クラシゴト改革とは?テレワーク普及で進む働き方に従業員と企業はどう向き合う?

​​​​​​​​​​​​​​子育てしながらテレワークをしてクラシゴト改革を実現した従業員

リクルートが発表した「クラシゴト改革」というキーワード。その背景の1つにあるのは新型コロナウイルスの感染防止対策として急速に普及が進むテレワークです。テレワークが今後のニューノーマルになるのはもはや不可避であるため、従業員は一個人としてどのような働き方や生き方をするのか真剣に考え、企業もそれに向き合っていくことが必要になります。今回は、クラシゴト改革について、従業員と企業がこれから取り組むべきことを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.クラシゴト改革とは?
  2. 2.クラシゴト改革の背景からわかる3つの変化
    1. 2.1.働き方の変化
    2. 2.2.住まい方の変化
    3. 2.3.価値観の変化
  3. 3.クラシゴト改革へ向けて企業が取るべき施策とは?
    1. 3.1.働き方における制度・ルールの見直し
    2. 3.2.ITセキュリティ環境を整える
    3. 3.3.マネジメントとコミュニケーションを工夫する
  4. 4.クラシゴト改革を進めている企業の事例
    1. 4.1.ソーシャルメディア・ソーシャルアプリに関する事業をおこなうA社
    2. 4.2.人材派遣や求人広告を手がけるB社
    3. 4.3.国内大手電気通信事業者C社
  5. 5.まとめ

クラシゴト改革とは?

クラシゴト改革の「クラシゴト」とは「暮らし×仕事」のことで、暮らし方と働き方の変化を意味し、働く人が自ら変わることで「暮らしごと変えていく」ということを定義しています。

リクルートキャリアとリクルート住まいカンパニーは「クラシゴト改革」というキーワードを設定した趣旨として、「人生をもっと豊かにする暮らし方、働き方の変化の兆し」と説明しています。「働き方改革」が会社起点で仕事に焦点を合わせて変えていたことに対して、「クラシゴト改革」では従業員個人が仕事を含めて「暮らしごと」変えることや、デザインし直すことを指します。


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クラシゴト改革の背景からわかる3つの変化

福利厚生サービスのトラベルを利用して鉄道旅行を楽しむイメージ

働き方の変化

2020年に緊急事態宣言下でテレワークを経験した人は全国平均で48.0%ですが、東京都では71.1%にものぼりました。人口密度が高い東京都では、一時的な感染拡大の防止だけではなくどのような状況下にあっても事業活動の両立を図るため、アフターコロナもテレワークの継続を呼びかけています。また、テレワーク経験者に今後のテレワーク継続意向について尋ねたところ、84%が継続したいと回答しました。


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住まい方の変化

テレワークによって場所にとらわれない働き方が可能になったことで、住まいにも大きな変化が生まれています。リクルート住まいカンパニーの調査によると、「今後もテレワークを継続する場合、今の家から住み替えを検討したいですか?」という質問に対して、24%が「検討したい」との回答がありました。これは、賃貸在住者の30%、持ち家在住者の20%に該当します。

また、リクルート住まいカンパニーが運営する「SUUMO(スーモ)」の首都圏におけるログデータに基づき、2020年8月の閲覧数を同年1月と比較すると、中古マンションと中古一戸建ての閲覧数での伸び率が最も高かったエリアについて、5位までの結果は以下の通りでした。


『SUUMO』物件ページの閲覧数がコロナ禍を受けて伸びたエリア

順位
中古マンション
中古一戸建て
1位
神奈川県三浦市
千葉県富津市
2位
神奈川県逗子市
千葉県館山市
3位
横浜市瀬谷区
栃木県那須町
4位
千葉県成田市
千葉県木更津市
5位
神奈川県葉山町
千葉市美浜区

出典:株式会社リクルートホールディングス SUUMO(スーモ)「人生のリデザイン クラシゴト改革」


上の表を踏まえると、栃木県那須町を除くすべてのエリアが都心100キロ圏内の郊外であることがわかります。これは、都内に軸足を残しながら郊外での二拠点目を確保する「デュアラー」と呼ばれる二拠点生活者や、住まいのサブスクリプションサービスを利用することで居住エリアを一ヶ所に定めない「多拠点生活」を念頭において家探しをしている方が増えていることがわかります。二拠点生活以上の多拠点生活を選択する目的はさまざまで、都市部に仕事の拠点を残しながらも自然の豊かな郊外で趣味を追求したい方もいれば、「ふるさと副業」と呼ばれる地方での副業や地域貢献活動に参加するために引っ越す人もいます。


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価値観の変化

働き方や住み方の変化の根底には、コロナ禍をきっかけとした人々の価値観の変化があげられます。リクルートの「第3回コレカラ会議2020年12月2日」では、「新型コロナウイルス禍を受けて、自分の将来のキャリアを見つめ直したり考えたりしましたか?」という質問に対して「はい」と答えた人は約6割の58.8%、「新型コロナウイルス禍の影響ではないが、考えた」という人は約3割の29.9%で、全体の9割にあたる人の価値観が変化したと述べられています。これはコロナ禍に加え、終身雇用の崩壊もあり、副業や転職を検討するにあたり、場所や時間にとらわれない働き方を模索しているものと考えられます。

この点では、転職検討者が仕事選びの重要項目に関する調査からもうかがえます。先ほどのリクルートの調査によると、これまでは仕事選びというように「仕事内容」が上位でしたが、現在は、入社当時よりも「プライベートの時間を十分に確保できる」、「働く時間を柔軟に変えられる」、「テレワークが認められる」、「副業が認められる」など、働く場所や時間の自由度を重視した働き方ができる企業を選ぶ人が増えているのです。


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クラシゴト改革へ向けて企業が取るべき施策とは?

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働き方における制度・ルールの見直し

従業員がクラシゴト改革を実現するために、企業は従業員一人ひとりの多様な価値観や働き方を認めていかなければなりません。そのためには、既存の制度やルールがその足かせになっていないか見直す必要があります。

具体的な例として、従業員の都合に合わせて休暇を取得しやすい制度を設けたり、フレックスタイム制を導入して総労働時間だけをあらかじめ決めておき、勤務の開始・終了時間は各自で調整できるようにしたりすることがあげられます。

ITセキュリティ環境を整える

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が2021年1月に発表した「情報セキュリティ10大脅威」の第3位に、「テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃」があげられました。多くの企業では、テレワーク導入当初からテレワーク環境のITセキュリティの整備が問題としてあげられてきたものの、テレワーク導入企業のうち7割以上で情報セキュリティの専任担当者が存在しない、もしくは他の業務と兼務しているのが現状です。また、担当者がいたところで、オフィスから離れた場所で勤務するテレワークは、どうしても管理者の目が届きにくくなります。

これには、テレワークで使用する端末にセキュリティソフトを導入することはもちろんのこと、OSやアプリを遠隔で常に最新版にアップデートする仕組みを構築することや、社内のデータのやりとりに高いセキュリティレベルを保持しているクラウドサービスを利用したりするなどの対策が求められます。また、企業側の基本的な対策やルールを各従業員に周知徹底することも必要です。

マネジメントとコミュニケーションを工夫する

テレワークが普及することで、社内コミュニケーションに影響が出ることがこれまでにも繰り返し指摘されてきました。また、働いている様子が見えにくいため、従業員のマネジメントも容易ではなくなります。したがって、オフィスで働いているのと同じようなコミュニケーションやマネジメントを期待することはもはや現実的ではないでしょう。

リクルートマネジメントソリューションズの武藤久美子氏によると、リモートワーク(テレワーク)により各従業員は自由を享受できる可能性が増えますが、同時に責任も増すため、マネージャー(上司)は『3つの「こ」』の状態に持って行けるように支援すべきであると述べられています。

3つの「こ」とは?
1. メンバーが「」として立てるような支援
2. 物理的な距離があっても周囲とのの距離が近いと感じられるようにすること
3. 従業員が「この会社がいい、こで働きたい」と感じられるようにすること

このようなマネジメントと部下との効果的なコミュニケーションは、密接に関係しています。この点は、多くの企業で実施している1on1ミーティングをただ形だけで実施するのではなく、上述した3点を念頭に置くのであれば、従業員満足度が向上し、クラシゴト改革の実現を加速できるでしょう。


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クラシゴト改革を進めている企業の事例

マスク着用しソーシャルディスタンスを保ちながら仕事をする従業員

ここでは、クラシゴト改革を推進し、自由度の高い働き方を実現している企業の事例を紹介します。

ソーシャルメディア・ソーシャルアプリに関する事業をおこなうA社

A社では、働く場所・時間・服装は自由で、地方移住をしてフルリモートワークで働く社員もいます。これは、同社が掲げる「フリー・フラット・オープン」というコアバリューに基づいています。

働き方や契約形態は「フリー」で、労働時間の管理や勤務日数も労働者に委ねる裁量労働制を採用し、賃金も3ヶ月に1回の話し合いで交渉して決まります。また、上司と部下といった上下関係はなく、社長からインターン生まですべての人の立場が「フラット」、情報の非対称性を作らず、自分の情報はすべて「オープン」です。この価値観に共感できれば、経営陣や人事部門が統率することなく各社員が好きなように働いたほうが、仕事のパフォーマンスを最大限に高められると考えられています。


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人材派遣や求人広告を手がけるB社

従業員数約1.6万人をかかえる大企業のB社では、2021年3月に「個の尊重」という価値観を体現する働き方を実現するために、働く場所・日・時間の柔軟性を高め、多様な背景を持つ従業員一人ひとりに合った働き方を自律的に選べるような人事制度を導入し、働き方の進化を加速させました。

具体的には、理由や回数を問わないリモートワーク(テレワーク)を一部の職種を除く全社に導入し、年間の所定労働時間と給与は変更せず年間休日を合計145日に増やしました。これにより年間平均週休が2.8日となったことから週休3日制が実現できる時期もあり、働き方と休み方にメリハリがつくようになりました。


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国内大手電気通信事業者C社

C社では社内スローガンとして「Smart&Fun!」を掲げ、スマートに、よりクリエイティブに、よりイノベーティブなことに取り組める働き方を目指しています。

このスローガンを浸透させるため、具体的には2017年4月より「スーパーフレックス制」を導入しました。まず、コアタイムを撤廃し、朝7時から夜10時までの間、各社員が始業時間・就業時間を自由に変更できるというものです。また、在宅勤務制度(テレワーク)を拡充し、育児や介護にかかわらず業務状況に応じて自由に利用できるようにしています。
さらに、2020年4月以降は、自己成長支援金として社員に毎月1万円を支給しています。この背景には、柔軟な働き方で業務が効率化されて空いた時間を自分磨きのために活用し、各自がスキルアップして知識や経験を蓄積してほしいという企業側の成長戦略があります。


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まとめ

働き方改革ではワークライフバランスが強調されましたが、あくまでも仕事に軸足を置いた上での議論だったように思われます。クラシゴト改革はそれをさらに推し進め、従業員一人ひとりがどんな生き方をしたいのか「暮らしそのもの」が問われており、働く個人は自分の暮らし方や価値観を見つめ直す必要があるでしょう。

そして、企業側は会社を中心とした概念から、従業員がより豊かな生活から良い人生を送る「Well-being」を実現できるかという視点にシフトしていかなければなりません。アフターコロナから人材不足を補うための積極的な採用活動を再開した際に、クラシゴト改革の実現を掲げた企業は求職者から「選ばれる」企業になることでしょう。


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