今さら聞けない働き方改革関連法とは?概要と対応をわかりやすく解説!


セールス後の報告を電話でおこなっている従業員

働き方改革の推進にともない、それに関連する様々な法律も施行されています。しかし、このような法律を詳しく把握できていない方も多いかもしれません。

今回は、働き方改革関連法の概要や押さえておきたいポイント、新たに導入される制度について一つひとつ解説していきます。働き方改革関連法について理解を深め、企業としてきちんと対応できるようにしましょう。

目次[非表示]

  1. 1.働き方改革関連法とは?
  2. 2.押さえておきたいポイント7つ
    1. 2.1.時間外労働の上限規制の導入
    2. 2.2.一定日数の年次有給休暇の確実な取得
    3. 2.3.不合理な待遇差を解消するための規定の整備
    4. 2.4.労働時間の状況の把握の実効性確保
    5. 2.5.産業医・産業保健機能の強化
    6. 2.6.労使協定の締結、36協定の改定
    7. 2.7.フレックスタイム制の複数月取得
  3. 3.新たに導入される制度
    1. 3.1.高度プロフェッショナル制度
    2. 3.2.勤務間インターバル制度
  4. 4.働き方改革関連法における「大企業」と「中小企業」
    1. 4.1.中小企業の定義
    2. 4.2.企業規模により実施時期が異なるもの 
  5. 5.従業員の就労管理は企業の務めです

働き方改革関連法とは?

働き方改革関連法とは、2018年6月に法案が成立し、2019年4月より順次施行されている法律で、正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」です。

働き方改革関連法は、働き方改革に関連する以下8つの労働法の改正を主な目的とした法となっています。


1.労働基準法
2.労働安全衛生法
3.労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
4.じん肺法
5.雇用対策法
6.労働契約法
7.短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)(※)
8.労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)

※短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)から名称変更


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押さえておきたいポイント7つ

時間外労働・休日労働に関する協定書

ここからは、働き方改革関連法の中で特に押さえておきたいポイントを7つ紹介していきます。

時間外労働の上限規制の導入

労働基準法の改正により、時間外労働に上限規制が導入されました。

従来では、特別条項を設けた36協定を締結し労働基準監督署へ届出をしていれば、年間6回まで上限規制なく時間外労働が可能でした。
しかし、働き方改革関連法の施行によって、以下の内容を守らなければ罰則が適用されます(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)。

・年720時間(月平均60時間)
・2~6ヶ月間平均80時間(休日労働含む)
・単月100時間未満(休日労働含む)
・月45時間超過は年6回まで

上記に例外はなく、いかなる場合においても遵守しなければなりません。


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一定日数の年次有給休暇の確実な取得

こちらも労働基準法改正により、年次有給休暇の確実な取得が義務付けられました。
使用者は、年間10日以上の年次有給休暇が付与される全労働者に対して、毎年5日分の有給休暇を、時季を指定して与えなければなりません。


対象者
2019年4月以降に10日以上の年次有給休暇が付与される、すべての従業員(アルバイトやパートも含む)


時季指定期間
年次有給休暇の付与日(基準日)より1年以内


時季指定方法
労働者の意見を聴取した上で決定する
ただし、以下に該当する場合は時季指定から除く

・労働者から時季指定し取得した場合
・計画的付与により取得した場合

上記を達成できなかった場合は、30万円以下の罰金が科されます。


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不合理な待遇差を解消するための規定の整備

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)により、正規雇用労働者(正社員)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者・派遣労働者)との間の不合理な待遇差が禁止されます。「待遇」には、賃金(基本給、昇給、賞与、手当)や人材育成、福利厚生などが含まれます。

使用者は、労働者が雇用形態に左右されず、待遇に納得感をもちながら働ける環境を整備しなければなりません。


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労働時間の状況の把握の実効性確保

労働安全衛生法の改正により、健康管理の観点から、使用者はすべての労働者(管理監督者や裁量労働制適用者を含む)の労働時間の実績を客観的に把握することが義務付けられます。労働時間の客観的な把握方法としては、使用者の現確やタイムカード、ICカード、パソコンの使用時間記録などが挙げられます。

上記が難しい場合は自己申告からの把握が考えられますが、その場合には十分な説明や実態調査が必要です。


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産業医・産業保健機能の強化

労働安全衛生法の改正により、産業医・産業保健機能が強化され、以下の内容が義務付けられます。

・事業者は、産業医が労働者の健康管理を適切におこなうため、労働者の勤務状況などの必要な情報を提供しなければならない

・事業者は、産業医から受けた労働者の健康管理などに関する勧告の内容を、衛生委員会で報告しなければならない

・事業者は、労働者が産業医に健康相談がおこなえる環境整備に努めなければならない

・事業者は、労働者の健康情報の収集や保管、管理等について指針を定め、労働者が安心して健康相談、診断を受けられるようにしなければならない


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労使協定の締結、36協定の改定

労使協定とは、労働者と使用者の間に結ばれる協定を指します。

先述のとおり、労働基準法による時間外労働の上限規制が導入されたことにより、労使協定の再締結が必要となります。そのため、管轄する労働基準監督署へ36協定改定の届出をしなければなりません。


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フレックスタイム制の複数月取得

労働基準法の改正により、フレックスタイム制の清算期間の上限が「1ヶ月以内」から「3ヶ月以内」に延長されました。

1ヶ月を超える清算期間のフレックスタイム制を導入する際には、管轄する労働基準監督署へ改めて労使協定の届出が必要となります。


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新たに導入される制度

​​​​​​​テレワークをする男性従業員

ここからは、働き方改革関連法の施行により、新たに導入される制度について紹介していきます。

高度プロフェッショナル制度

正式名称を「特定高度専門業務・成果型労働制」といい、年収1,075万円以上で高度な専門知識を要する職種に就く労働者を、本人の同意前提のもとで、労働時間規制から除外するものです。

高度プロフェッショナル制度が適用される労働者については所定労働時間が撤廃されるため、時間外労働や休日出勤、深夜勤務に対する手当の支給が必要なくなります。


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勤務間インターバル制度

勤務時間インターバル制度は、前日の終業時間から翌日の始業時間までの間に一定時間の休息時間を確保する制度です。努力義務として規定されていますが、目安として9~11時間の休息時間の確保を政府は推奨しています。

また、休息時間が翌日の所定労働時間を超過する場合は、始業時間を繰下げる、重複した時間を労働時間とみなすなどの対応が必要です。


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働き方改革関連法における「大企業」と「中小企業」

働き方改革関連法の中には、企業規模によって施行日が異なるものがあります。自社は「大企業」と「中小企業」のどちらに該当するのか、定義を確認しておきましょう。

中小企業の定義

中小企業の定義は、「資本金の額または出資の総額」や「常時使用する労働者の数」によって定められ、以下に当てはまる企業が「中小企業」となります。なお、これらの値は事業場単位ではなく、企業全体の値で判断されます。


資本金の額または出資の総額
小売業、サービス業:5,000万円以下
卸売業者:1億円以下
その他:3億円以下


常時使用する労働者数
小売業:50名以下
サービス業、卸売業者:100名以下
それ以外:300名以下


そして、上記の条件を上回る企業が「大企業」と判断されることになります。

企業規模により実施時期が異なるもの 

働き方改革関連法において、以下の5項目は企業規模によって実施時期が異なります。


残業時間の上限の規制
大企業:2019年4月~
中小企業:2020年4月~


月60時間超の残業の割増賃金率の引上げ
大企業:2010年4月~
中小企業:2023年4月~


不合理な待遇差をなくすための規定の整備
大企業:2020年4月~
中小企業:2021年4月~


労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
大企業:2020年4月~
中小企業:2021年4月~


行政による助言・指導等や行政ADR(※)の規定の整備
大企業:2020年4月~
中小企業:2021年4月~

※ADRとは「Alternative Dispute Resolution」の略で、日本語では「裁判外紛争解決手続」を意味します。


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また、働き方改革関連法を遵守するためには、従業員の就労状況や健康状態の適切な管理、把握が重要です。

JTBベネフィットでは、専門性の高いアライアンスと提携し、企業という組織が健康でいるためのソリューションとして、健康データ集計や管理に特化した各種サービスを提供しています。代表的なサービスは以下になりますので、ぜひご活用ください。


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