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中小企業がテレワーク導入を検討すべき理由と3つのポイント

新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、テレワークの導入を検討する企業が増えています。株式会社パーソル総合研究所が2020年3月9日~15日に実施したテレワーク導入率調査によると、全国の正社員2万人のうち13.2%が実施していました。特に注目すべきなのは、そのうち初めてテレワークを実施した人が47.8%と半数近くに上ったということです。

今回、急場で環境を構築した企業もあることから初めて実施した人が増えつつありますが、今までオフィスで行っていた仕事を従業員がテレワークで行うためには、準備や工夫も必要です。

目次[非表示]

  1. 1.テレワークの定義と現状
    1. 1.1.テレワーク、在宅勤務、モバイルワークの違い
    2. 1.2.テレワークを取り巻く日本の現状
    3. 1.3.世界各国の現状
  2. 2.テレワーク導入のメリット・デメリット
    1. 2.1.メリット1:従業員の働き方の本質を変えられる
    2. 2.2.メリット2:生産性向上が期待できる
    3. 2.3.メリット3:離職率が低下し、優秀な人材を留めることができる
    4. 2.4.メリット4:コストや時間の削減につながる
    5. 2.5.デメリット:勤怠管理が難しい
  3. 3.中小企業主を対象とした助成金・補助金
    1. 3.1.働き方改革改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
    2. 3.2.働き方改革改革推進支援助成金(テレワークコース)~中小企業事業主向け~
    3. 3.3.その他の助成金・補助金
  4. 4.中小企業がテレワークを効果的に導入するための3つのポイント
    1. 4.1.セキュリティの確保
    2. 4.2.ルールの作成
    3. 4.3.ICT環境づくり
  5. 5.まとめ:中小企業は今こそ働き方改革を!


テレワークの定義と現状

テレワーク、在宅勤務、モバイルワークの違い

テレワーク
テレワーク(telework)とは「離れたところで(tele)働くこと(work)」で、ICT(情報通信技術)によって、時間や場所に縛られず有効に活用できる柔軟な働き方のことを言います。

在宅勤務
在宅勤務はテレワークと同義語のように扱われますが、厳密にいえば、在宅勤務はテレワークの一形態であり、働く場所によってテレワークには「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」も含まれます。

モバイルワーク
モバイルワークとは自宅でもサテライトオフィスでもない、カフェや移動中の交通機関の車内などで、主にスマートフォンやタブレットを使用する働き方のことを言います。

テレワークを取り巻く日本の現状

テレワークは新型コロナウイルス感染症の拡大によってメディアなどでも大きく取り上げられるようになりましたが、2020年3月12日に発表があった大阪商工会議所の調査によると、テレワークの実施率は調査対象489社中、資本金が3億円を超える企業が54.7%に対して、資本金が3億円以下の企業はわずか9.5%でした。

政府は2012年からテレワークの普及を目標として掲げており、政府が定めた「世界最先端IT国家創造宣言」では「2020年には、テレワーク導入企業を2012年度(11.5%)比で3倍、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者の10%以上」にするとしていましたが、2020年の現在、目標の実現までまだまだほど遠い様子です。

しかし、冒頭で紹介した調査結果によると、テレワークを実施していない正社員のうち33.7%はテレワーク希望者ということも分かっており、従業員側のニーズがありながらも、企業側がテレワークへの対応が未だ整っていないという現状がうかがえます。

また、勤務先従業員数別でのテレワーク導入率は、従業員数10,000人以上の大企業では37.4%でテレワークが推奨され、5.5%はテレワークが命じられているのに対し、100~1000人未満の企業ではテレワーク推奨は16.6%、100人未満の企業では7.6%まで落ち込んでしまいます。このことから、今のこの緊急事態においてさえ、中小企業にとってテレワークの導入はハードルが高いことを如実に示しています。

2019年にエン・ジャパンが従業員数300名未満の企業419社を対象に実施した調査によると、中小企業がテレワークを導入しない理由の第一位は「テレワークに適した業務がない」(48%)でした。中小企業では、限られた従業員で複数の仕事を行うことが常態化しており、業務の切り分けが明確になされていないため、一体何がテレワークに適した業務なのか明確ではないというのが現状です。

ですから、中小企業の場合はテレワーク導入に向けて、ICTやテレワークのツール等の整備コストがかかるため二の足を踏んでいるということももちろんですが、そもそもテレワークの必要性を実感できていないというのが課題と言えます。

世界各国の現状

テレワークを取り巻く海外の状況にも目を向けてみましょう。テレワークが圧倒的に普及しているのはアメリカで、導入率は85%にも及び、常時会社から離れて仕事をするフルテレワークを実施している企業も34%を占めます。

ヨーロッパでは、テレワークの導入率はイギリスが38.2%、フランスが14.0%、ドイツが21.9%、イタリアは5.3%であり、各国の産業構造や地理的要素が異なるため、かなりばらつきがあることがわかります。

アジア諸国は固定時間制度に対するこだわりが強く、例えばシンガポールではテレワーク普及率は民間全体の5.4%に過ぎません。

いずれも新型コロナウイルス感染症の世界的拡大前の調査ですから、現状は少し異なるかもしれませんが、アメリカを除いてはどの国もテレワーク普及に対する意識が低いことが分かります。


テレワーク導入のメリット・デメリット

福利厚生のメリットとは?企業が力を入れるべき理由と、従業員に人気の福利厚生TOP32

メリット1:従業員の働き方の本質を変えられる

新型コロナウイルスに感染するリスクを減らして業務ができること以外の最も大きなメリットは、働き方の本質を変えること、つまりワーク・ライフ・バランスの向上という点でしょう。

厚生労働省の調査によると、テレワークによって「家族と共に過ごす時間」「家事の時間」「育児の時間」が増えたと回答した従業員は8割近くにものぼり、「自己啓発の時間」については約4割、「睡眠時間」「介護の時間」については3割以上が増えたと述べています。

メリット2:生産性向上が期待できる

オフィスで醸成されていた「上司が部下を監督する」という関係が、テレワークを導入することによってチームで働く体制へとシフトし、コミュニケーションやチームワークがさらに必要となることで従業員同士の信頼関係が築かれ、高い生産性を維持することが可能になります。

この点は、オフィスを持たず700人の従業員全員が完全在宅勤務の形をとっている株式会社キャスターの社長、中川祥太氏も「全社的に何かを変えなければならない状況は(中略)社員と企業が互いに信頼関係を構築、強固にする機会になる」と言います。今はまさに企業側が在宅勤務を含むテレワークへと舵を切ることが従業員のポジティブな側面を引き出すことになるのかもしれません。

出典:日経ビジネス 在宅勤務は効率アップ 完全在宅の社長が明かす極意

メリット3:離職率が低下し、優秀な人材を留めることができる

テレワークを導入することによって、従業員が生活の中で直面する育児や介護と言った様々なライフイベントを両立しやすくなります。従業員それぞれのライフスタイルに合わせた柔軟な働き方は従業員満足度を高め、結果として離職率が低下し、優秀な人材を留めることができます。

メリット4:コストや時間の削減につながる

オフィス環境を維持するためにかかる光熱費や従業員の通勤にかかる交通費や取引先へ出向く際に発生する交通費を削減することができます。総務省の試算によると、一人あたりのオフィスでの電力使用量はテレワークの導入によって43%も削減できるということです。

また、出張をともなうような遠方の取引先に対しても、出張費を削減することのほか、何週間、何カ月も前から予定を決めることがない上に、現地への移動にかかる時間を削減でき、スピーディーな対応が可能になります。

デメリット:勤怠管理が難しい

中小企業の経営者の多くがテレワークによってむしろ生産性を低下することや勤務時間をごまかしたりするのではないかと心配していますが、実際はその逆であることをデータは証明しています。独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査によると、テレワークを実際に行ってみて「仕事の生産性・効率性が向上する」と答えた方は54.4%にも上りました。

勤怠管理はICTや様々なツールを活用することによって解決できる問題も少なくありません。むしろ、見方を変えれば、オフィスで管理されることがなくなり、従業員がより一層の成果を出すことが求められるため、業務効率の向上や従業員自身の成長にもつながります。

逆にこの時期にテレワークの導入が出遅れてしまい、万が一、感染者が一人でも出てしまえば、事業所の閉鎖と企業イメージに大打撃を受ける結果にもなりかねません。大なり小なり払うコストがあるとしても、このようにテレワークは導入するメリットの方が圧倒的に多いということを意識して導入するステップへと進みましょう。


中小企業主を対象とした助成金・補助金

人材確保に向けた取組を支援。人材確保等支援助成金とは?

働き方改革改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)

実施期間は令和2年5月31日までですが、テレワーク用通信機器の導入・運用や就業規則・労使協定等の作成・変更、労働者に対する研修、周知・啓発などを対象に、テレワークを実施した労働者が一人でもいれば、企業は100万円を上限として助成金を申請できます。

出典:厚生労働省 「働き方改革推進支援助成金」新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース

働き方改革改革推進支援助成金(テレワークコース)~中小企業事業主向け~

時間外労働の制限を改善することを目的とし、従業員が自宅やサテライトオフィスでテレワークを実施した際に申請が可能です。

時間外労働等改善助成金と同様にテレワーク用通信機器の導入・運用や就業規則・労使協定等の作成・変更、労働者に対する研修、周知・啓発などが対象で、成果目標に対する評価期間を作成し、評価期間中にテレワークを実施した労働者の時間外労働が5時間以上削減できた場合を目標達成として、1人あたり20万円もしくは1企業あたり150万円のいずれか低い方を上限に助成金を申請できます。

もし、目標が達成できなかった場合でも、1人あたり10万円もしくは1企業あたり100万円いずれか低い方を上限に助成金を申請することは可能です。

出典:厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

その他の助成金・補助金

テレワーク導入の目的以外にも中小企業向けの助成金や補助金は各種取り揃えられています。政府では各種制度のカタログを掲載・配布していますので、以下を参照してください。

テレワークを導入することで従業員が安心して働ける環境を整えることこそが、長期的にみれば会社経営をも守ることになる、ということを念頭に置いておきましょう。

出典:経済産業省 新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ

出典:中小企業庁 2020年度版中小企業施策利用ガイドブック


中小企業がテレワークを効果的に導入するための3つのポイント

セキュリティの確保

テレワークでは企業にとって重要な情報資産をオフィスの外で使用することになります。とりわけ個人情報などの機密情報が含まれている場合は特に注意が必要です。

情報セキュリティには人為的な側面と技術的な側面がありますが、従業員の自覚や意識だけに任せてしまうのではなく、技術的な担保も必要です。最も中小企業では導入するためのコストにも限界がありますが、効率よくテレワークを導入するためにはセキュリティを確保したうえでツールやサービスを利用することを推奨します。

ルールの作成

中小企業では限られた人数で業務を行っていることから、テレワーク導入を決定した場合、「何を」「誰が」「どのくらい」行うことができるのか、詳細を明確にしておく必要があります。例えば、新型コロナウイルス感染症対策をイメージしたルール決めは以下のようになります。

「何を」
その中でもまず優先すべきなのは「何を」、つまりテレワークの業務範囲の確定が重要です。一般的には資料作成や、取引先や顧客先への連絡、アポ取り、調整、社内での形式的な手続きなどがテレワークに適しているといえるでしょう。また、商談や会議においても「密閉」「密集」「密接」の3つの「密」を防ぐため、Web会議システムやグループウェアをはじめとしたオンラインコミュニケーションツールで行うのに適しています。

「誰が」
対象者の選定におけるルールは、従業員が不公平な扱いを感じることがないように分かりやすいものにしておく必要があります。例えば、部署内で2つのグループを作り、テレワークを行うグループとオフィスへ出勤するグループを交互に設定することで大勢の従業員が社内にとどまることを避け、感染のリスクを減らすことに有効です。

「どのくらい」
これは業務の時間や頻度ですが企業の労務管理と関係しますので、労働基準法などの労働関係法令が適用されます。テレワークであっても労働時間の把握が必要ですから、在宅で勤務する場合には始業、就業時間を確認し、記録することが必要です。また、通信機器や通信費の負担についても前もってルールを作成しておくとよいでしょう。

今であれば量以外に期間についても、外出自粛や緊急事態宣言が解除されるまでや、新型コロナウイルス感染症が収束するまでなど、大体的にテレワーク実施期間を決めておき、それ以降の期間や継続可否については別途検討を行いましょう。

ICT環境づくり

ICT環境づくりにあたっては、既存のシステムにどのようにテレワーク業務を組み込んでいくかということがポイントです。また、機密情報をみだりに持ち出すことなく業務ができる環境の構築が必要です。

ハード面では前述のセキュリティの確保と連動したツールやサービスを利用し、ソフト面ではテレワークによって複数の従業員が同時にコミュニケーションをとるためのWeb会議室システムなどのツールや、成果物を共有するためのシステム環境を構築し、合わせて従業員の勤怠と業務内容の進捗管理を行う必要があります。

また、これまで紙ベースだった書類をICT環境によりデータ化することで、今後の業務効率化を図ることも可能です。例えば社内の中にしかない書類の内容を社内以外の離れた場所(テレワーク先・事業所・工場など)で確認するにあたり、紙媒体であれば一度は社内の書類管理担当者へ問い合わせる必要がありますが、データ化して共有することで問い合わせるというワンクッションが必要なくなります。

中小企業ではペーパーレス化がなかなか進んでいないことが現状ですが、印刷にかかわる用紙代やインク代、保管に必要なファイル代などの経費削減にもつながりますし、何よりも保管するスペースの確保や書類管理も必要なくなり、オフィスが広々とし、新たな別の用途で使用できるようになります。ぜひ、ペーパーレス化を念頭に置いたICT環境づくりを進めましょう。


まとめ:中小企業は今こそ働き方改革を!

新型コロナウイルス感染症の拡大は大きな脅威であり、ピンチであることは間違いないでしょう。しかし、この局面をどう打開し、ピンチをチャンスに変えられるか、いままさに企業側の判断が迫られています。安心して自分と周囲の健康を顧みられるようにするためにもテレワークは必要不可欠であり、導入することで企業と従業員との間には強い信頼関係が築かれることでしょう。

「テレワークはうちの業務には向いていない」と決めつけるのではなく、今一度、業務の洗い出しを試みて、テレワークの可能性を探ってみてはいかがでしょうか。この騒動が収束したときには他社より一歩先をいくリーディングカンパニーになっているはずです。


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