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なぜ労働生産性が上がらないのか?向上のためのポイントとは

労働生産性を向上させることは、「働き方改革」を実現する上で、欠かすことのできない重要なポイントです。しかし世界のなかで日本の労働生産性は決して高いとは言えないのが実情です。その理由はどこにあるのでしょうか。今回はそもそも労働生産性とはどういったものなのか、なぜ日本の労働生産性が上がらないのかについて解説します。さらに向上させるにはどうするべきなのかについても考えていきます。

目次[非表示]

  1. 1.世界と比較して日本の労働生産性は低い?
  2. 2.労働生産性の基本と算出方法
  3. 3.労働生産性を向上させるためのポイントとは?
  4. 4.「働き方改革」に対応した取組みが必須
  5. 5.労働生産性向上のポイントは従業員が生き生きと働ける環境を実現すること

世界と比較して日本の労働生産性は低い?

公益財団法人 日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較 2017年版」によると、OECDデータに基づく日本の時間当たり労働生産性は46.0ドル(4,694円)でOECD加盟35ヶ国中20位でした。この順位は主要先進7ヶ国だけで見ると最下位です。また就業者1人当たりで見た労働生産性も、81,777ドル(834万円)でOECD加盟国35ヶ国中21位と、下位の結果となっています。

この結果だけを見ると、日本の労働生産性はかなり低い水準であると思われるかもしれません。もちろん、現状、日本の労働生産性が高いとは言えないことは事実です。しかし労働生産性の国際比較は、各国の経済状況も違えば法人税や所得税のルール、雇用に関する法律もそれぞれの国で異なります。また為替変動の影響、国民性の違いなどもあります。そのため世界との比較という視点で見た場合、この結果だけでは必ずしも日本の労働生産性が低いとは言いきれない部分もあります。

さまざまな事情があるものの、それでも日本の労働生産性が低いといわれる理由として、次のようなことが考えられます。

■市場の縮小
少子高齢化によって、市場が頭打ちとなり、縮小方向に向かっている日本において、どれだけ多くのモノを生産したとしても、それが売上げに直結するとは限りません。仮に売上げを上げるために価格を下げたとしても、それは生産性には結びつかないため、どうしても労働生産性が上がりにくくなっています。

■無駄の多い業務
発言しない従業員が多く参加する会議、多くの上役の署名捺印が必要な稟議(りんぎ)書、担当者以外は誰も把握していない仕事など、業務を効率的に進めていく上で無駄が多いことも労働生産性が下がる要因です。

■従業員格差
正規従業員と非正規従業員の待遇や給与格差、いまだに残る


年功序列制の昇進などで従業員のモチベーションが上がらず、働く意欲が湧かない、能力が向上しないといったことを招き、結果として労働生産性が下がってしまいます。

こうした理由以外に、業種や企業規模によっても労働生産性に差が出ます。例えば前出の調査によると、産業別に見た日本の労働生産性(就業1時間当たりの付加価値額/2010~2012年平均)では、化学や機械、輸送機械などでは米国の労働生産性を上回っています。しかし卸売・小売業や飲食・宿泊、運輸業などでは米国の半分にも満たないという結果になっています。このことからも多くの産業のなかでも、サービス産業の労働生産性が著しく低いということがわかります。

企業規模で見ると、大企業に比べ、中小企業の労働生産性が低い傾向があります。これは2018年4月に経済産業省が発表した「2018年版中小企業白書・小規模企業白書概要」の結果からも明らかで、大企業は経済や景気の変動による影響が大きく、リーマンショック以降、年々右肩上がりで労働生産性が上がっていますが、中小企業はここ10年以上、ずっと横ばいの状況です。これは、大企業は景気が良くなれば投資できる労働投入や資本が増えますが、中小企業ではそれができていないということが大きな差となっていると推測できます。

これらの理由は必ずしも日本独自とは言えませんが、それでも多くの日本企業の傾向であり、世界と比較した際に労働生産性が低くなってしまう要因のひとつと言えます。


労働生産性の基本と算出方法

労働生産性とは、具体的には労働者1人当たり、もしくは1時間当たりに生産できる成果を数値にしたものです。計算式は下記のとおりです。

労働生産性=産出(労働の成果)÷投入(労働量)


そしてこの労働生産性には、生み出した成果に対しての付加価値を表す「付加価値労働生産性」と、成果に対しての生産量や金額を表す「物的労働生産性」の2つがあります。それぞれの労働生産性の算出方法は次のとおりです。

■付加価値労働生産性の算出方法
【1人当たりの付加価値労働生産性】付加価値額÷従業員の人数
【1時間当たりの付加価値労働生産性】付加価値額÷(従業員の人数×時間)
※付加価値額:営業利益高、人件費、租税公課、動産・不動産賃借料などを足し合わせたもの

■物的労働生産性の算出方法
【1人当たりの物的労働生産性】生産量÷従業員の人数
【1時間当たりの労働生産性】生産量÷(従業員の人数×時間)


労働生産性を向上させるためのポイントとは?

少子高齢化による労働力不足が労働生産性を下げてしまう要因ではないかと思われる方もいるでしょう。しかし前出の労働生産性の国際比較を見ると、日本よりも人口が少ないにもかかわらず、日本よりも上位にいる国は多く、必ずしも労働力不足だけが労働生産性を下げてしまう要因とは言いきれません。ではどうするべきか、具体的には次のようなことが考えられます。

■無駄を省いた業務効率化
労働生産性が上がらない理由のひとつとして、無駄な業務が多いことを挙げましたが、この業務の無駄を省くことが労働生産性を上げる上で大きな効果を発揮します。具体的には定例会議の見直し、稟議書や提案書など書類のペーパーレス化、クラウドや管理システムなどのIT活用が考えられます。

■従業員のモチベーションアップ
従業員のスキル開発、年功序列から能力による人事評価への転換、福利厚生の充実などによる従業員満足度の向上を行うことで、従業員のモチベーションアップを促すことも労働生産性を上げる重要な要素と言えます。

これらの施策を行うことで、業務効率化と従業員のモチベーションアップが実現すれば、労働力不足であっても、労働生産性が上がる可能性は高まります。


「働き方改革」に対応した取組みが必須

2019年4月から働き方改革関連法が順次施行されます。そのなかには勤務間インターバル制度や残業時間の上限規制、同一労働同一賃金などが含まれています。今後は、これまで以上に業務効率をアップしなければ、労働生産性はますます下がってしまう可能性もあります。

労働生産性が下がることを避けるためには、上述したIT活用の業務効率化の施策はもちろん、従業員のモチベーションアップもあわせて行うことが大切です。そして目前に迫った働き方改革法案の順次施行を見据え、できる限り早い段階から始めることで、より高い効果を発揮させるようにすることが重要です。


労働生産性向上のポイントは従業員が生き生きと働ける環境を実現すること

労働生産性が向上しない要因が、必ずしも労働力不足だけでないことはご理解いただけたと思います。今後、少子高齢化は今以上のスピードで進んでいき、もはや避けることができません。であれば、労働力不足を理由に従業員に残業や過剰な労働を押し付けて労働生産性を上げるのではなく、従業員が生き生きと働ける環境を提供することが重要です。さらに従業員の働きがいやモチベーション、自信を高める施策を実施することで、少ない労働力のなかでいかに快適に働くことができるかを重視する方が、労働生産性向上の施策として現実的だと言えます。


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