メンタルヘルスとは?従業員のメンタルヘルス管理が重要なワケ
ストレスチェック制度が始まったことにより、各企業に従業員のメンタルヘルス管理の推進が求められるようになりました。しかし、こうした状況下で従業員の管理をする場合、「そもそもメンタルヘルスとは何なのか?」といった疑問が生じることもあるのではないかと思います。
そこで今回は、メンタルヘルスの基礎知識として、意味や定義、そして従業員のメンタルヘルスが悪化することで生じる影響、ストレスチェックの重要性などについて詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.メンタルヘルスとは?
- 1.1.メンタルヘルスが注目される背景
- 2.メンタルヘルス悪化の影響とは
- 3.メンタルヘルス悪化の原因
- 3.1.社内での対人関係
- 3.2.職務上のプレッシャー
- 3.3.劣悪な労働環境や、労働環境の変化
- 3.4.悩みを相談できる人が少ない
- 3.5.私生活のできごと
- 4.従業員のメンタルヘルス不調を防ぐ方法とは?
- 4.1.ストレスチェックをおこなう
- 4.2.社内で匿名性の相談窓口を開設する
- 4.3.配置転換をおこなう
- 4.4.メンタルヘルスへの理解を促す研修・セミナー・イベントを開催する
- 4.5.メンタルヘルスに関するアンケートを実施する
- 5.メンタルヘルス管理にはストレスチェックなどの健康支援サービスをご利用ください
メンタルヘルスとは?
メンタルヘルスとは、一般的に「身体だけでなく、心も健康で満たされた健康状態をめざす」という意味合いで使われることの多い言葉です。直訳すると、精神保健になります。メンタルヘルスなどの規定が書かれている精神保健福祉法には、この法律の目的として、「精神疾患の発生の予防や、国民の精神的健康の保持および増進に努めること」と記載されています。
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メンタルヘルスが注目される背景
厚生労働省が2014年に職場におけるメンタルヘルス促進事業を始めた背景には、当時おこなわれた状況分析によってあぶり出された以下の4つの社会的背景が影響しています。
1.当時の国内自殺者数30,000人のうち、約9,000人が労働者
2.自殺原因のひとつに勤務問題をあげた人が約2,500人
3.職業生活において強いストレスや不安を抱えた労働者が約6割
4.精神障害などによる労災保険の支給決定件数が増加傾向
労働環境のこれだけ多くの問題に対して、メンタルヘルス対策に取り組む事業場が少ないとして、国ではストレスチェックなどの本格的な制度化や管理の推進をするようになりました。
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メンタルヘルス悪化の影響とは
働く人の心の健康が悪化すると、従業員と企業の双方に以下のような悪影響が生まれます。
従業員への影響
従業員のメンタルヘルスが悪化すると、集中力低下や適正な判断が難しくなるといった症状が出やすくなります。そして、症状が重くなった場合、メンタルのセルフケアをおこなうことは難しく、以下のような精神疾患を発症する可能性もあるのです。
・うつ病
・自律神経失調症
・睡眠障害
・摂食障害
・パニック障害 など
企業への影響
メンタルヘルスの悪化によって集中力や判断力が低下した場合、品物の製造やサービスの提供といった事業の様々なシーンでミスを引き起こしやすくなります。
例えば、食品工場のラインでミスが起こると、異物混入によって多くのお客様に迷惑がかかる可能性も出てきます。また、こうしたトラブルによって製造ラインが止まれば、工場自体の生産性も低下してしまうのです。
他にも、うつ病や自律神経失調症になった従業員が休職や退職をした場合、不足した労働力を補うために、多くの採用活動をおこなう必要も出てきます。そのため、従業員のメンタルヘルスの悪化は、個人だけでなく企業にとっても大きな問題であると考えられるのです。
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メンタルヘルス悪化の原因
従業員のメンタルヘルスが悪化する原因として、以下のようなものが考えられます。
社内での対人関係
仕事をする環境の中に、上司からの過度な圧力やパワハラ、モラハラ、セクハラや他の従業員とうまく連携がとれないなどといったことがあると、精神的なストレスにより心の健康が損なわれやすくなります。また、同僚間のいじめや嫌がらせも、メンタルヘルス悪化の大きな要因です。
職務上のプレッシャー
自分の能力を遥かに超えたノルマや厳しい納期といったものも心に大きなプレッシャーを与えます。また、昇進に向けた周囲からの期待や、それにともなうライバルとの激しい競争なども、場合によってはメンタルヘルス不調をもたらす要因になるようです。
劣悪な労働環境や、労働環境の変化
連日遅くまでおこなわれる残業や長時間労働といった劣悪な環境でも、心の不調は起こりやすくなります。また、自分の希望しない部署への異動や転勤によって家族と離れることになった場合なども、メンタルヘルス悪化の要因となります。
悩みを相談できる人が少ない
自分しかできない単独業務で誰とも悩みや問題を共有できなかったり、コミュニケーションが著しく低い職場などでも、心の健康が損なわれやすいです。問題解決ができる土壌がない環境も、メンタルヘルスに悪影響を及ぼします。
私生活のできごと
以下のようなプライベートなできごとも、メンタルヘルスに不調をもたらすことがあります。
・結婚
・離婚
・転居
・妊娠出産
・育児
・交通事故 など
ここで注意したいのは、人間のストレスは離婚や交通事故といったネガティブなことだけでなく、結婚や妊娠といった一見幸せに思えるライフイベントによっても高まりやすくなることです。そのため、従業員からの相談に耳を傾ける際には、幅広い種類のできごとにストレスを感じる人間の特徴も頭に入れておいたほうが良いかもしれません。
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従業員のメンタルヘルス不調を防ぐ方法とは?
企業が以下のような対策を講じると、従業員のメンタルヘルス不調を防ぎやすくなります。
ストレスチェックをおこなう
国の制度であるストレスチェックは、50名以上の従業員がいる事業場に義務付けられています(50名未満の場合は努力義務)。1年に1回のチェックをおこなうと、労働者が自らのストレス状況に気づきやすくなります。また、従業員のストレス低減に向けて職場環境を改善する場合にも、この調査結果を役立てられることでしょう。
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社内で匿名性の相談窓口を開設する
メンタルヘルス不調に悩む従業員の多くは、誰にも相談できない悩みを抱えがちです。こうした問題を解決するには、誰もが気軽に利用できる相談窓口を設置するのが理想です。例えば、週に1回だけ産業カウンセラーや産業医などに相談する機会を設ければ、上司や同僚には知られたくないパワハラなどの相談も気軽にできるでしょう。
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配置転換をおこなう
ハラスメントなどの人間関係の問題や、自分の資質や能力に見合わない仕事によって多大なストレスを抱えている場合、思いきって配置転換をさせることで、メンタルヘルス不調が改善しやすくなる可能性もあります。
また、こうした不調や病気を機に適材適所の人材配置をおこなうと、企業にとっても離職率低下や生産性向上などのメリットが生まれやすくなるでしょう。
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メンタルヘルスへの理解を促す研修・セミナー・イベントを開催する
ストレス社会の日本では、従業員の誰かがメンタルヘルス不調に陥った際のために、精神的な不調への理解を促すセミナーなどを実施するのもおすすめです。こういった取り組みによって従業員の意識を変えておくと、うつ病などから社会復帰をした人とのコミュニケーションなども図りやすくなります。
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メンタルヘルスに関するアンケートを実施する
精神不調に対する認識や、ストレスの生じやすい社内の問題をアンケートで調査する方法もおすすめです。この結果を通して従業員のメンタルヘルスに対する意識が低いと感じた場合は、研修やセミナーの内容や回数を見直しても良いと思います。
また、職場環境によってメンタルヘルスに問題を引き起こす可能性がある場合は、業務効率化やノー残業デーの導入といった取り組みを検討してみても良いでしょう。
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メンタルヘルス管理にはストレスチェックなどの健康支援サービスをご利用ください
メンタルヘルスとは、「心の健康の回復、維持や増進(にまつわる状況)」という意味で使われる言葉です。国が職場におけるメンタルヘルスの促進を始めた背景には、当時の自殺者数や労災保険の支給決定件数などにおいて、労働者の割合が非常に高かった実情が大きく関係しています。
従業員のメンタルヘルスが悪化すると、集中力や判断力低下からくる作業ミスによって、事業に大きな支障が出ることもあります。また、従業員本人においても、睡眠障害やパニック障害といった精神疾患を発症することもあるため、注意が必要です。
JTBベネフィットでは、企業におけるメンタルヘルスケアや管理に役立つ様々な健康支援サービスを提供しています。まず、「コンケア」は、従業員のコンディションを見える化できるツールです。勤怠システムとも連動できるため、従業員の細かな変化の蓄積や把握をすぐにおこなえます。
「お気軽☆LINE」は、若手の離職抑止に特化した次世代のSNSチャット相談サービスです。使い慣れたLINEで日々の不満などを吐き出すことで、ストレス解消や良好なコンディションの維持が可能となります。
他には、50名以上の従業員がいる事業所向けに、「ストレスチェック」もご用意しています。50名未満の事業場も努力義務ではありますが、従業員の健康管理のひとつとして実施することをおすすめします。実施後の医師面接の手配などもサポート可能となっていますので、年1回のチェックの効率化を目指す方は、ぜひ内容を確認してみてください。
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