デジタル人材争奪戦を勝ち抜くためには?人材獲得の方法や育成術を解説
デジタル人材とは、ITなどの分野における最先端システムの知識や技術を使い、社内外に価値を提供する人材の総称を意味します。
プログラミングが小学校の必修科目になったことからも、デジタル人材の育成が推進されているように、社会人においても日進月歩で進化するデジタルテクノロジーに対応する必要があるため、デジタル人材の多くはスキルアップなしで生き残れないという現状があります。さらに、転職しながらスキルやキャリアを高めようとするこのタイプの人材には、会社への帰属意識が低い傾向もあります。
そこで今回は、一般の従業員と比べて定着率の低いデジタル人材の特徴や具体的な獲得方法、育成ポイントなどを解説します。
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デジタル人材の活躍領域と企業が求める役割とは?
デジタル人材は、企業やビジネスにおけるデジタル化を担うために、以下のような役職で仕事をする専門人材です。具体的な作業範囲や定義などは会社によって異なります。
・データアナリスト
・データサイエンティスト
・AIエンジニア
・エンジニア
・ビジネスデザイナー
・プログラムマネージャー
・プログラマー
・システムアーキテクト など
こうした人材に注目が集まる背景には、近年の産業界に求められるデジタルトランスフォーメーション(DX)が大きく関係しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、「ICTの浸透にともない、人々の生活におけるあらゆる面が良い方向に変化する」という概念です。
ICTの普及や浸透によってデジタル化の進む今の時代は、「アナログな業務をいかにデジタル化していくか?」という課題を解決する新事業の立ち上げが活発になっています。こうしたビジネスを成功させるには、AIやビッグデータ分析、デザイン、アプリ開発といった多彩な技術を使い、現代のニーズに合わせてデジタル化を進める必要があります。
このような世の中で企業が競合優位性を保つためには、従来のようにITスキルを学習してきた人がシステム開発を担うよりも、業務や事業に精通した人材がITスキルを習得し、開発をおこなっていく方が遥かに効率的です。そして、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現できる人材の確保が、今後の事業展開に欠かせない時代になりつつあります。
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デジタル人材の採用&確保は難しい
厚生労働省が発表する一般職業紹介状況によると、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は2.65倍です。この調査結果を見ると、デジタル人材がいかに不足していて獲得競争が非常に激しいことがわかるかと思います。
さらにNTTデータ経営研究所の調べでは、デジタル人材と呼ばれる働き手について、以下のような結果が出ています。
・20~40代の働き手に占める割合が1割程度
・非デジタル人材と比べて1年以上の転職意向が3倍以上
・転職経験者の割合が7割以上
こうしたデータに目を向けると、若手の中でも割合が低く流動性の高いデジタル人材の場合、採用だけでなく確保も難しい現状が見えてくるかと思います。こうした戦力の採用はハイリスク・ハイリターンに陥りやすく、人事担当者にとっては非常に難しい課題です。おまけにこの傾向は、国内に限った話ではなく世界共通の課題でもあり、デジタル人材は需要が高い存在であることが伺えます。
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デジタル人材を獲得するための方法とは?
こうした状況の中でデジタル人材の採用活動をする際には、以下のポイントを心がけてみてください。
ワークライフバランスがとれる環境を整備する
転職回数が多いデジタル人材の場合、定着率が低いからこそ、やりがいのある仕事と生活バランスがとれる環境づくりが必要です。社内に尊敬できる人材ややりがいのある内容の仕事があると、向上心の高いデジタル人材が定着しやすくなります。
また、プライベートで資格への挑戦をすることも多いデジタル人材の場合、仕事ばかりの毎日ではなく、生活との両立ができる環境も不可欠となるでしょう。
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一般社員とは異なる処遇を適用する
高い技術や知識を持つデジタル人材は、専門職です。そのため、こうした人材の採用を検討する企業の多くが、一般社員とは異なる処遇を適用しています。
現段階で社内にデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現できるデジタル人材がいない場合は、採用活動を始める前に、まずは専門職の待遇を一度確認し、必要であれば待遇を変革することも効果的です。そうすることで採用後の定着率も高まりやすくなります。
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スキルアップのための仕事や機会を提供すること
向上心が非常に高いデジタル人材は、仕事に対してとても意欲的です。また、転職活動をする際には、賃金などの労働環境だけでなくスキルアップの可能性も重視して仕事を選ぶ傾向があります。
こうした特徴を持つデジタル人材を確保するには、常にスキルアップや自己成長が見込める機会や仕事の提供が必要です。現段階で理想的な教育プログラムがない場合は、デジタル人材の採用面接で、今後習得したい技術や知識のヒアリングをしても良いかもしれません。
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デジタル人材を育成するためのポイント
NTUC(シンガポール全体の人材開発を担う労働組合的組織)で人材成長支援の部門長を務めるパトリック・テイ氏は、真のデジタル人材になるためには、IT分野の知識や技術に加えて以下の3つの「C」が必要だと語っています。
・Complex issue solving(複雑な問題解決力)
・Communication(コミュニケーション力)
・Creativity(独創性)
この他にデジタル人材には、後輩や顧客に対してIT分野における知識を共有する能力も求められます。こうしたスキルの高い人材が入社すると、現場に外部のノウハウが入り属人的になりがちな社内のデジタル化においても、ノウハウの継承がスムーズになるでしょう。
企業において特殊な役割を担うデジタル人材の育成では、以下のようなポイントを抑えて教育などを進める必要があります。
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OJTや大学、IT企業など外部での研修を通じて育成する
デジタル人材の教育には、日々の業務を通して仕事を教えるOJTの他に、ハイレベルなIT企業や大学での外部研修も取り入れるのがおすすめです。内部と外部の両方で教育を進めていけば、通常業務をおろそかにすることなく、デジタル人材の求める高度な知識や技術の習得が可能になります。
また、外部研修を通して求める知識や刺激が得られた場合、「わざわざ転職をして環境を変えなくても、この職場で十分に成長できる」という考え方に至る可能性が高まります。
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研修プログラムを実施
デジタル人材を確保するために、既存の一般社員に以下のような教育プログラムを提供する方法もあります。
・デジタル技術全般の動向
・データ・アナリティクス
・セキュリティ
・デザイン思考
・デジタルマーケティング など
ある大手企業の事例では、社員全員にプログラム学習を必須とした上で、新入社員に対して3ヶ月のプログラミング研修を実施しています。こうした手段で幅広い従業員がIT技術を習得すると、デジタルトランスフォーメーション(DX)の概念に基づく事業も展開しやすくなるでしょう。そのことが、デジタル人材の流出防止につながるのです。
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自立して学習できる環境を整える
デジタル人材を採用したら、会社が実施する教育以外でも勉強習慣がつけられるように、自立して学習できる環境の支援も必要です。
大手企業やサービス業の多くで導入されているのは、AIなどの最新技術の基礎が学べるオンラインプログラムの提供です。こうした仕組みがあれば、向上心の高いデジタル人材も自分のペースでスキルアップに励みやすくなります。
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ITや統計に関する資格取得を推奨する
幅広いシーンで活躍できるデジタル人材になるには、自社や顧客の業務分析や助言にも使えるITや統計学の知識を習得するのが理想です。これらの基礎知識や技術は、資格への挑戦を通して学習していくのがおすすめです。
例えば、世界的に需要の高いデータサイエンティストの場合、仕事にも役立つ以下のような資格取得や試験の合格が一般的です。
・統計士
・データ解析士
・統計検定
・基本情報技術者試験
・応用情報技術者試験
・データスペシャリスト試験
このような資格の学習や受験には、当然のことながら多くの時間と費用がかかります。したがって、企業がデジタル人材に資格取得を推奨するときには、教材購入や通信講座の利用、受験申込みにかかる費用面などのサポートをおこないましょう。
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デジタル人材とは、最先端の技術やシステムを使って社内外にIT化などの価値を提供できる人材の総称です。ICTの浸透によって業務のデジタル化が進む近年では、現在のニーズに合った対応ができる人材が多くの企業から求められています。
もともと従事者が少ない情報処理・通信技術者の場合、企業間の獲得競争が非常に激しい実情があります。また、デジタル人材は、高い向上心から転職を前提に働くことが多いです。したがって、帰属意識が低いデジタル人材をどのように育てて定着させるかという部分も、人事担当者の腕の見せどころになるでしょう。
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