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「パラレルキャリア」をどう捉える?企業の人事が知っておくべきこと

同時平行(parallel)して複数の経歴(career)を持つという意味の「パラレルキャリア」。ビジネスパーソンの半数以上がパラレルキャリアに関心があるというアンケート結果も出ており、注目を集めています。ここでは、パラレルキャリアが注目される社会的背景と、従業員と企業それぞれのメリット・デメリットを中心に、導入時に人事部が行うことを紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.パラレルキャリアって何?
  2. 2.パラレルキャリアが注目される理由
  3. 3.従業員と企業がパラレルキャリアによって得られるメリット
    1. 3.1.従業員側のメリット
    2. 3.2.企業側のメリット
  4. 4.パラレルキャリアのデメリット
    1. 4.1.従業員側のデメリット
    2. 4.2.企業側のデメリット
  5. 5.企業がパラレルキャリアを取り入れる方法
    1. 5.1.就業規則の変更
    2. 5.2.評価指標の明確化
  6. 6.パラレルキャリアで従業員の「働きがい」が向上

パラレルキャリアって何?

パラレルキャリアとは、本業と平行しながら第二の活動を行うことです。第二の活動の定義は幅広く、「本業以外の企業にも就職する」「個人事業をスタートさせる」「趣味をプロに昇華させる」「ボランティアやNPO法人の活動に参加する」など多岐にわたります。

パラレルキャリアと似た言葉に「副業」があります。両者の大きな相違点は「報酬を得ることが主目的か、そうではないか」という点です。副業は報酬を得ることが主目的であるのに対し、パラレルキャリアは社会活動を通して、「充足感を得ること」「スキルを磨くこと」に加えて、「将来への自己投資につながること」などが主目的となります。

「自分にとって楽しく、価値あることを社会と共有していく」という生き方を表しているのが、パラレルキャリアと言えるでしょう。


パラレルキャリアが注目される理由

パラレルキャリアは、オーストリアの経営学者であるピーター・ドラッカーが約20年前に発表した著書『明日を支配するもの』で提唱した、働き方および生き方に対する概念です。著書のなかで同氏は、人の寿命が組織の寿命を上回るようになり、定年まで同じ企業で働くことが困難になってきた現代において、本業とは別の世界に関わりを持つことの重要性を唱えました。

現在の日本でも、大手企業の経営破綻や終身雇用制度の実質的崩壊などによって、「一生一社」が現実的ではなくなりつつあります。一方で、能力を活かすフィールドは急激に多様化しています。ICT(情報通信技術)の発達に伴い、多くの人が手軽にリモートワークを行えるようになり、ソーシャルメディアの発達によって個人と個人、あるいは個人と企業が気軽に関わり合いを持てるようになりました。そんな現代において、パラレルキャリアに理想を見いだす人が多いかもしれません。

エン・ジャパンが運営するサイト「ミドルの転職」が2016年に実施した「パラレルキャリア意識調査」(対象は673名のビジネスパーソン)によると、どのような働き方をしたいか?という設問に対し、「本業1本で定年まで勤めたい」と回答したのは全体の14%、「本業以外にも第二の仕事・活動をしたい」と答えた人は58%に及びました。ちなみに「起業したい」と回答した人は16%で、本業1本で定年まで勤めたいという人を上回りました。

半数以上の人がパラレルキャリアに興味を持ち、一生一社で働きたいという人が2割にも満たないという結果から、パラレルキャリアが優勢な時代に突入していると言えるでしょう。


従業員と企業がパラレルキャリアによって得られるメリット

それでは、パラレルキャリアによって得られるメリットにはどんなことがあるのでしょうか。従業員と企業それぞれのメリットを見てみます。

従業員側のメリット

■スキルアップ
■人脈の拡大
■充足感の向上
■収入の穴埋め

主体性のある活動は、何らかの知識やスキルを与えてくれるものです。それと同時に、本業で身に付けたスキルの市場価値に気付くこともあり、「自分の活かし方」を学べるところもパラレルキャリアの利点です。そして、新しい世界には新しい出会いがあふれています。ここでつかんだ人脈は、生涯にわたって財産となるでしょう。また、スキルや人脈は本業でも活かすことができるため、所属企業でのキャリアアップにも役立つかもしれません。

本業では得られない充足感や幸福感を感じられるのも第二の活動の特徴です。反対に本業でしか得られない喜びもあります。パラレルキャリアは、それぞれが補い合って自己を満たしてくれるものなのです。また、副業と違って収入が主目的ではないものの、パラレルキャリアによって本業以外の活動からも収入を得られることは、メリットの一つに挙げられるでしょう。

企業側のメリット

■本業との相乗効果
■人材育成のコスト減
■個人の生産性向上
■人材の確保

前述の従業員側のメリットでも触れましたが、第二の活動で得たスキルや人脈は本業でも活かされ、相乗効果を生むことが予測されます。また、本業と第二の活動を両立させるには時間管理能力が不可欠となるため、従業員の時間当たりの生産性もアップする可能性があります。そして、本業で役立つことをほかの仕事で学んでくるパラレルワーカーについては、人材育成コストを減らすことにもつながるでしょう。

今後の採用活動においては、パラレルキャリアを容認していることがPR材料になり得ます。また、自社を第二の活動の場に希望するパラレルワーカーが現れれば、フルタイム雇用をせずに欲しい能力を得ることも可能です。

このように、パラレルキャリアは従業員、企業の両方にとってメリットの多い働き方なのです。


パラレルキャリアのデメリット

パラレルキャリアには多くのメリットがある一方で、デメリットになり得る要素があることも忘れてはなりません。

従業員側のデメリット

■本業に支障を来すおそれがある
■自己管理が困難になる
■ほかの従業員に理解されないリスク

メリットの項目で時間管理能力について触れましたが、パラレルキャリアの生活に慣れるまでは、うまく自己管理できないことが予測されます。忙しさのあまり体調を崩すリスクもあり、本業に支障を来す可能性は否めません。また、企業の業務でトラブルが生じて時間外勤務が必要となったときに、対応できないケースもあり得ます。

こういった一連の勤務形態から、ほかの従業員は「本業に身が入っていないのではないか」と思うこともあるかもしれません。パラレルキャリアの理解や認知度が高くない職場においては、人間関係における悩みを抱えるパラレルワーカーが出てくることも危惧されます。

企業側のデメリット

■本業に支障を来すおそれがある
■離職のリスク
■チームワークの乱れ
■情報漏えいのおそれ

本業への支障と離職のリスクは、多くの人が気になる部分ではないでしょうか。前述のように、パラレルキャリアは相乗効果を期待できると同時に、バランスが崩れると本業に支障を来す可能性があります。これは従業員、企業の両者にとってのデメリットです。

また、第二の活動が軌道に乗ると、本業から離れて腰を据えて活動したいと思うパラレルワーカーもいることでしょう。そうしたパラレルワーカーの気持ちはほかの従業員にも伝わるものです。チームワークが乱れ、パフォーマンスが落ちてしまうことも予測されます。

パラレルキャリアを懸念する要因として、情報漏えいのリスクを挙げる人も多いのではないでしょうか。しかしこれに関しては転職の場合でも同じことなので、しっかりと対策を取ることで回避を目指しましょう。


企業がパラレルキャリアを取り入れる方法

企業がパラレルキャリアを導入するときは、どんな点に着目すべきでしょうか。人事部が行うべき二つの取り組みをご紹介します。

就業規則の変更

就業規則の変更は、バックオフィス部門の重要な仕事のひとつです。具体的には副業・兼業の許可、秘密保持義務のガイド策定、就業スタイルに合わせた就業ルールの策定などが挙げられます。就業規則変更時には従業員への周知が必須ですが、その際は「パラレルワーカーに求めることは何か」ということも、はっきりと伝えるようにしましょう。

評価指標の明確化

本業に支障を来していないかを判断する指標を作ることも重要です。客観的で公平な評価制度は従業員同士の信頼関係の維持にもつながります。パラレルキャリアのメリットを享受し円滑に進めるには、欠かせない要素と言えるでしょう。


パラレルキャリアで従業員の「働きがい」が向上

パラレルキャリアのメリット・デメリットの両方を理解した上で、いま推進すべきかについてどう判断するかは企業によって異なるでしょう。社会環境の変化によって、今以上にパラレルキャリアが普及していくかもしれません。

もし自社でパラレルキャリアの導入を決めた場合、制度が従業員に浸透するには一定の時間がかかるので、できるだけ早く人事のインフラ構築に取り組むことが肝要でしょう。そうすることで、制度の活用がスムーズに進み、従業員の「働きがい」はさらに高まることでしょう。


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