健朗シニアの特徴とは?職場でいきいきと活躍するための3大要素を解説

健朗シニアがオフィスワークするイメージ

2020年1月、株式会社リクルートは、雇用、進学、アルバイトなど7領域におけるトレンド予測を発表しましたが、その一つが「健朗シニア」でした。人生100年時代というように平均寿命が延びる中で、定年が延長され、65歳、70歳になっても働くシニア世代の人材を採用し、どのように活用するかは企業側の大きな課題です。

そして、今後も増えていくことが予想される「健康で心身ともに朗らかなシニア」が安心して働ける職場づくりはどの企業にとっても急務です。今回は、「健康で心身ともに朗らかなシニア世代」こと「健朗シニア」の実態と、企業側の対応策について取り上げます。

目次[非表示]

  1. 1.健朗シニアとは?
  2. 2.健朗シニア誕生の背景
  3. 3.健朗シニア活躍のための3大要素
    1. 3.1.生きがい
    2. 3.2.健康
    3. 3.3.お金
  4. 4.健朗シニアをとりまく現状
    1. 4.1.企業側の積極的側面
    2. 4.2.企業側の消極的側面
  5. 5.健朗シニアが安心して働けるための事例
    1. 5.1.シニア社員の活躍の場を確保
    2. 5.2.体力に合わせた自由な働き方でシニア世代に安心感を提供
  6. 6.まとめ

健朗シニアとは?

健朗シニアとは、就業意欲が高く心身ともに朗らかなシニア世代の従業員というのが定義です。
現在、日本社会が取り組まなければならない多様な人材の活用に対して、雇用領域における様々な角度から打ち手が試みられています。例えば、社員と派遣スタッフの同一労働同一賃金をはじめ、副業解禁、多国籍のアルバイトの採用、さらにはコロナ禍で介護や育児の制約がある従業員でなくてもテレワークと出勤を組み合わせた新しい働き方を始めています。

若い世代が自分のやりたいことを大事にする進学、進路選びをする一方で、シニア世代の多くが定年後もやりがいを求めて、働き続けることを希望しています。このようなシニア世代の人材を企業側が積極的に活用することで、健康で心身ともに朗らかな「健朗シニア」が生み出されています。


健朗シニア誕生の背景

健朗シニアと呼ばれる世代

いくらシニア世代に高い労働意欲があったとしても、社会あるいは企業側が積極的に採用して活用する受け皿がなければ、健朗シニアは生まれようもありません。そして、現在の日本社会が直面している労働力人口の減少は、健朗シニア誕生の主要な要因と言ってもよいでしょう。

日本の労働力人口の推移を見てみましょう。



2000年
2020年
2030年(予測)
29歳以下
1,588万人
1,081万人
992万人
30~59歳
4,260万人
4,190万人
3,790万人
60歳以上
919万人
1,306万人
1,298万人


また、OECDが2019年8月に公表した報告書「生涯を通じたより良い働き方に向けて(Working better with Age)」によると、2018年のOECD諸国において100人の就業者が支えなければならないシニア世代(仕事をしていない50歳以上の者)は平均42人で、このまま対策を講じなければ2050年には58人へ増加すると予想されています。そして、講じることができる対策の一つとして、定年の年齢の引き上げが挙げられており、今のうちから健朗シニアが活躍できる社会の仕組みを作ることの必要性が急務となっています。


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健朗シニア活躍のための3大要素

老後資金問題イメージ

冒頭のリクルートのトレンド予測で、健朗シニアが活躍するための3大要素は「生きがい」「健康」「お金」と分析しています。この3つの要素で健朗シニアがどのように活躍することにつながっているのか見てみましょう。

生きがい

かつて高度経済成長期からバブル期の日本においては、定年まで懸命に働いて、経済的にも不安なく定年後の生活を楽しめるだけのお金を貯めて、余生は自分の住まいでゆったりと、好きなことをしながらのんびり過ごす、という生き方が多数派でした。
しかし、2018年に実施された調査によると、69歳までに仕事を終えたいと考えている人は全体の3割にも満たず、7割を超える人たちが70歳を超えても働きたいと考えていることが明らかになりました。

また、シニア世代の年齢によって、働き続けることを希望する理由が異なっています。65歳までの男性においては、「生活維持のため」が72%に上りますが、65歳を超えると「生活維持のため」は52%、70歳を超えると45%まで減少します。それよりも高い年齢層では「人との交流ができるから」や「生きがいになるから」という理由が増加しています。

健朗シニアは、健康で充実した老後を送るためには仕事をオフにすることを望まず、社会とのつながりを持ち、個人の存在意義を実感できる居場所が必要であると感じていることがわかります。


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健康

健朗シニアがいきいきと働くためには、健康維持は不可欠です。シニア世代の約35%が「健康維持」のために働き続けたいと回答していますので、シニア世代の就業と健康は切っても切れない関係にあります。

文部科学省の調査によると、2015年の70代前半の高齢者の体力・運動能力は2001年の60代後半と同じとのことです。また、1997年と2006年の高齢者の歩行速度を比較しても、約10歳若返ったとのデータもあります。こうしたことから、健朗シニアというネーミングが示す通り、現在のシニア世代は就業に耐えうるだけの健康と体力も持ち合わせていることがおわかりいただけると思います。


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お金

健朗シニアが就労したい理由として一番多かったのが、お金に関することでした。先に挙げたリクルートの調査によると、「生計の維持」「自由に使えるお金を稼ぐ」と回答した人が共に35%程度いました。

しかし、シニア世代の中でも、年齢によって働き続けることを希望する理由の割合が異なるのは先に述べたとおり65歳までは生活維持のためが多いのですが、65歳を超えて高年齢になるにつれて人との交流や生きがいに変化していきます。


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健朗シニアをとりまく現状

長きにわたる経験を生かして助言する健朗シニア

ここまででシニア世代が貴重な労働力であることは理解できたと思います。しかし、現在、コロナ禍で人材採用が控えられている状態が続いていますので、すぐにシニア世代が希望する職種や企業に就職できるというわけではありませんが、今後に備えてシニア世代の雇用をめぐる企業側の対応における積極的側面、消極的側面をそれぞれ分析してみることにしましょう。

企業側の積極的側面

シニア世代は長年の知見を多く持っていますので、若年世代が将来のビジョンを描くにあたってメンター的な役割を果たすことができます。シニア世代は人生経験が豊富ですので、多方面に渡る課題の対処法を体得しており、今まで積み上げてきた経歴や人脈を生かしてビジネスを成功へと導く術を持っています。さらに、シニア世代はすでに一定の技能を保有していますので、企業にとっては採用コストを抑えて即戦力の人材を採用できるメリットもあります。

また、シニアならではの助成金制度が設けられていたり、税制の補助を受けたりすることも可能です。例えば、独立行政法人である高齢・障害・求職者雇用支援機構による「65歳超雇用推進助成金」では、企業側が定年引き上げや撤廃、高齢者雇用にむけて環境整備をしたことに対して助成金が支給されます。加えて、ハローワーク主導の「特定求職者雇用開発助成金」でも、事業者が定年以上の高齢者を継続雇用することを対象にしています。

企業側の消極的側面

企業側がシニア世代の雇用にそこまで積極的ではない、という現状も直視しなければなりません。2017年に実施されたメイテックの調査で、働く意欲があるのに、働いていないと回答した高齢者は20.8%いました。

そうしたシニア世代を対象に「なぜ応募しても採用されなかったのか」質問したところ、「人事責任者が高齢者雇用に消極的だった」(31.4%)、「職場全体に高齢者雇用に消極的な雰囲気があった」(18.6%)という回答がなされました。この回答は高齢者自身の分析ですので、企業側の考えと齟齬がある可能性はありますが、少なくともコロナ禍の影響は関係なくシニア世代が企業側の対応に消極的な態度を感じ取っていることがわかります。

また、高齢化に伴う能力、体力の低下は避けられず、シニア世代を雇用するためには企業側に一定程度の施策が求められますが、厚生労働省の調査によると、60歳以上の高齢者を雇用する企業の中で「作業方法、施設、設備の改善・整備」をおこなっている企業は全体のわずか3%、「労働環境の短縮・柔軟化」をおこなっている企業も16%でした。また、教育訓練をおこなっている企業も3%、安全衛生や健康管理の面で配慮をおこなう企業も11%であり、企業側がシニア世代の雇用に消極的であると言われても無理もないことがわかります。


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健朗シニアが安心して働けるための事例

オフィスで仕事をする従業員

世の中の動きもさることながら、以上の分析より、実際に健朗シニアを受け入れることになる企業側にはいまだに十分な受け入れ態勢が整っていないことがわかりました。この問題をどのように解決していけばよいのか、シニア世代の雇用に対してすでに施策をおこなっている企業の事例をご紹介します。

シニア社員の活躍の場を確保

この大手住宅メーカーの取り組みは、業界を先駆けて2013年に65歳定年を導入し、シニア社員を戦力として囲い込めるようにしてきました。単なる形だけの役職を与えるのではなく、60歳の定年後に「メンターコース」「プレイヤーコース」を設け、その中でシニア社員にオフィスにおける自分の役割や期待を理解してもらい、実際に活躍できる場を提供するようにしてきました。そして、約8割が以前と同じ職場で引き続きプレイヤーとして勤務しています。

さらに、2015年には「アクティブ・エイジング制度」を設け、65歳以降も1年更新で嘱託職員として会社に残り、会社が必要とする場合は70歳、80歳になっても働き続けられる場を設けています。

体力に合わせた自由な働き方でシニア世代に安心感を提供

ドラッグストア経営をおこなっている大手企業では、シニア世代に活躍の場を創出するため2017年より「シルバーアソシエイツ制度」を開始しました。同社は65歳以上のシニア世代の人材と業務請負契約を結び、いつでも好きな時間に出勤でき、自分のペースで働ける環境を提供しています。業務の内容はドラッグストアの商品陳列が中心で、平均年齢は70歳、最年長は81歳の健朗シニアがいきいきと働いています。

いつでも好きな時間に働けるので、体力に不安があったり、家の都合があったりすれば、休暇を取ることができ、心理的な負担がありません。同時に、健朗シニアは職場でのつながりもあり、生活にメリハリができるため、仕事を通じて生きがいを感じることができているようです。


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まとめ

シニア世代の人材は、将来的な勤続年数に限りがあることや、年齢由来のスキルや能力に限界があることが課題といえるかもしれません。しかし、健朗シニアは健康でいきいきと働き、稼ぐことができるポテンシャルをまだまだ持っていますので、人事担当者も将来シニア世代になった時を想像し、シニア世代の立場に立って、適材適所をこころがけてみてはいかがでしょうか。それは最終的には優秀な人材の確保や企業のブランド向上にもつながり、自社にもポジティブな変化の兆しをもたらしてくれるはずです。

健朗シニアの健康管理は、JTBベネフィットの健康支援サービスが役に立ちます。健康経営施策をおこなうことで従業員の健康意欲を向上し、結果的には従業員だけでなく企業の継続的な成長を促します。健康管理の業務効率化やメンタルヘルス、体力づくりや組織活性化の促進など目的に応じた豊富なサービスを取り揃えていますので、ぜひ導入をご検討ください。


  健康支援サービス | JTBベネフィット 従業員のからだと心の健康を支援していくためのソリューションを提供し、根本的な課題の発見や活力ある職場の創造をサポートします。健康経営銘柄の取得・更新など、健康のための施策や運用にお悩みの方はぜひご相談ください。 株式会社JTBベネフィット


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