働き方改革が示す副業の必要性とは?企業はなぜ副業解禁を求められるのか

副業が解禁されてスケジュールを組んでいる女性従業員

日本においては、長きに渡り社員の副業を禁止する企業が多くありました。しかし、近年推進されている働き方改革では、副業解禁が推奨されています。政府は、どのような思惑で副業解禁を推進めているのでしょうか?

今回は、副業解禁推奨の概要や、副業・兼業の促進に関するガイドラインについて、導入時の就業規則の変更方法などを紹介していきます。
副業解禁推奨の要因を把握した上で、今後の自社に最適な対応をおこなえるよう、理解を深めておきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.副業解禁推奨はいつから?
  2. 2.働き方改革でなぜ副業解禁推奨が求められるのか
    1. 2.1.従業員が副業でスキルアップすることで、スキルアップにかかる企業の費用負担をおさえることができる
    2. 2.2.副業で得たスキルや知見を本業で活かすことによって生産性向上が期待できる
    3. 2.3.自分の能力の可能性(転職も考えている)を探っている従業員が副業を解禁することで、従業員満足度が得られ、離職防止につながる
  3. 3.政府が示す「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
    1. 3.1.副業・兼業の促進の方向性
    2. 3.2.企業の対応
    3. 3.3.副業・兼業に関わるその他の現行制度について
  4. 4.副業解禁に伴う就業規則の変更方法
    1. 4.1.新しい就業規則を作成
    2. 4.2.従業員代表者からの意見聴取
    3. 4.3.労働基準監督署へ届出
    4. 4.4.従業員への周知
  5. 5.副業解禁後は従業員のマインドや環境の把握が大切

副業解禁推奨はいつから?

副業解禁推奨のはじまりは、2018年1月にさかのぼります。

2018年1月に厚生労働省は、「モデル就業規則」の改定をおこないました。それまでのモデル就業規則では、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が明記されていましたが、その文言が削除されることになります。

そして新たに、以下の内容が盛り込まれました。


第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
1.労務提供上の支障がある場合
2.企業秘密が漏洩する場合
3.会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
4.競業により、企業の利益を害する場合

出典:厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン


このように、副業解禁を前提とした内容に変更されています。

そして、2019年4月より施行された働き方改革では、「働き方改革実行計画」において本格的に副業解禁を推奨しています。


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働き方改革でなぜ副業解禁推奨が求められるのか

働き方改革では、なぜ副業解禁が推奨されているのでしょうか?主な理由を3つ紹介していきます。

従業員が副業でスキルアップすることで、スキルアップにかかる企業の費用負担をおさえることができる

従業員が副業をおこなえば、業務時間外に自主的なスキルアップを図ることが想定されます。そのため、企業は人材育成に充てる費用を削減できます。

副業で得たスキルや知見を本業で活かすことによって生産性向上が期待できる

従業員は、副業のための勉強などを通して新たなスキルや知見を身につけることになります。本業で主収入を得ているので、副業では収入よりもスキルアップやチャレンジしたいことに取り組む人もいることでしょう。それが本業の業務に活かされれば、自社の生産性向上が実現する可能性が高まります。

自分の能力の可能性(転職も考えている)を探っている従業員が副業を解禁することで、従業員満足度が得られ、離職防止につながる

従来では、自分の新たな可能性を探りたいと思った際に、選べる選択肢は限りなく少ない状況でした。
しかし、副業が解禁されることで2つの働き方を並行できるため、従業員満足度が得られ、人材流出防止につながります。


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政府が示す「副業・兼業の促進に関するガイドライン」

副業・兼業の促進に関するガイドラインに基づき議論する従業員たち

では、政府が示す「副業・兼業の促進に関するガイドライン」とはどういった内容なのでしょうか?それぞれの要点を、順番に紹介していきます。

副業・兼業の促進の方向性

ガイドラインには、企業に対して以下のメリットや留意点があると示されています。


メリット
労働者が自社以外の環境で、新たな経験や学びを手に入れることによりもたらされるメリットがあげられています。

・労働者が自社では習得できない知識・スキルを獲得
・労働者の自律性・自主性を促す
・優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上
・労働者が新たなスキル等を身につけることで事業機会の拡大につながる


留意点
また、以下にあげられる懸念点への対応が必要とされています。

・安全配慮義務(必要な就業時間の把握・管理や健康管理への対応)
・職務専念義務(自らの業務に専念しなければならない)
・秘密保持義務(職務上知り得た秘密を守らなければならない)
・競業避止義務(自社と競合する企業に属する行為への対応)


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企業の対応

副業・兼業の促進にあたって、企業に求められる対応は以下のとおりです。


原則、副業・兼業を認める
裁判例を踏まえ、原則、副業・兼業を認めることが適当とされています。
現状、副業・兼業を禁止、許可制にしている企業は、自社の業務へ及ぼす影響を精査し、特段の影響がなければ労働者の希望に応じ、認める方向での検討が必要です。


副業・兼業の内容等を労働者に申請・届出させる
副業・兼業を認める場合は、労働者による申請・届出により、以下内容を確認することも考えられます。

・労務提供上の支障がないか
・自社の秘密情報の漏洩がないか
・長時間労働を招くものとなっていないか


労働時間に関する規定の適用について通算するとされていることに留意する
労働者が、自社、副業・兼業の双方で雇用されている場合は、労働時間が通算される点を留意する必要があります。
そのため、労働者に副業・兼業の勤務状況を申請・届出させ、労働時間の正確な把握に努めるのが望ましいです。


検討にあたっては、モデル就業規則の規定を参照する
副業・兼業の促進にあたっては、厚生労働省が改定した「モデル就業規則」を参照し検討することができます。


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副業・兼業に関わるその他の現行制度について

ガイドラインでは、3種類の制度について以下のように定めています。


1.労災保険の給付
事業主は、労働者が副業や兼業をおこなっているかに関わらず、一人でも労働者を雇用していれば、必ず労災保険に加入しなければなりません。
なお、給付金は、災害が発生した企業における賃金分に限ります。

また、労働者が自社と副業・兼業先の双方から雇用されている場合、いずれかの就業先からほかの就業先への移動時に起こった災害は、通勤災害となり労災保険給付の対象となります。


2.雇用保険
労働者を雇用する事業は、規模や業種などの条件を問わず、すべて適用事業となります。
そのため、適用事業に該当する事業主は、雇用する労働省を雇用保険に加入させなければなりません。

ただし、適用事業であっても、以下に該当する労働省は被保険者該当しません。

・1週間の所定労働時間が20時間未満
・31日以上の継続雇用が見込まれない


3.厚生年金保険・健康保険
社会保険(厚生年金保険、健康保険)は、雇用関係のある複数の事業所での労働時間を合算して適用条件を満たしていても適用はされません。
あくまでも、事業所ごとの労働時間によって判断されます。

また、複数の事業所で適用条件を満たしている場合は、その中のいずれかの事業所を選択し、その事業所を管轄する年金事務所、医療保険に加入します。


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副業解禁に伴う就業規則の変更方法

副業解禁にともなう就業規則の変更届の書類​​​​​​​

自社で副業を解禁する場合は、就業規則の変更が必要です。ここでは、変更手順について解説していきます。

新しい就業規則を作成

はじめに、就業規則の変更箇所を明確にし、変更案を作成します。作成の際には、リーガルチェックを依頼し、変更内容に問題がないか精査することが重要です。その後、取締役会の承認などを経て、社内の合意を得ます。

従業員代表者からの意見聴取

就業規則の作成、変更時には、以下いずれかに該当する従業員からの意見徴収が義務付けられています。

・労働者の過半数で構成される労働組合の代表者
・労働者の過半数の支持を受ける代表者

徴収した意見は、意見書として書面にまとめておきます。代表者の意見がない場合においても「意見なし」の旨を記載し提出しなければなりません。
​​​​​​​なお、就業規則の届出義務は事業場単位で発生するため、複数の事業場が設置されている場合は、それぞれで対応が必要です。

労働基準監督署へ届出

書類が完成したら、労働基準監督署へ届出をおこないます。

届出の際には、各事業場が管轄する労働基準監督署へ、以下書類を2部ずつ持参もしくは郵送します。

・就業規則(変更)届(主な変更点を記載したもの)
・意見書
・変更後就業規則

労働基準監督署で変更内容が確認されると、受付印が押され企業側に1部が返却されます。

従業員への周知

変更後の就業規則は、全従業員に対する周知が義務付けられています。書面での通知、掲示板への張り出し、メールの送信など、確実に全従業員に伝わるようにしなければなりません。

就業規則の原本は、従業員が閲覧できる場所に保管したり、データ化し共有フォルダへ格納したりすると良いでしょう。


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副業解禁後は従業員のマインドや環境の把握が大切

副業解禁により、企業は新たな課題を抱えることになりますが、決して悪いことばかりではありません。むしろ、従業員、企業の両者に大きなメリットをもたらす制度です。
メリットを最大限に享受するためにも、効果的な副業解禁プロセスを探る必要があります。

そのためには、従業員が副業を望んでいる状態なのか、実際に副業をおこなっている従業員はどのような状況下に置かれているのかなど、マインド状態や環境を把握しなければなりません。


そこで役立つのが、JTBベネフィットが提供する「flappi(フラッピ)」です。
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