生産性が向上する!マインドフルネスの効果と実践方法

​​​​​​​心を落ち着かせるためにマインドフルネス瞑想をする従業員

アメリカの優良企業で重視されているマインドフルネスですが、その状態に達するための瞑想は、社員のメンタルヘルス対策として効果的であることがすでに実証済みです。しかし、日本ではまだ正しく理解されていなかったり、現場での実践まで至らなかったりと、導入のハードルは高いように思われます。

今回はマインドフルネスとはそもそも何か、どんな効果があるのか、また、どのように実践すれば良いのかを紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.マインドフルネスとは?
    1. 1.1.マインドフルネスの定義
    2. 1.2.マインドフルネス瞑想
    3. 1.3.マインドフルネスと認知行動療法
  2. 2.マインドフルネス瞑想の効果
  3. 3.マインドフルネスの実践方法
    1. 3.1.スタンダードな「呼吸瞑想」
    2. 3.2.ボディスキャン瞑想
    3. 3.3.歩行瞑想
  4. 4.マインドフルネスの導入事例
    1. 4.1.世界的IT企業の取り組み
    2. 4.2.国内IT企業が実施している「マインドフルネス研修」
    3. 4.3.クラウド名刺管理サービスを手掛ける国内企業
  5. 5.まとめ

マインドフルネスとは?

マインドフルネス瞑想を野外で実施するスーツ姿の従業員

マインドフルネスの定義

日本マインドフルネス学会によると、マインドフルネスとは「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価せずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」と定義しています。ここでいう「観る」とは「見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれによって生じる心の働きをも観る」ことを指すとしています。

「マインドフルネス(mindfulness)」という英語は、「心をとどめておくこと、気づき」を意味する古代インドの言葉「サティ(Sati)」の訳語として当てられました。もともとは仏教に由来し、ヨガや禅の中にも取り入れられていますが、現在のマインドフルネスは宗教的な要素を排除した科学的な根拠に基づくものです。

マインドフルネスは様々な表現で定義されていますが、どの定義にも共通しているのが「評価や判断をしないこと」と「今、この瞬間に注意を向けること」です。逆にいえば、私たちは仕事や普段の生活で絶えず物事に対して評価や判断をしなければなりませんし、無意識にそうしています。また、「今、この瞬間」に集中するのは難しく、過去のことを引きずったり、これから先のまだ起きてもいないことを思い煩ったりもしています。マインドフルネスはそうしたストレスを引き起こす心の状態から、自分を解放することを目指します。

マインドフルネス瞑想

マインドフルネスの状態に達するために用いられるのが「マインドフルネス瞑想」です。しかし、誰もがマインドフルネス瞑想をすればすぐに効果を感じられるわけではありません。1回おこなっただけである程度のリラックス状態を体験できる人もいれば、一定期間継続しておこなってもなかなか実感が得られないという人もいます。大切なことはすぐに効果が得られないように思えても、根気よく続けることです。

マインドフルネスと認知行動療法

私たちは日常生活や仕事の中で様々な事実や問題を認知し、それに伴って感情や思考を生み出しています。しかし、ある事実をどのように認知するかは人によって様々であり、誰もが認知の仕方に何らかの歪みや偏りを抱えているものです。それは「思考の癖」のようなものであり、普段意識していなくても、いつの間にか認知と思考、感情が複雑に絡み合って、不安や憂うつを引き起こしやすい悪循環を作り上げていることがあります。

認知行動療法は、その悪循環の中から事実と思考、感情を明確に分離し、対象化することにより、認知の歪みや偏りを調整や操作しようとします。
それに対して、マインドフルネスは「正しい」「間違っている」といった価値判断や評価をしません。浮かび上がってくる思考を、ただあるがままに受け入れるようとする点で認知行動療法と異なっているといえるでしょう。


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マインドフルネス瞑想の効果

マインドフルネス瞑想により、脳のデフォルトモードネットワーク(DMN)の活動が抑えられることが報告されています。DMNとは車のアイドリングのようなもので、脳が何もしていないときに働くネットワークのことです。この働きのおかげで過去を整理したり、未来に起きるかもしれないことに準備をしたりできますが、過剰に働くとうつ症状や不安増大につながることが最近の研究でわかっています。

また、このDMNの働きによって、脳のエネルギーの約75%が消費されているといわれており、この状態が続ければ脳はどんどん疲弊していきますが、マインドフルネス瞑想によりその浪費を押さえ、脳を休息させることができるのです。

ハーバード大学の実験によると、マインドフルネス瞑想を8週間実践することによって、脳の怒りや不安の感情を司る海馬の働きが抑えられたり、幸福感を感じる脳の左前頭葉前部皮質が発達したりすることも資料として報告されており、脳に変化がもたらされることがわかります。さらに、マインドフルネス瞑想は自律神経にも働きかけ、副交感神経を優位にし、リラックス効果があることも知られています。

結果的に、マインドフルネス瞑想をおこなうことにより、以下のような効果を感じられるとされています。

・集中力の向上
・ストレス軽減
・免疫の向上
・炎症効果の鎮静
・感情コントロールの向上(怒り、不安など)

マインドフルネス瞑想には、薬のような副作用やデメリットはありません。各従業員が効果を経験することができればオフィス全体の生産性が向上し、幸福感を持って働いている従業員が多ければオフィスの雰囲気が良くなる傾向にあります。


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マインドフルネスの実践方法

社内でストレッチと瞑想を兼ねてリフレッシュする従業員

スタンダードな「呼吸瞑想」

まず、マインドフルネス瞑想の基本となる呼吸瞑想の方法について説明します。
手順として、時間は3分間からスタートし、訓練しながら徐々に時間を伸ばしていき、最長でも15分までとします。自身が使用するオフィス内の椅子に座りながらでもできますが、最初は静かでリラックスできる場所を選ぶと集中しやすいでしょう。

姿勢は深く呼吸できるように、椅子でできるだけ深く腰掛け、腹式呼吸法を実践します。腹式呼吸法では鼻から息を吸い込み、口から息を吐き出します。ポイントは息を吸い込むときにお腹を膨らませ、吐くときにお腹をへこませるようにすることです。
呼吸瞑想では、呼吸しているときの身体の動きや感覚に注意を向けます。途中で別のことを考え出したり、悩みや雑念が頭に浮かんできたりすると思いますが、そのたびに思いをそっと呼吸の方へと向け直します。

ボディスキャン瞑想

呼吸瞑想の場合と同じように椅子に腰かけ、軽く目を閉じましょう。太陽の光が頭から入ってくるイメージで、頭部からスキャンを始めます。ここでいうスキャンとは、身体の各部に注意を向け、繊細に浮かんでくる感覚を観察し、受け入れるということです。頭部が終わったら、目の周りや鼻、頬へ、さらに首から肩、胸、背中、お腹、お尻、太もも、ふくらはぎ、足裏というようにスキャンする場所を移動させていきます。

スキャンした部位に不快感や違和感があれば、その感覚を吐き出すように、空気を鼻から吸い込み、口から吐き出します。時間がなくてすべての部位をスキャンできない場合は、一部だけでも構いません。

歩行瞑想

仕事が忙しい中で、呼吸瞑想やボディスキャン瞑想のために時間を割くことが難しい方は、歩行瞑想という手法を試してみましょう。普段の歩行と大きく異なった歩き方をする必要はなく、できるだけリラックスした状態でゆっくり歩き、足の動きや感覚に注意を向け、重心を変えながら前に進むことで、身体の部位や呼吸がどのように変化しているのかも感じるようにします。ただ、あまり人や車が多い場所では注意力が散漫になりやすいので、人や車通りの少ない歩道でおこないましょう。


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マインドフルネスの導入事例

マインドフルネス瞑想を社内でおこなう従業員

世界的IT企業の取り組み

同社が2007年に始めたメソッドが「SIY(Search Inside Yourself)」で、心の知能指数といわれる「エモーショナルインテリジェンス(EI)」の向上を目的としています。
EIはビジネスの成功要因として注目されていますが、その基盤になるのが自分の価値観や考え方、感じ方などに自ら気づくことです。それにより、自分をマネジメントし、人間関係における共感力や思いやりを高めることもできるようになります。SIYによってEIを高めることができれば、職場においてもリーダーシップを発揮し、パフォーマンスが向上します。

このプログラムへの参加は従業員の自主性に任されており、多くの参加者が効果を実感しています。参加者の73%が参加後に「最も重要なことを優先して取り組む時間を作れるようになった」と述べており、このやり方により集中力が向上したと感じています。


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国内IT企業が実施している「マインドフルネス研修」

同社がマインドフルネス研修を始めたのは2016年のことで、SIYを参考に独自のプログラムを作り上げました。瞑想だけでなくストレッチや人の話を聴くこと、書くこと(ジャーナリング)に集中することもプログラムに取り入れられているのが特徴で、週1回1時間のプログラムが7週間にわたって実施されました。

研修の導入から2年が経過した時点で効果測定をおこなったところ、このプログラムを週3回以上実践している人は、未経験者に比べ「プレゼンティーズム(出社しても思うように働けず、パフォーマンスを発揮できない状態)」の数値が40%も低いことがわかりました。


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クラウド名刺管理サービスを手掛ける国内企業

同社の社長が自らマインドフルネスを学び、その効果を実感したため、これを全社員と共有したいとの思いから、2017年に役職者へ対して2日間にわたるマインドフルネスセミナーを実施しました。役職者の多くがその効果に手ごたえを感じたため、2018年には内容を凝縮した3~4時間のセミナーを全社員に対して実施したところ、参加者の8割近くがその効果を実感したとのことです。

なお、会社としての取り組みはセミナーを提供するまでで、学んだことをどう実践・適用するかは各従業員に任されています。


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まとめ

国内でも多くの企業が注目し始めているマインドフルネスですが、効果的なのはわかっていても続かないという課題があるようです。従業員が継続的かつ主体的に取り組むためには、どのくらい効果が生まれているのか理論的なエビデンスが必要といえるでしょう。

JTBベネフィットでは、専門性の高いアライアンスと提携し、脳科学とマインドフルネスの研究知見に基づいて開発された「ストレスマネージャー」を提供しています。脳活動センサーを装着することにより、脳活動レベルや心拍が数値で見える化されるため、従業員自身が効果を実感しやすいという特徴があります。社内の幸福感と生産性向上のためにマインドフルネス導入を検討されている方や、マインドフルネスを社内文化として定着させたい方は、ぜひご検討ください。


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