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ジョブローテーション制度を活用し、人材の長期的な育成を目指そう!

ジョブローテーションとは、定期的に部署異動を行い、従業員に多様な業務を学んでもらうものです。日本企業ではよく見られる人材開発の制度ですが、海外での事例はそれほど多くありません。ジョブローテーションのどのような点が優れているのか、また運用の際は何に注意すべきなのでしょうか。さまざまな角度から見ていきます。

目次[非表示]

  1. 1.ジョブローテーションとは何か
  2. 2.企業側・従業員側双方におけるメリット
  3. 3.企業側・従業員側双方におけるデメリット
  4. 4.ジョブローテーションが向いている企業・向いていない企業
  5. 5.明確なキャリアプランの策定と従業員の納得感が重要

ジョブローテーションとは何か

ジョブローテーションとは、一定期間ごとに従業員を別の部署に異動させたり職務を変更したりすることです。さまざまな業務を経験して学ぶことによる、従業員の適性確認や能力開発を目的としています。

通常、企業における業務は非常に多岐にわたります。そのなかで、長年ひとつの仕事だけに従事していると、スキルや考え方などがアンバランスな人材になってしまう可能性があります。例えば、入社以来営業だけにまい進してきた従業員は、ともすれば「自分の仕事は契約を取ってくることだ」と思い込み、他部署から依頼された仕事に対して積極的に対応しなくなるかもしれません。

しかし、ジョブローテーションによって経理の仕事を経験できれば、キャッシュフローに関する知識も習得し、受注だけではなく債権回収の重要性にも気づくきっかけになるでしょう。また、同じ従業員が再び営業部に戻った場合、経理部の同僚と顔見知りになっているので業務がより円滑に進んだり、部署間の調整役として活躍してくれたりすることも期待できるのです。

このようにジョブローテーションには、さまざまな業務を経験することで、従業員が企業の業務全般を把握し、さらに社内ネットワークを構築するという狙いがあります。企業を深く知ることにつながるため、新人研修として導入している企業も多く、日本では広く普及している制度と言えるでしょう。普及の背景には伝統的な日本企業において、中長期的な雇用が前提にあったことが関係しています。一方、転職を繰り返すことでキャリアアップを図るスタイルが主流の欧米企業では、ジョブローテーションはそれほど普及していません。

ジョブローテーションは、企業側が時間をかけて従業員の適性を見極めてくれるという優れた面もありますが、望まない部署異動を繰り返す、といったネガティブなイメージを持たれることもあります。この制度におけるメリットとデメリットを、企業と従業員という双方の視点から見ていきましょう。


企業側・従業員側双方におけるメリット

まず、企業側から見た場合、ジョブローテーションは将来の経営を担う人材の育成にぴったりな制度だと言えるでしょう。特定の業務における専門性を伸ばすことに集中しすぎると、逆に他分野のことは何も知らないという人材になってしまうおそれもあります。しかし、企業経営には部署間でのバランス感覚やマクロな視点から判断する能力が欠かせません。ジョブローテーションは、企業の業務全般をある程度知ることや社内における幅広いネットワークを構築することで、将来の幹部候補としての人材育成に役立ちます。また、複数の業務を通じて適性を見極めるというステップを踏むので、採用時のミスマッチによる離職を防ぐことにもつながるのです。

従業員にとっても、ある程度の時間をかけて実務に携わりながら、自分がどのような仕事に向いているかを見出せることは大きなメリットと言えるでしょう。欧米の企業では多くの場合、専門性が求められます。そのため、他分野の業務を経験できる機会は少なく、幅広い知識を身につけるためには自主的に勉強するしかありません。これに対して、日本企業で広く採用されているジョブローテーションは、企業がさまざまな経験のチャンスを与え、幅広い業務に対応できる人材に育成してくれる、手厚い制度と言えるでしょう。加えて、先の例でも見たように、社内に知り合いが増えることで、普段の仕事がより進めやすくなるというメリットもあります。


企業側・従業員側双方におけるデメリット

反対に、この制度での最大の難点は、スペシャリストを育てにくいという点です。企業側としては、製品開発のような高い専門性が必要な分野とは切り分けて運用する必要が出てきます。また、人材育成に一定の期間をかけることが前提のため、企業としての戦力化までにはそれなりのコストがかかることや、短期間で離職された場合にはコストだけがかかってしまうこともデメリットと言えるでしょう。

従業員側にとっても、高い専門性を身につけたいと願っていた場合には、ジョブローテーションはその障壁となってしまいます。さらに、望まない異動によるモチベーションの低下といった懸念もあります。

運用におけるポイント

このように良い部分も悪い部分もあるジョブローテーションを、どのように運用していけばいいのでしょうか。ひとつのポイントとして言えるのは、「回すこと」を目的としないことです。ジョブローテーションは一定の期間を区切って異動や職務変更を行うことが前提です。しかし、それは従業員一人ひとりのキャリアプランがあった上での話です。単に複数の部署を異動させれば、良い人材に育つといった簡単なものではありません。ジョブローテーションは手間と時間がかかることをよく理解した上で、個々の従業員にどうなってほしいのかを必ず明確にし、そうした将来像を共有しておかなくてはなりません。

また、適切なローテーションの期間を見極めることも重要と言えます。一般的には、新入社員は半年まで、新人でない場合には1~3年が期間の目安となるようです。これを踏まえ、新人の場合には「3年目の段階で適性を見極めて本配属に移る」「3年ごとの異動を経て30代半ばで現場と経営層とをつなぐ中堅キーパーソンを目指す」といった具体的なプランを立てることが必要です。


ジョブローテーションが向いている企業・向いていない企業

メリット・デメリットの面からもうかがえるように、ジョブローテーションは活用に向いている企業と向いていない企業があると言えるでしょう。

成功した企業の事例を見てみると、共通しているのが「じっくり腰を据えて取組む」ことができる大企業が比較的多いという事実です。ある大手商社では、10年間という長期にわたってキャリアプランを組み、ジョブローテーションを実施しています。このなかで、現場と本社といった部署・職場ごとの詳細を把握し、企業全体としての知識の共有や活性化を図っているのです。規模の小さい企業では容易なことでも、従業員数が多くなると、全体のプロセスにおける自部署の役割や全体最適を図ることのハードルが一気に上がってきます。こうしたなかで、ジョブローテーションによる社内での人材の流通は、全社的な業務効率化への寄与が期待できるのです。

反対にうまくいかなかった例を見てみると、上記のようなしっかりしたプランがないまま「意思なく」ジョブローテーションを繰り返したことが失敗要因として挙げられます。将来どうなってほしいのか、という具体像が企業側にも従業員側にもなければ、それぞれの部署で経験したことは専門化されない中途半端な知識としてしか残りません。

ジョブローテーションが目指すものは、決して「(数として)多くの知識を与える」ことではありません。企業や従業員の望むキャリアプランを中核として、そこに異分野を含めた経験と知識を加えることで、より奥行きのある人材をつくることなのです。このため、手間ひまをかけたキャリアプランではなく即戦力化が必須である中小企業には、ハードルの高い制度だと言えるでしょう。また、社内で必要な人材のほとんどが高度な専門性を有する必要のある企業にも向かない制度だと言えます。


明確なキャリアプランの策定と従業員の納得感が重要

ジョブローテーションは異動を繰り返すという特性から、ネガティブなイメージを持つ人もいますが、メリットもたくさんあります。うまく活用するには、各従業員に合ったしっかりしたキャリアプランの策定と、従業員が納得できるよう、この人事制度によるメリットを社内に周知することが必要だと言えるでしょう。


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