【3分でわかる】改正労働基準法のポイントとよくある疑問を解説

今年2019年4月から施行。改正労働基準法のポイントと関連する助成金をご紹介

※この記事は2021年8月31日に更新しました。


2018年第4次安倍内閣のもとで「働き方改革関連法」が可決・成立しました。その内容は、過度な時間外労働の削減など職場環境の改善およびテレワークやフレックスタイムなどの柔軟な働き方を推進する、いわゆる「働き方改革」を使用者である事業主に義務付けるもので、2019年4月1日から大企業、2020年4月1日からは中小企業を対象に施行されています。

その中で最も重要な法律が改正労働基準法です。労働基準法はご存じの通りすべての労働者が健全に働くための労働条件を定めた法律であり、すべての労働関係諸法令のベースとなります。そのため、どの使用者(事業主)も労働基準法のどこが改正されたのかきちんと把握しておく必要があります。今回は、改正された労働基準法のポイントと改正ポイントに関連するおすすめの助成金を紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.2020年、働き方改革で変わった労働基準法
  2. 2.時間外労働の上限規制の明記
    1. 2.1.関連おすすめ助成金:時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)
  3. 3.年次有給休暇取得の一部義務化
    1. 3.1.関連おすすめ助成金:時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)
  4. 4.フレックスタイム制の清算期間延長
    1. 4.1.関連おすすめ助成金:東京都働き方改革助成金(フレックスタイム制度導入)
  5. 5.高度プロフェッショナル制度が創設される
  6. 6.労働基準法改正が企業に及ぼす影響
  7. 7.労働基準法改正に対応するために企業はどうあるべきか
    1. 7.1.勤怠管理を徹底する
    2. 7.2.就業規則の見直し
    3. 7.3.労働者の健康意識を高める
  8. 8.まとめ

2020年、働き方改革で変わった労働基準法

改正された労働基準法の内容は多岐に渡り、記録の保存期間延長など細かな変更もありますが、ポイントとしては主に以下の4つが挙げられます。

1. 時間外労働の上限規制の明記
2. 年次有給休暇取得の一部義務化
3. フレックスタイム制の清算期間延長
4. 高度プロフェッショナル制度の創設

これら4つについて、次の項目から詳細を解説します。


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時間外労働の上限規制の明記

時間外労働は、月45時間・年360時間が限度であると労働基準法に初めて明記されました。所定労働時間の限度は1日8時間、週40時間が限度と労働基準法に定められていますが、特別条項のある場合は労使協定(36協定)によって残業が可能になります。以前の労働基準法では時間外労働の上限が記載されておらず、従業員にどれだけ残業させても違反にはなりませんでした。
しかし、大手企業の若手社員が過度な残業を苦に自死した事件をきっかけに、過度な時間外労働は現代社会の大きな問題点だと世間に広く認識されました。こうした背景に加え、働き方改革によって是正すべき最も重要な課題として、上限規制が設けられることになりました。

時間外労働の上限は、特別な事情がない限り遵守しなければなりません。なお、特別な事情があっても時間外労働が月45時間を超過していいのは1年につき6ヶ月までです。
また、年720時間以内、2~6ヶ月平均80時間以内(休日労働込み)、月100時間未満(休日労働込み)という時間外労働の上限規制も別にあり、こちらはたとえ労使が合意したとしても、超過することは禁じられています。これらを違反した場合、懲役や罰金などの罰則が課される恐れがあります。

2021年時点で、原則としてすべての企業に遵守が求められていますが、以下の3業種は例外的に2024年4月から適用されます。

1. 自動車運転の業務
2. 建設事業(復興事業は除く)
3. 医師、鹿児島・沖縄の砂糖製造業

これらの業務は、人材不足や業務の性質上、長時間労働にならざるを得ないなどの理由から通常の大企業より時間外労働が多く、上限規制導入に向けた準備期間を要することが延期の理由です。また、新技術・新商品等の研究開発業務は上限規制が適用されないことになっていますが、対象労働者の時間外労働が月100時間を超えた場合、医師の面接指導を受けさせなければいけません。加えて、医師の意見に基づいて、事業者には就業場所や職務内容の変更や有給休暇の付与などの措置が必要に応じて発生します。

関連おすすめ助成金:時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)

厚生労働省の助成金で、労務管理担当者の研修や労務管理効率化ソフトの導入など時間外労働の削減につながる取り組みをした上で、時間外労働の上限規制に合わせて36協定を見直した場合、最大200万円を助成します。


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年次有給休暇取得の一部義務化

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労働者に対して、使用者が時季指定して毎年5日の年次有給休暇を計画的に付与することが義務化されました。しかし、時季指定の際、使用者は労働者の意見を尊重する必要があり、対象となる労働者の範囲や時季指定の方法などを就業規則に明記しなければなりません。なお、対象者は年10日以上の有給休暇が付与される労働者であり、パートやアルバイトなど、付与される有給休暇が年10日未満の短時間労働者は対象外です。

改定前の労働基準法では、有給休暇の取得日数について使用者に義務がありませんでした。しかし、現在の日本の有給取得率は世界的に見て最低クラスにあり、労働者が有給休暇を積極的に取得してリフレッシュすることも働き方改革の一環と見なされ、労働基準法に組み込まれることになりました。

関連おすすめ助成金:時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)

厚生労働省の助成金で、労務管理担当者の研修や労務管理効率化ソフトの導入など、時間外労働の削減や有給消化促進につながる取り組みをした上で、ボランティア休暇などの特別休暇を1つ以上導入した場合、最大100万円(最大助成率3/4)を支給します。


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フレックスタイム制の清算期間延長

フレックスタイム制とは、清算期間中の所定の総労働時間に達する限り、労働者が始業・就業時間を設定できる制度です。清算期間における総労働時間と所定労働時間は同じ意味で、これまでの清算期間は1ヶ月まででしたが、労働基準法が改定されたことで3ヶ月まで延長できるようになり、労働者はより柔軟なスケジュールで働けるようになりました。例えば、5月は長時間働き、7月は短時間働いて余暇を楽しむという調整ができるようになりました。

しかし、それでは過度な長時間労働をしてしまう月が生じる可能性があります。そのため、時間外労働が週平均50時間を超えた場合、その月で割増賃金の清算をおこなうことになっています。また、2~6ヶ月平均すべての月において80時間以内、月100時間未満という時間外労働の上限規制を遵守する必要があります。

関連おすすめ助成金:東京都働き方改革助成金(フレックスタイム制度導入)

フレックスタイム制を導入し、計画期間中(3~12ヶ月)すべての月において、月1回以上、以前の始業・終業時間と異なる時間で出退勤した場合、10万円助成されます。


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高度プロフェッショナル制度が創設される

高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門知識・スキルを持つ労働者が労働時間を気にせず働ける制度として創設されました。職種としては、研究開発や金融商品のディーリング、アナリスト、コンサルタントなど専門性が高く、労働時間ではなく成果で評価されることが望ましいものが想定されています。

高度プロフェッショナルの労働者は、時間外労働の上限規制が適用されません。また、年収が平均給与額の3倍を上回る水準であることも必要です。その他にも、高度プロフェッショナルの労働者が過度な時間外労働をしないよう、勤務間インターバル制度の導入、4週4回以上の休日確保などの諸条件も設けられています。
高度プロフェッショナル制度に関する助成金は現在確認されていませんが、今後、公募されていく可能性は高いでしょう。


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労働基準法改正が企業に及ぼす影響

オンラインでのコミュニケーションとリアルでのコミュニケーションのハイブリッド型コミュニケーションをする従業員

この改正労働基準法は、ワークライフバランスを重視し、柔軟な働き方を目指すものです。そのため、労働者の勤務形態は多様化し、オフィスでの業務管理がこれまでより難しくなる可能性があります。そして、この改正は、使用者である企業が労働者の勤務時間を短縮する措置を講じ得なくなります。限られた労働時間で、これまでと同じ、あるいはそれ以上の成果を上げるためには、業務効率化をきっかけとした労働生産性の向上を目指し、そのためのツールを導入することや勤務制度の変更が必要となります。
また、業績向上を目指すためには、使用者の元に長く働いてもらえるようにエンゲージメントを高める必要があります。具体的な施策として、テレワークや在宅勤務など場所を問わない働き方の導入や、現行の福利厚生制度を見直すことも視野に入れるとよいでしょう。

さらに、この改正は、より労働者の雇用機会確保に資するものと考えられます。2004年1月に明文化された、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇権の行使は無効という、いわゆる「解雇ルール」は網羅すべき内容とされており、70歳までの就業確保を努力義務と内容とする高年齢者雇用安定法改正も相まって、使用者は多様な労働者の状況に対応することが求められていくことでしょう。


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労働基準法改正に対応するために企業はどうあるべきか

勤怠管理を徹底する

労働基準法が改正されたことにより、労働者の時間外労働や休日労働は必要最小限度にとどめなければならなくなります。加えて、フレックスタイム制やテレワークを利用する労働者が増えれば、これまでのような勤怠管理がいっそう難しくなるでしょう。
時間外労働は、限度時間を超えた場合、罰則が設けられていますので、使用者である企業は勤怠管理を徹底する必要があります。しかし、タイムカードを用いたアナログでの管理では限界があり、法定労働時間を知らないうちに超えてしまっているということも考えられます。正確な勤怠管理と作業効率化の観点から、勤怠管理システムの導入も方法の1つです。

また、中小企業に関して猶予されていた月60時間を超える時間外労働の法定割増賃金率が、2023年4月から25%から50%以上へ引き上げられます。このことも踏まえ、中小企業においては人件費適正化のための労働時間の見直しが必要になるでしょう。もちろん、休日出勤に関しても労働基準法に違反しないようにすべきです。


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就業規則の見直し

年次有給休暇の時季指定に関しては、就業規則に以下の点の記載が必要になります。

・時季指定の対象となる労働者の範囲
・時季指定の方法等


高度プロフェッショナル制度を導入する場合は、以下の点を中心に就業規則の見直しを検討してください。

・対象となる職種、対象者の明確化
・休息や深夜労働に関する規定
・医師への報告義務、面接指導に関する規定


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労働者の健康意識を高める

今回の改正そのものが長時間労働を抑制し、健康な働き方の実現を目指しています。仮に、労働者の時間外労働の限度時間が猶予されたり、限度を超えて働いてもらったりする場合でも、その主旨に調和して、健康管理にはこれまで以上に気を配る必要があります。これは、企業ブランドや評価、ステークホルダーとの関係や新規雇用にも影響を与えかねません。

産業医への報告や相談はもちろんのこと、労働者の健康意識を高めるためにセミナーを実施したり、ウェアラブル機器の利用により、健康状態の見える化を進めたりして、各自の健康状態に「気づき」を与えるような制度の導入も検討が必要です。


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まとめ

2019年の労働基準法の改正は、働き方における大きなターニングポイントとなりました。それ以降も、細かい変更を含めて労働基準法は改定されており、この先も世の中の動きに合わせて幾度となく改定されることが想定されます。
今回、紹介した国や東京都の助成金の他にも、多くの自治体で働き方改革関連の助成金や補助金が公募されています。働き方改革について何らかの対策に取り組みたいと考えている方は、官庁や本社所在地の自治体の助成金情報をこまめにチェックしておくことをおすすめします。今後も、官庁や自治体をはじめ、すべての企業や組織で働き方改革が積極的に推進され、労働者は誰もがライフスタイルに応じて柔軟に働き方を選択できる世の中になることでしょう。


改正労働基準法の主な変更点まとめ

改正ポイント

改正後の詳細

改正前

おすすめの助成金

時間外労働の上限規制の明記

時間外労働は月45時間・年360時間が限度。

特別な事情で月45時間を超過していいのは1年につき6ヶ月まで。

年720時間以内、2~6か月平均80時間以内、月100時間未満は遵守。

時間外労働の上限がなく、従業員をどれだけ残業させても違反にならない。

時間外労働等改善助成金
(時間外労働上限設定コース)

年次有給休暇取得の一部義務化

労働者に対して、使用者が時季指定して毎年5日の年次有給休暇を計画的付与。

対象労働者の範囲や時季指定の方法などを就業規則に明記。

有給休暇の取得日数について使用者に義務がない。

時間外労働等改善助成金
(職場意識改善コース)

フレックスタイム制の清算期間延長

フレックスタイム制の清算期間が3ヶ月まで延長。

労働者はより柔軟なスケジュールで働けるようになる。

ただし、時間外労働が週平均50時間を超えた場合、その月で割増賃金の清算を行う必要がある。

また、時間外労働の上限規制を守る必要もある。

フレックスの清算期間は1ヶ月まで。

東京都働き方改革助成金
(フレックスタイム制度導入)

高度プロフェッショナル制度の創設

高度の専門知識・スキルを持つ労働者が労働時間を気にせず働ける制度として創設。

研究開発やアナリストなど専門性が高く、労働時間ではなく成果で評価されることが望ましい職種を想定。

時間外労働の上限規制は適用されず、年収は平均給与額3倍を上回る水準にする。

高度の専門知識・スキルを持つ労働者でも、労働時間で評価される場合や能力に合った賃金を受けられない場合がある。

現在確認されず


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