【徹底検証】週休3日制の導入で年間休日が1ヶ月増える?導入によるメリットと労働時間のしわ寄せ等のデメリットをカバーする対応策を検討!
2020年1月、フィンランドのサンナ・マリン首相が「週休3日制、1日6時間労働」を政策として採用すると発言したと欧州各地のメディアが報じました。しかし、これはNews Now Finland社の調べによると結果的に「誤報」ということがわかりましたが、現在、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の影響もあり、国内外で試験的に「週休3日制」を取り入れる企業が増えています。
今回は、週休3日制のメリットやデメリット、導入する際のポイントを詳しくご紹介します。
この記事のまとめ
・週休3日制のメリットは従業員のワークライフバランスの充実や企業のブランドイメージの向上
・一方で、生産性の低下が大きなデメリットであるため、週休3日制の導入とセットで業務効率化の検討が必要
・週休3日制導入の前に、業務効率化の検討を促す環境を用意する意味でも、有給休暇の取得推奨が効果的
目次[非表示]
週休3日制のメリットは?〜週1日休みが増えると、年間休日は約35日増える〜
労働者の視点
1.自由な時間が増える
週休3日制が導入された場合、どれほど年間休日が増えるのでしょうか。
週当たりの休日 |
年間休日 |
週休2日 |
約125日 |
週休3日 |
約160日 |
週休2日から3日になることで、年間休日が約35日も増えることになり、趣味や家族との時間をより長く持てることは大きなメリットです。
2.ストレスが軽減される
日本の平均通勤時間は片道で45分〜1時間程度です。
特に、首都圏の場合はこの時間のほとんどを満員電車で過ごします。年間休日が約1ヶ月増えることは除いても、この通勤時間のストレスが週あたり1日分軽減されるだけで大きなメリットと言えそうです。テレワークの導入が物理的に難しい業種や職種でも、休日を増やすことで従業員の通勤にかかる負担を減らすことに貢献できます。
また、労働しなければならなかった時間が35日分減ると考えると、心身の健康にも大きな効果がありそうですね。
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組織の視点
1.ブランドイメージの向上
求職者や従業員が企業に求めていることや、ホワイト企業と認知される際に重要となる項目は、ワークライフバランスが取れていて、福利厚生が充実している企業であり、週休3日制の導入は企業イメージのUPに貢献します。
以下の表は就職者を対象としたアンケートですが、有給休暇を取りやすい風土、福利厚生の充実が1位、2位にランクインしています。
出典:DISCO 就活生に聞いた「ブラック企業/ホワイト企業」への考え
2.固定費の圧縮
週休3日制の導入により、社員の出社日数は約20%削減されます。これに伴い一定の光熱費や備品代などの節約が期待できます。ただし、会社の定休は週2日に維持しつつ、従業員の休日を3日にした場合は、固定費の圧縮はそこまで期待できないことに注意が必要です。
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週休3日制のデメリットは?〜お給料が減る?労働時間が長くなる?〜
労働者の視点
1.給料が減る可能性がある
週休3日制の導入方法によっては、給料が減る可能性があります。労働時間が減る分、給料が減るということですが、働き方の多様化において、減給されても週休3日制には一定のニーズがあることも事実です。
一方で、給料が減るのであれば週休3日制は導入すべきでないと考える労働者もいることでしょう。
2.1日の労働時間が長くなる
週休2日制から3日制に移行したものの、業務量が変わらなかった場合、5日間でこなしていた労働を4日間でこなす必要があるので、1日の残業時間が増えるデメリットも検討すべきです。
集中して働いて、まとまった休みが取りたい方のニーズは満たしていますが、週休3日制の理想的な形ではないかもしれません。
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組織の視点
1.生産力が低下する
従業員の勤務日が1日減ると労働量(生産量)も1日分減ります。選択と集中等の理由により生産量を落とすこともあるかもしれませんが、基本的に企業が生産性の向上を目標している働き方改革においてこのような低下は好ましいことではありません。
週5日分の労働量を4日に集約するとしても、残業扱いとなり残業代が発生する上に、長時間労働のため効率が下がる可能性が高い点はデメリットとして検討すべきです。
2.ステークホルダーとの期ずれが発生し、接点が減少する
仕事をする上で関わりがある方々とスケジュールを合わせることが困難になる可能性があります。接点が減少することで、ビジネス機会を逃すこともあり注意が必要です。
しかし、これらのデメリットには改善の余地があり、例えば生産性低下の懸念があれば、業務効率化のシステムを導入したり、会議時間の削減をおこなうなどして生産性向上へと好転できます。
週休3日制導入の成功事例が以下にありますので、そちらをご覧ください。
出典:リフォーム産業新聞 TOKYO BIG HOUSE、週休3日制を導入でも売上減らずに生産性向上
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週休3日制を検討する上で重要なこと〜大手と中小、正規雇用と非正規雇用等の比較〜
大手企業と中小企業の違い
大手企業は従業員数も多く、個ではなくチームで業務を動かすケースがほとんどのため、導入におけるハードルは中小企業に対して比較的に低いといえます。
一方で、中小企業では営業日が1日減ることによる売上への影響は大きく、導入には大幅な業務改善の検討が必須となります。
正規雇用と非正規雇用の比較
非正規雇用の従業員については、様々な働き方が増えており、一般的に業務の量や難易度、業務に負う責任は、正規雇用のそれらと比較して低いために、導入のハードルは低いと考えられます。
一方で正規雇用の従業員についてはその反対でハードルが高くなっています。
日本と世界の比較
日本でも薬剤師などの有資格者は週休3日制で働いている方も多く、IT業界ではリモートワーカーもいますが、まだまだ割合としては低いのが現状です。日本人はよく「働きすぎだ」と言われますが、世界はどのような労働環境なのでしょうか。
フィンランド政府の報道の少し前に、ロシアでも週休3日を政策として検討するというニュースがありました。収入減などへの懸念から国民の反対は強く、中には「休みが増えて寒い外に出ずに家にこもることで肥満が増えるだけ」という意見もありました。
ニュージーランドでも、試験的に週休3日制を取り入れて、検討を進めている企業が増えてきています。
その他の国については以下をご参考ください。
各国のユニークな労働事情(2020年1月時点)
国名 |
内容 |
オランダ |
週休3日制の定着、正社員とパートは同待遇を補償(同一労働同一賃金) |
ドイツ |
1日10時間を超える労働は禁止、有給取得率はほぼ100% |
スウェーデン |
1日6時間労働の導入が徐々に普及 |
ノルウェー |
82%の企業でフルフレックス(※1)もしくはフレックス制度を導入 |
ベトナム |
約70%の労働者がダブルワーク(※2)
|
※1 コアタイムが存在しない働き方
※2 副業とは違い、本業を定めず仕事を2つ以上持っていること
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週休3日制の導入に向けてまず準備すること
業務効率化によって労働時間は減っても生産力が変わらなければ、理論上、会社は売上や利益を維持し、労働者の給料も削減することなく、週休3日を導入することが可能です。
しかし、突然週休3日制を導入すれば混乱を招き、生産性は著しく落ちてしまいます。
そこで、第一ステップとして有給休暇の取得を他の福利厚生の利用と併せて推進するなどして、有給取得者が増えても業務を回せる環境を各部署で整えることから始めることをお勧めします。
これは週休3日制の導入を検討するにあたってのステップとなりますが、有給休暇が取得できる環境を整えたり、福利厚生制度の充実を図ったりすることは、それだけで就転職者や従業員、社会から高い評価を得ることになります。以下の調査データをご覧ください。
就職先を確定する際に決め手になった項目をすべて教えてください(複数選択/10位以下割愛)
2020年度卒学生対象(n=874)
1位 |
自らの成長が期待できる |
56.1% |
2位 |
福利厚生や手当が充実している |
35.0% |
3位 |
希望する地域で働ける |
34.3% |
4位 |
会社や業界の安定性がある |
31.5% |
5位 |
会社・団体で働く人が自分に合っている |
23.0% |
6位 |
会社や業界の成長性がある |
22.3% |
7位 |
会社・団体の知名度がある |
20.5% |
8位 |
会社・団体の規模が大きい |
20.2% |
9位 |
ゼミや研究室等、学校で学んできたことが生かせる |
17.8% |
10位 |
会社・団体のビジョンや理念が共感できる |
17.7% |
出典:株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所「就職プロセス調査(2020年卒)」
就職先の決め手として、福利厚生や手当の充実は2位にランクインしています。これは転職する場合や現職の従業員が会社に求めることも同様の傾向にあります。
有給休暇と合わせて利用しやすい旅行やレジャーの割引制度を福利厚生として導入することで、有給休暇の取得を促進させると共に、会社の福利厚生の恩恵を労働者が感じることが可能になります。
また、外出自粛の状況下においても、オンラインでできるスキルアップやテレワークに役立つサービス、介護や子育てを支援するサービスなど、ありとあらゆるシーンで活用できる多数のサービスから自分のライフスタイルに合ったものを自由に選ぶことができることにより、従業員満足度を高めることが可能です。
この施策と並行して業務効率化案を募り、優秀な案を提案した従業員にはインセンティブを与えるといった制度も魅力的かもしれません。
福利厚生制度やインセンティブ制度は自社でおこなうとサービス提供先企業の数だけ契約をおこなう必要がありますが、アウトソーシングすることでその必要もなく時間もコストも削減することが可能です。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。週休3日制のメリットやデメリット、導入する際のポイントについて詳しくご紹介しました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響でテレワーク、副業、時差出勤や時短勤務等、働き方が大きく変わりつつあります。収束後もこれらの働き方を引き続き取り入れる企業が大半を占めることは間違いないでしょう。
また、国内のみならず世界の働き方を参考にしてより柔軟な働き方を推進することは、従業員のワークライフバランスの充実に寄与しますので、従業員が仕事に対して意欲的になり、結果として労働生産性の向上が期待できます。そしてこの先、週休2日制から週休3日制へシフトする企業が今以上に増加するかもしれません。
今回のポイントは以下の通りです。
この記事のまとめ
・週休3日制のメリットは従業員のワークライフバランスの充実や企業のブランドイメージの向上
・一方で、生産性の低下が大きなデメリットであるため、週休3日制の導入とセットで業務効率化の検討が必要
・週休3日制導入の前に、業務効率化の検討を促す環境を用意する意味でも、有給休暇の取得推奨が効果的
週休3日制導入を充実したり、週休3日制を導入するために業務効率化を図るおすすめのサービス
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