休み方改革とは?働き方改革との違いや具体的な施策、企業における推進のポイントを紹介
働き方改革とともに注目されているのが休み方改革です。働き方改革と休み方改革には密接な関係があり、人材の流出を阻止するためには双方への理解を深めることが重要です。
今回は、休み方改革の概要や目的、具体的な施策、推進のポイントなどを紹介していきます。総務、人事担当の方は、休み方改革の全容を理解して、自社の取り組みに活かしていきましょう。
目次[非表示]
- 1.休み方改革とは?概要と目的を紹介
- 1.1.休み方改革とは?
- 1.2.休み方改革推進の目的
- 2.「休み方改革」と「働き方改革」の違いとは?
- 3.休み方改革の具体的な施策6選
- 3.1.キッズウィーク
- 3.2.年次有給休暇の取得義務化
- 3.3.仕事休もっ化計画
- 3.4.プラスワン休暇
- 3.5.ゆう活
- 3.6.プレミアムフライデー
- 4.企業が休み方改革を進めるポイント
- 4.1.自社従業員の働き方・休み方の実態を把握する
- 4.2.休み方改革を推進する仕組み・チームを作る
- 4.3.休みやすい環境を整え、従業員の意識を変えていく
- 4.4.休みの取りにくさの要因となっている業務を見直す
- 5.休み方改革推進は、働き方改革を加速させます!
休み方改革とは?概要と目的を紹介
働き方改革は耳にしたことがあるものの、休み方改革の詳細は把握できていないという方も多いのではないでしょうか。まずは、休み方改革とはどんなものか、またその目的について紹介していきます。
休み方改革とは?
休み方改革とは、ゴールデンウィークや夏季休暇、冬期休暇など、長期休暇の一極集中を見直すことや有給休暇取得の推進により、労働者が休暇を取りやすい環境を官民一体で整える取り組みです。この取り組みは2017年に政府主導のもとで開始され、これから述べる目的を達成するためにさまざまな施策が推進されています。
休み方改革推進の目的
休み方改革の目的は、大きく分けて以下の2つが挙げられます。
1.有給休暇の取得状況を向上させるため
日本は、世界的にみると祝日日数の多さがトップクラスであるにもかかわらず、有給消化率は決して高くない状態が続いています。厚生労働省が発表した「平成30年就労条件総合調査の概況」によると、労働者一人あたりの平均有給休暇取得率は51.1%となっており、かろうじて過半数を占めている状況です。
労働者の休暇を確保することは、心身の疲労の回復だけでなく、家族と過ごす時間や趣味の時間を充実させることにより、ストレス発散やリフレッシュを図り、仕事に対するモチベーションやパフォーマンス向上をうながす狙いがあります。
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2.日本の深刻な長時間労働を解消するため
厚生労働省が発表した「我が国における時間外労働の現状」によると、日本は、イギリス、フランス、ドイツの欧州諸国と比較し、年平均労働時間が長いことがわかっています。それだけでなく、1週間に40~48時間以上労働している長時間労働者の割合が37.3%、49時間以上が21.3%となっており、こちらもイギリス、フランス、ドイツと比較して高い水準です。
労働環境の整備を目的とした働き方改革の一方で、休み方改革は休暇の取得を推進し、このような状況を是正する目的があります。休み方改革を推進して成果を出すためには、日頃の労働環境の整備は避けて通れない課題であるため、休み方改革と働き方改革には密接な関係があるといえます。
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「休み方改革」と「働き方改革」の違いとは?
休み方改革と働き方改革に深い関係性があることは触れましたが、具体的に両者にはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれを紹介していきます。
「休み方改革」は、日本人の休暇やワークライフバランスの見直しが目的
休み方改革とは、労働者が休暇を取りやすい環境を構築し、より良い休日の過ごし方を実現するための取り組みです。休暇は労働者に与えられた権利といっても、「同僚や上司の目が気になり有給休暇が取りづらい」「ゴールデンウィークやお盆休みは、どこに行っても人があふれていて移動するだけで一苦労」といった声が聞こえるのが実情です。
休み方改革は、このような労働者が長年抱える問題点の解消を目的として、2014年内閣府主導で検討が開始されました。後述する働き方改革のほうが一般的に広く知られていますが、実はこの休み方改革のほうが早く動きだした取り組みなのです。
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「働き方改革」は、柔軟な働き方の推進、労働生産性向上などが目的
働き方改革は、2018年6月に成立した法案で、労働者が柔軟で多様な働き方の選択肢を持つことで、ワークライフバランスを尊重したより良い人生の創造を目指す取り組みです。働き方改革の推進により、長時間労働の是正や生産性、業績の向上の実現が期待できます。さらに、近年急速に進む高齢化社会による生産年齢人口の減少に対応できる、労働環境の整備も目的としています。
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休み方改革の具体的な施策6選
休み方改革には、具体的にどのような施策があるのでしょうか。ここでは、以下6つの施策を取り上げて紹介します。
キッズウィーク
2018年から導入されたキッズウィークは、学校の夏休みをはじめとした長期休暇の時期を、地域ごとに分散させる取り組みです。分散させる目的としては、親と子供が同じタイミングで連休を取得し、一緒に過ごす時間を創出しやすくすることにあります。キッズウィークの取り組みにより、労働者に有給休暇の取得を促進すると同時に、企業に労働環境の整備を喚起しています。
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年次有給休暇の取得義務化
2018年6月に成立した「働き方改革関連法」により、使用者である企業は年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、付与日から1年以内に5日の有給休暇を取得させることを義務化しました。先述したように、日本の有給休暇取得率は決して高くなく、有給休暇が目的とする労働者の心身の疲労回復やプライベートの充実が十分に図れていません。その状況を打開すべく、労働者が休みやすい環境の整備を企業側にうながす取り組みとなっています。
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仕事休もっ化計画
厚生労働省が打ち出しているのが「仕事休もっ化計画」です。仕事休もっ化計画では、業務の属人化から脱却し休暇が取得しやすい環境を整備することや、有給休暇の計画的付与制度を導入することにより、休暇の取得を促進する取り組みです。
計画的付与制度を導入することで、企業側はあらかじめ従業員の休暇を考慮した業務計画がたてられるメリットがあります。また、この取り組みには本来の休日の前後に休暇を取得して連続休暇にするプラスワン休暇も含まれています。
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プラスワン休暇
プラスワン休暇は上記で触れたように、通常ある土日祝日の休日の前後に有給休暇をプラスし、連続休暇を創出する取り組みです。連続休暇の取得により、ワークライフバランスを実現することで、労働者がより高いモチベーションや生産性を保ち、仕事に取り組めるようになります。
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ゆう活
ゆう活は、日照時間が長い夏に限り、始業時間、終業時間を前倒しする取り組みです。ゆう活の実施により、夕方以降の時間は家族や友人と過ごしたり趣味の時間に充てたりと、労働者が自由に有効活用できます。ワークライフバランスが取れることで、従業員の満足度や仕事に対するモチベーションの向上が期待できます。
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プレミアムフライデー
プレミアムフライデーは2017年からスタートした取り組みで、毎月最終金曜日の業務を早めに切上げ、通常よりも少し豊かな時間を過ごすことを推奨しています。労働者のワークライフバランスの見直しだけでなく、消費活動活性化への期待も込められた施策となっています。
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企業が休み方改革を進めるポイント
では、実際に企業が休み方改革を進めるにあたって注意すべきポイントはどのような点なのでしょうか。ここでは、主な4つを紹介しますので、ぜひ自社で実践する場合の参考にしてください。
自社従業員の働き方・休み方の実態を把握する
まずは、自社の有給取得情報を把握する必要があります。実際の取得率を数値化するのはもちろん、社員に働き方や休み方に関するアンケートを実施するのも良いでしょう。取り組みのはじまりには、正確に現状を把握することが欠かせません。
休み方改革を推進する仕組み・チームを作る
休み方改革の浸透には、全社を挙げた取り組みが必要です。そのため、プロジェクトチームの立上げなど、休み方改革の実現を推し進める仕組みや組織を構築するのが近道です。人事部だけでなく、部署の垣根を越えて、実際に現場で業務をおこなっているメンバーを含めることで、より効果的で現実味のある取り組みをおこなえるでしょう。
休みやすい環境を整え、従業員の意識を変えていく
日本では「休み=悪」というイメージが、いまだに根強く残っています。取り組みをスタートしても、社員の意識に休暇取得への壁があれば、休み方改革の実現にはほど遠い状況です。この状況を改善するためには、まず上司や休み方改革のプロジェクトチームメンバーが率先して休暇を取りましょう。周囲に「休みをとっても良いんだ」というポジティブなイメージを与えられれば、休み方改革のスムーズな運用に一歩近づきます。
休みの取りにくさの要因となっている業務を見直す
社員自身が休みたいと思っていても、「自分にしかできない業務を抱えていて、なかなか休めない」というケースも多くみられます。そのため、属人的な業務体制から脱却し、業務内容を見える化、チーム全体で共有する必要があります。社員同士でお互いにカバーし合うことで、生産性の向上にもつながります。
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休み方改革推進は、働き方改革を加速させます!
休み方改革と働き方改革は、まるでコインの表裏のような関係性であり、休み方改革の推進こそが働き方改革を加速させる要素にもなります。従業員に良質な休日を提供し、会社全体の業績向上を実現するために、働き方改革とあわせて休み方改革を推し進めていきましょう。
JTBベネフィットの「えらべる倶楽部」は、加盟企業の従業員とその家族を対象に、旅行やショッピング、自己啓発など、有意義な休み方を提案するメニューを数多く取り揃えています。御社の休み方改革の推進に、ぜひ「えらべる倶楽部」の活用をご検討ください。
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