自ら動く従業員をつくるモチベーション3.0とは?その要約を解説

​​​​​​​モチベーションが高い次世代を担う従業員たち

従来、企業が従業員に与えるモチベーションは、待遇や賞罰によるものでした。しかし、これからさらに働き方の多様化が進む日本において、このやり方を持続していくには限界があります。これからは自ら動く従業員をつくる「モチベーション3.0」を浸透させていかなければ、企業、従業員双方に大きな成長は見込めません。

今回は、モチベーション3.0の概要やモチベーション1.0、モチベーション2.0との関係性、モチベーション3.0を引き出す方法などを紹介していきます。モチベーション3.0について詳細を把握し、自社の人材育成に活かしたい人事担当の方は、ぜひ参考にしてください。

目次[非表示]

  1. 1.モチベーション3.0とは
    1. 1.1.モチベーション3.0はダニエル・ピンクが提唱
    2. 1.2.モチベーション3.0の定義
    3. 1.3.モチベーション3.0の3大特徴
  2. 2.なぜモチベーション3.0が必要なのか
    1. 2.1.モチベーション1.0/2.0とは
    2. 2.2.モチベーション2.0の問題点
  3. 3.モチベーション3.0を引き出すには
    1. 3.1.モチベーション1.0/2.0をまず満たす
    2. 3.2.周辺環境を整える
    3. 3.3.枠組みを変える
  4. 4.内側からモチベーションを引き出すために

モチベーション3.0とは

自律性を持って行動し、自己成長を続ける従業員

モチベーション3.0という言葉が聞きなれないという方も多いかもしれません。まずは、モチベーション3.0の発祥から定義、特徴を紹介していきます。

モチベーション3.0はダニエル・ピンクが提唱

モチベーション3.0とは、2010年に米国の文筆家ダニエル・ピンク氏が提唱した概念で、著書『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』で展開されています。本書ではそれまで世の中で言い継がれてきた、モチベーションに関する内容に疑問を呈し、モチベーション理論で唱えられている内発的動機づけを、よりビジネスに活用するための手法を解説しています。

そして、コンピューターに搭載されたOSと同様に、社会には人を動かす「3段階のOS」があるとし、その中でも自発性・自律性を維持し、企業成長に大きく貢献する重要なものとして、モチベーション3.0を挙げています。

モチベーション3.0の定義

モチベーション3.0は、いわゆる内発的動機づけといわれるもので、外的要因に影響されず、自らの内面から湧き出てくる動機づけのことを示しています。一例を挙げると、「この仕事が好きだから成果を上げるために頑張る」「スキルアップをしたいから頑張る」「自己マスタリーや自己実現のために頑張る」「お客様の役に立ちたいから頑張る」というような、自分の感情や考え方から生まれる自律的なモチベーションです。


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モチベーション3.0の3大特徴

モチベーション3.0は、以下の3大特徴を持っています。


1.自律性

課題の解決方法を自分の意志で決められること


2.成長(熟達)

掲げた目標を達成するために、経験を積み上達したいという欲求


3.目的

個人的な欲求ではなく、社会貢献や環境保護、会社への貢献など利他的なもの


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なぜモチベーション3.0が必要なのか

なぜ、現代ではモチベーション3.0が必要とされているのでしょうか。従来のモチベーションを振り返り、違いをみていきましょう。

モチベーション1.0/2.0とは

モチベーション1.0は、生理的動機づけといわれるモチベーションです。生理的動機づけとは「空腹を満たしたい」「子孫を残したい」など生命維持に必要な行動で、モチベーションのなかで最も根源的であるといえます。

モチベーション2.0は、いわゆる「アメとムチ」による外発的動機づけのモチベーションです。外発的動機づけとは外部からの刺激で生まれるモチベーションで、「給料アップのために頑張ろう」「売上目標達成のために営業を頑張ろう」「上司に怒られたくないから頑張ろう」といった、報酬や処罰によってコントロールされるモチベーションです。


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モチベーション2.0の問題点

モチベーション2.0は、19世紀後半頃から広がりはじめたものです。当時、盛んにおこなわれていた生産業においては、モチベーション2.0の動機づけは最適であると考えられていました。しかし、環境や生活が発展してきたなかで、現代社会にはフィットしづらくなっている箇所も多くみられ、デメリットをもたらす危険性すら考えられるようになりました。そのような状況が起因し、モチベーション2.0の限界を超えるための新たな動機づけとして、モチベーション3.0が普及しはじめます。

ここでは、モチベーション2.0における問題点として挙げられている一部を紹介します。


絶えずインセンティブを与え続けねばならない

モチベーション2.0によって感じるモチベーションは、あくまでも外部から与えられたものです。そのため、絶えずインセンティブを与え続けなければ、従業員・社員のモチベーションは保持されません。しかし、報酬や処罰による動機づけが与えられる環境はいずれ慣れが生じ、内容はエスカレートしていきます。そうなると、長期的に立ち行かなくなることが想定されます。


モラルハザードを生む

モラルハザードとは、道徳の危機、倫理の欠如といった意味を指します。モチベーション2.0は、従業員にモチベーションを与え努力をうながせる反面、手段を選ばない行動をとる可能性があります。成果を求めるあまり不正を働いたり、チームワークを無視し独断で物事を進めたりするリスクも考えられます。


創造性を損なう

目標達成に固執するあまり視野が狭くなり、独創性が失われる可能性があります。確実に成果を挙げることに注力するため、新たな挑戦をおこなったり自ら価値提供したりというモチベーションは生まれにくくなります。


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モチベーション3.0を引き出すには

社内で打ち合わせをする従業員

モチベーション3.0は、日本に浸透しているとは言い難いのが現実です。プレジデント誌が2010年に実施したアンケートによると、「あなたが働くモチベーションは何ですか」という問いに対して、約54%が給料であると答えています。

また、同年に愛知県経営者協会が発表した「働きがいという観点から見て、あなたが重視する項目」では、1位にモチベーション3.0の要因である「仕事を通じて自分の成長につながることを学びたい」が約68%を占めているものの、2位以下にはモチベーション2.0が要因の結果が並び、多くの日本人が外発的動機づけにより仕事のモチベーションを得ていることが浮き彫りとなりました。

その要因として考えられるのは、主に以下の3つです。

1.若年層や中堅層の労働意識や価値観が変化したことにより、人間そのものがモチベーション3.0からモチベーション2.0に退化したから。

2.職場環境の変化で、労働者が仕事に求めるものが移り変わり、モチベーション3.0からモチベーション2.0に回帰しているように見えているから。

3.内発的動機づけを生むためには、個人の仕事に対する強い関心や好奇心、探求心が必要となるため、たとえ企業側が働きかけをしても、すぐには効果が出にくいから。

これらの要因を解消し、モチベーション3.0を引き出すためには、以下の手段が有効であると考えられています。

モチベーション1.0/2.0をまず満たす

まずは、モチベーション1.0、モチベーション2.0の基本的な欲求が満たされなければ、その上位にあるモチベーション3.0は引き出せません。給与や職場環境、役割の明確化など、企業が労働者に最低限提供すべき条件が整っていなければ、従業員個人に自発性を望むことは間違っています。

周辺環境を整える

モチベーション3.0の浸透には、周辺環境の整備も重要です。人間の感情は、周辺環境によって引っ張られる傾向があります。そのため、内発的動機づけを持つ従業員が集まり、丁寧にその重要性を説明すれば、おのずとその他の従業員も感化され、内発的動機づけによるモチベーションが高まることが期待できます。

枠組みを変える

チームごと、一人ひとりに浸透させていくと考えるよりも、はじめに組織のルールを根本から変えることで、トップダウン的に浸透させていくやり方です。そもそもの枠組みを変えてしまうことで、必然的に従業員の潜在的なモチベーション3.0を引き出します。賞罰ではなく自由や裁量を与え、モチベーション2.0からの脱却を図ります。


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内側からモチベーションを引き出すために

モチベーション3.0により、自発性を持った従業員を育てることは、今後、企業が成長していくうえで急務の課題といって良いでしょう。先述したように、従業員の内側からモチベーションを引き出すためには、基盤となるモチベーション1.0、モチベーション2.0の網羅は前提条件です。まずは、自社の従業員の現状を把握し、モチベーション3.0のスムーズな浸透を目指しましょう。

そこで役立つのが、JTBベネフィットの「flappi(フラッピ)」です。企業にモチベーション3.0を浸透させるうえで欠かせない、従業員の個人データを収集してデータから資質や価値観を可視化し、従業員一人ひとりに最適なソリューションの提案をトータルで提供しています。flappiを活用し、効率的にモチベーション3.0への取り組みを進めていきましょう。


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