男性の育休制度とは?企業担当者が押さえておきたいポイントを解説!

​​​​​​​育児休業を取得して家事を手伝う男性従業員

国会議員も取得を表明する男性の育休制度は、働きやすい環境づくりを推進する企業においても、注目すべき取り組みです。最近では、育休取得の推進を義務化するために、政府が本格的な議論を開始しました。しかしながら、慢性的な人手不足などに悩まされる人事担当者の場合、義務化というキーワードと合わせて取り沙汰されることの多い男性の育休制度に不安を感じることもあるのではないかと思います。

そこで今回は、男性の育休制度の義務化や、すでに制度化されている男性育休の取り組みについて、詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.男性の育休義務化はいつから?
  2. 2.男性の育休制度~女性との違いは? 
    1. 2.1.男性の育休と女性の育休の違い
    2. 2.2.パパ休暇
    3. 2.3.パパ・ママ育休プラス
  3. 3.【男性の育休】企業が押さえておきたいポイント
    1. 3.1.育休は労働者の権利 申請されたら拒否できない
    2. 3.2.就業規則へ記載して条件を明確にしておく
    3. 3.3.業務の引き継ぎ・教育(トレーニング)をおこなう
    4. 3.4.男性の育児休業などの取得推進で利用できる助成金
    5. 3.5.「くるみん」「プラチナくるみん」取得には男性の育休取得実績も必要
  4. 4.男性が育休を取得する企業のメリット・デメリット
    1. 4.1.メリット
    2. 4.2.デメリット
  5. 5.男性の育休取得推進には従業員のマネジメントがポイント!

男性の育休義務化はいつから?

近年の日本では、男性の育児参加を促す議員連盟が発足したことによって、男性における育休制度の義務化を目指す動きが活発になりつつあります。そして、この流れの中には、男性の仕事と子育ての両立を促す働き方である時短勤務や、パタハラ防止といった多彩な取り組みが含まれているようです。

議論が始まっただけで正式に義務化されたわけではない現段階において、男性の育休制度は企業の努力義務となっています。2019年10月以降 、該当者に対して育児休業における制度を説明することが企業に求められているようですが、こちらについても努力義務に留まっているのが現状です。


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男性の育休制度~女性との違いは? 

男性従業員が取得できる育休制度には、以下のように女性とは異なる特徴があります。

男性の育休と女性の育休の違い

男性と女性の育休における大きな違いは、開始日がいつになるかということです。まず、自身が出産をする女性の場合、産休終了後~子どもが1歳になる誕生日の前日までが、育児休業の期間となります。一方、男性の開始日は、出産当日から子どもの誕生日当日までです。

そして、1歳6ヶ月の時点で保育園に入園できなかった場合は、男女ともに最長2年まで育児休業を延長可能となります。

パパ休暇

女性を対象とした育児休業の取得は、原則1人1回までです。これに対して男性の場合は、子どもが生まれてから8週間以内に育児休業を取得した場合に、2度目の休業ができるようになっています。

介護・育児休業法で「パパ休暇」と呼ばれるこの制度には、産後だけでなく妻の職場復帰のサポートを夫である男性に促す目的があります。ただしこの制度は、以下の2要件を満たした場合にのみ利用可能となりますので、従業員への説明時には注意をしてください。


・子どもの出生後8週間以内に、育児休業を取得していること
・子どもの出生後8週間以内に、育児休業を終了させていること

パパ・ママ育休プラス

パパ・ママ育休プラスとは、通常であれば夫と妻がそれぞれ1年の育休期間を、1年2ヶ月まで延長できる制度です。この制度を適用するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。


・子どもが1歳になるまでの間に、夫・妻のどちらかが育児休業を取得していること
・本人の育児休業開始予定日が、子どもの1歳の誕生日より前であること
・本人の育児休業開始予定日が、夫・妻のどちらかの育児休業の初日以降であること


この制度を利用すると、夫と妻が長く一緒に育休を取得する他に、交代による切れ目のない育休なども実現可能となります。ただし、産後休業を含めた1年間という一人あたりの育休取得可能な最大日数は、普通の育児休業と同じです。


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【男性の育休】企業が押さえておきたいポイント

ポイント指差しをする男性従業員

男性の育児休業の推進や運用を始める場合、次のような点に注意する必要があります。

育休は労働者の権利 申請されたら拒否できない

育児休業は、育児・介護休業法に基づく労働者の権利です。対象者となる従業員の申し出を拒否した企業には、調査の後、以下のようなペナルティが課せられます。


・厚生労働省からの報告要請、指導勧告、助言
・違反会社名および違反行為の内容を公表
・20万円以下の罰金

就業規則へ記載して条件を明確にしておく

絶対的記載事項である育児休業は、就業規則の中に必ずその内容を盛り込む必要があります。また、個人によって取得のタイミングや回数の異なる育児休業は、取得をしない社員に不平等感を与えやすい制度となりますので、現場の混乱や不平不満が生じないように就業規則の中で明確なルールを定めておくようにしてください。

業務の引き継ぎ・教育(トレーニング)をおこなう

自ら妊娠出産をするわけではない男性社員には、女性と違って代わりの人材を育てるタイミングが難しいという問題もあります。そのため、自社で男性社員の育児休業を推進する場合は、各社員が自由に制度を利用できるように、日頃から育休中に業務をおこなう人材の育成や作業内容の共有、トレーニングなどを進めておくようにしてください。

男性の育児休業などの取得推進で利用できる助成金

厚生労働省では、男性が育児休業を取得しやすい環境づくりをしていることなどを条件に、「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)」を用意しています。子育てパパ支援助成金と呼ばれるこの給付金制度では、対象となる男性従業員を後押しする育児休業取得前の個別面談などを実施した場合に、以下の金額を支給する仕組みとなっています。


・一人目の育児休業取得:中小企業10万円、大企業5万円
・二人目以降の育児休業取得:中小企業5万円、大企業2.5万円

「くるみん」「プラチナくるみん」取得には男性の育休取得実績も必要

子育てサポートに積極的な企業であることを証明する「くるみん認定」と「プラチナくるみん認定」においても、男性の育児休業取得実績が評価の対象となります。

まず、くるみんにおける男性の育児休業取得率の認定基準は、従来の一名以上から7%に上がっています。また、男性による育児の促進に関する取り組みを評価するために、育児を目的とした休暇制度の取得率が15%かつ育児休業の取得者が一名以上の会社においても、くるみんの基準を満たすことができるようになりました。

なお、2020年度8月末時点でのくるみん認定企業は3,419社となっています。これまで毎年200~300社のペースで増加を推移しており、今後ますます広がりを見せていくことが予想されます。

こうした認定制度における基準の移り変わりに目を向けると、企業における子育てサポートにおいて、男性従業員の育児休業取得を重視する社会の動きもイメージしやすくなるかと思います。


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男性が育休を取得する企業のメリット・デメリット

メリットとデメリットを目の前にして考える男性従業員

男性の育児休業制度を導入する際には、自社に生じるメリットとデメリットも把握しておく必要があります。

メリット

まずは、男性の育休導入によるメリットから紹介していきます。


人材確保ができる
企業が男性の育児休業を推進すると、ワーク・ライフ・バランスを重視する従業員も、上手に制度を活用しながら子育てと育児の両立がしやすくなります。また、夫婦で同じ会社で勤務する従業員においても、妻と夫が交代で育児のできる環境が整うと、どちらにも離職せずに長く働いてもらうことが可能となるでしょう。


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企業イメージのアップ
優秀な人材を獲得するためには、男性の育児休業などの推進を通して働きやすい企業であることのアピールが必要です、男性育休によって地域の子育てに貢献する実績が各種メディアで取り上げられると、企業における社会的責任や社会貢献を意味するCSRの観点でもその会社に高い付加価値が生まれます。


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労働力不足の解消が期待できる
男性の育児休業の推進をきっかけに、子育て世代の定着率や求人への応募率が高まると、労働力不足の問題が解消し、将来的な生産性向上も期待できます。また、離職者の減少によって人事担当者の負担が軽減した場合、今まで採用活動で使っていた時間やコストを、人材育成に活用しやすくなるでしょう。


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デメリット

男性の育児休業を許可すると、会社の中に以下のような問題が生じる可能性も出てきます。


不公平感が出る場合がある
企業が初めて男性の育児休業制度を許可すると、かつて育休を取得できなかった先輩従業員や、休業中の仕事を引き継ぐ人から不満が生じる可能性も出てきます。そして、不満や不公平感が増大すれば、その想いが離職理由につながることもあるでしょう。本末転倒ともいえるこうした問題を解消するには、育休を取らない従業員へのフォローやケアも必要です。


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労働環境が悪化する場合もある
育休取得する従業員との引き継ぎがうまくいかなかった場合、慣れない仕事をする現場に、通常よりも多くの残業などが生じる可能性も出てきます。そうすると、単純な不満や不公平感だけでなく、ストレスや疲労で従業員の健康面に悪影響が生じることもあるため、注意が必要です。

先述のとおり育児休業は、会社側に拒否できない従業員の権利です。しかしながら、引き継ぎなどの調整ができなければ、企業側の目指す働きやすい環境づくりができなくなってしまします。そのため、こうした制度の推進をするときには、対象者となる従業員に早めの申告や引き継ぎへの積極的な協力をしてもらうといったルールも整備する必要があるでしょう。


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男性の育休取得推進には従業員のマネジメントがポイント!

2020年9月における日本では、各企業に求められる男性の育児休業への取り組みは、いまだ努力義務レベルという状況です。しかしながら国会などでは、義務化を目指す議員連盟が発足し、男性の積極的な育児参加を促すための議論や取り組みが進められています。

パパ休暇やパパ・ママ育休プラスといった制度が整い始めたばかりの日本では、男性従業員がいまだに会社に対して育児休業を取得したいという想いを伝えにくい実情もあります。そのため、男女問わず育休取得を推進するためには、従業員の業務状況と合わせて悩みなども把握できるマネジメントが必要です。

JTBベネフィットの「flappi(フラッピ)」は、従業員一人ひとりの多様な情報や行動データを収集・分析することで、育休取得者の後任担当者の選定にも利用できるツールです。育児休業の推進に向けて、公平性の高い後任選びの手段を模索中の方は、ぜひflappiをチェックしてみてください。


  flappi(フラッピ) 従業員の「能力」と「EVP」を高め、企業の持続的成長をサポートする。EVP(従業員価値提案)を創造して組織の発展や従業員の成長に向けたソリューションを提供します。 株式会社JTBベネフィット


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