【完全版】福利厚生の基礎知識から人気・おすすめを5分で網羅!採用強化・社員定着対策、ユニークな制度もご紹介!
※この記事は2020年6月30日に更新しました。
この記事のまとめ
- 福利厚生には法律で義務化されている法定福利厚生と任意の法定外福利厚生がある
- 就職希望者は福利厚生の充実度を企業選びの際に重視しており、社員定着にも効果がある
- 福利厚生は条件によって法人税非課税で、源泉徴収も不要(従業員にもメリット)となる
- 福利厚生のトレンドは、住宅補助、昼食補助、旅行やレジャーの補助である
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「福利厚生」とはわかりやすく言うと?
ライフスタイルの多様化が進み、国が働き方の改革を主導する中で、就職希望者や従業員における福利厚生への注目度はますます高くなっています。
福利厚生を一言で表すと、「企業が従業員(その家族)に提供する施策や制度」です。
この記事では、福利厚生の種類や概要・トレンド・就職希望者や従業員へのアピール方法から税金関係に至るまで、網羅された情報をお届けします。
福利厚生の種類とその概要
1.法定福利と法定外福利
福利厚生は以下の2つに大別されます。
名称 |
概要 |
例 |
法定福利 |
事業者が義務で負担 社会保障・休業補償・児童手当 |
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、労働保険料など |
法定外福利 |
事業者が任意で負担 給与以外に提供されるもの |
住宅手当、通勤手当、健康診断補助、家族手当、旅行補助など |
2.法定外福利の種類と内容
種類 |
内容 |
住宅 |
住宅手当、家賃補助、社宅、独身寮、持家援助 など |
医療・健康 |
健康診断、人間ドッグ補助、メンタルヘルスケア、診療所 など |
育児・介護 |
育児休業、育児施設育児補助、介護休業・介護休暇 など |
旅行・レジャー |
旅行補助、運動施設、保養所、文化活動、レクリエーション など |
ライフプラニング |
ライフプランの相談、資産管理・運用の相談 など |
自己啓発 |
資格の取得の支援、講座等の受講支援 など |
カフェテリアプラン |
外部のサービスの中から好きなものを選べるプラン など |
法定外福利の種類は多岐に渡り、上に挙げたのは一例となります。
最近では、従業員にポイントを与え、そのポイントの範囲内で好きなサービスを選べるカフェテリアプランも人気があり、おすすめです。
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採用担当者も必見!福利厚生を充実させるべき理由とアピール方法
1.就職希望者が重視する項目
福利厚生が充実している企業への就職人気が高まっています。
以下のアンケートでは、「入社の決め手」の2位に「福利厚生や手当の充実」がランクインしています。
就職先を確定する際に決め手となった項目(2020年卒学生上位10項目)
2020年度卒学生対象(n=874)
1位 |
自らの成長が期待できる |
56.1% |
2位 |
福利厚生や手当が充実している |
35.0% |
3位 |
希望する地域で働ける |
34.3% |
4位 |
会社や業界の安定性がある |
31.5% |
5位 |
会社・団体で働く人が自分に合っている |
23.0% |
6位 |
会社や業界の成長性がある |
22.3% |
7位 |
会社・団体の知名度がある |
20.5% |
8位 |
会社・団体の規模が大きいがある |
20.2% |
9位 |
ゼミや研究室、学校で学んできたことが生かせる |
17.8% |
10位 |
会社・団体のビジョンや理念が共感できる |
17.7% |
出典:株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所 「就職プロセス調査」(2020年卒)
就職希望者の声としては、以下のようなものがあります。
・給与収入だけでなく、福利厚生も含めて収入を計算するべき。
・給与が高いが福利厚生制度が充実していない企業の場合、業績によって年収(主にボーナス)の落ち込みが激しいが、福利厚生はボーナスほど業績に左右されない。
・福利厚生が充実している企業は従業員を大事にしているイメージがある。
・福利厚生は非課税のものもあり、給与として現金で支給されるケースと比較してお得。
2.福利厚生のアピール方法
このように、福利厚生の注目度は非常に高いので、そのニーズに応えることは採用力の強化に繋がります。
その一方で、就職希望者の思考性によっては、「収入」を重視するケースもあります。
しかし、「収入」を重視する層にも「福利厚生」の充実は、アピールポイントになります。
これは、「収入で比較する際には、給与に福利厚生も含めた上で比較すべきである」といったアプローチにより、収入を重視する層に福利厚生の重要性を気づかせることができるためです。
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例えば・・・
中途採用で内定を出したAさんに、
自社は年収450万円
他社が年収500万円
で条件提示した場合、
Aさんが「収入を最も重視する」思考性であれば、明らかに自社が不利な立場に見えます。
しかし、自社には「月約5万円の住宅補助」があり、他社には法定外福利がほぼなかった場合、住宅補助も含めると自社の方が実質的な収入が多いことになります。
この他に社員旅行やカフェテリアプラン等の福利厚生制度を自社が整備していれば、A社よりも待遇面で魅力的であることをさらに強くアピールできます。
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一般的に福利厚生が充実している企業は、ワークライフバランスを重視している場合が多く、従業員の健康管理やプライベートの充実に重きを置いていることもアピールできるかもしれません。
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会社にとってもメリットになる!福利厚生費とは?
1.福利厚生費と給与と交際費の税務上の取り扱い
福利厚生費とはその全額を経費として計上でき、さらに源泉徴収の必要もない費目です。
給与や交際費と比較してみましょう。
福利厚生費 |
給与 |
交際費 |
|
損金計上の可否 |
全額損金 |
全額損金 |
一部損金不算入(※)
|
源泉徴収の要否 |
不要 |
必要 |
不要 |
※中小企業(資本金が1億円以下の企業)の場合、損金計上は年間800万円まで。
ポイントその1
全額損金=法人税非課税=企業のメリット
ポイントその2
源泉徴収不要=企業の手間削減、従業員の節税=企業、従業員のメリット
つまり、全額損金計上ができて、かつ源泉徴収が不要な福利厚生費は、非常にメリットが大きく、おすすめと言えます。
2.福利厚生費で計上するための条件
その1. 全ての従業員が対象である
その2. 常識的に妥当な金額である
この2つは基本となる条件ですので、これを踏まえた上で詳細を確認していきましょう。
3.具体的な課税、非課税対象の紹介
福利厚生費の条件 |
福利厚生費の条件に該当しない場合の費用 |
|
社員旅行 |
・旅行期間は4泊5日以内 (海外の場合は海外滞在日数) ・参加人数:全体の半分以上 ※支店や支社単位の場合は、その総数の半分以上の参加で良い |
給与となり源泉徴収が必要 |
健康診断費用 |
・全従業員が対象 ※ただし、「一定年齢以上の希望者」を対象とする検査の場合も、福利厚生費として処理可能 ・常識の範囲内の支出 (高額なPETなどは対象外) |
給与となり源泉徴収が必要 ※役員のみを対象にした場合、役員の臨時報酬(=定期的な給与ではない)となり、法人税と所得税の徴収が必要 |
食事代負担 |
・食事代の半分以上を社員負担 ・食事を負担する会社の負担は、従業員1名あたり月額3,500円以下(税抜) ※ただし、残業や宿日直の従業員への食事支給は全額福利厚生費計上可 |
給与となり源泉徴収が必要 |
福利厚生のトレンドとおすすめ。ユニークな例もご紹介
あってよかった福利厚生ランキングTOP3
順位 |
福利厚生サービス |
1位 |
食堂、昼食補助 |
2位 |
住宅手当、家賃補助 |
3位 |
余暇施設、宿泊施設、レジャー施設などの割引制度 |
出典:マンパワーグループ株式会社「実際にあった福利厚生でよかったと思うもの」
「食」や「住」など全ての従業員に恩恵があるライフライン系の福利厚生は高い人気です。
加えて、仕事を頑張ったあとのご褒美として「旅行関係」も根強い人気であることがわかります。
就職においても福利厚生が重視されていることは先ほどご紹介しましたが、それは入社後も変わらず、前述のような福利厚生は、従業員の定着率やモチベーションの向上に寄与しています。
また、宿泊施設や余暇施設の利用についても前述でご紹介したように、社員旅行における福利厚生費の条件に当てはまれば「非課税」となりますので、従業員にとっても嬉しいメリットです。
福利厚生サービスの見直しについて
福利厚生に関する従業員のニーズは多様であり、需要のあるサービスの調査・導入・運用を自社のみで試みても、莫大な工数とコストがかかります。
よって、福利厚生サービスの導入や見直しは、アウトソーシングを利用する企業がほとんどです。
福利厚生のサービスで差別化を計りたい場合は、得意領域を持った外部の会社に相談することをおすすめします。外部の会社の情報やノウハウ、特化しているサービスを踏まえながら、自社に最適な福利厚生を効率よく検討できるためです。
例えば、上記で示した宿泊やレジャーの人気を踏まえて差別化を図る場合、手軽に行ける国内旅行だけでなく、海外旅行の福利厚生の充実もアピールポイントになるかもしれません。
日本人の年間出国者が2,000万人を超える時代に突入した今、福利厚生のグローバル化を検討してみるのも1つの方法です。
他社と差別化を!ユニークな福利厚生の例
ここでは、他社との差別化を図るユニークな福利厚生の例を具体的にご紹介します。
例1「サプライズ休暇」
社内の誰かを喜ばせることを目的に、その準備のための休暇を認める制度です。
この休暇を取得する社員が増えれば、その数だけ喜ぶ社員も増えることになり、互いが互いを思いやる、より働きやすい職場環境の構築に貢献します。また、社員の会社への帰属意識が高くなることも期待されます。
例2「ルーレット社員旅行制度」
その名の通り、社員旅行の行き先をルーレットで決めるという制度です。旅行先では自由時間も充分に取ることで、社員それぞれが目当ての観光地やレストランを訪れることが可能となり、旅行の参加率がアップします。またプライベートでも共通の話題が増えるので、職場環境の向上に効果があります。
例3「社内インセンティブ制度」
こちらはわが社の事例になりますが、業務・業務外において一定の条件を満たした場合に付与されるポイント制度のことです。例えば、以下のような場合にポイントが付与されます。
・入社して半年が過ぎた
・年次有給休暇を連続して3日使用した
・会社が指定する通信教育を修了した
・定期健康診断の全ての項目判定が「A」
・会社が主催するレクリエーションに参加した
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テレワークのために開始した福利厚生の例
例1「福利厚生サービス内にテレワークでも利用できるメニューの追加」
こちらはわが社の福利厚生サービス「えらべる倶楽部」の例になりますが、テレワーク中でも活用できるサービスの情報提供をおこなっています。
以下はメニューの一例です。
・育児・介護用品のオンラインショップ
・フードデリバリー・テイクアウトサービス
・スキルアップのためのオンラインセミナー
・テレワーク時の通信お役立ち・ネットワークセキュリティサービス
・電子書籍・動画配信サービス利用特典
例2「テレワークでも利用できる食事補助制度の開始」
こちらはわが社の福利厚生サービス「リモート社食withえらべる倶楽部」の例ですが、テレワーク(リモートワーク)で社員食堂が利用できなくなった代わりに、自宅近くのコンビニやレストランを社員食堂のように利用できる食事補助サービスを開始しました。
テレワーク中でも実践できる健康支援についてはこちら
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は福利厚生について詳しくご紹介しました。
ポイントは以下の4つです。
- 福利厚生には法律で義務化されている法定福利と任意の法定外福利がある
- 就職希望者は福利厚生の充実度を企業選びの際に重視しており、社員定着にも効果がある
- 福利厚生は条件によって法人税非課税で、源泉徴収も不要(従業員にもメリット)となる
- 福利厚生のトレンドは、住宅補助、昼食補助、旅行やレジャーの補助である
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