従業員満足度(ES)とは?取り組み事例と会社にもたらすメリットを紹介
昨今、企業成長に欠かせない要因として注目されているのが「従業員満足度(ES)」です。
企業成長には、顧客満足度の度合いが大きく影響します。
しかし、顧客満足度の向上ばかりに注力し、従業員の精神的、肉体的健康が損なわれてしまっては本末転倒です。
顧客への良質なサービス提供には、従業員が心身ともに健康であり、高いパフォーマンスを発揮できることが大前提となるため、企業は、従業員満足度向上の取り組みを推進する必要があります。
今回は、従業員満足度の本質や、多くの企業で従業員満足度の向上に成功している事例を紹介します。従業員満足度の取り組みを本格化させたい企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
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従業員満足度とは?
そもそも従業員満足度とは、どのようなものを指すのでしょうか。
具体的な内容や、従業員満足度に影響を及ぼすとされる項目は以下となります。
従業員満足度とは
従業員満足度とは、従業員が企業に対して抱く総合的な満足度を示す言葉で、英語でES(Employee Satisfaction=読み方:エンプロイー・サティスファクション)といわれています。
従業員満足度は、従業員が自社で働く目的や価値を感じ満足度を高めることで、各々の生産性や組織全体のパフォーマンスにも相乗効果が生まれ、結果的に企業全体の業績向上につながるという考え方をもっています。
企業が従業員を「選ぶ時代」から「選ばれる時代」に移り変わった現代において、従業員満足度の向上は企業の安定経営に欠かせない要素であり、戦略的な取り組みや施策が必要です。
企業経営の健康状態を図るためにも、定期的な調査が望ましいとされています。
従業員満足度と従業員エンゲージメントの違い
従業員が会社から与えられる価値に対しての満足度を示す従業員満足度に対して、従業員エンゲージメントは、従業員が会社に対して貢献したいと感じる意欲を示します。
従業員エンゲージメントは、従業員が会社に対して感じている価値や愛社精神、同僚に対しての信頼感からもたらされます。
従業員満足度と従業員エンゲージメントは、切っても切れない関係性であり、これらの向上は、企業の成長のために看過できない課題です。
従業員満足度に影響を及ぼすとされる項目
従業員満足度は、給与や休日の多さなどの待遇面だけで左右される指標ではありません。
・企業理念や掲げるビジョンに対する共感
・企業成長の度合いやスピード
・担当業務内容や、与えられる役割や裁量
・企業の社会的立ち位置や影響度
・同僚や上司、取引先など、人間関係の親密さ
・仕事環境の状態
・給与や休日、福利厚生などの待遇面
このように、企業で働く上で発生するあらゆる要素が従業員満足度に影響を及ぼします。
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従業員満足度の向上がもたらす効果
従業員満足度は、さまざまな効果をもたらします。
従業員満足度の向上により企業が享受できるメリット、低さからもたらされるデメリットについて、理解を深めておきましょう。
従業員満足度の向上がもたらすメリット
従業員満足度が向上すると、従業員が自社で働く魅力や価値、目的を明確に認識できるようになり、自社に対する忠誠心が高まります。
その結果、企業に対して以下のようなメリットをもたらします。
・「やらされている感」がなくなり、自発的に業務に取り組むようになるため、生産性が向上する
・各々の生産性向上が、チーム全体のパフォーマンス向上につながる
・顧客目線のサービス提供により、顧客満足度が向上する
・上司や同僚との人間関係が改善され、コミュニケーションが活性化される
・優秀な人材が流出することなく、長期的な定着と成長が見込まれる
従業員満足度は、企業の土台を整え、強靭な企業作りに効果を発揮します。
たとえ、顧客満足度にフォーカスしても、それを支える従業員の労働環境を整えて従業員満足度を高めなければ、一過性の顧客満足しか得られません。
目に見えやすい目先の結果を追い求めることが、実は遠回りであることを認識し、「従業員満足度向上」という本質的な取り組みを実行する長期目線が、企業経営に必要です。
従業員満足度の低さがもたらすデメリット
一方で、従業員満足度が低下すると、以下のようなデメリットをもたらします。
・「やらされている感」が払拭できず受動的
・上司の指示がなければ動けず、最低限の仕事しかしない
・生産性が低下することで顧客の求める対応ができず、顧客満足度も低下する
・従業員同士のコミュニケーションが減り、職場の活気がなくなる
・自社に対する魅力や価値が感じられず、離職率が高まる
顧客満足度の低下は、企業にとって大きな機会損失を生み出し、従業員や顧客の流出による業績低下を助長する結果を招きます。
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従業員満足度の調査方法
ここからは、従業員満足度の調査方法や注意点について紹介します。
従業員満足度の具体的な調査方法
従業員満足度の具体的な調査方法は、以下の内容が効果的です。
1.アンケートを実施
従業員全員に対し、アンケートを実施しましょう。
調査の際には、既出の「従業員満足度に影響を及ぼすとされる項目」にある、以下の項目を網羅した設問が望ましいです。
・企業理念や掲げるビジョンに対する共感
・企業成長の度合いやスピード
・担当業務内容や、与えられる役割や裁量
・企業の社会的立ち位置や影響度
・同僚や上司、取引先など、人間関係の親密さ
・仕事環境の状態
・給与や休日、福利厚生などの待遇面
アンケートの設問内容には、工夫が必要です。
簡易的になりすぎると、おおまかな状況把握のみに留まってしまいます。
しかしながら、細かく複雑な設問を増やすと、従業員側の負担となり、企業側も状況把握が難解となる危険性があります。
2.従業員へのインタビュー
より詳細な調査を実施したい場合は、直接従業員へインタビュー調査するのが効果的です。
アンケートとは異なり、対話形式で進められるため、相手の表情や空気感から得られる情報もあるでしょう。
ただし、実施者の選定、人的コストの発生などの課題を解消する必要があります。
調査における注意点
従業員満足度は、あくまでも現状を確認する手段であるため、一度きりの調査で具体的な改善まで持ち込むのは難しいでしょう。
そして、改善策を講じても、その効果が発揮するまで数年単位の時間がかかります。
そのため、計画的かつ継続的な調査を実施し、その都度、改善や軌道修正を重ねていくことが必要です。
また、調査結果の公平性を保つためにも、実施時期を固定するのが良いでしょう。
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【事例】従業員満足度が高い企業はどのようなことを実践しているか
では、実際に従業員満足度が高い企業は、どのような取り組みをおこなっているのでしょうか。
ここでは、3社の事例を紹介します。
従業員満足度の可視化・分析をアウトソース
従業員満足度を測定するための業務を、アウトソースした企業A社の事例です。
従業員満足度の調査で得たデータは、わかりやすく可視化し、分析をおこなう必要がありますが、これらを自社で実施するにあたり、負担が大きくなかなか取り組めずにいたようです。
そこで、関連する業務を外部企業へ委託したところ、労力やコストが軽減され、改善への具体的な取り組みそのものに注力できるようになったといいます。
さらに、外部企業から客観的な改善策を提案してもらい、新たな取り組みや改善が実行でき、従業員満足度の向上へ効果を発揮しています。
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セミナー・各種レジャーなど、選べる福利厚生の提供
セミナーやレジャーなど、自分好みの福利厚生を選択できる福利厚生を導入した企業のB社の事例です。
福利厚生とは、企業側から一方的に与えられるものであることが多いものですが、この企業では、各々の興味関心によって選択できる福利厚生サービスを導入しました。その結果、従業員の休日が充実し、仕事に対するモチベーションやパフォーマンスにも好影響を与えています。
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食事サポート制度の導入
従業員の食事サポート制度を導入した企業C社の事例です。
社員食堂がない、または営業時間が短かったり、従業員が不規則な勤務形態をしていたりする場合、従業員の食生活は乱れがちになり、生産性やパフォーマンスにも影響を及ぼします。
そのため、従業員の健康状態を危惧した企業側が、バランスの取れた食事を各々が好きなときにとれ、飲食店を社員食堂のように利用できる食事サポート制度を導入しました。
その結果、あらゆる業務形態の従業員に対して、健康的な食生活のサポートがおこなえるようになりました。会社近辺の飲食店のみならず、在宅勤務にともなう自宅近辺の飲食店やコンビニエンスストアも利用対象に含まれるため、幅広く従業員に利用されています。
また、あらためて食や健康を見つめなおすきっかけにもなり、従業員の健康意識向上にも役立っています。
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まとめ~flappi(フラッピ)は従業員満足度向上の手助けをおこない企業と従業員双方の成長を実現します
従業員満足度は、企業の安定経営にとって重要なポイントです。
従業員満足度の向上にむけて、長期的視点をもった具体的な取り組みを検討していきましょう。
JTBベネフィットの「flappi(フラッピ)」は、従業員満足度の調査結果を分析、可視化し、御社の従業員の個性にあわせたコンテンツ提供をおこなうことで、自律性や創造性を兼ね備えた人財(※)育成を支援しています。
flappiの活用は、企業側にメリットがあるばかりではなく、従業員にとっても自身の魅力や価値を再認識できたり、自己実現に向けた明確な目標をもち仕事に取り組むきっかけが得られるというメリットがもたらされます。
企業と従業員、双方の成長を実現するflappiを、ぜひご検討ください。
※JTBグループでは、社員の成長・活カが会社の成長、グループの発展を支えるという基本理念のもとで人は財産であるとし、「人材」を「人財」と表記しています。
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