EVPとは?近年注目を集める背景と、会社がEVPを高めるメリットを解説
近年、話題となっている「EVP」をご存知でしょうか?
EVPとは、「会社が従業員に提供できる価値」を指す言葉です。
EVPを高めると、競合他社との差別化が図れるだけでなく、従業員やお客様に選ばれる唯一無二の魅力的な会社をつくり上げることが可能です。
今回は、EVPの概要や注目されている背景、EVPを考える5つのメリットなどについて紹介していきます。
目次[非表示]
- 1.EVP(従業員価値提案)とは?
- 2.近年、EVPが注目されている背景
- 2.1.終身雇用の時代は変わり、転職が一般的になったから
- 2.2.従業員が会社に求めるものが多様化してきているから
- 2.3.ライバル企業との差別化を図ることができるから
- 2.4.会社の成長は従業員の成長
- 3.EVPについて考える5つのメリット
- 3.1.従業員満足度の向上
- 3.2.顧客満足度の向上
- 3.3.採用ブランディングにつながる
- 3.4.離職率を下げる効果も
- 3.5.経営理念・行動指針の浸透を促進する
- 4.EVPを高めるための具体的な手順
- 4.1.自社の従業員の現状を把握する
- 4.2.自社の現状のEVPを把握する
- 4.3.自社の従業員の現状について意見交換をおこなう
- 4.4.社内でEVPに関する意見交換をおこなう
- 4.5.新たな育成プログラム作りに役立てる
- 4.6.効果測定をする
- 4.7.繰り返し改善と効果測定をおこなう
- 5.まとめ~flappi(フラッピ)はEVPを可視化し、企業と従業員双方の成長を実現します
EVP(従業員価値提案)とは?
EVPとは、Employee Value Proposition(エンプロイー・バリュー・プロポジション)のことです。直訳すると「従業員価値提案」となり、「会社が従業員に提供できる価値」を定義としています。
従来の会社経営は、「いかに自社に利益をもたらす人材を確保するか」という点に重きをおいておこなわれていました。
しかし、労働者の多様な働き方が浸透し始めた近年においては、「会社が従業員に対してどのような価値を提供できるか」という視点をもたなければ、優秀な人材の流出、人手不足といったリスクが高まります。
そのため、それぞれ異なる経験や能力、個性をもった従業員に最適なEVPを提供することが、重要な経営課題のひとつとして認識されるようになりました。
近年、EVPが注目されている背景
近年、EVPが注目されている背景には、主に以下4つの要因が考えられます。
終身雇用の時代は変わり、転職が一般的になったから
少し前まで当たり前だった「会社が従業員を選ぶ」時代は終わりを迎え、現在は「従業員が会社を選ぶ」時代となりました。
時代の移り変わりにともない、ひとつの会社で定年まで勤めあげる「終身雇用制度」に価値を見出していた従業員の意識が変化し、雇用の流動性が高まっています。
また、転職が一般化したことにより、会社が優秀な人材を確保するためには、自社ならではのEVPの構築が欠かせなくなっています。
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従業員が会社に求めるものが多様化してきているから
従業員が会社に求める価値は、年々多様化しています。
従業員は、働く環境や働き方が人生の満足度を左右することを認識しているため、金銭面や物的報酬面だけでなく、充実した福利厚生やワークライフバランスのとれる環境、働きながら自らの可能性やスキルを伸ばせる環境など、人生そのものを豊かにできる働き方を会社側に求めています。
現代の従業員のモチベーションは、高い給与だけでは上がらなくなってきているのです。
そのため、「金銭面以外の労働対価をどれだけ従業員に与えられるか」という点に注力する会社が増えています。
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ライバル企業との差別化を図ることができるから
EVPは、競合との差別化にも効果を発揮します。
EVPを明確にすると、わかりやすく自社の経営理念や強みをアピールできるため、競合との差別化を図れます。つまり、従業員一人ひとりの個性を尊重したEVPを提供できれば、他社から抜きんでることが可能なのです。
また、採用活動においても、求職者にあらかじめEVPを浸透させておくと入社前後でギャップを抱きにくくなるため、より自社にマッチした優秀な人材を確保できます。さらに、早期退職といった短期での人材流出も防ぐことができます。
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会社の成長は従業員の成長
会社の成長と従業員の成長には、相関関係があります。
会社は「ひと」で成り立っています。
従業員の成長なくして、会社全体の成長はあり得ません。
そのため、多様な価値観をもつ従業員一人ひとりの個性や強みを理解し、高いモチベーションをもって働ける環境を整備することが会社側に求められています。
従業員が会社に価値を感じれば、日々の仕事のパフォーマンスも向上し、新たな顧客価値の創造にもつながります。
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EVPについて考える5つのメリット
EVPは、従来の福利厚生制度で大きな効果が得られなかった会社こそ、注目すべきものです。
ここでは、EVPについて考える5つのメリットを紹介します。
従業員満足度の向上
EVPを考えることで、従業員の会社に対する満足度は向上します。
仕事や会社への満足度は、日々のモチベーションやパフォーマンスに直結する重要な要素であり、自社で働く価値を最も身近に実感できるポイントでもあります。
従業員の求めるものを理解し、十分な価値を提供している会社は、従業員にとって唯一無二の魅力的な会社となり、長期の安定的な雇用にもつながります。
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顧客満足度の向上
従業員満足度の向上は、顧客満足度の向上にも良い影響を与えます。
従業員が高い満足感を得て働いていれば、自ずとモチベーションやパフォーマンスが向上するため、顧客にも質の高いサービスの提供が可能になるのです。
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採用ブランディングにつながる
魅力的なEVPの提供は、採用ブランディングを高め、優秀な人材の確保につながります。
数多くある会社の中から選ばれる会社になるためには、自社ならではの魅力を打ち出し、自社の従業員になることで実現する「明るい未来」を想像させることが大切です。
採用時に独自のEVPを押し出すことができれば、既存の従業員だけでなく、未来の従業員候補者たちにも強くアピールできるようになるのです。
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離職率を下げる効果も
EVPは、離職率の低下にも効果を発揮します。
離職率を下げるためには、多くの従業員に「この会社で長く働きたい」と感じてもらうための工夫をする必要があります。
会社が提供するEVPが従業員一人ひとりのニーズにしっかりと応えていれば、従業員は「この会社で働けてよかった」と会社に価値を感じ、離職を考えることはなくなるでしょう。
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経営理念・行動指針の浸透を促進する
EVPは、経営理念や行動指針浸透の促進にも役立ちます。
チームワークや組織力を高めるためには、会社のあり方を示す経営理念や行動指針の浸透が欠かせません。
しかし、本質的な部分を従業員全体に浸透させることは、なかなか難しいのが現実です。
経営理念や行動指針に基づいたEVPを提供すれば、その成果が従業員の日々の行動や仕事のパフォーマンスとして反映されることが期待できます。
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EVPを高めるための具体的な手順
EVPを高めるためには、自社のEVPについて理解を深め、改善を重ねる必要があります。
ここでは、EVPを高める具体的な手順を紹介します。
自社の従業員の現状を把握する
まずは、自社の従業員の現状を把握する必要があります。
従業員は「自社のどのような点に価値を見出しているのか」、ヒアリングをおこないましょう。
具体的には、なぜ自社で働いているのか、自社にどのようなイメージを抱いているのか、他社にはない自社ならではの特色は何か、などの質問をして、役職や職種に関係なく、現場の生の声を集めることが大切です。
そして、従業員のもつ価値観やスキルを、多角的に可視化しましょう。
さらに、これらを従業員がいつでも閲覧できるようにしておくと、自らの現状を客観的にとらえることにも役立ちます。
自社の現状のEVPを把握する
次に、現状自社が提供しているEVPについて正しく把握しましょう。
ポイントは、役員・幹部陣や福利厚生を担当する総務・人事担当者が会社として「提供している」と認識している価値と、実際に従業員(社員)が会社から「提供されている」と感じる価値の間にギャップがないか、という点です。
十分にヒアリングをおこない、その結果を参考にして、慎重に分析するようにしましょう。
自社の従業員の現状について意見交換をおこなう
従業員(社員)の現状と、自社のEVPに関する意識が把握できたら、次は「どのような働き方が理想なのか」、「どのような支援を会社に求めているのか」について意見交換をおこないます。
メンバーは、役職・職種・年齢・性別・家族構成などに偏りがないよう、幅広い属性の従業員を集めるようにしましょう。
さらに、あまり改まった場ではなく気軽に、遠慮なく自分の考えや思うところを発言できる場が理想的です。会社側は、従業員が本音を話しやすい環境を整えるよう努めましょう。
社内でEVPに関する意見交換をおこなう
従業員・会社のそれぞれの現状について十分な意見交換が済んだら、同様にEVPに関する意見交換の場も設けましょう。片方ずつのヒアリングにとどめず、双方の立場が集まる場を設けることで、現状のEVPと、従業員が求めているEVPのギャップが、より明確にあぶり出せます。
この意見交換の場も前項と同様に、立場が異なるさまざまな従業員の意見を集めるようにしましょう。多彩な切り口での意見が集まれば、分析の精度も高まります。
新たな育成プログラム作りに役立てる
ヒアリングや意見交換などの調査で得られた従業員の現状は、新たな育成プログラムの作成に役立てましょう。
既存のプログラムではなく、あくまでも従業員一人ひとりに合わせた施策やプログラムの設計・構築を意識することが大切です。
効果測定をする
施策や育成プログラムの受講後は、効果測定で会社・従業員の成長や変化の状況を確認します。
必要であれば、さらなる成長を目指して個々の状況に応じた新たな施策やプログラムの実施を検討しましょう。
繰り返し改善と効果測定をおこなう
より効果的なEVPを提供するには、繰り返し効果測定をおこなう必要があります。
はじめから完璧なEVPを目指そうとせず、細かい改善を重ね、徐々に自社に適したEVPを完成させていきましょう。
これらの手順をすべておこなうには、多くの時間と労力を要します。
そのため、これらのプロセスを一貫してサポートするサービスを利用し、効率的にEVPを高めることがおすすめです。
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まとめ~flappi(フラッピ)はEVPを可視化し、企業と従業員双方の成長を実現します
EVPは、不変のものではありません。
その時々の従業員の状況や、時代の流れによって変化していかなければ、会社は従業員に最適な価値提供がおこなえず、従業員に選ばれる会社でありつづけることができなくなります。
そのため、常に会社は従業員から求められている「役割」を認識し、どのような形で価値提供できるかを真剣に考え、EVPを高める努力を怠らないようにしましょう。
JTBベネフィットが提供する「flappi(フラッピ)」は、企業のEVP向上を一括で担うサービスです。
従業員のデータを詳細に分析することで、一人ひとりに合わせた最適なプログラムを構築・提供し、会社が求める自律性・創造性を発揮する従業員の育成をお手伝いします。
また、会社側だけでなく、従業員にとっても、自分自身が気づいていない自らの価値や魅力を認識する、仕事に対するやりがい・明確な目標を発見できる、といったメリットがあります。
会社と従業員がともに成長し、飛躍する未来を実現する「flappi(フラッピ)」を、ぜひご検討ください。
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