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派遣法改正が企業に与える影響と対応策

2013年の改正労働契約法、2015年の改正労働者派遣法。この二つの改正法によりここ数年で派遣社員を取り巻く状況は大きく変化しています。特に二つの改正による有期雇用の派遣社員の受け入れ期間上限がともに2018年であることから、「2018年問題」として大きな社会問題になっています。そこで今回はこの二つの法改正について、また「2018年問題」とはどういったものなのかを解説。そして「2018年問題」に対する企業側での対策である、無期契約社員化、正社員化、契約終了のメリット・デメリットについて考察していきます。

目次[非表示]

  1. 1.そもそも労働者派遣法とはどういった法律なのか?
  2. 2.健全化を目指しての法改正
    1. 2.1.2013年4月1日に施行された改正労働契約法の概要
    2. 2.2.2015年9月30日に施行された改正労働者派遣法の概要
  3. 3.「2018年問題」が企業に及ぼす影響とは?
    1. 3.1.派遣労働者を無期雇用契約で受け入れる場合のメリット
    2. 3.2.派遣労働者を無期雇用契約で受け入れる場合のデメリット
    3. 3.3.企業が行うべき対策
  4. 4.まずは自社の現状把握を

そもそも労働者派遣法とはどういった法律なのか?

労働者派遣法の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」です。この法律は正式名称が示すとおり、派遣労働者の就業条件の整備と労働者派遣事業を営む派遣会社に適正な運営を促すため、1986年に定められたものです。最初は労働者を派遣できる業務は専門性の高い13業務に限られていました。しかしその後の法改正で倍の26業務に拡大、そして1999年には原則的に自由化されました。

労働者派遣法が制定された背景には、そもそも派遣労働の需要が高まっていたことが挙げられます。また自社で雇用する労働者を自社以外の管理下で働かせる行為は、労働者派遣法制定以前は職業安定法に抵触するおそれがあったことも、この法律が求められた大きな理由となっています。


健全化を目指しての法改正

これまで労働者派遣法もしくは派遣労働者に関わる法律は、時代の流れや景気などさまざまな理由により改正が行われています。前項でも触れた労働者を派遣できる業務が13から26に増え、原則自由化になったというのもその一つです。そしてこれまでのなかでも、最も重要な改正は過去に2回あります。それが2013年4月1日に施行された改正労働契約法と2015年9月30日に施行された改正労働者派遣法です。ここではそれぞれの改正のポイントについてご紹介します。

2013年4月1日に施行された改正労働契約法の概要

派遣労働者にとって2013年4月1日の改正労働契約法での大きなポイントは次の3点です。

1. 無期労働契約への転換
これは派遣労働者や契約社員、アルバイトなどの有期契約労働者が反復更新されて就業年月が通算で5年を超えた場合、労働者の申込みによって期間の定めのない無期労働契約に転換できるというものです。仮に労働者が無期雇用転換の申込みをした場合、雇用側はこれを断ることはできません。

2. 「雇止め法理」の法定化
雇止めとは、派遣労働者や契約社員などの有期契約労働者が、合理的な理由なく雇用主に契約更新を拒否されることです。そして「雇止め法理」とは、それまでこうした合理的理由なく雇止めをされた労働者が裁判に訴えた結果、法律で定められてはいないものの、契約更新を勝ち取ってきた判例の蓄積から形成された考え方です。2013年4月1日の改正労働契約法では、この雇止め法理が法律上も明記されました。

3. 不合理な労働条件の禁止
有期契約労働者と無期契約労働者の間で期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するものです。具体的には賃金や労働時間といったものだけではなく、労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、福利厚生など労働者に対する一切の待遇が含まれます。

2015年9月30日に施行された改正労働者派遣法の概要

2015年9月30日に施行された改正労働者派遣法のポイントは次の4点です。

1. 労働者派遣事業の許可制への一本化
これまで派遣労働者は雇用形態により大きく一般派遣と特定派遣の二つに分けられていました。そしてそれに合わせて、労働者派遣事業も特定労働者派遣事業(届出制)と一般労働者派遣事業(許可制)とに分けられていましたが、改正によりすべての労働者派遣事業は、新たな許可基準に基づく許可制となりました。

2. 労働者派遣の期間制限の見直し
派遣先の同一の事業所に対して派遣できる期間の限度が原則3年となりました。もし雇用主が3年を超えて派遣を受け入れる場合、雇用主の事業所の過半数労働組合等からの意見を聞かなくてはなりません。ただし同一の派遣労働者を、3年を過ぎて継続して契約する場合、別の課や事業所であれば問題ありません。

3. 均等待遇の推進
派遣労働者と派遣先で同種の業務を行う労働者の待遇の均衡を図るため、派遣元事業主には「待遇に関する事項等の説明」「派遣元の無期契約労働者と比較して不合理のない通勤手当の支給」を措置として講じなくてはなりません。そして派遣先では「賃金水準の情報提供」「教育訓練の実施」「福利厚生施設の利用」などに関する配慮義務、「派遣料金の額の決定」に関する努力義務を措置として講じる必要があります。

4. 労働契約申込みみなし制度
派遣先が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れていた場合、その時点で派遣先が派遣労働者に対し、派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなすようになります。


「2018年問題」が企業に及ぼす影響とは?

派遣労働者の関わる「2018年問題」とは、2013年の法改正と2015年の法改正によって生じる雇用契約における問題です。具体的には下記二つの時期がともに「2018年」であることに起因するものです。

・2013年の法改正により、2013年4月1日以降に有期労働契約を締結もしくは更新した場合において、5年後の2018年4月1日から有期雇用契約を無期へと転換する申し入れができるようになること

・2015年の法改正において行われた労働者派遣の期間制限の見直しである3年間の終了期間が2018年9月30日であること

このことから、企業は、派遣労働者の雇用形態や期間など今後の契約について、大きな見直しが迫られています。同時に、雇用形態の変更は企業にとって人件費の増加につながる可能性があることから、企業と有期契約労働者の間での契約関係のトラブルに発展することも危惧されています。

派遣労働者を無期雇用契約で受け入れる場合のメリット

業務に精通した従業員を引き留め、長期的なビジョンで人材育成をすることが可能になります。新たな人材を獲得して最初から教育を行うことに比べ、すでに自社の業務に精通しているため、採用、教育にかかるコストの削減も実現します。

派遣労働者を無期雇用契約で受け入れる場合のデメリット

派遣労働者を受け入れる企業にとって最大のメリットは、正社員と比べて人件費を抑えられること、雇用責任がないことが挙げられます。これは逆に言えば派遣労働者を契約期間の定めなく受け入れることでこれらのメリットがなくなってしまうということを意味します。人件費の高騰、雇用責任が生まれること、この二つが派遣労働者を無期雇用契約で受け入れる一番のデメリットです。

企業が行うべき対策

企業がまず行うべきことは現状の把握です。通算で5年以上になる派遣労働者が自社にどのぐらい存在しているのか、今後も増える見込みはあるのか、仮にすべてを「無期契約労働者」として受け入れた場合のコストはどの程度になるのかといったことを確認します。
コスト増に関しては、厚生労働省が実施しているキャリアアップ助成金を活用することで増分を補える場合もあります。これは非正規労働者の正社員化や処遇改善への取り組みを行う事業主に助成されるものです。

受け入れを決めた場合は、「無期契約労働者」として受け入れるのか、準社員といった新たな社員区分を作成するのかといったことから、労務や人事の方針、待遇などを決めます。


まずは自社の現状把握を

派遣社員を「無期契約労働者」として雇用すれば、新たにゼロから人材の育成をするコストをかけずに、業務に精通した優秀な社員を維持・確保することが可能です。その反面、人件費や社会保険費などといったコストが増大するというデメリットが発生します。

まずは現状把握をしっかりと行い、派遣社員が本当に自社にとって重要な戦力となっているのかを確認しましょう。その上で法律に則った対応をすることが重要です。


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