人材流出はなぜ起こるのか?原因を正しく把握し未然に防ぐ方法

​​​​​​​従業員とのトラブルに悩む人事総務担当者

少子高齢化などによる慢性的な労働力不足に陥っている日本において、企業からの人材流出は国レベルの生産性低下にもつながる深刻な問題です。実際に採用活動をおこなっている人事担当者の中には、人材流出の原因がわからず頭を抱えているという方も多いでしょう。

そこで今回は、せっかく採用した優秀な人材が流出してしまう原因を探りながら、限られた予算の中で流出を予防するための対策やリテンションマネジメントなどを解説します。


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目次[非表示]

  1. 1.優秀な人材が流出する原因
    1. 1.1.人事評価への不満
    2. 1.2.給与の不足
    3. 1.3.キャリアパスへの不満
    4. 1.4.労働条件
    5. 1.5.人間関係の失敗
  2. 2.人材流出が企業にもたらすダメージ
    1. 2.1.労働力そのものの不足
    2. 2.2.採用・育成のためのコスト増
    3. 2.3.知識・経験・人脈の損失
    4. 2.4.企業の信頼性低下
  3. 3.人材流出対策~ 人材評価制度の見直しについて
    1. 3.1.人材評価制度の重要性とは
    2. 3.2.【対策1】客観的な評価システムを導入する
    3. 3.3.【対策2】適切な人物に評価を任せる
    4. 3.4.【対策3】人材評価そのものが担当者のスキルアップにつながることも
  4. 4.人材流出対策~労働条件の見直しについて
    1. 4.1.従業員の正社員化
    2. 4.2.人材の再配置
    3. 4.3.キャリアパスへの不満解消のための研修と教育支援をおこなう
    4. 4.4.辞めないで済む働き方改革
  5. 5.人材の適切な評価とフィードバックで人材の流出防止

優秀な人材が流出する原因

ストレスをかかえメンタルヘルスケアが必要な従業員

新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが普及し、場所にとらわれない働き方が比較的容易になりました。
国際会計事務所のKPMGインターナショナルが世界のCEOを対象にした調査によると、コロナ禍から3年間で企業が抱える最も大きなリスクに人材の流出と回答した企業は、全体の2割と最も高い結果となりました。
優秀な人材が流出し退職してしまう原因としては、以下のようなものが考えられます。

人事評価への不満

働いている会社で「自分はあまり高く評価されていない」と感じると、仕事へのモチベーションが低下してしまいます。また、その会社に長く在籍する生え抜きの従業員ばかりが高く評価されている場合、不公平感から離職を考えるようになることもあるでしょう。


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給与の不足

仕事内容に見合った賃金でなかったり、生活に必要な収入が得られなかったりする場合も、従業員は転職を考えるようになります。また、残業代が支払われないサービス残業なども、企業への強い不信感につながり、離職者を増やす要因の一つになるでしょう。


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キャリアパスへの不満

仕事ができる優秀な人材は、キャリアアップを目的とした転職をする傾向があります。与えられた任務に不満がある、自分がなりたい姿が描けない、自己成長できる可能性が見出せない、といった従業員も、離職を検討する傾向があります。


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労働条件

連日の残業によって心身が疲弊したり、ワークライフバランスが著しく乱れたりした場合も、勤め続けることが難しくなります。また、政府主導で働き方改革が推進される近年では、介護や育児と仕事の両立ができない労働環境も、人材流出の要因になりやすいです。


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人間関係の失敗

威圧的な上司からのハラスメントがあったり、同僚とまったく話が合わなかったりと、職場の対人関係に関する問題を抱えている場合も、その会社に留まることが難しくなります。また、古参の社員ばかりの職場では、入社したばかりの新人や中途社員が人間関係を築きにくく、離職の原因になることもあるようです。


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人材流出が企業にもたらすダメージ

業務や企業のあり方に疑問を持つ従業員

人材流出が多い企業には、以下のようなリスクが生じやすくなります。

労働力そのものの不足

慢性的に人手が足りない中小企業の場合、度重なる人材流出によって日々の業務に支障が出て、直接的な打撃を受けます。現場の労働力が今以上に不足すれば、残された従業員の負担が増え、それが新たな人材流出を引き起こすという悪循環に陥ります。

採用・育成のためのコスト増

人材流出が続けば、不足した労働力を補うために、積極的な採用活動をおこなわなければなりません。採用後は、当然ながら仕事を覚えてもらうための教育やトレーニングが必要です。そのため、人材流出が止まらない企業では、人事担当者の業務負担や採用・育成コストが増えやすい傾向があります。

しかし、コロナ禍で業績向上が鈍化している企業や業績が低迷している企業では、採用活動に充てる予算の縮小も懸念され、流出した人材の補充がかなわなければ結果として人材不足を引き起こし、既存の従業員に対する負担が増大すると、前述同様にさらなる人材流出の悪循環に陥ります。

知識・経験・人脈の損失

今まで活躍していた人材が離職をすると、その人が持っていたノウハウや、顧客・取引先とのコネクションも一気に失われます。また、採用から数ヶ月で辞める従業員が多い場合は、知識や技術の継承や蓄積も難しいでしょう。

企業の信頼性低下

悪い噂が広がりやすい地方都市などでは、離職率の高さによって企業の評判が下がり、それによって将来の採用も一層困難になるケースが多いです。全従業員の数%が流出してしまうと、企業の成長にも影響が出るといわれています。特に母数の少ない中小企業の場合、たった数人の離職でも数十%の人材流失、ということになりかねず、企業成長に大きな悪影響が出る可能性もあります。


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人材流出対策~ 人材評価制度の見直しについて

人材流出を防ぐ対策としておすすめしたいのが、人材評価制度と労働条件の見直しです。

人材評価制度の重要性とは

まず、潜在的な離職要因である「適切に評価されていない問題」を解消するには、経営陣や人事担当者が、人材評価制度の重要性や従業員への影響度を知る必要があります。

誤った基準で不適切な評価がおこなわれると、従業員の賃金や昇格などにも支障が出ます。また、自分よりも業務への貢献度が低い従業員のほうが高評価だとわかった場合、モチベーションが低下して離職を考え始めることもあるでしょう。

優秀な人材に納得して働いてもらうためにも、以下のポイントを押さえて人事評価制度の見直しを進めてください。

【対策1】客観的な評価システムを導入する

公平性を保つ上で最も大切なのは、経営陣などの主観や経験に頼らない、誰が見ても納得できるシステムを構築することです。例えば、業績などの数値化できる項目だけで評価をした場合、成果がすぐに出るわけではない仕事に携わる従業員が不満を抱く可能性があります。

そのため、評価制度の客観性や公平性を高めるには、数値以外の視点で報奨を与える表彰制度や、インセンティブ制度の導入も検討する必要があります。

【対策2】適切な人物に評価を任せる

評価システムが構築できたら、次は適切な評価担当者を選びます。なお、評価担当者はその職場の実態や職務内容などをすべて把握している必要があります。

また、離職につながる不公平感を解消するには、幅広い従業員に信頼される人間性なども、評価担当者を選ぶ際の判断基準になるでしょう。

【対策3】人材評価そのものが担当者のスキルアップにつながることも

すべての部下を公平に評価することは、組織をまとめる管理職に欠かせないスキルの一つです。現場のリーダーや管理職向けの研修で評価スキルを向上させると、評価に対する従業員の不満や離職率の問題も徐々に解消できます。

また、適切な評価によって従業員が納得して働ける環境ができると、部や課を取りまとめる管理職の負担も軽減されるでしょう。


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人材流出対策~労働条件の見直しについて

労働条件の見直しも、人材流出の防止策として非常に有効です。

従業員の正社員化

賃金や待遇、契約期間の不安があると、安定した仕事を求めて転職を考えるようになるものです。このような理由で優秀な人材が流出することを防ぐためには、非正規で雇っている従業員の正社員化も検討すべきでしょう。

ただし、この対策によって自社の正社員が増加する場合は、「人数が増えた分、基本給を下げる」といったことをしないように注意してください。


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人材の再配置

優秀な人材を採用した場合、できる限り本人が希望するキャリアパスが実現しやすい部署に配属するのが理想です。適材適所に人材を配置できていると、高いパフォーマンスを発揮しやすくなるため、その結果、各従業員が部署内で良好な人間関係を築けるようになります。

また、キャリア志向の強い優秀な人材の場合は、上司や人事担当者がほど良い距離感を保ちつつ、エンゲージメントを高めるようなフォローを続けることも重要です。


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キャリアパスへの不満解消のための研修と教育支援をおこなう

自己成長意欲が高い従業員には、研修の環境と金銭の両面から教育支援をするのがおすすめです。このようなサポートによって高いレベルのスキルを習得できれば、学びの場を求めるようになることで離職する可能性は低くなります。

ただし、求めるスキルやキャリアは人によって異なるので、定期的なヒアリングなどをおこない、それぞれの希望に耳を傾けるようにしてください。


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辞めないで済む働き方改革

少子高齢化や核家族化の進む近年の日本では、介護や子育てなどの事情で仕事を手放す人が増えています。この問題を解消するには、以下のような改革によって幅広い従業員が仕事を続けやすい環境を作る必要があります。

・残業や休日出勤の削減
・フレックスタイム制の導入
・時短勤務と短時間正社員の導入
・育児休暇・介護休暇などの充実
・テレワークの導入・拡充

職場環境におけるストレスも、従業員に離職を考えさせる要因になります。よって、軋轢のない良好な人間関係の中で仕事ができるようにすることも、人材流出を防ぐための大事な取り組みといえるでしょう。


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人材の適切な評価とフィードバックで人材の流出防止

優秀な人材の流出には、人事評価やキャリアパスへの不満や、人間関係の失敗といった原因が考えられます。多くの人材が離職した企業には、以下のような問題が生じるのが一般的です。

・労働力の不足
・採用育成コストの増大
・知識や技術、人脈の喪失
・社会的信用の低下 など

様々な問題を引き起こす人材流出を防ぐには、人材評価制度と労働条件の見直しを図る必要があります。

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