エンプロイアビリティとは?企業と組織が重視する意味と向上の方法を紹介

​​​​​​​従業員の能力向上のためには企業と従業員のEVP(従業員価値提供)向上が必要

終身雇用が崩壊した現在、「雇われる力」ともいわれる従業員のエンプロイアビリティが重要視されています。デジタル化をともなう働き方改革が進められる中、エンプロイアビリティの向上に向けた取り組みの必要性を感じている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、従業員のエンプロイアビリティの概念や、企業と組織にとってのメリット・デメリットを解説します。企業と組織における実践・支援の内容も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.エンプロイアビリティとは
    1. 1.1.エンプロイアビリティの定義と意味
    2. 1.2.エンプロイアビリティの3大要素
    3. 1.3.絶対的エンプロイアビリティと相対的エンプロイアビリティ
    4. 1.4.外的エンプロイアビリティと内的エンプロイアビリティ
  2. 2.働き方改革とエンプロイアビリティ
    1. 2.1.終身雇用の崩壊と雇用の流動化
    2. 2.2.雇用をAIや国際的アウトソーシングが奪う時代
    3. 2.3.どこで働いたかではなく何を成したかを重視される
    4. 2.4.労働者と雇用者のフェアな関係
  3. 3.エンプロイアビリティ重視のメリット
    1. 3.1.人材を集めやすくなる
    2. 3.2.付加価値と生産性が向上する
    3. 3.3.終身雇用の負担から逃れられる
    4. 3.4.職場環境の改善や生産性向上
    5. 3.5.従業員の能力向上による社会貢献
  4. 4.エンプロイアビリティ重視のデメリット
    1. 4.1.人材の流出につながる
    2. 4.2.エンプロイアビリティ教育のコストがかかる
  5. 5.エンプロイアビリティ向上への企業と組織の支援方法
    1. 5.1.情報提供と啓蒙
    2. 5.2.研修や教育の実施
    3. 5.3.実践機会の提供
    4. 5.4.スキルなどの要求基準の開示と明確化
    5. 5.5.スキルアップのための時間や手当の提供
  6. 6.従業員のエンプロイアビリティ向上を便利なサービスでサポート

エンプロイアビリティとは

エンプロイアビリティの対象は広範囲にわたります。はじめに、エンプロイアビリティについて様々な視点から詳しく解説します。

エンプロイアビリティの定義と意味

エンプロイアビリティとは、英語でのスペルは「employability」で、日本語にすると「雇用される(職を得る)能力」です。厚生労働省では、「就業能力」と定義されています。

日本におけるエンプロイアビリティの歴史はまだ浅く、のちに紹介する「内的エンプロイアビリティ」の文化が残存している点も否めません。働き方改革関連法が施行されたことで徐々に認識や取り組みも広がっていますが、現状で進んでいるのは「日本型の」エンプロイアビリティであるといえるでしょう。

エンプロイアビリティの3大要素

エンプロイアビリティの3つの要素を解説します。


1. 特定の知識や技能

業務を遂行するにあたり必要とされる顕在的な特定の知識・技能


2. 思考や行動の特性

業務遂行時に発揮される協調性や積極性など、思考や行動の特性


3. 潜在的な個人的属性

人柄や価値観、信念など個々に潜在している個人的な属性

絶対的エンプロイアビリティと相対的エンプロイアビリティ

エンプロイアビリティには絶対的なものと相対的なものが存在し、業界や職種によって求められるエンプロイアビリティが異なります。

絶対的エンプロイアビリティとは、専門性の高い資格を持ち、他の職業と比べても安定的に仕事を獲得できる能力です。士業など国家資格を必要とするような職業において求められることが多いでしょう。しかし、景気や時代に左右されにくいという問題点もあります。

相対的エンプロイアビリティは、市場価値が様々な要因によって変動しやすい職業属性を指します。絶対的エンプロイアビリティとは反対に、時代や景気によって求められる度合いが変わります。状況や環境に応じて、ニーズに合う能力やスキルを身につける必要があります。

時代の変化スピードが加速していて、AIや機械が担うことができる仕事も増えている現代では、相対的エンプロイアビリティの必要性が高まっているのです。

外的エンプロイアビリティと内的エンプロイアビリティ

エンプロイアビリティには内的なものと外的なものがあります。

内的エンプロイアビリティは、同じ会社に必要とされて継続的に雇用されるために有用な、社内でのみ通用するスキルを持っていることです。歴史的に見て終身雇用が主流であった日本では、内的エンプロイアビリティが重視されてきました。

それに対して外的エンプロイアビリティは、社外でも通用するスキルを持っていることを指します。転職時にも希望する条件で雇用される能力は、外的エンプロイアビリティの一例です。環境が変化しても必要性に応じてすばやく順応できる能力です。


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働き方改革とエンプロイアビリティ

働き方改革の周囲にある従業員のワークライフバランスのイメージ

エンプロイアビリティが問われるようになった背景には、労働市場の変化や働き方改革の推進などがあります。このつながりを具体的に見ていきましょう。

終身雇用の崩壊と雇用の流動化

終身雇用を約束することが難しくなった企業が増え、労働者の転職も一般化しました。
転職とは労働移動のことで、働き方の多様化も進み、人材の流動化は一層激しさを増しているようです。この雇用・転職市場の状況が、外的エンプロイアビリティの重要度を高めています。

雇用をAIや国際的アウトソーシングが奪う時代

デジタルテクノロジーの発展により、労働力をAIやグローバル範囲のアウトソーシングに頼ろうとする動きも活発になっています。これまで人がおこなってきた単純作業やデータ分析の仕事を、デジタル機器や機械が担っていく時代です。
そこで人間には、AIや機械、アウトソーシングではまかなえない仕事を遂行する能力が求められるようになっています。本質的なエンプロイアビリティが問われる時代が進行しているということです。

どこで働いたかではなく何を成したかを重視される

昨今では、多くの労働者が転職を経験しているため、採用面接においても、どこで働いたかではなくそこで何を成したのかが重要視されるようになりました。
実績や功績、それらを成し遂げるのに用いた資質や能力が重視され、そのスキルに合わせた配属が検討されるのです。有名企業の業績や優良組織の知名度に頼れない時代において、エンプロイアビリティが重要な武器となるでしょう。

労働者と雇用者のフェアな関係

現在は、企業が人材に対して雇い続ける約束をすることが難しい時代です。それでも、事業を回すためには人材が不可欠であり、できるだけ長く働いてほしいという意向があるのも事実でしょう。
この矛盾を解くには、従業員を自社で雇えない状況になった際に、条件の良い他社からオファーを得られるだけの力を身につけさせることも必要です。雇用した後は、自社の都合を満たすだけだという企業イメージを与えてしまうと、求職者は「入社したとしても将来的な不安が拭えない」と考えてしまい、そもそも採用自体が進まないことも考えられるのです。そのため、エンプロイアビリティを身につける目的がここにあります。     


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エンプロイアビリティ重視のメリット

企業と組織がエンプロイアビリティを重視し、評価や育成の対象とすることで得られるメリットを見ていきましょう。

人材を集めやすくなる

現代の労働者の多くが、転職を視野に入れて働いています。そのため、自分の市場価値を高める機会や、支援を充実させている企業や組織は、求職者にとって魅力的に映ります。その結果、多くの人材が集まりやすくなるでしょう。


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付加価値と生産性が向上する

社外に転職する際の備えという位置づけの学びであっても、そこで培った知識やスキルは自社で働く間にも活かされます。個々の能力の向上によって生み出される価値の増大や、生産性の向上も見込めるでしょう。


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終身雇用の負担から逃れられる

エンプロイアビリティ重視への切り替えは、企業を終身雇用の負担から解放します。終身雇用ができなくても、他社でも通用する人材に育てる取り組みを十分におこなえば、従業員との間でWin-Winの関係が成り立つでしょう。


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職場環境の改善や生産性向上

エンプロイアビリティを重視する施策をおこなうことで、従業員一人ひとりが自分のキャリア形成を意識し、主体的かつ意欲的に仕事に取り組むようになるでしょう。「どこででも通用するスキルを磨いている」という社内での実感は、将来への不安を減少させるものであると同時に、スキルとモチベーションの向上にもつながるものです。これらの効果によって日々の業務遂行や進行もスムーズになるとコミュニケーション能力も向上し、職場内の人間関係や雰囲気も良くなっていくでしょう。


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従業員の能力向上による社会貢献

企業や組織が従業員のキャリア形成や転職力の向上を支援することは、社会貢献にもつながっていきます。自社だけでなく業界や国、あるいは世界から見て有能な人材を創出していることになるからです。


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エンプロイアビリティ重視のデメリット

エンプロイアビリティを重視することで多くのメリットが得られる反面、デメリットもあります。ここでは、エンプロイアビリティのデメリットを確認しましょう。

人材の流出につながる

能力やスキルが上がることで、従業員が自信をつけ、他社の環境の中に挑戦したいステージを見つけるかもしれません。あるいは、他社が優秀な人材を見つけ出して声をかけることもあるでしょう。結果的に、まだ働き続けてほしい時期に離職する可能性があることは否めません。


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エンプロイアビリティ教育のコストがかかる

他社でも通用する人材の育成を進めるには、教育コストがかかります。実施内容の中には、自社業務に直結しないものも含まれるかもしれません。経費だけでなく、時間や担当者の業務負担など様々なコストが必要になる点はデメリットといえるでしょう。


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エンプロイアビリティ向上への企業と組織の支援方法

従業員のエンプロイアビリティ向上のゴールと目的をイメージ

 従業員のエンプロイアビリティを向上させるために、企業と組織ができることを紹介します。従業員への支援は、単に従業員のエンプロイアビリティの強化策として取り入れるのではなく、「こういう人材になってほしい」という目標を決めてから実施することが大切です。

情報提供と啓蒙

分野や業界の動向や展望などの情報を提供することは、「業界にはどのような仕事があり、自分はどの仕事を望むのか」というビジョンや目標の明確化を助けます。該当職種の具体的な業務内容や求められるスキルについての詳細な情報は、従業員にとって意義のあるものとなるはずです。

研修や教育の実施

自己認識や将来の展望を見据えて、理想のキャリアを計画するための機会を提供するような研修の実施も支援のひとつです。自分の理想像に近づくために必要な経験やスキル、その獲得方法を見出すことは、従業員にとって強い動機づけとなるでしょう。

実践機会の提供

実際の業務には責任がともないます。その分、現場から離れたトレーニングや研修に比べて、実際の職務経験から得る学びは大きいです。実践機会の提供は、内的・外的双方のエンプロイアビリティの形成に大きく貢献します。

スキルなどの要求基準の開示と明確化

携わる職業や職種、もしくは今後の理想とする職業や職種について、必要な具体的スキルやコンピテンシー、そして、そのレベル基準をまとめ、レポートなどで開示することも大切です。これらが明確になることでエンプロイアビリティのチェックシートのような役割を持ち、自分が到達すべき目標地点への評価基準がわかります。加えて、現時点における個々のスキルやコンピテンシーを把握できれば、目標とのギャップを明確に認識できます。

スキルアップのための時間や手当の提供

業務時間内でスキルアップのための時間を確保できたり、学習支援として手当が支給されたりすることも有効です。また、昨今は働き方改革によって柔軟な働き方を可能にする企業や組織が増えています。業務時間外でスキルアップの時間を十分に確保できることも、エンプロイアビリティの向上につながるでしょう。 


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従業員のエンプロイアビリティ向上を便利なサービスでサポート

終身雇用が難しい企業が増え、人材の流動もますます激しくなっています。従業員のエンプロイアビリティ向上を視野に入れ、支援を提供することは、現代企業・組織ならではの様々な課題を解決することにつながるはずです。従業員のニーズや業界の動向などを分析して、有意義な学びの機会を提供していきましょう。

JTBベネフィットでは、従業員のエンプロイアビリティ向上支援に役立つ人財(※)育成ツールである「flappi(フラッピ)」を展開しています。flappiは、従業員の現状について多角的な情報収集・分析をおこない、的確なスキルアップコンテンツを提案・提供するサービスです。

また、優秀な人材を囲い込むためには待遇面の向上も必須です。そこで、従業員が自由に選べるオーダーメイドの福利厚生サービス「えらべる倶楽部」の導入も、あわせてご検討ください。


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