健康経営から学ぶ健康管理!どんな労働環境でも実践できる方法と事例集を紹介

​​​​​​​​​​​​​​マインドフルネス瞑想を社内でおこなう従業員

新型コロナウイルス感染拡大以前から「健康経営」というワードがトレンドになっていましたが、それが従業員一人ひとりに浸透していたとは必ずしも言えません。さらに、コロナ禍で職場へ出社する機会が減ったことで、企業と従業員、または従業員同士の距離はますます広がり、健康経営推進へ向けた取り組みを直接的に発信する機会も減ってしまいました。
在宅勤務や時差出勤など柔軟な働き方を取り入れている状況の中での健康経営は、今まで以上に従業員一人ひとりが個々の健康管理への意識を高めることが重要です。今回は、健康経営や従業員を健康管理するおすすめの方法を、事例とともに紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.健康経営とは?
    1. 1.1.健康経営の定義
    2. 1.2.健康経営を実践するための7つの行動と得られる効果
    3. 1.3.健康経営優良法人と健康経営銘柄
    4. 1.4.健康経営における従業員の認知度
  2. 2.コロナ禍が従業員の健康に与えている影響
  3. 3.健康管理の取り組み事例集
    1. 3.1.清涼飲料の製造・加工・販売のA社
    2. 3.2.電力系通信事業者のB社
    3. 3.3.インターネット広告会社のC社
    4. 3.4.化学工業製品製造販売のD社 
    5. 3.5.新車・中古車の販売、整備のE社
    6. 3.6.サービス業を中心としたF社
    7. 3.7.建設業G社
    8. 3.8.製造業H社
  4. 4.まとめ

健康経営とは?

ホワイト企業に勤めて笑顔でいきいきしている従業員

健康経営の定義

経済産業省は、「健康経営」を以下のように定義しています。
「従業員などの健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことで、組織の活性化や生産性の向上、企業価値の向上等の効果が期待されます。」

健康経営を実践するための7つの行動と得られる効果

前述の定義によると、健康経営によって「組織の活性化や生産性の向上、企業価値の向上」が期待されています。
経済産業省は「健康経営オフィスレポート」(2015年)で、健康保持・増進のために以下7つの行動を日常的に意識することが重要だとしています。

1. 快適性を感じる
2. コミュニケーションをする
3. 休憩・気分転換をする
4. 体を動かす
5. 適切な食行動をする
6. 清潔にする
7. 健康意識を高める

この7つの行動が従業員の心身を健康的な状態にして、プレゼンティーズム(健康問題による出勤時の生産性低下)やアブセンティーズム(健康問題による欠勤)を解消することで仕事におけるパフォーマンスを向上させ、ひいては組織活性化や企業価値向上につながっていきます。

株式会社日本総合研究所が2021年6月に発表した資料「働く世代が抱える見過ごされている健康課題への対応の必要性」によると、プレゼンティーズムにともなう損失は健康関連コストの74.7%を占め、アブセンティーズムにともなう損失や医療費よりもコスト負担増を含めて生産性向上を阻害することが報告されています。つまり、欠勤したり、病気にかかって通院したりして健康状態の不調が顕在化するよりも、欠勤するまではないがこれまでよりパフォーマンスが出せなくなっている状態が潜在化し、出社していても在宅勤務であっても把握が困難なために費用を投入してでも調査や対策が必要ということです。


健康経営オフィスの効果モデル

健康経営オフィスレポート(経済産業省、2015年)

出典:経済産業省 健康経営オフィスレポート

健康経営優良法人と健康経営銘柄

「健康経営優良法人」とは経済産業省の認定制度であり、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康促進の取り組みをもとに、特に優れた健康経営を実践している法人を企業規模に応じて認定する制度です。企業規模に応じて「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」があり、大規模法人の中でも特にレベルの高い上位500法人が「ホワイト500」に認定されます。2021年からは、中小規模法人の中で優れた取り組みをおこなっている企業には「ブライト500」として認定される制度が新設されました。
健康経営優良法人の認定を受ける企業は年々増加し、2021年は、大規模法人部門では1,789法人、中規模法人部門では7,928法人になっています。そして、それぞれの部門から上位500法人は、ホワイト500とブライト500として認定されます。

また、長期的な視点で企業の価値(株価)が向上することは、投資家などステークホルダーからも期待される部分です。「健康経営銘柄」は、法律にもとづいて従業員の安全配慮義務を負い、健全な人材確保と事業展開に取り組む上場企業を対象に、東京証券取引所が選定しています。

健康経営における従業員の認知度

前項のとおり、企業の健康経営推進担当者をはじめ、健康経営に携わる部署や経営層へは健康経営は認知も推進もしていますが、一般的な従業員の認知度はどのようなものでしょうか。
日本の人事部が2020年3月に実施した「健康経営に関する調査」によると、「健康経営」という言葉を「知らない」と回答した労働者が全体の半分以上の51.5%を占め、「聞いたことがあるが意味は分からない」労働者が11.3%、「言葉だけしか分からない」が13.3%で、「言葉の意味を正しく理解している」労働者は4.2%に過ぎませんでした。

このように、健康経営に関する企業側の認識と従業員の認知度には乖離があります。これは、企業全体として健康経営を推進はしているものの、従業員は推進されている取り組みが健康経営かどうか健康経営の根本を知らないケースや従業員の自発的な取り組みの動機づけになっていない施策を推進している可能性がありますので、推進しながらも従業員が効果やなりたい姿をイメージしやすい取り組みや体制を心がけることもが必要です。そのためには、例えば健康経営に関する文書や標語を作成したり、朝礼などで産業医からお話していただいたり、オンラインで勉強会を開催したりして、健康経営そのものに関するリテラシーを高めることで解決へ向かいます。


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コロナ禍が従業員の健康に与えている影響

マスク着用しソーシャルディスタンスを保ちながら仕事をする従業員

日本経済新聞社がまとめた2021年の「スマートワーク経営調査」によると、在宅勤務やWeb会議などコロナ禍で本格導入した非対面での働き方を「常時運用したい」とする企業は8割に達しました。こうした働き方の変化により、働きやすさが「向上した」とする従業員の回答は28.9%で「悪化した」の10.5%を上回り、業務効率が「向上した」とする回答も21.4%で「悪化した」の11.8%を上回りました。

一方で、働き方の変化は別の課題を生み出しています。2021年9月に発表された「ニッセイ景況アンケート調査」によると、「新型コロナウイルスの感染拡大の中、今取組むべき人事課題」として「従業員の健康管理」をあげた企業担当者は52.9%で、特に従業員300名以下の中小企業ではその傾向は特に顕著でした。それかかわらず、「健康経営を取組むうえで課題にかること」として「何から取組めばよいか分からない」と回答した企業が最も多く、従業員同士が直接顔を合わせるのが難しくなる中で「健康管理」が課題であることは感じながらも、具体的な施策は実践どころか計画もされていないことがわかります。


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健康管理の取り組み事例集

どんな環境でもできる健康経営の取り組みでランニングする従業員

ここまでで企業側が健康経営を推進する反面、従業員の健康意識はそれほど高まっていない傾向が高いことと、意識しながらも従業員が健康面で不安を抱える可能性があることを取り上げました。これまでの現状を前提に従業員が健康増進を意識することで、メリットを感じ、自律的に健康をケアする動機づけと、企業での健康管理における仕組みづくりや支援制度の必要性を感じることになるでしょう。
以下では、健康管理の取り組み事例を8社分紹介します。

清涼飲料の製造・加工・販売のA社

A社では、2019年から社内向けウォーキングイベント「Sawayakaウォーク」を開催しており、2021年にはグループ全体の約3割にあたる6,000名の社員が参加しました。自社開発のオリジナルアプリをダウンロードすると、歩いた歩数と目標達成率が1日および1週間単位で表示される他に、ランキング表示機能や健康と安全の確認に加えて社員がお互いの歩数を称賛しあえる機能も追加され、コミュニケーション醸成ための工夫もなされています。


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電力系通信事業者のB社

B社でのコロナ禍以前のテレワーク実施率はわずか約4%に過ぎませんでしたが、2020年度の年間平均は35.1%で、ピーク時には69.6%にまで達しました。同社は、その中でも2021年度の健康診断受診率と保健指導はいずれも100%に達成しています。コロナ禍で外出自粛にともなう運動不足の社員が増加する中、改善策として全社員へ歩数や運動量、睡眠などをリアルタイムで記録するウェアラブル端末を貸与したり、どのような勤務形態でも参加可能な端末を利用したウォーキングイベントを実施したりしています。また、がん予防や睡眠、食育、ストレスマネジメントなどの各種セミナーも実施し、受講率も全従業員の7割を超えています。


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インターネット広告会社のC社

C社は独自の健康フレーム「ココロ(心)」「カラダ(体)」「ショク(食)」、それらを支える「カンキョウ(環境)」を定義し、それぞれのフレーム毎に施策を実施しています。例えば、「ショク」に関しては野菜販売付きのオンライン食育セミナー、「カラダ」に関してはバーチャルウォーキングイベント、「カンキョウ」に関しては気持ちのよいオフィス環境で働けるなど、働き方改革にも効果的な健康施策に取り組んでいます。


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化学工業製品製造販売のD社 

D社は食生活の改善に向けた取り組みとして、2018年からシステム上での問診や測定データ(血圧・体重等)を元に、10分程度で分析される結果や個別アドバイスによって将来の健康状態の予想が自動出力されるセルフチェックシステムを導入しています。この管理システムは、現在では9割以上の社員が2ヶ月に1度活用して自分の健康管理と会社全体の健康経営を実現しています。


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新車・中古車の販売、整備のE社

E社では、社員に電子万歩計を提供して携行してもらっています。歩いた歩数は集計され、個人別・部署別での実績を社内ニュース形式で公表しているほか、ウォーキングコンテストも実施するなど、楽しみながら継続して運動できる仕組みを作っています。


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サービス業を中心としたF社

F社では、2015年に働き盛りの社員が突然死したことが原因で健康を意識し、健康経営を推進するようになりました。具体的な取り組みとしては、2km以上の距離を徒歩または自転車で通勤する従業員に「エコ通勤手当」を支給したり、「グッドジョブサンクスカード」を採用したり毎年多くもらった人と多く渡した人の表彰を実施しています。このように、福利厚生のような制度でも健康経営を実現できる施策がありますので、現在の制度を見直しして現在の会社が抱えている健康課題に合った制度を取り入れることもよいでしょう。


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建設業G社

G社は2015年に全社禁煙宣言をおこない、当初37%だった喫煙者が2%まで減少しました。また、社員の生活習慣を改善するため、独自の「健活ポイント制度」を導入し、駅から会社までの徒歩通勤や階段昇降、運動や食事を工夫して実行したことの月間で表彰し、内容に応じてポイントを付与し、貯まったポイントはカタログギフトや寄付にも使用できるなどの仕組みを作っています。インセンティブポイントサービスでも社員への動機づけに効果があります。また、ポイントや数値で各社員や各部署など細かく区分して取り組み度合いを可視化できますので、健康管理という名目ではひじょうに効果的な施策です。


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製造業H社

H社では、過重労働の是正のため、2016年より健康経営への取り組みを開始しました。現在は在宅勤務制度を導入し、週1回オンラインで実施するフィットネスプログラムや、健康に配慮しつつも腹持ちがよい食品をカプセルトイのような仕組みで購入できるサービスも実施し、コロナ対策とダブルで効果がある施策で健康経営を実現しています。


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まとめ

企業が積極的に健康経営を推進し、健康優良法人を目指すことは褒められるべきことですが、それをすべての従業員が主旨を理解し、効果を実感できるような実質のともなったものにすることが重要です。また、健康診断やストレスチェックの結果や保健指導などの健康情報は個人情報にあたるため取り扱いには注意が必要なことと、自分の健康を管理する上でデータや数値は点在しないよう一元管理ツールを利用するなど、企業も従業員もともに管理できる多機能できめ細やかな仕組みづくりをおすすめします。
効果的な健康経営を実践するためも、管理データをアセスメントすることで次回同じ健康施策を実施した際に、比較や分析したデータを元に自社での目標や平均を設定するきっかけにもなります。また、それらを他社や世の中にある同データと比較することで、自社の達成度合いや平均からどの位置にいるか、実施している健康経営がより適正かどうかを知る指標にもなります。

また、とりわけコロナ禍の現在は、企業が制度を設計するだけでなく、従業員がオフィスや自宅などどこで仕事をしていても、自律的に健康づくりを目指せるきっかけとなる制度も必要ですので、本記事の事例を参考に健康経営にして取り組みましょう。


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