【評価者は上司の他にも?】人事評価制度の概要と最新の事例を紹介

360度評価やコンピテンシーなど多様化する評価手法のイメージ​​​​​​​

この記事のまとめ

・人事評価は一般的に、従業員の会社への貢献度を評価すること

・人事評価制度の評価方法には能力評価、業績評価、情意評価などがある

・日本の雇用制度や働き方の変化により、従来の人事評価制度は過渡期にある

・近年では上司による評価だけでなく、360度評価やコンピテンシー評価など様々な評価手法が普及している

・テレワークに適した評価制度は結果重視であるが、プロセスへの配慮も重要

目次[非表示]

  1. 1.人事評価とは
    1. 1.1.人事評価とは
    2. 1.2.人事評価と人事考課の違い
    3. 1.3.人事評価の主な目的
  2. 2.人事評価制度の種類と概要
    1. 2.1.人事評価制度の種類
    2. 2.2.人事評価制度とリンクする各種制度
  3. 3.従業員のモチベーションを高める人事評価制度
  4. 4.「評価は上司の裁量」はもう古い?広がる様々な評価手法
    1. 4.1.多様化する評価手法
    2. 4.2.多面評価/360度評価
    3. 4.3.コンピテンシー評価
  5. 5.テレワークに適した人事評価制度とその運用
    1. 5.1.テレワークにより変わる人事評価制度
    2. 5.2.人事評価の運用にともなう注意事項
  6. 6.ユニークな人事評価制度の事例
    1. 6.1.全社員が人事部所属のA社
    2. 6.2.会社はプラットフォームのB社
    3. 6.3.感謝をお金に換算するC社
  7. 7.まとめ

人事評価とは


人事評価とは

従業員(社員)は、会社の理念やそれに紐づく目標を達成するために、各々の部署、職種でその達成に資する仕事をします。その仕事の成果等、会社への貢献度の評価を人事評価といいます。
仕事の成果「等」とは、結果として評価できる成果だけでなく、そのプロセス、勤務姿勢(組織への影響力)、今後の会社への貢献可能性など、会社によって様々な要素を含みます。

人事評価と人事考課の違い

人事評価と似たワードに人事考課があります。これら2つの一般的な違いを解説します。


概要
人事評価
従業員の能力や勤務成績を評価する
人事考課
給与査定や人事決定を目的に従業員の能力や勤務成績を評価する

これら2つの端的な違いは、評価目的の範囲です。人事考課は、その目的を給与査定や人事決定に限定していますが、人事評価はこれらに限定していない点が異なります。

人事評価の主な目的

ここでは、給与査定や人事決定に限定しない人事評価の代表的な目的を3つ紹介します。


1. 会社の理念を従業員に浸透させる

A社で高評価の従業員が、B社でも高評価とは限りません。それは、会社によって理念が異なるためです。人事評価の軸として、企業理念や経営方針、目標を明確に示すことで、従業員は高評価獲得のためにそれらを意識し、理念や経営方針・目標に沿った仕事をするようになります。


2. 配属や待遇決定における判断材料とする

人事評価の情報をデータベース化することで、個々の従業員の能力や特性を俯瞰的に把握することができます。それらの情報をベースに、より適性が高い部署や職種への配置や、給与や昇級などの待遇を決定します。また、大きな視点で自社の人的資源の特徴である強み・弱みを可視化することができ、そこから経営戦略や人事戦略を立案することができます。


3. 従業員の育成に関する資料とする

人事評価により得られる情報は、従業員の強みに加え、不足する能力や経験の発見にもつながり、人材育成計画を立てる際の有用な情報となります。


あわせて読みたいおすすめの記事

  人事評価制度はなぜ必要?どうやって作る?人事のキホンを簡単解説 人事評価はなぜ必要で、企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。働き方が多様化する現代は、改めて人事評価制度を策定する必要があるのかもしれません。人事評価の目的をはじめ、評価対象や評価方法など、現代にマッチした人事評価の基本を解説します。 株式会社JTBベネフィット


人事評価制度の種類と概要

高い目標を設定して達成し、さらにモチベーションが向上した従業員とその社内

人事評価制度の種類

人事評価制度の評価方法について、代表的な3つの種類を紹介します。

評価名
概要
能力評価
従業員が保有している知識やスキルなどの能力に対する評価で、保有資格なども含まれます。他にも、コミュニケーション能力やリーダーシップなどもこちらにカテゴライズされます。
業績評価
主に仕事の成果に対する評価です。例えば、売上高や利益などの数字や、目標に対する達成率などを指します。
情意評価
従業員の遅刻・早退・欠勤などを含む勤務態度や業務に取り組む姿勢、所属する部署や組織への影響などに関する評価を指します。

人事評価制度とリンクする各種制度

制度名
概要
等級制度
人事評価に加えて、日本の多くの企業は従業員の年齢も踏まえて、従業員のランクである等級を決定します。従業員は、等級によって権限や職務や役割が異なります。
報酬制度
従業員の人事評価や等級に応じて、給与や賞与額を規定する制度です。

等級制度と報酬制度は、多くの企業が併用して導入しています。


あわせて読みたいおすすめの記事

  人材育成の具体的な手法とは?企業が育てるべき社員像とよくある課題 全社をあげて人材育成に取り組んでいるものの、効果が見えず苦戦している企業も多いのではないでしょうか。今回は、自社に貢献できる人材育成の手法や、育てるべき社員像、育成段階で発生する問題点について紹介します。本記事で得られる人材育成のヒントを、ぜひ参考にしてください。 株式会社JTBベネフィット


従業員のモチベーションを高める人事評価制度

公平で適正な評価をする企業が一般的にホワイト企業といわれている

ここでは、人事評価制度の現状に触れながら、人事評価制度が従業員のモチベーションに影響することを、データを用いて紹介します。

モノの飽和にともなうコト社会化や、価値観やライフスタイルの多様化も影響して、古くから日本に根付いてきた終身雇用制度が崩壊しています。同時に、年功序列制度も見直す動きが活発になり、ジョブ型雇用を積極的に導入する企業が増えています。

年功序列制度は、年齢に応じて昇格・昇給するように設計されていますので、人事評価制度がおざなりになりがちですが、旧態依然とした人事評価制度の運用は、会社のブランド力や採用力の低下に直結します。以下、厚生労働省の調査データを見てみましょう。

厚生労働省の平成30年版労働経済の分析より仕事に対するモチベーションの状況のデータ

出典:厚生労働省 平成30年版労働経済の分析―働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について―


この調査データでは、「目標管理制度があり、人事評価制度への満足度が高い」「目標管理・指導頻度が高い」ことが、仕事に対するモチベーション向上に寄与することが示されています。

厚生労働省の平成30年版労働経済の分析より人事評価制度に満足していない理由のデータ

出典:厚生労働省 平成30年版労働経済の分析―働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について―


一方で、従業員が人事評価制度に満足していないことや仕事のモチベーションが上がらない理由として、上のグラフにおいて赤枠で囲った3点は、いずれも年功序列制度を採用する企業に多い特徴です。

明瞭な人事評価制度を設定し、評価が昇給や昇進といった処遇へ適切に結びつけば、会社への帰属意識(エンゲージメント)およびモチベーションが高まります。その結果、従業員は満足感を持ちながら目標に向けて業務を遂行し、自らを成長させることができるのです。

このように、人事評価制度の目的・効果であるモチベーションの向上や人材育成が十分に実現できていなければ、制度の見直しが必要かもしれません。次のトピックでは、そのヒントとなる評価手法を紹介します。


あわせて読みたいおすすめの記事

  ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型との違いや導入のメリットとデメリットを紹介 近年、「ジョブ型雇用」というワードに触れる機会が増えた方も多いのではないでしょうか。ジョブ型雇用とは、異動を前提としない職務毎の雇用形態です。今回は、導入が増加しているジョブ型雇用の概要から導入のメリットとデメリット、採用のポイントまで紹介します。 株式会社JTBベネフィット


「評価は上司の裁量」はもう古い?広がる様々な評価手法

上司・同僚・部下を設問に沿って回答して評価する従業員

多様化する評価手法

評価者は上司で、評価軸は上司の裁量というケースも多いのですが、従業員のモチベーション低下や離職につながるケースが多いこともあり、近年は様々な評価手法が採用されています。ここでは、その一例を紹介します。

多面評価/360度評価

上司に加え、自分自身や部署の同僚、仕事で関わる他部署の従業員等、様々な関係者を評価者として多面的に評価する手法です。評価者が複数名のため評価の信頼性が増し、被評価者は自分が認識する「自分」と他者が認識する「自分」の違いを把握できます。

一方で、個人的な好き嫌いなど被評価者への私情が反映され、評価能力が不足となる可能性がデメリットとしてあげられます。この対応として、評価者研修で評価能力を向上させるとともに、多面評価のフィードバックで評価者が特定されないように設計することで、デメリットを抑えることができます。


多面評価(360度評価)のイメージ

多面評価(360度評価)のイメージイラスト

コンピテンシー評価

「評価の高い社員」の行動や思考などといった特性を、当該社員にヒアリングするなどして抽出・要件化し、その要件を評価基準とすることです。米国文化情報局が、IQや学歴を軸に採用した職員が期待通りの成果を収めなかったため、専門家に調査・研究を依頼したところ、以下の結果が判明しました。

・職員のパフォーマンスと、IQや学歴との相関性は低い
・ハイパフォーマーは特有の行動をしている

コンピテンシー評価では、この「特有の行動」を見つけ出して要件化することで評価の曖昧性を回避し、評価者によって評価が異なるケースや、評価者と被評価者の関係で評価が歪められるといった不公平な評価を抑制することができます。


あわせて読みたいおすすめの記事

  目標管理のフレームワーク「OKR」とは? KPI、MBOとの違いも理解しよう 会社が掲げる目標の方向性を定めるにあたり、大切なのは各部署、従業員の合意です。OKRとは、シリコンバレーの名だたる企業が次々に導入し、注目を集めている画期的な目標管理形式です。今回は、OKRの概要とKPIやMBOの違い、導入のメリットと方法について紹介します。 株式会社JTBベネフィット


テレワークに適した人事評価制度とその運用

ばらつきのあるデータから平均値を分析して最適な製品やサービスを提供するためのグラフ

テレワークにより変わる人事評価制度

これまでは、オフィスでの対面による仕事が一般的でしたので、上司は部下の仕事ぶりを直接確認することができました。しかし、テレワークが普及したことで、部下の仕事ぶりを直接確認することが難しくなり、それにあわせて人事評価制度を見直したり部分的に廃止したりする企業が相次いでいます。


評価制度の具体的な見直し案

評価項目
具体的な見直し内容
評価軸
抽象性をなるべく排除して、具体的かつ定量的な成果を評価対象とする
評価割合
結果重視として、プロセスの評価割合を下げる

ただし、ノルマ第一主義など強引な成果主義は、従業員の成長意欲の低下や不正の誘発を招くため注意が必要です。また、前項で紹介した厚生労働省の資料にあるように、プロセスが評価されないことを不満に思う従業員が多いことにも留意して、結果重視の評価とする場合でも、被評価者にプロセスを説明する時間を与えることは非常に重要です。

人事評価の運用にともなう注意事項

テレワークの普及にともない、人事評価への従業員の注目が集まる中で、人事評価を運用する際の注意事項をいくつか紹介します。

評価傾向
概要
ハロー効果
対象者のポジティブな特徴や印象が原因で、因果関係がない項目についても肯定的な評価をしてしまうこと
ホーン効果
対象者のネガティブな特徴や印象が原因で、因果関係のない項目についても否定的な評価をしてしまうこと
中心化傾向
リスクの少ない無難な評価をするために、それぞれを平均的に評価してしまうこと
寛大化傾向
部下の仕事を把握していない、または部下によく思われたい等の理由で、過大な評価をしてしまうこと

テレワークの普及により評価制度に変更が生じた場合は、特に中心化傾向や寛大化傾向が強くなってしまいますので注意が必要です。ハロー効果やホーン効果はよく起こりがちなミスなので、評価者としてのあるべきスタンスを確認し、これらのミスを回避しましょう。


あわせて読みたいおすすめの記事

  人材流出はなぜ起こるのか?原因を正しく把握し未然に防ぐ方法 人材流出は、少子高齢化などで労働力不足に陥りやすい社会の中で非常に深刻な問題です。人材流出が深刻化すると、採用育成コストの増大や、知識や人脈の喪失、企業としての信頼性低下などの問題が起こります。本記事では、人材流出を防ぐためにおこなう人材評価制度と労働条件の見直しポイントを紹介します。 株式会社JTBベネフィット


ユニークな人事評価制度の事例

インセンティブプランなどの表彰制度で受賞者に拍手を贈る従業員

ここでは、ユニークな人事評価制度を導入している企業の事例を紹介します。

全社員が人事部所属のA社

A社は比較的社員数が少ないベンチャー企業ですが、全社員が人事部に属し、社員の評価に携わっています。全社員で成長するためのフィードバックを実施し、お互いに働きやすい環境を構築しています。さらに、その評価結果をランキングにして、順位に応じた報酬(インセンティブ)も全社員で決定しています。

社員数が多い企業の場合、360度評価のように関連する部局等の範囲で評価に携わることで応用が可能です。

会社はプラットフォームのB社

人事評価の概念を超える事例ですが、B社では「雇用される」のではなく、「プラットフォーム」として会社を存続させます。「個人がやりたいことを、会社を使って実現する」という考え方に基づいており、基本的に会社への出入りは自由です。よって、定期的な給与は発生せずに、興した事業が収益を上げた場合に給与が発生する仕組みを取り入れています。

感謝をお金に換算するC社

C社では週に一度、社員一人ひとりにポイントが付与され、そのポイントを使って同僚に称賛や感謝のメッセージを投稿することができます。メッセージを受け取った社員は、ポイントを四半期毎に1ポイント=1円で換金でき、最も多くポイントを獲得すればさらにボーナスが支給されます。


あわせて読みたいおすすめの記事

  インセンティブプランとは?基本や多様な種類を解説! インセンティブプランとは、役員や従業員に自社株や金銭、報奨などを与えることで、キャピタルゲインの獲得やモチベーション向上につなげる仕組みです。人材教育における、外発的動機づけにあたります。本記事では、インセンティブプランの種類や、株や金銭以外のプラン例、導入時の注意点を紹介します。 株式会社JTBベネフィット


まとめ

コンピテンシー評価や360度評価を取り入れるにあたって、データベースが必須です。そして、データベースにもとづき活躍人材のサーベイをおこなうことや、360度評価で得た他者の評価を自己評価と比較をするにも基準の構築が必要です。しかし、一からシステムを設計するのは非常に手間がかかる上に、データベースの分析やメンテナンスにおいても課題の提起から改修まで繰り返しおこなう必要があり、膨大な時間と労力がかかります。

JTBベネフィットが提供するEVPサービスの「flappi(フラッピ)」では、サーベイの実施はもちろん、その結果から従業員自身の強みや伸びしろに加えて価値観を把握することが可能なだけでなく、サーベイの結果に基づいた個々の成長に必要なサポートが具体的に提案され、それらをデータベース上で管理することができます。

また、上司や人事部門もそのデータを閲覧することができ、全社的な従業員のデータ管理が可能です。従業員に新しい価値を提供する人事評価制度の構築や運用において大幅な工数の削減が可能ですので、ぜひ一度、flappiの無料トライアルをお試し下さい!


この記事のまとめ

・人事評価は一般的に、従業員の会社への貢献度を評価すること

・人事評価制度の評価方法には能力評価、業績評価、情意評価などがある

・日本の雇用制度や働き方の変化により、従来の人事評価制度は過渡期にある

・近年では上司による評価だけでなく、360度評価やコンピテンシー評価など様々な評価手法が普及している

・テレワークに適した評価制度は結果重視であるが、プロセスへの配慮も重要


JTBベネフィットが提供するEVP向上サービス「flappi(フラッピ)」のバナー


EVP・flappiのお役立ち資料セットダウンロードバナー


あわせて読みたいおすすめの記事

  ピープルアナリティクスとは?データを人事に生かすメソッドを解説 ピープルアナリティクスとは、人事データを収集、分析し人事にかかわる意思決定に活用する手法です。今回は、ピープルアナリティクスの概念やメリット、実践方法、採用事例などを紹介していきます。ピープルアナリティクスの具体像を把握したい人事担当の方は、参考にしてみてください。 株式会社JTBベネフィット


  人材育成には目標設定が最重要!効果的に計画を実現する目標の定義とは 人材育成における目標設定は、社員のモチベーションや成長度合いを左右する最重要項目の一つです。そこで今回は、効果的な目標設定の条件や、達成に必要な目標管理、運用方法について紹介します。人材育成に効果的な目標設定の方法がどのようなものか悩んでいる人事担当者の方は、本記事を参考に最適な目標を設定しましょう。 株式会社JTBベネフィット


記事検索

記事アクセスランキング

アーカイブ

カテゴリー一覧

タグ一覧