「働き方改革」の実現に向けて人事担当者がやるべきこととは?

少子高齢化が進む現代において、今後、生産年齢人口が減少していくことは避けられない状況になっています。そうしたことを見据え、政府が進めているのが「働き方改革」です。2018年7月6日には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布されましたが、これが具体的にどういったものかご存知でしょうか? 今回はそもそも働き方改革とはどういったものなのか、その概要と働き方改革が求められる背景やメリットを説明します。そして、人事部がいち早く取り組むべき働き方改革の課題や、具体的な方法について考察していきます。

目次[非表示]

  1. 1.政府が進める「働き方改革」とは?
  2. 2.働き方改革によって企業が期待できる効果
  3. 3.人事担当者として働き方改革を進めるための方法
  4. 4.2019年4月1日以降に施行される「働き方改革関連法」
  5. 5.働き方改革の実現には「働きがい」を高める施策を

政府が進める「働き方改革」とは?

働き方改革が具体的に動き出したのは、2016年8月3日、第3次安倍第2次改造内閣の発足時です。この時に閣議決定された基本方針のなかで、政府は「一億総活躍」社会を実現するために、「多様な働き方を可能とする社会を目指し、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現など、労働制度の大胆な改革を進める」としています。

そもそも働き方改革が求められるようになった理由のひとつは、少子高齢化による労働力人口の減少です。内閣府が発表している日本の将来推計人口によると、2013年の総人口は1億2,730万人ですが、2030年には1億1,662万人、2060年には8,674万人、そして2110年には4,286万人と2013年のほぼ3分の1になるという推計が出ています。

この総人口の減少に伴い、総務省によると15~64歳の生産年齢人口も、2013年の7,883万人が2060年には4,418万人にまで減少すると推計されています。この圧倒的な労働力不足を解消するべく、2018年6月29日に働き方改革関連法案が成立。「長時間労働の是正」「非正規と正社員の格差解消」「労働力の確保」の3点を柱として、改革が進められています。


働き方改革によって企業が期待できる効果

次に働き方改革を進めることで期待できる効果やメリットについて考えていきます。特に前項で挙げた3つの課題を解消させることで企業にどういったメリットがあるのでしょう?

■休日出勤や残業時間の削減によって従業員の健康が向上
業務のクラウド化やIT化、モバイルワークの推進などにより業務効率化を進めていくことで休日出勤や残業時間が削減されれば、過労や睡眠不足といった身体的な問題が解消できることはもちろん、余暇時間が増えることでメンタル面も安定します。その結果、業務効率や業務スピードがさらに上がるといった好循環が生まれます。

■多様な人材の採用、確保
高齢者や外国人、障がい者などのほか、これまでは育児や介護によって退職せざるをえなかった従業員も、在宅勤務や時短労働を導入することで雇用の継続が可能になります。離職の防止による人材の定着によって、新たな雇用や教育にかかるコストの削減が実現します。

また、継続就業は収入の安定にもつながるので、女性が躊躇なく子どもを産めるような制度や環境を整備することは、女性にとってより働きやすい企業であるといえるでしょう。育休取得や在宅勤務などのテレワークが可能になれば、女性はもちろん全国から優秀な人材を採用できるようになり、獲得できる人材の幅が大きく広がるため労働力不足の解決にもつながっていきます。

■従業員の満足度向上
労働時間の最適化や柔軟なワークスタイルの採用など、働き方改革が実現することでワーク・ライフ・バランス向上につながると、従業員の満足度も向上します。快適な職場環境の整備や介護・育児などをはじめとするプライベートの充実は、結果として業務生産性の向上や離職率の改善へとつながります。


人事担当者として働き方改革を進めるための方法

ここまでご説明したように、働き方改革は企業にさまざまなメリットをもたらす可能性がありますが、実現するためには越えなくてはならない障壁も少なくありません。例えば長時間労働の是正を行う上での課題として、本来、残業時間の削減は業務効率化を進めることで実現するべきものです。しかし業務効率化をせずにノー残業デーを設けると、その分のしわ寄せが別の日にきて、かえって残業時間が増えてしまうといったケースがあります。

ほかにもモバイルワークや在宅勤務制度を作ったものの、ペーパーレス化やモバイルのセキュリティ強化を行わなかったため、せっかく作った制度が絵に描いた餅になってしまうといったことも起こりがちです。本格的に働き方改革を行うためには、これまでの慣習や制度を変えずに形だけ整えようとしてもうまくはいきません。すべてを変える必要はありませんが、変えるべき点はしっかりと変えていく意識がなければ働き方改革の実現は困難だと言えます。

こうした課題を解消するために人事担当者ができることは、従業員と話し合うことで問題点を明確にすることです。企業の中でも部署によって問題点が異なる場合もあります。そうしたことは直接対話をしなければ気付けません。

その上で、残業時間の削減策やモバイルワーク、在宅勤務制度などを導入する前にシステムの改善など、業務を効率化する道筋をしっかりと立てることが大切です。人事担当者自らが働き方改革をしっかりと理解し、従業員の幸せを実現するために何が必要なのかを考えて施策を実行することが求められています。また、労働環境・条件などの観点から見た働きやすさに加え、福利厚生を充実させることでやる気が芽生えるような施策を打つことが重要です。


2019年4月1日以降に施行される「働き方改革関連法」

働き方改革関連法案の成立に伴い、2019年4月1日から「働き方改革関連法」が順次施行されていきます。この働き方改革関連法とは、「雇用対策法」「労働基準法」「労働時間等設定改善法」「労働安全衛生法」「じん肺法」「パートタイム労働法」「労働契約法」「労働者派遣法」の8つの法案です。2019年4月1日より改正される制度は下記のとおりです。

1.残業時間の上限規制
これまで法律上は残業時間の上限がありませんでした。しかし改正後は原則として月45時間、年360時間を上限とし、臨時的な特別な事情がない限り、これを超えることはできなくなります。また臨時的な特別の事情があり、労使が合意する場合であっても、年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、月100時間未満(休日労働含む)を超えることはできません(ただし中小企業は1年間、自動車運転業務・建設業・医師は5年間の猶予期間があります)。

2.「勤務インターバル」制度の導入が努力義務化
勤務インターバル制度とは、1日の勤務終了後から翌日の出社までの間に一定時間以上のインターバル(休息時間)を確保するというものです。

3.年5日の年次有給休暇の取得が企業に義務付けられます
これまでは従業員自らが申し出なければ年休を取得できませんでしたが、改正後は使用者が従業員の希望を尊重し、取得時季を指定する年5日の取得が義務付けられます。

4.月60時間を超える残業に関して割増賃金率の引き上げ
これまで月60時間超の残業割増賃金率は大企業で50%、中小企業で25%でした。これが改正後は大企業、中小企業ともに50%になります。
※中小企業における月60時間超の残業の割増賃金率引き上げの適用は2023年4月1日から

5.従業員の労働時間の状況を客観的に把握することの義務付け
割増賃金を適正に支払うため、労働時間を客観的に把握することを通達で規定します。これまで裁量労働制が適用される従業員はこの通達の対象外でしたが、今後は健康管理の観点からすべての従業員の労働時間の把握が義務付けられます。

6.フレックスタイム制の拡充
これまで労働時間の清算期間は1ヶ月が最長でしたが、改正後は3ヶ月に拡充されます。これによって子育てや介護など生活上のニーズに合わせた就労が可能になると期待されています。

7.高度プロフェッショナル制度の新設
高度な専門知識を必要とする業務に従事し、職務範囲が明確で年収1,075万円以上の専門職を労働時間制限の規定から除外するものです。

8.「産業医・産業保健機能」の強化
産業医の活動環境の整備、従業員に対する健康相談の体制整備、従業員の健康情報の適正な取り扱いルールが推進されます。


働き方改革の実現には「働きがい」を高める施策を

優秀な人材の維持・確保、休日出勤や残業時間の削減などによる従業員の健康の向上など、働き方改革は企業にさまざまなメリットをもたらすことが期待できます。

働き方改革を成功させるためには、時短や在宅勤務といった制度を導入することだけではありません。業務を効率化するためのツールの導入、システムの強化等といった従業員の働きやすさを実現する「ハード面」の施策はもちろん、福利厚生制度の充実など「ソフト面」の取り組みも忘れてはいけません。

例えば年5日の年次有給休暇の取得が義務付けられたことにより、「旅行に出かける」「家族と過ごす」「趣味の時間ができる」などの生活の変化が予測できます。そうしたときに、充実した福利厚生制度による余暇サポートがあれば、従業員の「働きがい」は飛躍的に向上するでしょう。こうしたハード・ソフト両面の取り組みを推進することが、働き方改革を行う上でのポイントといえるでしょう。


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