従業員の健康診断は企業の義務!概要と実施するポイントを解説

健康診断を行う医師と受診する女性従業員

健康診断は、労働安全衛生法により定められている企業の義務です。企業は、対象となる従業員に対して、健康診断を実施しなければなりません。

今回は、健康診断の種類や対象者、実施時の注意点などを紹介していきます。健康診断は煩雑な業務が多いため、運用についてしっかりと理解しておきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.【企業の義務】従業員の健康診断の種類と項目
    1. 1.1.一般健康診断
    2. 1.2.特殊健康診断
  2. 2.健康診断の対象となる従業員は?
    1. 2.1.正社員
    2. 2.2.常勤の労働者
    3. 2.3.役員
  3. 3.従業員に健康診断を実施する際のポイントと注意点
    1. 3.1.実施方法について~主な方法は3種類
    2. 3.2.費用負担者について~会社が全額負担する
    3. 3.3.実施時期について~制限はない
    4. 3.4.受診時間について~「労働時間」とみなすのが望ましい
  4. 4.【義務違反】従業員の健康診断を実施しない場合のリスクとは?
  5. 5.まとめ~煩雑な健康診断手配はアウトソーシングが可能!

【企業の義務】従業員の健康診断の種類と項目

企業の健康診断実施は、労働安全衛生法第66条により定められている義務です。

労働安全衛生法第66条第1項(健康診断)
「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。」

健康診断は、主に以下2つの種類が挙げられます。

一般健康診断

一般健康診断とは、職種や勤務形態にかかわらず実施する必要がある健康診断です。一般健康診断は業種の指定がないため、全企業が対象となります。一般健康診断は、以下の5種類から成り立っています。


1.雇入時の健康診断
対象者:常時使用する労働者
実施時期:雇入時


2.定期健康診断
対象者:常時使用する労働者
実施時期:1年以内に1回


3.特定業務従事者の健康診断
対象者:労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務に常時従事する労働者
実施時期:上記業務への配置換え時、6月以内ごとに1回


4.海外派遣労働者の健康診断
対象者:海外に6ヶ月以上派遣する労働者
実施時期:海外に6月以上派遣する際、帰国後国内業務に就かせる際


5.給食従業員の検便
対象者:事業に附属する食堂または炊事場における給食の業務に従事する労働者
実施時期:雇入れの際、配置替えの際


このなかで、もっとも多くの企業に関係があるのは、「雇入時の健康診断」と「定期健康診断」となるはずです。それぞれで必要となる検査項目は、以下のとおりです。


雇入時の健康診断
1.既往歴及び業務歴の調査
2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3.身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4.胸部エックス線検査
5.血圧の測定
6.貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7.肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
8.血中脂質検査(LDLコレステロ-ル、HDLコレステロ- ル、血清トリグリセライド)
9.血糖検査
10.尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11.心電図検査


定期健康診断
1.既往歴及び業務歴の調査
2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3.身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4.胸部エックス線検査、及び喀痰検査
5.血圧の測定
6.貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7.肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
8.血中脂質検査(LDLコレステロ-ル、HDLコレステロ- ル、血清トリグリセライド)
9.血糖検査
10.尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11.心電図検査

定期健康診断に関しては、雇入時健康診断「4.胸部エックス線検査」に「喀痰検査」が追加された形です。

また、医師に必要ないと認められた場合に限り、以下項目の省略が可能となります。

3.身長、腹囲
4.胸部エックス線検査、及び喀痰検査
6.貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7.肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
8.血中脂質検査(LDLコレステロ-ル、HDLコレステロ- ル、血清トリグリセライド)
9.血糖検査
11.心電図検査

特殊健康診断

特殊健康診断とは、有害業務に常時従事する従業員に対しておこなう必要がある健康診断です。原則として、雇入時や配置換え、6月以内ごとに1回の実施が義務付けられています。
対象者は、以下に該当する従業員となります。


・屋内作業場等における有機溶剤業務に常時従事する労働者
・鉛業務に常時従事する労働者
・四アルキル鉛等業務に常時従事する労働者
・特定化学物質を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者及び過去に従事した在籍労働者(一部の物質に係る業務に限る)
・高圧室内業務又は潜水業務に常時従事する労働者
・放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入る者
・除染等業務に常時従事する除染等業務従事者
・石綿等の取扱い等に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者及び過去に従事したことのある在籍労働者


なお、特殊健康診断は、従事する業務内容により検査項目が異なります。


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健康診断の対象となる従業員は?

ネットワーク健康診断のイメージ

健康診断の実施対象は、労働安全衛生法に基づき「常時使用する労働者」と定められています。常時使用する労働者とは、具体的に以下すべてに該当する従業員です。


・期間の定めがない雇用契約を結んでいる従業員
・1年以上に渡る雇用契約が見込まれる従業員
・すでに1年以上雇用されている従業員
・1週間の所定労働時間が正社員の4分の3を超える従業員


上記を踏まえ、雇用形態別に対象者の詳細を見ていきましょう。

正社員

正社員は、期間の定めがない契約で雇用されているため、全員が健康診断の実施対象者です。
年齢による例外もありません。

常勤の労働者

先述したように、健康診断対象の要件として「1週間の所定労働時間が正社員の4分の3を超える従業員」と示されています。つまり、契約社員やアルバイト、パートなどの非正規社員に関しても、上記要件に該当する場合は実施対象者に含まれるため注意しましょう。

また、義務ではないものの、所定労働時間が正社員の2分の1を超える場合においても、実施が望ましいとされています。なお、派遣労働者の一般健康診断に関しては、派遣元企業で実施されることになるため、対応の必要はありません。

役員

役員に関しては、労働者性の有無によって、対象者となるかそうでないかが異なります。まず、取締役や監査役に関しては、労働性がない「使用者」にあたるため、健康診断の実施対象外です。しかし、部長や支店長などを兼務している役員や執行役員に関しては、使用者には該当せず労働者性がある「従業員」とみなされるため、健康診断の実施対象者となります。


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従業員に健康診断を実施する際のポイントと注意点

一般健康診断の心電図検査室

従業員の健康診断を実施する際の、主なポイントと注意点について紹介します。

実施方法について~主な方法は3種類

健康診断の実施方法は、特定の方法に限定されている訳ではありません。主に以下の3種類が挙げられます。


1.会社で集団健診を実施
会社内、もしくは近隣の施設に医師が検診車で出張し、集団検診を実施する方法です。この方法は、直接病院に行く必要がないため、従業員が長時間離脱することが難しい業種の企業に適しています。


2.指定の病院で受診してもらう
もっともポピュラーな方法が、会社側で指定した病院で受診してもらう方法です。受診予約に関しては、各自で自由にとってもらってもよいですが、会社が従業員分を適当に確保し、不都合があればあとから各自変更してもらった方が、予約漏れがないでしょう。指定病院での受診を定めることで、病院への支払い手続きが簡略化されるメリットがあります。


3.各自に受診させてその結果を提出してもらう
受診病院の決定から予約まで、すべて従業員に一任する方法です。一見、会社側の手間が省けるようにも見えますが、病院ごとに検査実施項目や結果報告のフォーマットが異なるため、実施後の業務が煩雑化する恐れがあります。従業員数が多い会社には、あまりおすすめできない方法です。

費用負担者について~会社が全額負担する

健康診断にかかる費用については、会社の全額負担となります。福利厚生費として計上しましょう。ただし、福利厚生費で計上するためには、以下3つの条件にあてはまらなければいけません。


・全従業員が健康診断を受診している
・実施範囲が常識的であり、従業員の健康管理を目的としている
・企業が病院などの健診実施機関に直接、検診を受診した社員全員の費用を支払っている


各自に受診させる場合は、従業員がその場で支払うことのないよう、会社から後日請求となる旨を事前に伝えておかなければなりません。

実施時期について~制限はない

健康診断の実施時期は定められておらず、企業が自由に設定できます。また、全従業員を同じ時期におこなう必要はなく、従業員によって時期が異なっても問題ありません。しかし、健康管理の観点からみると、各々の実施時期が年によって大幅に変動するのは避けた方がよいでしょう。

受診時間について~「労働時間」とみなすのが望ましい

健康診断の受診時間に関しては、労働時間の一部とみなすのが望ましいです。健康診断は、企業側に実施義務がありますが、労働時間とみなし賃金を支払うかという点は、労使間で取り決める領域です。しかし、支払いをおこなわなければ、従業員から不満の声が上がることが想定されるため、労働時間とみなし賃金の支払いをおこなうことが最善であるといえます。


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【義務違反】従業員の健康診断を実施しない場合のリスクとは?

先述したように、労働安全衛生法第66条により、企業には従業員の健康診断を実施する義務があります。その義務を怠った場合は、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金が科されるリスクがあることを認識しなければなりません。

さらに、労働安全衛生法第104条では、従業員の健康診断情報の漏洩を禁止しています。
万が一違反した場合は、6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金が科されることになります。また、企業が従業員に健康診断の受診を指示したにもかかわらず、何らかの理由により受診拒否をした場合においても注意が必要です。健康診断を受診せず放置し、その従業員に健康被害が生じた場合は、企業側が安全配慮義務違反に問われ、多額の損害賠償を請求される可能性があります。

上記のように、健康診断が適正に実施されない場合は、企業に多くの罰則が科されることになります。また、健診結果に基づき事後措置をおこなうことも必要です。企業、従業員双方にとってマイナスな結果をもたらすことになるため注意しましょう。


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まとめ~煩雑な健康診断手配はアウトソーシングが可能!

企業は、従業員に対して健康診断を必ず実施しなければなりません。義務として課されているという理由だけでなく、従業員が末永く自社で働けるよう、また従業員の人生をより豊かなものにできるようサポートする必要があります。しかし、健康診断業務は煩雑となり、担当者への負担は大きいものです。そのため、無理に社内で抱えずに外部リソースを活用する選択肢もあります。

健康診断業務をアウトソースすると、企業には以下のようなメリットがあります。


・健診予約の管理ができるため、申込み状況を把握できる
・医療機関との契約が不要なので精算や事務手続きも不要
・健診結果を取りまとめてデータ化して納品されるので受診後のフォローができる


JTBグループでは、企業の健康診断業務のサポートをはじめとして、健康に役立つサービス提供をおこなっています。

これからの健康診断業務に不安を抱えている福利厚生担当の方は、ぜひご検討ください。


健康診断実施にあたりおすすめの健康支援サービス

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