不要な派閥争いを生む「セクショナリズム」の正体と解決方法

不要な派閥争いを生む「セクショナリズム」の正体と解決方法

セクショナリズムとは「縄張り主義」のこと。企業は「部門」や「部署」などのセクションによって構成されています。そのセクションの権限や利益を守ることに執着するあまり、他部門に対して非協力的になり、企業組織全体に悪影響を及ぼしかねない現象をセクショナリズムと言います。時代遅れとも言える不要な派閥争いを生むセクショナリズムの正体を探り、解決方法を考えます。

目次[非表示]

  1. 1.セクショナリズムとは何か
    1. 1.1.セクショナリズムの定義
    2. 1.2.セクショナリズムの種類
  2. 2.セクショナリズムの原因と弊害
    1. 2.1.セクショナリズムが生まれる原因
    2. 2.2.セクショナリズムが引き起こす弊害
  3. 3.セクショナリズムの解消方法・対策
    1. 3.1.戦略的かつ柔軟な人事異動
    2. 3.2.経営理念を従業員に改めて理解させる
  4. 4.セクショナリズムをコントロールしよう

セクショナリズムとは何か

行き過ぎると企業の利益を損なうことになるセクショナリズム。その定義や種類などの基本情報をお伝えします。

セクショナリズムの定義

セクショナリズムは英語で表記するとsectionalism。これは「区分」や「地域」などの意味を持つsectionと、「主義」や「学説」などの意味を持つizmを組み合わせて作られた言葉です。日本語では「縄張り主義」や「派閥主義」とも訳され、自分たちが所属する集団の利益のみを優先し、他者に対して非協力的な姿勢を取るという意味です。比較的新しい言葉であるためか、セクショナリズムの対義語は明確に定められていません。しかし反対の意味を持つ言葉はあります。単語としては「共同」「連携」「協力」などが挙げられるでしょう。これらの意味を含む英語が「コーポレーション(cooperation)」です。それに「izm(主義)」をつけた「コーポレーショニズム(cooperationism)」という言葉があり、「共同主義」「連携主義」「協力主義」と訳されます。このコーポレーショニズムがセクショナリズムの対義語に近いと言えるでしょう。

言葉の意味から分かるように、セクショナリズムは自己中心的であり排他的である状態を指します。所属を超ええた連携が必要な場合であっても、協力や情報共有を拒否するような思考状態と言えるでしょう。

セクショナリズムの種類

企業に不利益をもたらすセクショナリズムは、大きく分けて2つの種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

■無関心型/非協力型セクショナリズム
・社内の他分野に興味がない
自分たちが所属する部署・部門の中で起きた出来事にのみ意識を向け、たとえ同じ社内でも他分野のセクションには興味を持ちません。メンバーや活動内容を認知せず、変化が起きても関心がないという特徴があります。

・協力しない
企業内の異なるセクションの間で連携が必要な場合も協力しない、他分野に興味がないために危機的な状況にあることに気が付かないといった特徴があります。また、他部署に助けが必要であるといった情報も無視する傾向にあります。自分たちさえ良ければいいという意識と余計な負担や責任を負いたくないという意識が強いため、接触を避けて傍観者として振る舞います。

■批判型/排他型セクショナリズム
・他部署を誹謗中傷する
「無関心型/非協力型」とは異なり他セクションに関心はあるが、敵対心が強く批判的です。「あの部署に迷惑を掛けられている」といった被害者意識が強い場合もあります。相手を誹謗中傷し、その情報を組織の内外に広げようとするといった特徴が見られます。

・企業組織から排除しようとする
いわゆる「派閥争い」「縄張り争い」が過剰になり、敵と見なしたセクションと構成メンバーを企業組織から排除しようと画策します。

このように、本来は仲間同士であるはずの組織に、セクショナリズムによってあつれきや壁が生まれてしまいます。その原因や引き起こされる弊害にはどのようなものがあるのでしょうか。


セクショナリズムの原因と弊害

会社	不要な派閥争いを生む「セクショナリズム」の正体と解決方法2

セクショナリズムは内側に対しては「仲間意識」、外側に対しては「競争心」と言い換えることができます。うまく働けば企業全体の利益になりますが、行き過ぎるとさまざまな弊害が起きます。何が原因で、具体的にはどのような問題が引き起こされるのでしょうか。

セクショナリズムが生まれる原因

原因としては、以下の3点に集約することができます。

■過度な仲間意識やライバル意識
仲間意識やライバル意識は、それ自体は良いものです。しかし過剰になると視野を狭めてしまいます。さらに、ねたみのような感情が絡むと、ただの敵対心へと変化します。それがライバル企業ではなく、同じ組織内に向けられてしまうのがセクショナリズムの厄介なところです。

組織に所属する者の多くは、上層部から高い評価を得ることを目的としています。組織内のポジションや収入の維持、もしくは上昇を期待してのことです。承認欲求を満たすことにもなるでしょう。

評価は比較によって決まる部分もあり、同僚たちと切磋琢磨することも必要になります。「負けたくない」という感情がライバル意識を加速させます。この「負けたくない」感情は集団で共有されると倍増し、負の方向に働くことがあります。仲間意識が同調圧力になり、ライバル意識が攻撃的なものに変わるのです。

■他者への無理解
あらゆる対立の原因は、相手に対する無理解であるとも言えるでしょう。異なる集団への偏見はセクショナリズムを加速させます。毎日一緒にいる仲間や家族でさえも、完全に理解するのは難しいことです。同じ組織であっても別部署となれば交流も少なく、相互理解が進みにくいでしょう。利害関係が絡んでくると、いっそう偏見が強まってしまいます。

■日本特有の縦社会
無理解の土壌となるのは交流の少ない組織です。「横のつながり」が薄い組織とも言えます。変化してきたとはいえ、日本はいまだに「縦の関係」が根強いことは、多くの人が実感しているでしょう。上下関係が厳しすぎると、自由に意見を言えない閉鎖的な集団が出来上がります。特にリーダーが他セクションへの対抗意識を持っている場合は、強固なセクショナリズムが発生しやすくなるのです。


セクショナリズムが引き起こす弊害

次にセクショナリズムの弊害を見ていきましょう。

■同じ社内なのに、仕事を妨害する
敵と見なした他部署の業務を邪魔します。例えば他部署宛の電話を受けてもつなげない、伝言を預かっても伝えないなどです。意図的な邪魔でなく、ただ無関心である場合でも、無視することは妨害につながります。ビジネスにおいて情報伝達のスピードダウンは、致命的な結果をもたらすからです。何より怖いのは、情報共有できなことで重大な事故が発生することです。対外的には組織全体の不祥事として伝わりますし、ただの損失では済まないケースも出てくるでしょう。

「悪いうわさを積極的に広める」という妨害もあります。誹謗中傷を企業の内外に伝え、ライバル部署の評判を落とすのが目的です。実際に評判を落とすこともあるでしょうが、冷静に考えれば利益を得る人はいません。企業自体の評価を落とすこともありますし、社内でそうしたうわさを流す部署は信頼を失います。

「仕事の邪魔をする」というだけでも子どもじみているのに、それを同じ組織内で行ってしまうのがセクショナリズムです。ただの意地悪のような行為も、当人たちは所属部署の地位を高めると思い込んでいます。

■他部署に問題が起きても協力しない結果、企業全体が危機に陥る
組織内で問題が起きたとき協力を拒否する行為は、セクショナリズムの典型です。この場合、自分たちの部署と関連がある業務であっても関わりを拒否します。「専門分野ではないから私たちに責任はない」と突き放すのです。

本当は協力する義務があるのに、それを放棄している自覚がありません。問題が肥大化すれば、最悪の場合、企業全体が危機に陥ります。ライバル部署に負担をかけて、その場は満足かもしれませんが、結果として自分の首を絞めることになりかねません。

■セクショナリズムが強い組織の構成員は心理的に大きなストレスを感じる
セクショナリズムは周囲にストレスを与えると同時に、本人たちも大きなストレスを抱えている例は多いようです。セクショナリズムが強い部署のメンバーは、特定の部署に対する悪いイメージを刷り込まれています。「自分たちは正しいことをしている」と思い込んでいるわけですが、負の感情を抱き続けることは心理的なストレスとなります。

また、構成員が「間違ったことをしている」と感じたとしても、口に出せない状態にあります。同調圧力によって個人の意見が封じられているのです。いずれの場合もストレスが蓄積され、心身に不調を来してしまいます。

■結果的に生産性が低下する
「社内で仕事を妨害する」
「ピンチであっても協力しない」
「妨害する側もされる側も、ストレスでモチベーションが低下する」

このような条件がそろえば、生産性が低下するのは必然と言えます。例えば取引先から問い合わせを受けても、その内容がライバル部署に関わることだからと、あえて放置したとします。情報伝達の遅れによって、取引の進行が滞ります。

問題が起きても連携して解決することが組織の強みであるはずです。ところが協力しない、あるいは妨害するようなことが社内で起きれば、問題は深刻化するばかりです。さらに従業員の間にストレスが蔓延すれば、作業効率は下がる一方です。こうした企業からは取引先も離れ、顧客満足度も低下してしまうでしょう。


セクショナリズムの解消方法・対策

なぜ労働生産性が上がらないのか?向上のためのポイントとは

セクショナリズム発生の危険性を感じているのなら、最悪の結果に陥る前に手を打ちましょう。厄介な縄張り主義も、早めの対策で解消することができます。改めて整理すると、セクショナリズムとは「視野が狭まり思考停止している状態」です。その状態を解消するには、大きく分けて2つの方法があります。

戦略的かつ柔軟な人事異動

セクショナリズムが発生したからといって、その部署を解体するわけにはいきません。特に閉鎖的になりがちな専門性の高い部署には、企業にとって重要な人材がそろっていることが多いでしょう。大切なのは縦のつながりと横のつながりをあわせ持つ組織につくり変えることです。

各部署の機能を活かしながら壁を取り払いましょう。組織内の人の流れを活発にするのです。もちろん一朝一夕でできることではありませんが、不可能なことではありません。社内の交流イベントを行うことも有効です。しかし一時的な交流で終わることもありますし、参加を拒否されることもあります。打開策としては大胆な人事異動があります。従業員は、別の部門・部署の業務を行うことで、その苦労と貢献度を知ることができます。

とはいえ、やみくもに人を入れ替えればいいわけではありません。従業員の能力や希望とかけ離れた部署に異動させられては、不満が募るばかりです。元の部署にとっても経験を積んだ人材を奪われるのは痛手となります。人材の配置は、戦略的かつ柔軟に行いましょう。そしてそれを先導できるのは人事部門です。

具体的な方策としては、「ジョブローテーション制度」「社内留学」などがあります。「ジョブローテーション制度」は、従業員のスキルアップを目的として計画的に人事異動を行う制度です。さまざまな職場や業務を経験することで、他者への理解が深まり、不要な批判的感情は薄まります。また組織内で問題が起きたとき、部署の壁を越えて協力しやすくなります。

すでに導入している企業も多いジョブローテーションですが、組織の規模や内容によって取り入れることが難しいケースもあるでしょう。その場合、組織内の他セクションへ数ヶ月単位で異動する「社内留学」という制度なら、取り入れやすいのではないでしょうか。 いずれも従業員のスキルアップにつながり、受け入れる部署にとっても良い刺激になります。うまく機能すれば企業全体の生産性向上につながるでしょう。

経営理念を従業員に改めて理解させる

従業員が、企業の経営理念を改めて理解する場を設けましょう。まるで新人研修のようだと拒否反応を示す人も出てくるかもしれません。しかしベテランであるほど初心を忘れてしまうのは、往々にしてあることです。

「自分たちが関わっている事業は、何のために存在しているのか」
「企業は何を目標としているのか。目標のために自分ができることは何か」

こうした基本に立ち返ることで視野が広くなるでしょう。小さなグループの地位や利益を守ることが目的ではなかったはずなのです。大きな組織の一員であることを自覚することは、閉じこもっていた小さな殻を破ることになります。批判ではなく協力、妨害ではなく切磋琢磨。それこそが健全な仲間意識であり、ライバル意識です。
セクショナリズムを解消し、従業員全員がひとつの方向に向かう組織を目指しましょう。

セクショナリズムをコントロールしよう

ジョブローテーション制度を活用し、人材の長期的な育成を目指そう!

セクショナリズムに陥ってしまうことは、組織という存在の宿命のようなものです。特に縦の関係がいまだに強い日本はセクショナリズムが生まれやすいと言えます。ただし適度な競争心は団結力を高めるといった利点があるのも事実です。セクショナリズムをうまくコントロールすることが肝要でしょう。​​​​​​​


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