VUCAの時代とは?現代に求められていることについて
1990年代後半に生まれた、VUCA(ブカ、ブーカ)という軍事用語をご存じでしょうか。VUCAは、元は冷戦後の複雑な国家関係を示す言葉でしたが、2010年頃から、現代のビジネスを取り巻く状況を示す言葉としても使われるようになりました。
またVUCAは、これまでの常識が大きく変わる「ニューノーマル時代」の到来を象徴する言葉とも言えます。
この記事では、VUCAが現在のビジネスシーンにおいてどのような意味で使われているのかを明らかにしたうえで、VUCAの時代を生き抜くために求められることについて、解説します。
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VUCAの時代とは:Volatility(変動性)
VUCAの「V」はVolatilityで、変動性という意味です。
IT技術が進歩して世界情勢が変化し続けていることで、市場は以前よりも予測不能な状態となっています。
例えば、SNSの変化には目を見張るものがあります。現在、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)などがよく利用されています。
これらのSNSプラットフォームは、ユーザー同士のコミュニケーションツールとして使われるだけでなく、マーケティングツールとしても活用されています。具体的には、SNSに広告を出して自社の商品やサービスを広くアピールできるほか、企業が直接顧客に働きかけられる場でもあるため、企業価値を高めるツールとしても利用されているのでます。
このように、ビジネスにおけるVUCAのVは、変化に対応することを指しています。
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VUCAの時代とは:Uncertainty(不確実性)
VUCAの「U」はUncertaintyで、不確実性という意味です。
ビジネスにおいて、「確実なもの」「安定しているもの」はありません。時代の変化はもちろん、政治経済や市場の変化は目まぐるしく、日々グローバル化も進んでいます。時には、国同士の争いや、自然災害などがビジネスの大きな壁になることもあります。そのような状況で生き残っていくためには、PDCAサイクルやOODAループといったビジネスメソッドを有効に活用し「安定しているもの」、「確実なもの」はなく、必ず起こる情勢の変化にはスピーディーに対応しなくてはなりません。
日本では大型台風や集中豪雨が相次ぎ、その甚大な被害が経済に大きな影響をもたらしました。また昨今では、新型コロナウイルスによって株価が下落したり、在宅勤務を命じる企業が増えたりしたため、消費が低迷しています。
このように、いつどのような事象がビジネスに影響を及ぼすかわかりません。その際に素早く対応できるかどうか、その壁を乗り越えられるかどうかが、ビジネスの成功の鍵といえるでしょう。
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VUCAの時代とは:Complexity(複雑性)
VUCAの「C」はComplexityで、複雑性という意味です。
急速なビジネスのグローバル化が進む今日、あらゆる分野で国境を越えるイノベーションが起こっています。そのような状況下でビジネスを成功させるには、世界の「複雑性」を十分に理解しておくことが重要です。
当然ながら、日本と海外ではビジネスの習慣やルール、基本的な価値観などが異なります。さらに新しいビジネスやルールが次から次へと生まれるため、法整備も追いついていないというのが現状です。
そのため、複数の国や地域が関わるビジネスでは、事業をおこなうことが難しくなることもあります。海外で普及している画期的なサービスも、日本ではそのルールや仕組みが通じなかったり、逆に日本で利用されているサービスが海外で通用しなかったりすることもあるでしょう。
例としてはタクシーの配車アプリであるUberが挙げられます。Uberはアメリカ発のサービスで、日本では現在、都心などの限られたエリアでのみ利用可能です。日本のUberは本国のUberとは異なった仕組みで運営されており、一律のサービスが提供されていない点がこの複雑性に当たるといえそうです。
新しいサービスが登場するたびに、このような複雑性にどのように対処するかという課題が生まれます。
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VUCAの時代とは:Ambiguity(曖昧性)
VUCAの「A」はAmbiguityで、曖昧性という意味です。
前述のとおり、ビジネス環境は目まぐるしく変化しており、少し先のこともどうなるかわからない状態、つまり「曖昧」になっています。だからこそ、少しの変化も逃さず、素早く最新情報を捉えて、それに対応していくことが市場で生き残っていくためには不可欠なのです。
この「曖昧性」を利用してビジネスを展開する企業の例としては、ベンチャーキャピタル(投資会社)が挙げられます。ベンチャーキャピタルとは、将来性が高いと判断したスタートアップや企業や組織投資し、企業が成長して価値が上がった後、株式を売却して利益を得る事業を行う企業を指します。
もちろん、投資先の企業を精査しますが、それですら確実な投資とはいえません。したがって、こういった事業を成功させるには、曖昧性の高い案件に対して短時間で意思決定を行う必要があります。
また、新型コロナウイルスによって東京五輪の開催は1年延期しましたが、現状では開催自体が危ぶまれており、経済への不安も高まっています。東京での開催が決まった時には、このような事態になるとは誰も予測できませんでした。
このような曖昧性は、ビジネスの場においても同様のことがいえるでしょう。
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VUCAの時代に求められること
VUCAの時代に、必要なものとは何でしょうか。企業と個人それぞれに何が求められているのかを確認しましょう。
企業ができること
まずは、企業がVUCAの時代に対応するためにできることを紹介します。
ビジョンを明確化する
企業には今後の展望、つまりビジョンを明確化することが求められます。
VUCAの時代においては、企業のビジョンを明確にしておかなければ、変化のたびに経営戦略のベクトルが変わることになりかねません。企業のビジョン、つまり経営方針を明確にしておき、どんな変化が起きても行動がぶれないようにする必要があります。
リスクヘッジ
VUCAの時代においては、いつどのようなリスクが降りかかってくるかわかりません。よって、リスクヘッジをおこなう必要があります。今後どのような変化が起こり得るかを予測し、さまざまなリスクに対応できる体制を整えておくべきでしょう。
人材育成
VUCAの荒波に対応するためには、人材育成が欠かせません。経営陣の目標がぶれなくても、どれだけ良いビジョンがあったとしても、それをともに実現できる人材がいなくては始まりません。企業を成長させることができる人材が必要になるため、VUCAの時代を乗り切るために人材を確保し、育てることが企業に求められます。
スピード経営
VUCAの時代において生き残るためには、変化に対応できるスピード経営が求められます。
今後も政治や災害などの外部要因によって、大きなプロジェクトが覆されてしまうことがあるでしょう。その際にうろたえることなく対応し、軌道修正ができるような行動力・判断力・決断力がVUCAの時代には求められます。
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個人ができること
次に、VUCAの時代に個人ができることを確認しましょう。
ビジョンを明確化する
企業だけでなく、従業員個人も明確なビジョンを持つ必要があります。自分が仕事において何を成し遂げたいかなどの目標を持つと、仕事へのモチベーション向上につながり、主体的に業務に取り組むことができるようになるでしょう。
スキルアップ
個人がスキルアップを図ると、企業の力を底上げすることにつながります。企業の重要な戦力となるだけでなく、トラブルに対応したり、リスクを回避したり、選択肢を多く持ったりすることができるようになります。また、一人ひとりがスキルアップし、それぞれの得意分野でリーダーシップをとれるようになれば、は従業員個人の自信にもつながります。
チャレンジ
VUCAの時代では、企業も個人も変化を恐れずチャレンジする精神が不可欠です。これまで有効だったビジネス手法が、近い将来まったく通用しなくなることも十分に考えられます。時代の変化に対応するためにも、まずは個人が変化を恐れず柔軟に対応できる力を持つことが重要です。
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VUCAの時代を乗り切るためには人財マネジメントが必要
VUCAの時代では、「一寸先は闇」です。どのようなビジネス手法が成功するかは誰にもわからず、時代の変化とともに市場のニーズも目まぐるしく変わっています。
そんなVUCAの時代を乗り越えていくためには、適切な人財(※)マネジメントが必須です。人材の確保や育成に努め、企業の課題解決を図りましょう。
JTBベネフィットの「flappi(フラッピ)」は、企業と従業員が持つさまざまな課題を可視化し、企業と従業員双方の成長をサポートするサービスです。ビジョンを明確化し従業員がスキルアップすることは、企業全体の戦力の底上げに直結します。便利なサービスを積極的に取り入れて、VUCAの時代を乗り切りましょう。
※JTBグループでは、社員の成長・活カが会社の成長、グループの発展を支えるという基本理念のもとで人は財産であるとし、「人材」を「人財」と表記しています。
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