生活と仕事のバランスを崩しているのです。


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生活残業が生じる原因

生活残業をする従業員と生活残業を生じさせてしまう企業には特徴があります。企業がそれぞれの視点から問題点を洗い出し、生活残業が生じる原因を探ることが大切です。

企業側の原因

評価制度の未整備
評価の基準がタイムカードに記載された労働時間だけになっている場合は注意が必要です。従業員が「とにかく長く働けばいい」と考える土壌になっているかもしれません。生活残業が問題化している企業は、労働内容と成果、業務プロセスに目を向けた評価制度を取り入れるなど、評価制度の見直しが必要になるでしょう。


コミュニケーション不足
上司と部下のコミュニケーションが不十分だと、生活残業が発生しやすくなります。部下の作業量を把握していないと、上司はその残業が不当なものかどうかがわかりません。従業員の仕事量と進捗状況を正しく把握していないと、その隙を突いて生活残業をする従業員が現れるのです。

また、生活残業をする従業員にも深刻な事情がある場合もあります。普段からコミュニケーションを取り、できる限り従業員の動きに目を配りましょう。席を離れることが多い、席に着いていても仕事している様子がないなど、不自然な動きが見えたら生活残業の兆候かもしれません。


上司が注意しない
部下が問題のある行動をしたら、きちんと注意するのが上司の役目です。部下のマネジメントは上司の職務範囲のはずですが、それが難しい状況があるのも事実ではあります。「パワハラといわれるのでは?」とためらう人も多いでしょう。しかし、怒鳴り散らすなど高圧的な態度を取らなくても注意することはできます。企業側も、注意することが苦手な上司をフォローする体制を整える必要があるでしょう。


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従業員側の原因

基本給が低い
生活残業をする動機は、賃金を増やすことです。基本給が最低賃金ぎりぎりであるなら、なんとか増やしたいと思うのは自然なことでしょう。さらにローンや医療費、教育費などが重なっている場合、それを補うために残業代をあてにしてしまう従業員も出てきます。


本人の資質の問題
生活残業をする人の多くは程度の差こそあれ罪悪感を覚えるものです。ところが、そうした罪悪感がほとんどない人も存在します。「昼間は手を抜き、ゆったり仕事をすればいい」と考えて実行します。「副業するより楽で効率がいい」と考える人もいます。


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生活残業をなくすための対策

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生活残業をなくすために、企業や人事担当者はどのような対策を取ればいいのでしょう。その際、注意すべき点は何でしょうか。人事担当者ができる取り組みを中心に解説します。

賃金の見直し

基本給が低い場合は、何より賃金の見直しから始めましょう。最低賃金に満たないようであれば、それこそブラック企業と評価されても仕方ありません。人事部門に権限がないとしても、従業員としっかりコミュニケーションを取って、現場の意見を上層部と共有することが大切です。

プロジェクト管理を徹底する

賃金が充分な場合は、プロジェクト管理を徹底しましょう。メンバーごとの進捗度を正確に把握することが必須です。現場の上司は、部下たちの作業量と進捗度を正確に把握しているでしょうか。働いた時間の長さと、成果は比例しているでしょうか。従業員が自己判断で残業し、上司が理由を把握できていないとしたら問題です。

上司が指示した残業のみをおこなうことを徹底して、無駄な残業はさせない努力をしましょう。また、残業を許可制にして申請しないと残業できないようにする方法も効果的です。その際、どのような理由で残業するのかをしっかり確認しましょう。上司は進捗具合が把握できますし、それが生活残業かどうかを判断しやすくなります。

人事評価制度の見直し

上述の「原因」の項目で触れたように、評価制度の未整備が生活残業を引き起こします。人事評価制度を見直し、成果に見合った賃金や報酬を与える制度を取り入れましょう。働きの評価を時間の長さではなく成果でおこなうのです。

正当な残業は評価する

「とにかく生産性を高めればいい」というわけではありません。「短い時間で仕事を終わらせろ」と頭ごなしに指示しても効果は薄いでしょう。

残業がすべて悪ではないことを改めて認識し、正当な残業は評価することも忘れてはいけません。「残業完全禁止」にすると、プロジェクトの進行がストップする可能性もあります。かえって従業員の負担が増えることになりかねません。頑張っている従業員はねぎらい、負担が偏っているようなら見直しましょう。難しいことですが、バランスを保つことが大切です。


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働き方改革が生活残業に及ぼす影響

残業時間の上限

2018年に働き方改革関連法が成立し、大きな柱の一つである「残業時間の上限規制」は大企業においては2019年4月から、中小企業においては2020年4月から適用されています。

これまでは月45時間、年間360時間の上限規制があったものの、特別な事情があればそれを超える残業も可能の上、罰則規定は設けられていませんでした。しかし、法改正後は特別な事情がある場合でも年間720時間を超えることは許されず、月45時間を超えて残業できるのも年間6ヶ月までとされ、違反した場合は罰則もあります。

この残業時間上限規制により、従業員が必要もないのに生活残業をすることは法的に難しくなるものと思われます。


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収入の変化

残業時間の上限規制により、生活残業を期待していた従業員が残業代をあてにできなくなります。基本給が低くても、残業代で生活費やローンの返済を賄おうと考えていた従業員の収入は減少し、生活に困窮する可能性があります。

みずほ銀行総合研究所によれば、月平均60時間超の時間外労働が一律に削減されれば、雇用者1人当たり受け取る賃金は月7.2万円、年間86.7万円も減少することになります。これを補うためには企業側に賃上げなどの措置が必要なのは明らかです。


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生産性の向上が重視される

働き方改革によって推し進められているのは、生産性の高い働き方です。必要もないのに、会社にとどまる生活残業はまさにその対局にあるといえるでしょう。オフィスでも否応なく生産性を意識した働き方が求められるようになるため、オフィスでは徐々に生活残業がしづらい雰囲気が醸成されるものと思われます。

一方で、テレワークは業務の無駄を削減し、生産性の向上を目的とした業務の可視化がしやすいので、生活残業の排除にも効果があります。


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「働くふり」が悪影響を及ぼす前に対策を

意図的に生活残業をするような従業員は、管理する上司にとって困るものです。一緒に働くほかの従業員をイライラさせる存在でもあります。勤務時間は「働くふり」をして楽をし、必要のない残業で多くの給料を得ていたとしたら、同僚たちのモチベーションが下がっても仕方ありません。当事者以外にも悪影響を及ぼす生活残業には早めの対策が必要です。

生活残業をしていない従業員に対するモチベーションの向上や、残業そのものを削減したという見えない貢献を正当に評価するためには、インセンティブを付与することがおすすめです。JTBベネフィットの「サンクスコレクト」は、このような成果や行動に対する評価をポイントとして付与する報奨(インセンティブ)プログラムです。生活残業をしない従業員へ効果的なインセンティブを付与し、それを社内で大々的に評価することで意図的に生活残業をしている従業員が次第に生活残業を減らしていき、結果的には生産性の向上にもつながりますので、ぜひサンクスコレクトの導入をご検討ください。


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