DMAICであらゆる業務プロセスを劇的に改善しよう!PDCAとの違いも解説!

​​​​​​​出社して会議で議論している従業員​​​​​​​

1993年に米モトローラ社の登録商標となった、シックスシグマの基本となるDMAIC。その目的は日常業務の効率や製品、サービスの品質の向上にあります。これは経営哲学にとどまらず、すべての業務改善に具体的に落とし込むことのできる有用な手法なのです。あらゆるビジネスに適用できるDMAICを正確に理解し、人事総務担当者の業務プロセスに定着させることができるように内容を見ていきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.DMAICとは?
    1. 1.1.DMAICは5つのフェーズから構成される
    2. 1.2.PDCAサイクルとどう違うのか?
  2. 2.人事総務担当者にとってDMAICはなぜ必要なのか?
    1. 2.1.経営品質の改革は現場から
    2. 2.2.DMAICはグローバルスタンダード
    3. 2.3.DMAICを取り入れるメリット
  3. 3.DMAICの導入方法と活用シーン
    1. 3.1.最初に定義づけが重要
    2. 3.2.劇的な業務改善をおこないたいときに導入する
    3. 3.3.導入事例
  4. 4.まとめ

DMAICとは?

デジタルトランスフォーメーションで立体的に製品説明をする従業員

DMAICは5つのフェーズから構成される

DMAIC(読み方:ディーマイク)とはリーンシックスシグマの基本であり、日常業務の効率改善や品質向上のための5つのステップを指します。リーンシックスシグマ(Lean Six Sigma ;LSS)は米マサチューセッツ工科大学の研究者がトヨタの生産方式をもとに開発した「リーン生産方式」と、米モトローラ社が日本の品質管理手法をもとに開発した「シックスシグマ」を組み合わせた、プロセス、品質改善の世界標準手法のことです。その中にはいくつもの経営哲学やフレームワークが含まれていますが、その一つがDMAICです。


DMAICにおける5つのフェーズ


単語(意味)
具体的なフェーズ
D
Define(定義)
課題を明確化し、その達成のためのプロジェクトを立てる
M
Measure(測定)
プロセスを理解するために現状のパフォーマンスを測定する
A
Analyze(分析)
データを活用してプロセスを分析し、根本的な要因を特定する
I
Improve(改善)
プロセス改善のための最適な改善策を適用する
C
Control(管理)
継続的に望ましい結果を得るためにプロセスを管理していく

この5つのフェーズを見ていただくとおわかりいただけると思いますが、DMAICは会社の意思決定としてはトップダウン方式に親和性があります。しかし、課題を明確化したり、根本要因を特定したりする上では、現場からのフィードバックがどうしても不可欠ですから、ボトムアップを完全に排除したDMAICも立ち行かないということは明らかでしょう。


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PDCAサイクルとどう違うのか?

業務プロセスを改善するという点では、PDCAサイクルを思い出す方もいらっしゃるかもしれません。
PDCAはPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の4段階を指しており、フレームワーク自体はDMAICと類似していますが、「サイクル」といわれるように定期的に回し続けることを前提にしています。そのサイクルを経て、業務全体の効率性と継続的なCS(顧客満足)とES(従業員満足)の向上を目指します。

これに対して、DMAICは特定のプロジェクトを運営する5つのステップを指し、プロジェクトが終了すれば、DMAICも終わります。ですから、「DMAICサイクル」とは言わないのです。PDCAは「サイクル(Cycle)」ですが、DMAICは「プロセス(Process)」を対象にしたものと言えるでしょう。


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人事総務担当者にとってDMAICはなぜ必要なのか?

なぜそれが必要か考える従業員

経営品質の改革は現場から

前述のとおりDMAICは経営改革のためのステップであり、人事総務担当者にはあまり必要ないように思われます。
確かに、DMAICを含めたシックスシグマはもともとモトローラ社の製品の品質改善のために生まれました。しかし、よく考えてみると、経営や品質の改善はそれだけが独立しているわけではありません。

例えば、製品を製造するプロセスには、企画から営業、人事、販売など様々な部署、人、サービスが密接に関連しています。経営改革といっても、企業の経営哲学を表したスローガンを掲げるのは経営者だけでできますが、それを各部署の現場、そこで働く従業員に浸透させ、徹底させなければ、経営品質を本当の意味で改革したとは言えないでしょう。
つまり、真の経営改革には、企業全体での意識改革が必要であるということがわかります。

DMAICはグローバルスタンダード

DMAICの5つのフェーズからわかるように、その手法は極めて定量的かつ論理的です。
経営にしても現場での運用にしても、どちらかというとこれまでは企業の伝統や経験・勘によって形作られてきた日本の職場では苦手な分野と言えるかもしれません。欧米の主要企業では、DMAICはすでに導入済みで、2013年にはISOの国際規格の中で採用されており、グローバルスタンダードになっています。
経営者だけでなく、各部門の担当者がDMAICで表されているような論理的なステップを踏んで、業務改善をおこなう手法やコミュニケーションを身につけることができなければ、職場の生産性や効率にも影響し、やがて他部署や製品・サービスにも波及していくことでしょう。ですから、人事総務担当者を含め、すべてのビジネスパーソンがこのフレームワークについて理解し、実践していくべきなのです。

DMAICを取り入れるメリット

DMAICの特徴は、この手法がデータを重視した、客観的手法に基づいて設計されているということです。
DMAICでは、最初に課題を明確にするところからスタートします。そして、問題解決に向けて5つのフェーズを進んでいきますので、企業全体で取り組む場合も、部署内のメンバーが各自の立ち位置を見失うことなく、現状の把握が容易です。
メンバー間でコミュニケーションをとる場合も、主観的な感覚が入り込みませんので、コミュニケーションの齟齬は生まれにくいと言えるでしょう。最終的にプロジェクト全体を総括する場合も、客観的なデータに基づき何が問題だったのかを特定し、評価することが可能です。


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DMAICの導入方法と活用シーン

渉外面談においてプロダクトの提案をおこなう従業員

最初に定義づけが重要

DMAICはデータを重視する極めてロジカルな手法ですが、5つのフェーズを確認するとわかるように「測定」に先んじるステップはあくまでも「定義」です。つまり、定義なきデータをどれだけ集めても、混乱を生むだけです。

例えば、政策決定のプロセス(例えば「豊洲移転問題」など)では、しばしばこのフェーズを段階的に踏まないために、対応が後回しになることがよくあります。現在のコロナ禍においては問題の対象が未知数の場合、やむを得ない部分もあるかもしれませんが、少なくとも豊洲移転問題の場合は、土壌汚染についての環境調査(測定)と、新市場への移転(改善)が並行しておこなわれていました。

自社の業務改善にあたっては、なんとなく着手するのではなく、測定の前にまずは徹底的なコミュニケーションと思索を重ね、課題は何かを明確化することを強くおすすめします。様々な情報を可視化し、測定や分析結果に基づいたデータドリブンによる業務改善は「定義」から始まるのです。

劇的な業務改善をおこないたいときに導入する

これまでにも述べたように、DMAICはまず現時点の経営品質や業務プロセスに課題があるときに使うフレームワークです。しかも、その効果は各部署に広く波及していきますので、「現状である程度満足しているが、さらに品質を向上させたい」というようなケースはPDCAサイクルによる改善手法が適切です。
PDCAとDMAICは、「or」の関係ではなく、両方を併用する「and」の関係が理想と言えるでしょう。DMAICの実際の効果については、次に述べる導入事例をご覧ください。

導入事例

DMAICによって経営業務改善を成し遂げた企業は数多くあります。ここでは、実際に導入した企業の事例を紹介します。

この日本の大手医薬品会社では、DMAICをフレームワークとするシックスシグマによって2007年の1年間だけで約48億円もの財務効果を得たと言います。導入当初は、中堅マネージャーの一部の研修からスタートし、徐々に範囲を広げ、最終的な全社規模で展開しました。各部署の責任者にまで研修を徹底し、取り組んだ業務改善プロジェクトは全部で55に及んだと言います。


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まとめ

「経験と勘」を頼りにしてきた日本の業務プロセスは、グローバル化の波の中で大きな変化を迎えようとしています。論理的に問題点を洗い出し、改善を図るDMAICもその一つです。根本的な導入をおこなう前提に、まずは社内で研修を実施するなどして、DMAICについて理解を深める活動から始めてはいかがでしょうか。

業務効率化の手法が理解できれば、ワークライフバランスも整い、従業員満足度が向上するに違いありません。そして、従業員満足度が向上すれば、モチベーションも向上し、それぞれが最大のパフォーマンスで業務に取り組み、それが製品やサービスに表れるようになると、顧客満足度の向上にもつながります。企業が持続的に成長するためにも、ぜひ全社で取り組んでみましょう。


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