ヘルスリテラシーとは?健康経営における位置づけとリテラシー教育の方法
2019年から関連法が施行されている働き方改革の一環として、事業者(企業)による従業員の健康管理拡充が推奨されています。そのための施策のひとつとして位置づけられているのが「ヘルスリテラシー教育」です。
ここでは、ヘルスリテラシーとはどのようなものなのか、リテラシー向上のためにはどのような教育をすればよいのかを解説します。
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ヘルスリテラシーとは
ヘルスリテラシーは、後述する「健康経営」の文脈で注目されている考え方です。
政府(経済産業省)は2017年より、健康経営に取り組む企業を「健康経営優良法人」として認定しています。中でも特に優れた上位500の大規模法人(製造業その他の場合は301人以上など)は「ホワイト500」に認定、さらに上場企業においては、1業種につき1社の「健康経営銘柄」も選ばれています。
健康経営優良法人に認定されることにより、社会的評価や企業価値の向上が期待できるほか、自治体や金融機関などからインセンティブ(融資優遇・保証料減額など)を受けられることがあるなど、企業の直接的メリットにもつながる仕組みです。
ヘルスリテラシーは、この健康経営優良法人制度や健康経営銘柄の認定基準になっています。ヘルスリテラシーとはどのような考え方なのでしょうか。
ヘルスリテラシーには3つの段階がある
ヘルスリテラシーとは「健康や医療に関する必要な情報を獲得し、理解し、効果的に利用して行動する」能力のことです。具体的には、以下の3段階(レベル)に分けることができます。
1.情報を理解する段階
2.情報を獲得したり適用したりしようとする段階
3.情報を批判的に吟味して活用しようとする段階
このヘルスリテラシーは、個々人の健康意識を向上させるだけではなく、企業においても健康的な組織づくりの土台となる能力となっています。
健康経営のために欠かせないヘルスリテラシー
働き方改革の流れで政府も推進している健康経営は、従業員の健康管理を投資としてとらえ、経営的な視点で考えて戦略的に実践することを指します。その基礎として位置づけられているのが、各従業員の健康・医療に対する意識や知識の向上、つまりヘルスリテラシーなのです。ヘルスリテラシーと健康経営は切っても切り離せない関係にあるといえるでしょう。
ヘルスリテラシー教育はどのように行えばよいのか
ヘルスリテラシー向上のためには、具体的に何を行えばよいのでしょうか。一般的なヘルスリテラシー教育の例をご紹介しましょう。
ヘルスリテラシーレベルを知る
適切・効率的なアプローチを行うため、まずは従業員における現状のリテラシーレベルを把握することが重要です。例えば「新聞、本、テレビ、インターネットなど、いろいろな情報源から情報を集められる」「情報がどの程度信頼できるかを判断できる」「情報をもとに健康改善のための計画や行動を決めることができる」など複数の項目につき、それぞれどの程度の能力があるかを測定する方法が有効だとされています(帝京大学 石川ひろの教授による「伝達的・批判的ヘルスリテラシー尺度」)。
リテラシーレベルに合わせた指導を行う
把握したリテラシーレベルに合わせ、わかりやすく指導します。一例としては「専門用語ではなく平易な言葉で説明する」「図を有効活用する」「説明を復唱してもらう(ティーチバック)」といった方法が採られています。
また、求めるリテラシーのハードルを下げ、リテラシーが高くない従業員でも理解できるよう伝えることも大切です。従業員が健康問題を自分事化できるよう、研修や教材の企画・構成などを工夫するのがよいでしょう。
リテラシーを高める
健康に関する情報・知識だけを提供するのではなく、実践的な「知恵」を付けてもらうよう、リテラシーを高めていくのがポイントです。例えば、インターネットで健康関連情報を検索し、その信憑性を判断できるようにしたり、医療専門職と適切にコミュニケーションを取れたりできるようにします。
さらに、ヘルスリテラシーを広めていくことも考えていきます。最終的には、自主的に行動できるようになったヘルスリテラシーの高い従業員が、周囲に情報や活動を広げられるようになるのがベストです。そのためには、社内コミュニケーションを促す工夫・取り組みも必要になります。
従業員のヘルスリテラシーを高めるためにできることとは?
前項で紹介したとおり、従業員のヘルスリテラシー向上のためには、社内における健康意識の改革を促し、コミュニケーションを活性化させることがカギになります。
JTBベネフィットが提供しているプログラム「紅白健康合戦」では、これらの課題にフォーカスすることで、企業の健康風土づくりを促進することが可能です。
紅白健康合戦は、パソコンやスマートフォンのアプリ上で行う社内イベントです。全社員が紅白2チームに分かれ、60日間健康活動に取り組みます。健康活動はポイント化され、最終的にチームの勝敗が決まる仕組みです。中でも、以下の2点が特徴として挙げられます。
コミュニケーション活性化ツールとしても有効
教育コンテンツだけでなく、社内SNSのような機能も有しているため、コミュニケーション活性化ツールとしても活用できます。例えば、従業員が健康活動や仕事・日常の出来事を気軽に投稿できたり、投稿に対してコメントやリアクションをしたりすることが可能です。なお、職場のコミュニケーション促進も、健康経営優良法人の認定項目となっています。
情報は信頼できるもののみ掲載
従業員は、プログラムの中で実践する健康習慣(食生活、運動習慣など)をリストの中から自ら選んで登録し、実践したら「やった」ボタンをタップして活動の記録を付けます。このリストにある健康習慣はすべて、健康経営を専門とする医師が監修しているものです。
また、健康情報の学習コンテンツ「健康ドリル」は、エビデンスがある情報のみを掲載し、信憑性を確保。ヘルスリテラシー教育の質を保つことができます。
企業経営・従業員の生活の双方にヘルスリテラシーは必要
健康経営を行う上で不可欠なヘルスリテラシーは、企業にとってはもちろん、従業員一人一人にとっても、生涯を通じて役立つ能力だといえます。従業員個人の努力にゆだねるのではなく、企業など組織を挙げてコミュニケーションを取りながら、リテラシー向上を推進することが大切です。
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