確定拠出年金(401k)とは何か?概要やメリット・デメリットをわかりやすく解説
現在、日本では老後生活を送るために必要な資金に対する不安が高まっています。
日本には老後資金を準備するための様々な制度があり、うまく活用できれば不安を取除くことができますが、これらの制度を正しく理解できていない人は少なくありません。
その制度の一つに、2001年に導入された確定拠出年金(当初は日本版401k)があります。この記事では、この確定拠出年金(401k)はどのような目的で導入され、どのような仕組みなのか、従業員や企業にとってどのようなメリット・デメリットがあるのか、基本情報をおさらいします。
目次[非表示]
確定拠出年金(401k)とは?
確定拠出年金はアメリカで始まった確定拠出年金制度で、「401k」とも呼ばれています。
「401k」とは、アメリカ合衆国の内国歳入法(Internal Revenue Code)の条文番号401(k)が由来です。
401kは、2001年10月から日本でも導入が開始されました。当初は「日本版401k」と呼ばれていましたが、近年では「401k」という呼称が定着し、より一般的な制度になってきました。なお、アメリカでは401kの他にIRA(Individual Retirement Accounts:個人退職勘定)と呼ばれる積み立て制度が存在し、現在ではこちらが主流となっています。
日本の確定拠出年金(401k)を知る上で欠かせないのが、年金制度です。
日本の年金制度は国民年金・厚生年金・企業年金などで構成されていることから、「3階建て」と呼ばれており、401kは、3階部分となる企業年金等にあたります。それぞれがどのような年金なのか、またその対象者についても詳しく見てみましょう。
1階:国民年金
1階部分は国民年金です。
20歳以上60歳未満の国民全員が加入することになっている年金制度であり、基礎年金とも呼ばれます。日本では20歳になると学生でも加入することになっており、職業形態などによって第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者に分けられます。
2階:厚生年金
2階部分は厚生年金です。
こちらは民間の会社員や公務員として働く労働者やその配偶者・こどもなどの扶養者が加入する年金制度です。つまり、サラリーマンなど一般企業に勤めている人は国民年金と厚生年金の両方に加入していることになります。なお、自営業者は厚生年金には加入することができません。
3階:企業年金等
3階部分は企業年金です。
企業年金は福利厚生の一つですが、すべての会社に導入されているわけではありません。
会社に企業年金を導入するかどうかは任意です。導入していれば厚生年金にさらに上乗せして年金が給付される仕組みになっています。
企業年金は、厚生年金基金と確定給付企業年金、確定拠出年金(401k)に分けることができます。厚生年金基金は、母体となる会社とは別の法人の基金によって、資産運用・年金給付をおこなうものです。確定給付企業年金は、会社と外部の生命保険会社などが契約して、資産運用・年金給付をおこないます。
確定拠出年金(401k)は、会社や個人の掛金を従業員が自分で運用する制度です。
あわせて読みたいおすすめの記事
確定拠出年金(401k)と確定給付企業年金は何が違うの?
続いて、確定拠出年金(401k)と確定給付企業年金の違いについて見てみましょう。
確定拠出年金と確定給付企業年金は名前が似ていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
確定拠出年金
確定拠出年金(401k)、は会社や従業員個人が掛金を支払い、従業員が自分で運用をおこなうものです。
自分で年金を積立てて運用し、将来そのお金が自分に戻ってくるイメージです。銀行の定期預金のようにただ積立てるのではなく、そのお金(掛金)を運用するため、運用結果によって受取ることができる金額が変動します。掛金を拠出するのが個人か会社かによって変わりますが、それぞれの特徴を詳しく見てみましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo(イデコ))
掛金を拠出するのが従業員個人の場合、個人型確定拠出年金、いわゆるiDeCo(イデコ)に加入することができます。基本的に20歳以上60歳未満の人が加入することができ、掛金を60歳まで積立てることで、老齢給付金を受取ることができる制度です。
受取りは60歳からですが、運用結果がプラスになれば受取る老齢給付金も増えます。
iDeCoの中には元本が保証されないタイプのものもあるため、運用結果によって積立てた拠出金、つまり元本を下回ってしまう可能性もあります。しかし、比較的ローリスクで少しずつ堅実に年金を積立てられるため、老後資金の準備に役立つとして注目されています。
企業型確定拠出年金(企業型DC)
iDeCoの掛金は加入者が拠出するのに対し、企業型確定拠出年金は企業が掛金を拠出してくれるもので、運用は加入者が自らおこないます。一時金としてまとまった金額を退職時にもらうか、退職後に年金のように少しずつ受取るかを選ぶことができますが、iDeCoと同じように60歳までは引出すことができません。
掛金の額はまちまちですが、企業が拠出できる掛金には上限があります。自身で掛金を用意する必要がないというメリットがありますが、資産を増やすための運用は加入者自身がおこなわなくてはなりません。運用結果によっては、その掛金(元本)を下回ってしまう可能性があるため、注意して利用したいところです。
確定給付企業年金
確定給付企業年金は、従業員個人ではなく会社や会社外の金融機関などが資産の運用や管理をおこなう制度で、規約型企業年金と基金型企業年金(企業年金基金)に分けられます。
規約型企業年金は前述のとおり、会社と契約した企業や生命保険会社などが資産の運用や給付をおこないます。
基金型企業年金は企業が基金を設立し、企業が運用や管理をおこなう仕組みです。
規約型と基金型は、運営をおこなう金融機関や企業が異なります。また、規約型は特に制限なく利用できますが、基金型では企業の規模によって利用できる確定給付企業年金の種類が変わります。
あわせて読みたいおすすめの記事
確定拠出年金(401k)と退職金の違いとは?
確定拠出年金も退職金も、早期退職を除けばどちらもリタイア後に受取るお金です。
しかし、その金額は通常、企業側が決めるケースがほとんどです。一方で確定拠出年金は、個人に主導権があるお金なので、安心して老後資金として見込むことができます。
勤めた会社からもらえる退職金の額は、そう簡単に増やせるものではありません。しかし、確定拠出年金を利用すれば、運用結果によって老齢給付金を増やすことができます。
確定拠出年金は、その性質から退職金以上に老後生活に大きな恩恵をもたらす可能性があります。
さらに、退職金は企業が倒産した場合はもらえなくなってしまいますが、確定拠出年金は少しずつ掛金を積立てて運用するものであり、企業の業績とは無関係です。
あくまで自分の運用結果をもとに給付金が支払われる仕組みなので、退職金と併せて利用し、老後資金として備えておきたいところです。
確定拠出年金(401k)のメリット・デメリット
最後に、確定拠出年金(401k)のメリット・デメリットについて見てみましょう。
運用をおこなう加入者だけでなく、掛金を負担する企業側のメリット・デメリットもご紹介します。
確定拠出年金(401k)のメリット
確定拠出年金(401k)では、税制上の大きなメリットが得られるほか、掛金を拠出する側の企業にもメリットがあります。
社員のメリット
確定拠出年金(401k)の掛金を自分で拠出する場合は、その掛金はすべて所得控除の対象になります。つまり、確定申告時に所得税や住民税の負担が少なくなるというメリットがあるのです。さらに、運用によってプラスになった場合の利益はすべて非課税です。
企業のメリット
企業側のメリットとしては、これまでかかっていた社会保険料のコストを減らし、新しい福利厚生を社員に提供できることが挙げられます。また、企業側が掛金を拠出する場合、その費用は損金として処理できます。損金とは、企業を運営する上で発生する費用のことで、確定拠出年金は全額を損金として計上することができます。
確定拠出年金(401k)のデメリット
老後資金が増えるというメリットだけがあるように感じますが、実際は社員にも企業側にもデメリットがあります。
社員のデメリット
社員のデメリットとしては、企業がおこなう確定拠出年金ではなく個人で申込む場合、手続きが煩雑であることが挙げられます。また、どの確定拠出年金でも運用は自分でおこなうため、運用方法を誤った場合にはせっかく積立てた資産が元本割れしてしまうこともあります。
企業のデメリット
企業側のデメリットは、掛金を拠出するコストがかかることです。損金として計上できるものの、キャッシュアウトが発生します。また、そもそも確定拠出年金がどういったものなのかが周知されていないため、社員に対して目的や仕組み、メリット・デメリットを説明する必要があります。
あわせて読みたいおすすめの記事
確定拠出年金(401k)導入で自社の福利厚生を充実させましょう
確定拠出年金(401k)にはデメリットもありますが、その仕組みを知り、適切に利用することで多くのメリットを得られます。老後資金について不安を覚える人は多いですが、退職金や各種年金にプラスしてもらうことができる制度は、活用していくべきでしょう。
確定拠出年金をより気軽に導入したいなら、JTBベネフィットの「企業型確定拠出年金導入支援サービス」がおすすめです。確定拠出年金は、従業員にとって魅力があるため人材確保において有利です。経費削減シミュレーションから実際の導入までをサポートしてくれるのが、企業型確定拠出年金導入支援サービスです。
また、確定拠出年金について従業員に周知させる方法としては、「みらいナビ(R)」の導入がおすすめです。スマートフォンで確定拠出年金の仕組みを学ぶだけでなく、資産状況の把握や運用のサポートを受けることができます。
このようなツールの導入は福利厚生の充実につながるため、企業側・従業員側ともに大きなメリットを得られます。確定拠出年金に関連した手間を大幅に削減できる企業型確定拠出年金導入支援サービス、みらいナビ(R)を検討してみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたいおすすめの記事