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他人事ではすまされない、介護休暇に関する正しい知識を身につけよう

少子高齢化が進む日本の社会で、介護はますます多くの人に関係する話題となっています。介護休暇や介護休業は、そうした家族の介護をしなくてはならない人のためにある制度です。制度利用の条件とは、また企業側はどのように対応すべきかを具体的に解説します。

目次[非表示]

  1. 1.介護休暇とは?
  2. 2.介護休業給付金の内容と申請方法
  3. 3.知っておきたい介護に関する現状と企業ができること
  4. 4.まとめ

介護休暇とは?

介護休暇とは、対象家族の介護あるいは世話をするために、1年に5日まで時間単位で取得できる休暇のことです(2名以上の場合は最大10日)。介護が必要な状態のことを「要介護状態」と言い、けがや病気といった身体または精神上の障害によって、2週間以上常に介護を必要とする状態のことと定義されています。この場合の対象家族とは配偶者(事実婚を含む)と父母、子、および配偶者の父母、同居かつ扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫のことです。

このような詳しい規定があることからもわかるように、介護休暇は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)」という法律で定められた権利です。この法律では、申請者が解雇されることはもちろん、減給といった不利益を被ることも認められていません。介護休暇は法律で保護された権利であり、事業主は拒否やこれを理由とする解雇ができないことが、労働者(従業員)・事業主(企業)双方にとって重要なポイントと言えるでしょう。加えて、入院していれば「常時介護が必要ない」と判断されるわけではないことや、要介護認定を受けていなくとも要介護状態となり得ることなども、雇用者は特に注意しておきたいところです。厚生労働省が事業主向けに判断基準を明確にしたQ&Aを公開しているので、参照するとよいでしょう。

介護休業との違い

1文字しか違いがなく、介護休暇と混同しやすいのが「介護休業」です。対象家族や要介護状態の定義は同じですが、取得する期間が違います。前述のように介護休暇は1年のうち5日(5労働日)が限度ですが、介護休業の場合は93日が限度となっています。この最大93日は3回まで分割取得が可能です。また、特別な書面が必要ない介護休暇に対して、介護休業の場合は開始と終了の予定日(つまり予定取得期間)を明確にし、取得開始日の2週間前までに申請が必要であることも違いと言えるでしょう。


介護休業給付金の内容と申請方法

介護休業を取得する際に気をつけておきたいのが、取得期間中は給与の支給がないということです。しかし、最大3ヶ月もの間、給与収入がなくなると生活が立ち行かない、という人も多いことでしょう。このために活用できるのが、介護休業給付という制度です。給付金を申請することによって、休業を開始した時点での賃金日額の67%が取得日数分支給されます。この賃金日額は、事業主が提出する「休業開始時賃金月額証明書」に記載された休業開始日前の6ヶ月間の給与を180で割った額のことです。金額には上限があり、毎年8月1日に見直しされます(2018年12月現在は上限495,000円、下限74,400円)。

給付金は雇用保険の被保険者(介護休業を取得する本人)が申請することも可能ですが、基本的には事業主が申請することになります。介護休業給付金支給申請書を作成し、受理した介護休業申請書や本人と対象家族の続柄を証明する書類などを添付の上、事業所を管轄するハローワークに提出します。

なお、給付を受けるためにはいくつかの条件があります。雇用保険に加入していること、取得までの2年間で必要な勤務日数を満たしていること、通常月の賃金の8割以上が支払われていないこと、開始日から93日を超えて雇用の見込みがあること、などが主な条件です。わかりやすくいうと、休業中にも企業からこれまでとほぼ同額の給与が受け取れたり、介護休業取得後に離職が予定されていたりする場合には、介護休業給付金の制度は利用できないということになります。


知っておきたい介護に関する現状と企業ができること

介護休暇や介護休業、その際に活用できる給付金について見てきました。国はこのような制度を設けることで、介護をする人の負担を少しでも減らそうとしていますが、企業はどのような取組みを行っているのでしょうか。

日本経済団体連合会(略称:経団連)が2018年1月に公開した情報(2017年5~6月の調査)によれば、有効回答数117社のうち介護に関する不安軽減の取組みを行っている企業は2割強にとどまったものの、半数以上の企業が現在検討中としています。また、4割以上の企業が従業員の介護支援を「人事労務管理上の重要課題」と位置づけていることからも、取組みに対する意識が高まっていることがわかります。理由としては、正社員の平均年齢が41歳で従業員の年齢層が高くなっていること(同情報によれば39歳以下の従業員は4割にすぎない)、介護のために退職してしまうケース、いわゆる「介護離職」が企業にとってますます深刻なリスクとなっていることなどが挙げられるでしょう。とりわけ、後者は労働人口減少が続くことが確実視されている昨今、企業としては競争力に直結する重大な問題です。

こうしたリスク回避のために、企業が行う取組みの第一歩としては、介護離職者や介護に直面している従業員の実態把握があり、実施企業は7割近くに達しています。家族の介護が必要な人の多くが先行きに対する不安を抱えたり、昇給・出世といった今後のキャリアへの影響を懸念したりしています。こうした点でも介護は、人事部が主体となって取組むべき「人事・労務管理問題」であることがわかるでしょう。実際に、介護に直面する従業員への早期申し出の働きかけはほとんどの場合、人事部が主体となっていることが調査から明らかになっています。人事担当者としては、厚生労働省が公開する支援実践マニュアルのような情報を参考に、まずは知識を深めていくことが必要でしょう。また、「介護に関する不安軽減の取組み」として、具体的にはケアマネージャーを招いた座談会の実施、情報交換ができる環境の整備、介護経験のある従業員の情報提供といった項目が挙げられています。

加えて、費用に関する支援も重要です。約6割の企業が費用の支援を実施していると回答、そのなかでも「福利厚生サービスでの対応」が最も選ばれています。理由としては、(さまざまなメニューから)各従業員の状況に応じた選択がしやすいことが述べられており、専門家である外部機関を活用することがひとつの対策となることがわかります。専門業者が提供する福利厚生サービスでは、見守りサービスや介護予防につながるサービスを提供しているものもあり、活用によって備えることも大切だと言えます。

ほかにも、企業としてはITツールを活用してより柔軟な勤務体系や業務環境を構築することもできるでしょう。こうした施策は、支援が必要な介護を行う従業員だけではなく、育児中や遠隔地勤務の従業員への業務環境改善にもつながるのです。


まとめ

介護は家族に関することであり、介護する者へかかる負担は周囲の想像以上にあります。介護者の負担や不安を少しでも和らげるために、さまざまな制度の整備や取組みがなされています。企業としても、今後増えていくことが予想される介護のために貴重な人材やノウハウを失うことのないよう、適切な人事施策が必要です。介護休暇・介護休業について理解を深めることは、その一歩になることでしょう。


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