「労働生産性」とは?正しい計算方法や向上のためのポイント

「労働生産性」とは?正しい計算方法を知って企業活動に活かす!

企業の業績を向上させるためには、販促をおこなうことも重要ですが、それ以前に自社の現状を把握することが欠かせません。そして現状を把握する指標のひとつとして「労働生産性」があります。しかしひと口に労働生産性と言っても、そもそも何を表しているものなのかわかっていなければ意味がありません。そこで今回は労働生産性の概念から、計算方法、企業活動への活かし方について考察していきます。

目次[非表示]

  1. 1.労働生産性とは?
  2. 2.似ているようで異なる「労働生産性」と「労働分配率」の違い
    1. 2.1.付加価値労働生産性
    2. 2.2.物的労働生産性
    3. 2.3.労働分配率
  3. 3.労働生産性を算出する際の計算基準となる人件費と利益とは?
    1. 3.1.事例で見る労働生産性の比較
  4. 4.【業界・業種別】労働生産性の平均
    1. 4.1.日本国内
    2. 4.2.製造業
    3. 4.3.電気・ガス業
    4. 4.4.宿泊業
    5. 4.5.飲食業
    6. 4.6.医療業
    7. 4.7.不動産業
  5. 5. 労働生産性向上のポイントと企業活動での活かし方
    1. 5.1.産業別の労働分配率平均値
  6. 6.労働生産性や労働分配率改善のポイントは適切な人件費の配分

労働生産性とは?

「生産性」とは、投入(Input)した資源に対する産出(Output)の比率です。ですから、労働生産性とは、労働量(Input)に対してどれだけの成果(Output)が生み出せたかということで、労働者1人当たりもしくは1時間当たりの労働で生産できる成果を数値に表したものです。一般的に少人数や短時間で多くの成果を生み出すことができれば「労働生産性が高い」ということになります。


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似ているようで異なる「労働生産性」と「労働分配率」の違い

労働生産性には、生み出された成果を付加価値で表す「付加価値労働生産性」と、生産量や金額で表す「物的労働生産性」の二つにわけられます。それぞれの労働生産性の計算方法は次のとおりです。

付加価値労働生産性

1人当たりの計算方法 : 付加価値額÷従業員の人数

1時間当たりの計算方法 : 付加価値額÷(従業員の人数×労働時間)

物的労働生産性

1人当たりの計算方法 : 生産数量÷従業員の人数

1時間当たりの計算方法 : 生産数量÷(従業員の人数×労働時間)

この労働生産性に近いものとして、「労働分配率」というものがあります。労働生産性は従業員1人ひとりがどのくらいの利益を出しているかを示すものであるのに対し、労働分配率は稼いだ粗利益を人件費にどの程度の割合(%)で分配しているのかを示すものです。この労働分配率の計算方法は次のとおりです。

労働分配率

人件費÷付加価値額×100

どちらも企業経営をおこなう上で必要な指標ですので、両方確認することが重要です。


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労働生産性を算出する際の計算基準となる人件費と利益とは?

前項で労働生産性、労働分配率それぞれの計算方法をご紹介しましたが、そのどちらでもキーポイントになるのが人件費と利益(粗利益)です。ひと口に人件費と言ってもそのなかには何が含まれているのか、利益とはどういった利益のことなのかが理解できていないと正確な数値を算出することはできません。そこで労働生産性や労働分配率を算出する際の計算基準となる人件費と利益について説明した上で、ここではわかりやすい例として物的労働生産性の計算事例をご紹介します。

まず主な人件費は、従業員の給与、残業代、諸手当、賞与、通勤交通費などがあります。しかし人件費には、従業員にかかるすべての費用が含まれるため、次のようなものも人件費に含まれます。

法定福利費
企業が負担すべき社会保険料など

福利厚生費
従業員優待制度や従業員用の保養施設、社員旅行、行事など従業員の福利厚生にかかる費用

研修教育費
従業員研修会や勉強会にかかる費用

接待交際費
取引先への接待、贈答などにかかる費用

旅費交通費
従業員の外出交通費、出張などにかかる費用

その他の費用
従業員が業務をおこなうオフィスの
水道交通費や地代家賃などにかかる費用

これらすべての費用を人件費として計算することで、より現実に即した労働生産性が算出できるようになります。労働生産性を算出する際の利益は「粗利益」のことを指しますが、これは売上金額から売上原価を差引いた金額です。


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事例で見る労働生産性の比較

次に、物的労働生産性(時間当たりの労働生産性)の事例をご紹介します。なおここでは、人件費は付随するすべての費用を含め1人当たり2倍、売上総利益率は50%、売上総利益高貢献利益(採算ライン)も50%で計算します。

日給15,000円の従業員3人が、ある商品についてA市とB市で各3日間のキャンペーン販売をおこなった際の労働生産性を比較してみましょう。



比較項目
A市
B市
売上
80万円
40万円
売上総利益
40万円
80万円×0.5)
20万円
(40万円×0.5)
人件費
27万円
((15,000円×2)×3人×3日間)
27万円
((15,000円×2)×3人×3日間)
貢献利益
53万円
(80万円-27万円)
13万
(40万円-27万円)
貢献利益率
66.25%
(53万円÷80万円)
32.5%
(13万円÷40万円)

採算ラインを50%と設定しているため、貢献利益率が66.25%のA市は労働生産性が高く、32.5%のB市は低いということがわかります。


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【業界・業種別】労働生産性の平均

ここでは、労働生産性の平均を国内全体と、業界ごとの従業員1人当たりの「付加価値労働生産性」に着目して比較してみましょう。

日本国内

2017年時点で、日本の付加価値労働生産性は81,777ドル(2020年9月時点のレートで換算すると約869万円、2018年度は824万円)で、OECD加盟国35ヵ国中21位でした。もっとも、労働生産性を国際比較する場合、国ごとに算出方法が異なりますし、為替レートも変化していますので、注意が必要です。また、国によって産業構造が大きく異なることも念頭に置いておきましょう。

製造業

全体では約1,105万円で、日本国内の平均を上回っていますが、製造業の中でも業種別で労働生産性が大きく異なることに注意が必要です。例えば、石油・石炭製品では1億5,200万円と飛びぬけた数値ですが、金属製品では525万円、繊維製品では272万円にとどまります。

電気・ガス業

社会のインフラを扱う電気・ガス・水道では2,449万円であり、日本全体の平均を大きく上回ります。

宿泊業

宿泊・飲食サービス業全体では、335万円ですが、宿泊業だけでは約600万円(2016年)となっています。2012年の約250万円から大幅に増加している理由の一つはITの導入だと考えられますが、他の業種と比べて労働生産性は慢性的に低い業種であり、さらなるIT導入などが検討されるべきだと考えられます。

飲食業

飲食サービス業は、労働生産性の低い業種の一つであり、2017年における従業員1人当たりの付加価値労働生産性は約300万円でした。飲食業においては個人経営や個店も多く、規模拡大による効率化や合理化を図るのが困難という点も労働生産性が向上しない理由の一つと言えます。

医療業

一般病院の付加価値労働生産性は631万円(2016年)です。ここでいう一般病院とは、全病床に占める一般病床の割合が50%を超える病院のことを言います。医療業は専門職であるため、マネジメントの概念が他業種に比べて薄い業種ですし、IT導入が遅れていることも、労働生産性の向上が立ち遅れている要因と考えられます。

不動産業

不動産業は労働生産性が突出している業種です。2017年において、従業員1人当たりの付加価値労働生産性は5,572万円でした。不動産業は金融業や情報通信業といった業種同様、高い付加価値を生み出しやすい業種であるだけでなく、ITの導入が比較的容易であること、また製造業などに比べ多くの設備投資が必要ないという点が高い労働生産性に繋がっていると考えられます。


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 労働生産性向上のポイントと企業活動での活かし方

前述したとおり、労働生産性はどうすれば粗利益を上げることができるかを考えるための指標です。本記事の計算事例を見ればわかるように、労働生産性を下げる要因のひとつとなっているのは人件費です。人件費を下げれば粗利益は上がります。もちろん無駄な人件費は削る必要がありますが、人件費を削った分だけ業務効率化を進めなければ、その分、売上も下がってしまいます。

そこで重要となるのが、労働分配率です。企業全体の費用のなかでどれだけ人件費に費やされているかを算出することで、人件費が必要以上に高くなっていないかを知ることができます。労働生産性だけで見るとどうしても人件費の削減を考えてしまいがちですが、労働分配率も合わせ全体のバランスを見ることが改善のポイントです。

ただし、労働分配率は業種によって平均値が異なるため、一般的な平均値に惑わされてしまうと自社の正確な状況把握ができなくなります。そこで政府統計総合窓口が公表している「平成30年企業活動基本調査速報-平成29年度実績-」から主要な産業別の労働分配率平均値をご紹介します。この数字を参考に自社の労働分配率を分析してみましょう。


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産業別の労働分配率平均値


業種
労働分配率の平均値
製造業
46.1%
電気・ガス業
21.5%
情報通信業
55.4%
卸売業
48.4%
小売業
49.5%
飲食サービス業
64.0%
生活関連サービス業、娯楽業
45.2%


労働分配率が一番高い飲食サービス業と、一番低い電気・ガス業の差は実に40%以上もあります。基本的に、労働分配率が低いということは、利益が出ているにもかかわらず従業員の給与水準が低く、逆に労働分配率が高いということは、利益に対して人件費が過多になっているということになります。ただし、飲食サービス業のように労働集約型の業種は、インフラ系や機械化が進んでいる製造業、電気・ガス業に比べどうしても労働分配率は高くなる傾向があります。そのため自社の労働分配率を見るときも単純に数字だけを見るのではなく、自社が属する業種の平均値を参考にすることで、改善すべき点も見えてくるようになります。


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労働生産性や労働分配率改善のポイントは適切な人件費の配分

労働生産性や労働分配率を改善する方法のひとつとして人件費の見直しがあります。しかし、単純に人件費を減らせば効果が出るかといえばそうではありません。例えば人件費に付随する費用のひとつである福利厚生費や接待交際費を減らせば、確かに人件費の総額は減額されます。ただし、それによって従業員のモチベーションが下がり、生産性が落ちてしまえばかえって労働生産性が悪くなってしまう場合もあります。

従業員のモチベーションを下げることなく、人件費の適正な配分をおこなうことが肝要です。その上で利益が増える仕組みを作っていくことが、労働生産性や労働分配率改善の最大のポイントとなるでしょう。


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