5Gは私たちの働き方をどう変えるのか?もたらすメリットと課題を紹介

​​​​​​​デジタルトランスフォーメーションで立体的に製品説明をする従業員

5Gは2020年に商用サービスが始まり、2021年春以降、急速に利用できるエリアが拡大すると言われています。5Gの本格的普及は単にテレワーク(リモートワーク)を増加させるだけでなく、私たちの働き方にさまざまな変化をもたらすことになります。今回は5Gの特徴を紹介し、5G時代が私たちの働き方にどのような影響を与えるのかを紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.5Gとは何か?
    1. 1.1.5Gの定義と特徴
    2. 1.2.5Gの3つの特徴
    3. 1.3.5G普及の現状
  2. 2.5Gが私たちの働き方にもたらすメリット
    1. 2.1.超高速でつながるテレワークにより多様な働き方が可能に
    2. 2.2.IoTで人手不足解消
    3. 2.3.作業を効率化し、生産性を向上させる
  3. 3.5Gが私たちの働き方にもたらす課題とは?
    1. 3.1.セキュリティリスク
    2. 3.2.インフラや端末の普及
    3. 3.3.5Gに対応できる人材の不足
  4. 4.まとめ

5Gとは何か?

スマートフォンを活用することで様々なモノやコトとつながる

5Gの定義と特徴

5Gという言葉自体は最近では毎日のように耳にしており、今まで以上に高速な通信が可能になるというイメージは誰もが持っています。しかし、5Gの定義や特徴について具体的には理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
5Gとは「5th Generation」の略で、移動通信システムの「第5世代」のことです。


移動通信システムの深化(第1世代~第5世代)

総務省「移動通信システムの深化(第1世代~第5世代)」

出典:総務省 第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望

5Gの3つの特徴

1. 超高速

最大伝送速度は10Gbpsで、4Gの約100倍になると言われています。2時間の映画なら3秒でダウンロードできるスピードです。


2. 超低遅延

遅延は4Gの約10分の1で、1ミリ秒程度と言われており、リアルタイムに遠隔地のロボットなどを操作・制御することが可能になります。


3. 多数同時接続

接続可能機器数は4Gの約100倍で、1平方キロメートルあたり100万台とされており、これは理論上、個人が自宅の部屋内で約100個のデバイスやセンサーに接続することが可能ということです。この特徴によってIoT(Internet of Things)、つまりあらゆるモノがインターネットにつながり、システムやアプリと連携することにより、私たちの日常生活やビジネスが大きく変化していきます。

5G普及の現状

5Gの商用サービスは携帯大手3社が2020年3月、楽天モバイルが同年9月にスタートさせましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、普及にはまだ時間がかかりそうです。ただ、2021年には各社とも基地局数整備を進め、2021~2022年には人口カバー率70~90%を目指すとしています(楽天モバイルは24年度末までに地域カバー率56%目標)。


携帯大手3社の基地局数に対する目標

企業名
現在の基地局数
今後の基地局数
NTTドコモ
1万局(2021年6月末)
32,000局(2023年3月末)
KDDI
1万局(2021年3月末)
5万局(2022年3月末)
ソフトバンク
1万局(2021年3月末)
5万局(2022年3月末)

また、各社とも2021年後半から2022年初頭に、すべての設備を5G専用のもので運用するスタンドアローン(SA)運用を始めるとしており、これにより超高速だけでなく、低遅延などの5Gの特徴を十分に発揮できると考えられています。


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5Gが私たちの働き方にもたらすメリット

湖がある山岳地帯でワーケーションをする女性従業員

5Gが本格的に私たちの日常や働き方に影響を及ぼすのはまだ先のことですが、これまでの移動通信システムの世代交代とは比べ物にならない変化をもたらすと予想されています。企業の担当者は、その時に向けて今から準備をしておく必要があります。

超高速でつながるテレワークにより多様な働き方が可能に

コロナ禍で多くの企業が感染防止対策としてテレワークを導入していますが、さまざまな要因が生産性の維持を難しくしています。この理由の一つにコミュニケーションの難しさが挙げられます。
1971年にアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱したメラビアンの法則によると、コミュニケーションにおいては「言語情報は7%、聴覚情報は38%、視覚情報は55%」であり、オンラインでのコミュニケーションにはどうしても遅延が発生するために、臨場感や没入感のあるやりとりができないと言われています。
パーソル総合研究所が2020年11月に約2,600人のテレワーク経験者を対象におこなった調査では、64.7%が「出勤時より生産性が下がった」と答え、「上がった」と答えた16.6%を大きく上回りました。出勤時の生産性を100%としたテレワーク時の生産性は回答者平均で84.1%でした。

そこで、国内の通信大手企業では5GやAR、VR技術を活用し、身体の動きを伝達するVRデバイスや生体認証センサー、スキャニングなどを組み合わせて、実際にオフィスで仕事しているのと変わらない環境を自宅で再現しようとしています。

ここまでのテレワーク環境の整備ができなくても、5Gで「超高速」「低遅延」の通信が実現すれば、ぎこちないやりとりではなく、現実に近いコミュニケーションが可能になると言われています。そして、WEB会議やウェビナー(ウェブ上でのセミナー)での大容量・高速通信が可能になれば、一斉に同じネットワークを使用しても遅延する確率が低くなり、ストレスフリーの通信が実現できます。これによりデータの読み込みや遅延に対する時間を大幅に短縮することができ、テレワークでの生産性向上が見込めます。結果的に出社しなくても、オフィスと同様、あるいはそれ以上の効率で業務をおこない、プロジェクトを遂行できるため、場所や時間を選ばない多様な働き方が今よりさらに可能になることでしょう。


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IoTで人手不足解消

少子高齢化・人口減少のため、どの産業においても人手不足が深刻化していますが、農業や建設業はとりわけ厳しい状況に直面しています。こうした課題に対するソリューションとして注目されているのがIoTやロボットなどですが、そのためには超高速、低遅延の通信環境が必須です。

例えば、5G回線を利用してドローンやロボットなどに設置されたカメラを遠隔操作して、家畜の健康状態や作物の生育状況などをモニタリングすることができます。さらに、5Gでは多数のデバイスやセンサーに同時接続可能ですから、多様な観測データを収集してAIを用いて解析し、その結果に基づいて家畜や農作物を自動で管理や制御することができれば、人手不足の解消につながります。実際に、国内の通信大手企業は大学や自治体と提携し、無人トラクターを用いた農作業や、センサーやカメラで作物の状況をモニタリングする実証実験をおこなっています。

加えて、インフラ・建設分野においては高度経済成長期に整備された多数の公共施設の予防保全が、今後増大するのに対し、人手不足はますます深刻化することが予想されています。この課題解決のためにも、ドローンや固定カメラによってリアルタイムの監視・管理をおこなうことが考えられますが、この場合においても5Gの活用がやはり必須でしょう。また、5Gでは大容量の情報を伝送できるため、これまで実現できなかった高精度の映像を解析することにより、早期にインフラや建物の異常を検知することができるようになります。
他にも、5Gが可能にする自動運転技術は私たちの日常生活を便利にするだけでなく、交通インフラの効率化や物流分野における人手不足の解消にもつながることが期待されています。


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作業を効率化し、生産性を向上させる

前述したテレワークの通信環境の改善による生産性向上に加え、5Gにより多数のデバイスへの同時接続が可能になれば、製造業においてロボット活用やセンシング技術による生産管理や作業誘導により、作業効率を大きく改善できます。センシングとは、センサーを利用して対象物の情報を取得して数値化することです。製造業においても人手不足は深刻であり、2018年における製造業の就業者数は2008年と比較すると約91万人減少しています。

例えば、国内の通信大手企業と電気機器メーカーは共同で「リアルタイムコーチング」という実証実験をおこない、工場内の設備データや作業者の作業導線を撮影した映像データを収集・解析し、熟練者との違いをAIが解析して各作業者にリアルタイムにフィードバックし、作業の早期習熟と生産性の向上を試みています。


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5Gが私たちの働き方にもたらす課題とは?

テレワークを実施してて何かしらの課題を感じている従業員

5Gがもたらすのはメリットだけではなく、いくつかの深刻な課題を私たちに突きつけることになります。ここでは、そのうちの働き方に密接な3点を取り上げます。

セキュリティリスク

5Gの特徴の一つである同時多数接続により、IoTがさらに加速すると言われていますが、ネットワークに接続するデバイスが多くなれば多くなるほどセキュリティリスクは高まります。実際に、情報通信研究機構(NICT)が2018年2月に発表したデータによれば、IoTへの攻撃は54%とあり、つまり、その時点でサイバー攻撃全体の半分以上に達したとのことです。調査結果では攻撃対象になったデバイスとしては、Webカメラやルーター、監視カメラなどが挙げられています。


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インフラや端末の普及

5Gのサービスはすでに開始しているものの、現在、私たちが4Gを使っているレベルまで普及するには数年かかると言われており、その大きな理由が基地局の整備です。5Gは基地局1局あたりのカバーできるエリアが狭いため、新たな基地局をたくさん設置するための莫大な投資が必要です。そこで、現在の3Gと4Gで使用されている基地局を5G用に転用して使用することで、エリア拡大を進めることにしました。
また、新型コロナウイルスの拡大などの影響もあり、5Gを利用できるスマートフォンやルーターなど対応端末の普及にもまだ時間がかかると考えられていました。しかし、5G対応のスマートフォンの出荷数は2020年に大幅に減少したものの、2021年には低価格化が進むこともあり、プラス成長に転じ、13億台が出荷されると予想されています。


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5Gに対応できる人材の不足

今後、5Gのエリア拡大にともない、企業はよりいっそうDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めていかなければなりませんが、DX人材はどの企業でも不足しており、新規採用も困難な状況です。
みずほ情報総研の予測によると、今後もITのニーズや市場規模は拡大するのに対し、IT人材の供給は2019年をピークに減少し始め、2030年には最低でも41万人、最大で79万人の人手不足になると言われています。


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まとめ

これまで述べたとおり、5Gの普及までには数年かかるとしても、5Gはさまざまな産業でデジタル化を主とした働き方改革を推し進めることは確かです。IoTのようにありとあらゆるモノがインターネットにつながるということは、モノの情報をデジタルの力で読み取り、データを数値化・可視化することで他のモノとの比較や分析ができるようになります。これまで時間をかけて調査していた情報収集が、5Gの普及と技術の向上により瞬時に収集できるようになると、作業効率が向上します。そして、得た情報を活かすことでさらなる次の取り組みに進めることができます。今からでも遅くはありませんので、5Gがもたらすメリットと課題をきちんと把握し、自社の方向性やビジョンを明確にしておきましょう。


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