健康経営のメリットとは?企業・従業員の両視点から徹底解説
「健康経営」という言葉をご存知でしょうか?何となく聞いたことはあっても、十分な知識が得られておらず、取り組みを躊躇している企業もあるかもしれません。しかし、健康経営は、全企業において必要不可欠といえる重要な取り組みだといえます。
今回は、健康経営の目的やメリット、デメリットについて紹介していきます。健康経営を本格的に進めるにあたり、人事、総務担当の方はメリットやデメリットをしっかりと認識しておきましょう。
目次[非表示]
- 1.健康経営とは?
- 1.1.健康経営とは
- 1.2.健康経営銘柄とは
- 1.3.健康経営優良法人とは
- 1.4.健康経営の主な目的
- 2.健康経営のメリット8選
- 3.健康経営のデメリット4選
- 3.1.会社側のデメリット
- 3.2.従業員側のデメリット
- 4.まとめ~健康経営は、企業・従業員双方に大きな利益を生みます!
健康経営とは?
健康経営とは、具体的にどのような経営を指すのでしょうか?健康経営の意味と目的について紹介します。
健康経営とは
健康経営とは、企業が経営課題の一つとして従業員の健康をサポートすることで、企業全体の生産性や業績の向上につながるという意味をもっています。健康経営は、アメリカの経営学・心理学者であるロバート・H・ローゼンが提唱した概念で、近年は日本でも啓発運動が盛んにおこなわれている状況です。
オフィスワークやテレワークが多い従業員は1日の中でデスクに座っている時間が長いため、慢性的な運動不足に陥りやすく、メタボリックシンドロームをはじめとした生活習慣病にかかるリスクが高まります。心身ともに健康な従業員を増やし長期に渡って保持するためには、企業が健康経営を学び、従業員の健康管理を戦略的に推し進める姿勢が求められます。
健康経営銘柄とは
経済産業省と東京証券取引所が共同で、健康経営に優れた上場企業の1業種1社のみを健康経営銘柄として選定しています。健康経営銘柄がこれまで投資家は企業の財務状況を重視して投資していましたが、今は長期的な視点で持続可能な企業価値の向上を重視するようになり、健康経営に積極的な企業は生産性や業績の向上につなげられると期待を寄せるようになりました。
健康経営優良法人とは
経済産業省と日本健康会議が共同で、健康経営に特に優れた企業を健康経営優良法人として顕彰する制度です。健康経営に取り組む企業は従業員の健康管理を経営課題の一つとして認識し、戦略的に取り組みを実践している企業とされています。
この制度が創設された目的は、健康経営銘柄に選定される企業の基準がごく少数に限られるため、上場していなくても健康経営を実践している大企業や中小企業も認定すべきという背景があります。
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健康経営の主な目的
健康経営の主な目的は、企業イメージやブランド力を高める点と、生産性の向上にあります。
詳細を順番に紹介します。
企業イメージ・ブランドを高める
健康経営の目的は、企業イメージやブランド価値を高める点にあります。企業イメージ、ブランド価値が向上すれば、顧客からの信頼が増し、業績アップや新たなビジネスチャンスが生まれることも期待できます。
また、健康経営の取り組みを社外に積極的にアピールすることで、多くの求職者の目に留まり、優秀な人材確保にも効果を発揮するでしょう。
労働生産性を上げる
健康経営により、労働生産性向上を目指します。社員の精神的、肉体的健康は、企業の生産性を大きく左右する要素です。心身ともに業務に集中できる状態が整うと、社員は高いモチベーションやパフォーマンスを保ちながら取り組めるようになります。
また、先述したように世間的に企業ブランドが認められることにより、社員の本質的な意識に相乗効果をもたらす可能性もあります。社員の士気や帰属意識が高まり、自社や自社商品、サービスに誇りを感じる働き方を実践できるようになるため、結果的に生産性向上にもつながっていきます。
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健康経営のメリット8選
では、健康経営の取り組みは、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?企業側、従業員側それぞれの視点から紹介していきます。
企業側のメリット
まず、企業側には主に以下のようなメリットがあります。
企業イメージがアップする
健康経営は、良好な企業イメージを作り上げます。健康経営を推進することで、社外から「従業員を気遣い大切にしているホワイト企業」という評価が根付き、経営のイメージ戦略にも役立ちます。既存顧客の顧客満足度向上はもちろん、新規顧客の開拓にも効果を発揮するでしょう。
採用力が向上する
健康経営は、採用活動を活発化させる作用もあります。健康経営のアピールが成功すると、より多くの入社志望者を集められるため、その後の採用活動がスムーズに進みます。より自社にフィットした人材の確保を狙うには、初期段階である母集団形成が重要となるため、健康経営のアピールは積極的におこなうべきです。
離職率・定着率が改善する
従業員の定着率を高め、離職率低下をもたらすのが健康経営への取り組みです。健康経営の実施が順調に進むと、従業員の健康問題による不安が払拭されます。そうすると、日常生活はもちろん、仕事においてもポジティブな気持ちで過ごせるようになり、仕事のやりがいや楽しさを実感する精神的余裕が生まれます。
上記に加え、社外評価の向上により、自社への貢献心や帰属意識が芽生えるため、定着率や離職率の改善が期待できるでしょう。
業績が向上する
健康経営の取り組みは、企業全体の業績向上に貢献します。従業員の健康状態が良好に保たれれば、仕事においてのパフォーマンスが上がり、より顧客に満足してもらえる価値や商品提供が可能です。さらに、パフォーマンスの向上は生産性向上につながり、結果的に業績向上を導きます。
つまり、「健康な従業員が増える=業績向上に貢献できる人材が増える」ということになります。
企業が負担する医療費の削減につながる
健康経営が定着すると、企業が負担する医療費の削減になります。「見えない人件費」といわれる医療費は、一人当たりが与える影響が少なくても、体調不良の従業員が増えれば増えるほど、経営圧迫の要因となりかねません。
そのため、企業は健康経営の取り組みを強化し、労働環境の整備や従業員の健康増進を推し進める必要があります。
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従業員側のメリット
一方、従業員側にはどのようなメリットがあるのでしょうか?主な3つを紹介します。
会社主導の取り組みで健康になれる
従業員にとっての最大のメリットは、健康な体を手に入れられる点にあります。自主的な取り組みがなかなか続かないという従業員でも、会社が主導となる健康経営の取り組みにより、スムーズに健康意識が根付きます。
さまざまな取り組みの中で健康に関する知識が深まり、生活習慣の改善が期待できるでしょう。
イキイキと仕事ができるようになる
健康経営の取り組みは、従業員の精神的安定につながるでしょう。肉体的な健康が保たれることで、精神的な健康にも好影響をもたらします。また、労働環境の見直しによって職場に活気や一体感が生まれると、ほかの従業員からも良い刺激を受け、より充実感をもちながら働けるようになります。
愛社精神が高まる
健康経営に積極的に取り組むと、所属している社員は「会社は自分の健康まで考えてくれている」とポジティブな印象を抱き、愛社精神が高まります。それにより、自社や自分の業務に誇りをもって働けるようになり、生産性や業績向上も期待できます。
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健康経営のデメリット4選
続いては、健康経営のデメリットについて紹介します。メリットだけでなく、デメリットも理解した上で取り組みを進めましょう。
会社側のデメリット
会社側のデメリットとしては、主に以下の2点が挙げられます。
コストがかかる一方で効果がわかりにくい
まず、コストがかかる割に効果がわかりにくいという点です。健康経営を自社内で運用するには、従業員分の金銭的、時間的コストが発生します。しかし、その効果は目に見えにくく、実感できたとしてもある程度時間が経過してからです。そのため、経営層の理解が得られにくいケースもあるでしょう。
このデメリットの解消には、効果測定システムの導入や、従業員一人ひとりに具体的な目標達成を促すプログラムの活用が有効です。
データの取得・管理に手間がかかる
健康経営の遂行には、人事データと健康データの2種類の取り扱いが発生します。つまり、従業員が多い企業ほど、情報の取得や管理が煩雑化し、人事総務担当者に負担がかかります。そのため、健康経営の実践を成功に導くためには、管理ツールの導入を積極的に検討する必要があるでしょう。
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従業員側のデメリット
一方、従業員側にも、以下のようなデメリットが挙げられます。
会社に健康問題を知られることに抵抗を感じる従業員もいる
従業員の中には、健康に関わる情報を第三者に知られたくないと感じる人もいます。そのため、企業側は、健康情報の使用目的や管理方法を明示し、従業員に安心感を与える必要があります。
業務以外の作業に時間をとられてしまう
健康管理の遂行は、企業側の努力だけでは実現しません。従業員には、定期健康診断やストレスチェック、その他企業独自のイベント参加などを求めることになります。
その都度業務を中断せざるを得ないため、多少なりとも業務の進行に影響が及ぶでしょう。
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まとめ~健康経営は、企業・従業員双方に大きな利益を生みます!
健康経営の結果は、すぐに目に見えて表れるものではなく、取り組みにあたってはコストも発生します。しかし、企業の生産性や業績だけでなく、従業員の幸せな未来のために、健康経営を「将来を見据えた先行投資」として捉え、積極的に取り組んでいきましょう。
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