「ストレスコーピング」とは?事例やストレス軽減につながる効果について

事例	従業員のストレス軽減に役立つ「ストレスコーピング」とは?具体例も解説

※この記事は2020年11月30日に更新しました。


従業員のパフォーマンスが上がらない、職場の雰囲気が良くない……。それはもしかしたら、従業員のストレスが原因なのかもしれません。そこで知っておきたいのが「ストレスコーピング」です。

ストレスコーピングとは、簡単にいうとストレスと上手に付き合う手法のことで、近年、従業員のストレスマネジメントの一環として用いる企業が増えています。では、ストレスコーピングとはどのようなものなのでしょうか?具体例を交えて解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.ストレスコーピングとは
    1. 1.1.ストレスコーピングの意味
    2. 1.2.適応機制やストレスマネジメントとの違い
  2. 2.ストレスコーピングの種類
    1. 2.1.問題焦点型コーピング
    2. 2.2.情動焦点型コーピング
    3. 2.3.気分転換型コーピング
  3. 3.ストレスコーピングの効果
    1. 3.1.従業員エンゲージメントが向上する
    2. 3.2.生産性が向上する
    3. 3.3.コスト削減につながる
  4. 4.ストレスコーピングの具体例
    1. 4.1.具体例 その1:問題焦点型
    2. 4.2.具体例 その2:情動焦点型
    3. 4.3.具体例 その3:気分転換型
  5. 5.ストレスコーピングのために企業ができること
    1. 5.1.相談できる環境をつくる
    2. 5.2.ストレスコーピング研修や人材育成
    3. 5.3.「ストレスチェック」を実施する
  6. 6.人材流出や組織力低下を防ぐための施策を

ストレスコーピングとは

ストレスコーピングの意味

ストレスコーピング(Stress Coping)とは、ストレスへの対処方法に関するメンタルヘルス用語です。copeには「問題に対処する」「うまくやる」という意味があります。ストレスコーピングはストレス発散だけを意味するのではなく、ストレスとの向き合い方を知り、ストレスと上手に付き合っていく手法を指します。

適応機制やストレスマネジメントとの違い

ストレスコーピングが意識的にストレスをコントロールするのに対し、「適応機制」は無意識下で働く防衛反応です。また、ストレスコーピングがストレス対処法を指すのに対し、「ストレスマネジメント」はストレスを管理するというより広義な意味を持っています。ストレスマネジメントで用いる手法のひとつがストレスコーピングと理解するとよいでしょう。


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ストレスコーピングの種類

ストレスは、次の3つの要素で構成されています。

1.ストレッサー(ストレスの基)から刺激を受ける
2.ストレスを認知する
3.ストレスに心身が反応する

ストレスコーピングは、これら3つの構成要素のどこにアプローチするかによって、以下の3種類にわかれます。

問題焦点型コーピング

問題焦点型コーピングは、1.ストレッサー(ストレスの基)から刺激を受けることにアプローチして、ストレスの原因そのものを排除したり、改善したりして解決を図る手法のことです。必ずしも自分の力だけで解決しようとするわけではなく、同僚や家族の力を借りておこなう場合も含みます。

情動焦点型コーピング

情動焦点型コーピングは、2.ストレスを認知することにアプローチして、ストレスに対する感じ方や考え方など認知の仕方を変える手法のことです。認知の仕方を調整してもらうために有効な方法は、誰かに話を聞いてもらうことです。それにより、自分の感じ方や考え方を客観的に捉えることができるようになります。

気分転換型コーピング

気分転換型コーピングは、3.ストレスが心身に反応することにアプローチして、ストレスが蓄積し、精神や身体を蝕まないようにするためのものです。これはストレスを受け入れた後に解消する手法で、いわゆる「ストレス発散」「ストレス解消」と言い換えることができます。何が効果的かは一概にはいえず、各自が自分に合った最適な方法を見つけることがカギになります。


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ストレスコーピングの効果

従業員エンゲージメントが向上する

195ヵ国250万のチームを対象にした調査によると、上司が毎日直属の部下とコミュニケーションを取ると、そうでない場合に比べて、部下がエンゲージメントを抱く割合は約3倍になることがわかりました。上司が部下の悩みや不安に耳を傾けてあげれば、部下はストレッサーに対する捉え方や感じ方を調整できることで職場でのストレスを抱え続けずに済み、結果としてエンゲージメントの向上につながります。


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生産性が向上する

2018年11月に実施された日本国内で働く人の約1,000名を対象にした調査によると、週の労働時間が35時間以上40時間未満の人で「ストレスを感じる」と答えた人は50.4%、「効率的に働いている」と答えた人は83.2%であったことに対し、週の労働時間が70時間以上ではストレスを感じている人が75.8%で、効率的に働いていると答えた人は54.5%に減少しました。労働時間が長くなると従業員のストレスが増大するだけでなく、生産性がかえって低下することがわかります。企業が労働生産性を向上させるためには、労働時間の短縮とともにストレスコーピングに取り組むことがカギになるといえます。


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コスト削減につながる

厚生労働省の「精神障害に関する事案の労災補償状況」によると、2019年度における労災請求件数は2,060件で前年度比240件の増加、支給決定件数は509件で前年度比44件の増加でした。政府も2015年12月から常時50人以上の従業員が働く事業所においてはストレスチェックの実施を義務化していますが、企業にとっても従業員のストレス軽減は重要な課題です。

企業が何も対策を取らないままで従業員が精神疾患になり、労災訴訟や休職に至った場合、概算で1人あたり400万円のコストがかかるといわれていますので、コスト削減の観点からみてもストレスコーピングの必要性が重要であることがわかります。


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ストレスコーピングの具体例

ストレスコーピングを理解するには、具体例を知るのが近道です。先述したコーピングの種類ごとに解説していきます。

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具体例 その1:問題焦点型

【例】
上司から指示される仕事の量が明らかに多く、パワハラではないかと感じている。連日残業になり、肉体的にも精神的にもストレスを抱えるようになった。


問題焦点型コーピングは、「ストレッサー自体をなくす」という手法です。この場合のストレッサーは上司だと考えられます。対処法としては、上司にパワハラをやめてもらうようにお願いする、あるいは上司の上席となる人物に対応を仰ぐなどの方法が考えられます。これによって上司のパワハラが一切なくなれば万事OKですが、残念ながら現実的にはすぐに解決しない場合も多いでしょう。

さらに突き詰めていけば、その上司もストレスを抱えている可能性があります。上司が部下に無理な仕事を押しつけてしまうのは、上司に根本的な原因があるのではなく、人材不足という企業が抱える構造的な問題が要因になっているのかもしれません。ストレスはいろいろな要素が絡み合って発生するものですので、根気よく対応していくことが大事です。


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具体例 その2:情動焦点型

【例】
自分の発想力を活かすため、新たな商品を生み出す商品開発部への異動を希望していたが、配属されたのは営業部だった。コミュニケーションが得意なほうではないため営業の仕事は向いていないと感じている。次第にストレスを抱えるようになった。


この場合のストレッサーは、希望していなかった営業の仕事です。問題焦点型コーピングであれば、上司に部署異動を申し出るという方法になりますが、ストレッサーに対する捉え方を変える情動焦点型コーピングでは、次のように対処します。

・営業の経験が将来の役に立つと考える
・コミュニケーションスキルを磨くチャンスだと考える
・現場の声を開発部にフィードバックすれば、より良い商品がつくれるかもしれないと考える
・営業の仕事を通じて人と会うことで人脈が広がり、新しい世界があることに気付く

つまり、物事の悪い面ばかりではなく良い面を見ようとする姿勢が大事だということです。「自分は営業の仕事に向いていない、開発の仕事が合っている」というのも、実は思い込みにすぎないのかもしれないのです。

とはいえ、自分のなかで納得していないのに無理やりポジティブに捉えるのは危険です。対処が遅れてより深刻な事態を招きかねません。あくまで、「こんなふうにも考えられるかも」とリラックスした状態で出てきた感情に身を任せてみることが大切です。


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具体例 その3:気分転換型

気分転換型コーピングは、「気分転換」「ストレス発散」「リフレッシュ」とも言い換えられ、多くの人が日常的におこなっているものです。問題焦点型コーピングや情動焦点型コーピングを試しても、ストレスを軽減・除去できない場合におこなうものとされています。

気分転換型コーピングは、雑談をする、コーヒーを飲んで一息つく、おいしいものを食べる、好きな音楽を聴く、買い物をする、散歩をする、有給休暇を取得して旅行に行くなど、その対処法は千差万別です。自分なりのリフレッシュ方法をいくつか持ち、必要に応じて意識的に行動へと移し、自己のストレスをコントロールしていきましょう。


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ストレスコーピングのために企業ができること

従業員のストレスコーピングのために企業や人事部はどんなことができるのでしょうか。ここでは3つに絞って紹介します。

相談できる環境をつくる

ストレスを抱えたときは、誰かに話を聞いてもらうだけで解消されることが多々あります。ストレスコーピングの最中も、そのコーピングが適切なのかを確認するために相談したいケースもあるでしょう。そこで人事部がおこなえることは、相談したいときに相談できる環境づくりです。

コミュニケーションが不足していないか、上司と部下の関係は良好か、チームが健全に機能しているかといったことを確認し、問題があるようなら対策を講じましょう。また、リラックスして会話ができる休憩室を充実させたり、カフェテリアを新設したりといった、ハード面からアプローチするのもひとつの方法です。

ストレスコーピング研修や人材育成

ストレスコーピングの効果を最大限に得るためには、従業員自身がストレスコーピングの有効性を理解することです。ストレスコーピングの研修を導入したり、メンタルカウンセラーを育成したりと、ストレスに対する意識を高める取り組みも検討していきましょう。

「ストレスチェック」を実施する

より早期に正確にストレスケアをおこないたい場合は、外部のシステムを活用するのもひとつです。労働安全衛生法改正に基づく「ストレスチェック」の実施から、「組織分析」「医師面談やアフターフォロー」を一元管理できるシステムの導入が効果的でしょう。


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人材流出や組織力低下を防ぐための施策を

個人の能力が重要視される時代だからこそ、従業員のストレスケアは重要です。ストレスを抱えた状態では、従業員のモチベーションは上がらず生産力は低下します。そのことがチームや組織力の低下にもつながるかもしれません。また、ストレスによって心身のバランスを崩し休職者や退職者が続けば、人手不足から新たなストレスを職場に招きかねません。

こうした事態を回避するためにも、企業や人事部においてはストレスをためない環境づくりと、ストレスコーピングによるストレスへの対処法を伝えていくことが大事です。まずは関係部署と連携しながら、できることから始めてみてはいかがでしょうか。


ストレスコーピングに効果があるJTBベネフィットの健康支援サービス例

  ストレスチェック 平成26年(2014年)6月に国会で可決・成立、平成27年(2015年)12月に施行となった改正労働安全衛生法「労働安全衛生法の一部を改正する法案」に対応したストレスチェックで、Web及びペーパーにて実施が可能です。 検査項目は、厚生労働省が検査の標準項目の参考とする「職業性ストレス簡易調査票」をベースとした「新職業性ストレス簡易調査票」を採用、“ティーペックのEAP ノウハウ” と“NTT データの健康管理システムの開発・運用ノウハウ” を融合し、従業員情報を一元管理できるストレスチェックサービスを協同開発しました。 株式会社JTBベネフィット


  コンケア 従業員の日々のコンディションを見える化し、不調者の早期発見をサポートするサービスです。 株式会社JTBベネフィット


  お気軽☆LINE 若手の離職抑制に特化した次世代の新相談サービスです。 株式会社JTBベネフィット


  ストレスマネージャー 脳科学の知見を活かした、ストレス耐性向上のサポートアプリ 株式会社JTBベネフィット


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