介護離職率の高さやその原因とは?介護離職率ゼロのための改善策を解説

​​​​​​​離職のために退職願を書いて提出したが撤回されたために破棄されようとしている退職願

介護職は、超高齢社会である日本において需要の高い職業ですが、一方で離職率が高いといわれることも多く、慢性的な人手不足が問題視されている職業でもあります。そこで今回は、介護職の離職率が高いといわれる理由や離職率の高い職場の特徴、従業員の離職を防ぐために介護の現場でおこなうべき取り組みや、離職ゼロを目指すためのポイントについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.介護離職率の現状
    1. 1.1.訪問介護と介護職員における介護離職率の違い
    2. 1.2.労働形態による介護離職率
    3. 1.3.勤務年数による介護離職率
  2. 2.介護離職率が高い理由
    1. 2.1.結婚や出産によるライフステージの変化
    2. 2.2.職場の人間関係によるトラブル
    3. 2.3.収入が少ない
    4. 2.4.「介護職」という仕事にやりがいが持てない
    5. 2.5.施設に対する不満
  3. 3.介護離職率ゼロを目指すために必要なこととは?
    1. 3.1.職員のモチベーション向上に努めること
    2. 3.2.年間休日数を確保すること
    3. 3.3.従業員の人間関係にも目を配る
    4. 3.4.従業員とのコミュニケーションを取ること
  4. 4.介護職員の離職率を下げるには適切なメンタルヘルスのサポートを

介護離職率の現状

離職する従業員が増え、人手不足に陥って頭を抱えている経営幹部や人事担当者

まずは、現状の介護離職率と、他の職業と比較した場合に高いのか、といった介護業界における離職の実状について説明します。

介護労働安定センターの令和元年度「介護労働実態調査」の結果によると、平成30年10月1日から令和元年9月30日までの間の訪問介護員、介護職員の離職率は、15.4%となっています。
離職率の推移を見ると、平成26年では16.5%、27年が16.5%、28年が16.7%、29年が16.2%、30年が15.4%と、介護離職率はほぼ横ばいであるといえそうです。

また、厚生労働省による令和元年雇用動向調査結果の概況によると、令和元年度の全体における離職率は15.6%、一般労働者の離職率は11.4%です。このことから介護離職率はほかの職業に比べて高い傾向にあるといえます。


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訪問介護と介護職員における介護離職率の違い

要介護者の自宅を訪れる訪問介護員と、施設などに勤務する介護職員の介護離職率にも違いはあります。介護労働安定センターの令和元年度「介護労働実態調査」の結果によれば、施設などに勤務する介護職員の採用率は19.3%に対し、離職率は16.0%でした。一方で訪問介護員の採用率は15.0%に対し、離職率は13.6%と、訪問介護員のほうが離職率が低いという結果になりました。

労働形態による介護離職率

労働形態によっても介護離職率に違いがあります。平成29年度介護労働実態調査の資料によれば、常勤労働者は採用率20.1%に対し離職率は19.0%、短時間労働者は採用率20.6%に対し、離職率17.2%と、常勤労働者のほうが高い結果となっています。


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勤務年数による介護離職率

平成30年度介護労働実態調査では、離職した介護職の方がどのぐらいの期間働いたかも調査しています。統計によると、離職した介護離職者の勤続年数は、約65%が3年未満であることがわかりました。

また、離職した介護職員を勤務年数別で見ると、正規・非正規、訪問・施設すべての労働者で1年未満に離職した人の数が1年以上3年未満の人より多く、中でも介護施設で働く非正規雇用職員は48.3%が1年以内に離職する割合が高いです。


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介護離職率が高い理由

そもそも、介護離職率はなぜ高いのでしょうか。ここでは、介護了解の離職理由について詳しく説明します。

結婚や出産によるライフステージの変化

結婚による転居や、子どもがいることで働けない時間が増加することをきっかけに、結婚や出産を機に辞めてしまう人も多くいます。また、長引くコロナ禍でテレワークが普及しているといえ、要介護者の身体介護や身の回りの生活支援といった、直接、利用者と接する業務が多いため、テレワークを実施することが困難です。

職場の人間関係によるトラブル

介護職はペアやチームで対応する業務も多く、複数の人間とのコミュニケーションが必要となります。また、介護の現場は認知症を持つ要介護者の症状による暴言や暴力、利用者の看取りなど、プロであっても難しさや疲弊感を感じる場面が多いことから、職務における葛藤や悩みをわかちあう存在が職場にいない状況は辛いものです。

さらに、自分に合わない人がいる、他の従業員にうまく馴染めないなどの問題があれば、精神的に辛くなって離職につながることも少なくありません。

収入が少ない

介護職の平均月給は年々上昇しているとはいわれるものの、それでも少ないと感じる人が多いようです。
厚生労働省の令和2年賃金構造基本統計調査令和2年度従事者処遇状況等調査結果の概要によると、全産業の平均給与は307,700円に対し介護職員は325,550万円と、平均よりは高くなっていますが、令和元年は307,430円であったものが大きく上昇したため、これまでは全産業の平均とあまり変わりませんでした。しかし、介護士の業務は身体的にハードな面も多く、業務内容に対して給料が釣り合っていないと感じる人が多いことが見受けられます。

また、令和元年には、勤務10年以上の介護福祉士に対して手当を8万円加算もしくは全産業平均の平均水準である440万円の人材を確保する特定処遇改善加算が設定されましたが、3年未満の離職率が全体の65%にもなると手当が支給される母数は少ないといえます。


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「介護職」という仕事にやりがいが持てない

介護労働安定センターの公益財団法人 介護労働安定センターによる令和元年度介護労働実態調査の結果と特徴によると、「介護の仕事を辞めた理由」の1位は「自分の将来の見込みが立たなかったため」となっています。

スキルアップ研修制度に課題があることや、業務の実状に社会的評価がともなっていないなどの理由から、「努力が報われない」、「やりがいが持てない」といった思いを持ち、離職につながるケースもあります。そして、離職後も介護業界とは別の業界へ転職してしまい、介護業界の慢性的な人手不足につながっています。

施設に対する不満

法人や施設、事業所と考え方が合わなければ、長期的に働くことは難しくなります。方針や業務内容、評価システムなどに不満があり、それが今後も改善も改善されない見込みであれば離職という選択をとることもあるでしょう。


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介護離職率ゼロを目指すために必要なこととは?

離職しようか悩んでいる従業員に踏みとどまらせようとフォローする人事担当者

政府は、一億総活躍社会の実現に向けて、2020年代初頭までに家族の介護を理由とした離職の防止などを図るべく「介護離職ゼロ」を推進しており、これにともなって介護サービスの確保と、介護職員の就業環境改善に取り組んでいます。

国が介護離職ゼロを目指すためには、介護の現場で働く人の力が欠かせません。
介護職員の離職を防ぐため、事業者はできる対策から取り組んでいきましょう。

職員のモチベーション向上に努めること

施設の汚さや清潔感のなさは、職員のモチベーション低下につながります。常に美しい職場をキープできるよう、具体的な管理方法を作成して運用しましょう。

また、介護の仕事は、コミュニケーションが非常に重要な職業です。求人面接をおこなう従業員以外にも、正規・非正規雇用を問わず対応やコミュニケーション能力を把握し、問題点があれば改善に向けての取り組みが必要となります。
反対に、他の従業員の模範となる姿勢の従業員や、周囲を巻き込んでチームワークの活性化に貢献する従業員は、それらの姿勢・能力を適正に評価し、モチベーション向上につなげましょう。

年間休日数を確保すること

年間休日数を充分に確保することは、職員の心身における健康やモチベーション向上につながります。年間休日110日を目安に職員の休日を確保することを徹底しましょう。
また、残業や休日出勤は適正に手当を支給し、クリーンな経営をおこなうことも重要です。

従業員の人間関係にも目を配る

介護労働安定センターの公益財団法人 介護労働安定センターによる令和元年度介護労働実態調査の結果と特徴によると、「介護の仕事を辞めた理由」の2位は「職場の人間関係の問題」です。職場の人間関係を理由とした離職を防ぐには、管理者が従業員同士のコミュニケーションの充実やチームワークの向上などに目を配り、問題点が見られれば改善に努めることが大切です。

従業員とのコミュニケーションを取ること

前項の同調査によると、「介護の仕事を辞めた理由」の3位は「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」となっています。運営方法や業務において従業員から指摘を受けたり、不満の声があがった場合にはすぐに改善に取り組みましょう。

また、直接意見を言いにくい人の声を汲上げるため、匿名のアンケートや目安箱を設置するといった工夫をおこなうことも間接的なコミュニケーションといえます。
現場の声に耳を傾け、不満を溜めて離職する人が出ないように努めましょう。


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介護職員の離職率を下げるには適切なメンタルヘルスのサポートを

ハードな業務となりやすい介護の現場では、従業員の心身における健康管理が非常に重要です。特に、メンタルヘルスのケアは目に見えない分、不調を早期発見するには常日頃から従業員の様子に気を配っておく必要があります。

お気軽☆LINE」は、従業員の突然の退職を防ぐための相談窓口の提供サービスです。LINEでの気軽な相談によって、従業員のメンタルヘルスを良好に保つことができ、離職防止につながります。

また、毎日、定期的に現在の気分にもっとも近い「お天気アイコン」をタッチしてコンディションをレコーディングし、従業員のコンディションを可視化できる「コンケア」もあわせて活用し、従業員が長く働きやすい職場を作っていきましょう。


  お気軽☆LINE 若手の離職抑制に特化した次世代の新相談サービスです。 株式会社JTBベネフィット


  コンケア 従業員の日々のコンディションを見える化し、不調者の早期発見をサポートするサービスです。 株式会社JTBベネフィット


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