時短勤務はいつまで可能?子育て・介護それぞれの法律と実際を解説

時短勤務をおこなう女性従業員

多様な働き方を推進する日本では、2009年より介護や子育ての必要がある労働者への時短勤務の提供が各企業に義務付けられるようになりました。

しかし、この制度を導入する場合、多くの人事担当者に「時短勤務はいつまで認める必要があるのか?」という疑問が生まれるかと思います。そこで今回は、時短勤務制度の期間における法的な扱いや、実際の運用における注意点などを詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.時短勤務は法律上いつまで(何歳まで)可能?
    1. 1.1.時短勤務は育児・介護休業法で義務付け
    2. 1.2.子育ての時短勤務はいつまで(何歳まで)
    3. 1.3.介護の時短勤務はいつまで
  2. 2.実際に時短勤務をいつまで認めるべきなのか
    1. 2.1.法定の時短勤務期間以降も努力義務がある
    2. 2.2.平均では時短勤務をいつまで認めているか
    3. 2.3.時短勤務の現実的な運用と代替措置
  3. 3.時短勤務を認める必要のないケース
    1. 3.1.時短勤務の付与が義務化されない場合
    2. 3.2.柔軟な勤務システムの整備を
  4. 4.企業は、狭義の時短勤務だけでない総合的なサポートを

時短勤務は法律上いつまで(何歳まで)可能?

働き方に疑問を持つ女性従業員

時短勤務とは、育児・介護休業法で定められた労働者の権利です。子育てや介護この法律の中では、時短勤務について「育児のための所定労働時間短縮の措置」や「介護のための所定労働時間短縮等の措置」といった言葉で解説しています。

時短勤務は育児・介護休業法で義務付け

企業には、就業規則内で規定するなどの方法で、短時間勤務を制度化することが義務付けられています。したがって、法律に則った形で時短勤務を利用してもらうためには、ただ運用をするだけでなく、まず社内のルールとして整備をする必要があるのです。

そして、時短勤務のできる労働時間や期間といった細かな事項は、その従業員が介護と子育てのどちらでこの制度を利用するかなどによって変わってきます。

子育ての時短勤務はいつまで(何歳まで)

子育てによる時短勤務は、子どもが3歳になる誕生日の前日まで取得可能です。この制度の対象となった子育て中の従業員は、子どもが3歳に達する日まで1日の所定労働時間を原則として6時間にすることができます。

介護の時短勤務はいつまで

介護による時短勤務の場合、企業側は従業員がこの制度の利用を開始してから3年以上の期間において、2回以上の利用可能な措置を講じる義務があります。これは、対象1人あたり通算93日までと定められている介護休業の取得期間とは別になりますので、運用時には注意をしてください。


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実際に時短勤務をいつまで認めるべきなのか

働き方に納得した女性従業員

時短勤務の期間について法律では先述のとおり定められていても、この制度が企業の実情にそぐわない場合は、具体的な運用方法について頭を悩ませることもあるかと思います。そこで本章では、実際に時短勤務をどのように運用していけばよいのか、より詳しく考えていきます。

法定の時短勤務期間以降も努力義務がある

まず、育児・介護休業法では企業に対して、従業員の子どもが3歳になってから小学校就学までの間も、必要な措置を講じる努力義務を定めています。

育児・介護休業法で定めた時短勤務などの制度内容は、あくまでも労働者の権利として請求できる最低限の基準となります。そのため企業側には、介護や子育て中の従業員が働きやすいように、法律の内容を上回るような配慮や制度を設ける努力が求められているのです。

平均では時短勤務をいつまで認めているか

厚生労働省では、時短勤務の期間を決める上で参考になる、育児・介護休業制度などに関する事業所調査の結果を公開しています。2015~2017年の調査データを確認すると、この制度の規定を導入している企業では、時短勤務の最長利用可能期間を以下のように定めていることがわかります。

・3歳未満:57.0%
・小学校就学の始期に達するまで:18.9%
・小学校就学の始期に達するまで及び小学校入学以降も対象:39.0%

実際に数字を並べてみると、比較的容易に運用できる「3歳未満」の次に多いのは、「小学校入学以降」も時短勤務ができるパターンであることがわかります。

もちろんこうした柔軟な対応をするためには、子育てをしている従業員の就労時間が短くなった分のフォローや人員調整なども必要となります。ですが、妊娠出産を終えても継続してキャリアを積み重ねられる女性が増えれば離職率が低下し、新たな人材を育成するコストなども削減しやすくなるでしょう。

また、両親で育児休業期間が延長できる「パパママ育休プラス」を利用して、父親が育児休暇を取得している間、母親は時短勤務することでキャリアを空ける期間が短くなり、産休後の本格的な職場復帰を早めることにつながります。


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時短勤務の現実的な運用と代替措置

業務の性質や、もともと労働者数が少ないなどの理由で育児・介護休業法どおりの時短勤務が難しい場合は、法律で定められた代替措置を使って状況に即した運用をする方法もおすすめです。

時短勤務にこだわらず代替措置の活用も検討できれば、従業員と企業、双方の負担軽減になるでしょう。


子育ての場合
まず、3歳から小学校就学の始期に達するまでの子どもを養育する親に対しては、短時間勤務制度の他に、始業時刻の変更や育児休業制度などを活用して措置を講じることも可能です。

例えば、子どもが3歳を過ぎた段階で1日8時間の所定労働時間勤務をお願いしたい場合は、出勤時間を早めてもらうことで、保育園のお迎えに影響がでにくくするサポートなどもおこなえると思います。

また、3歳に満たない子どもを養育する従業員についても、原則1日6時間勤務となる短時間勤務の代わりに、フレックスタイム制度で勤務開始時刻を調整してフルタイム勤務をおこなうことや事業所内保育所の設置といった代替措置を講じることも可能です。

なお、フレックスタイム制度では時短勤務とは逆に残業が発生しても、企業が定めた清算期間内で法定労働時間を超えない限り時間外労働とは扱われないため、注意が必要です。


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介護の場合
介護の目的で時短勤務を希望する従業員の場合は、所定労働時間を短くする代わりに、フレックスタイム制度や時差出勤制度で措置を講じることも可能です。

例えば、他の従業員やお客様とのコミュニケーションが少ない職種の場合、時差出勤によって早朝から仕事をすることを許可すれば、高いパフォーマンスで集中して作業ができるようになるかもしれません。

また、介護対象となる家族がデイサービスなどを利用していて、日によって帰宅時間が異なる場合は、時短勤務の代わりにフレックスタイム制で対応可能なケースもあるでしょう。


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時短勤務を認める必要のないケース

従業員から時短勤務の申し出があったときには、育児・介護休業法で定めた対象労働者に該当しているかどうかの確認も必要となります。

時短勤務の付与が義務化されない場合

労使協定によって時短勤務の対象から外れやすいのは、以下の条件に該当する従業員です。

・雇用期間1年未満
・週の労働日数が2日以下
・業務の性質や実施体制上、時短勤務が困難な場合

時短勤務が難しい職種の例でわかりやすいのは、乗り物の運転士や客室乗務員などです。例えば、東京から大阪に向かう航空機の客室乗務員の場合、3歳未満の子どもがいるからといって業務を1日6時間で切り上げることは難しくなるかと思います。

また、ひとつのポジションの人員が欠けると製造ライン自体がまわらなくなる工場などにおいても、現場の規模や人員によっては時短勤務の対応が難しい場合もあるでしょう。こうした問題によって短時間勤務制度の実現が難しいときには、先ほど紹介した代替措置の検討が必要となります。


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柔軟な勤務システムの整備を

時短勤務には、子育てや介護をする従業員に働きやすい環境を提供することで、企業の抱える離職率や定着率の問題を解消していく目的があります。

したがって、「3歳未満の子どもを養育する従業員は1日6時間が原則」といった最低限の基準にこだわりすぎるよりも、自社の労働環境や従業員の事情に対応できる柔軟な勤務システムを整備する方が、より大きなメリットを得られるでしょう。

また、時短勤務の運用に向けて就業規則の整備をする際には、実際にこの仕組みを利用する従業員側の意見に耳を傾け、より現実的なルールとするように心がけましょう。


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企業は、狭義の時短勤務だけでない総合的なサポートを

育児・介護休業法では、時短勤務をいつまで利用できるかという点において、以下の基準を設けています。

・子育ての時短勤務:3歳の誕生日の前日まで
・介護の時短勤務:3年以上

この法律では、小学校に入る前の子どもを持つ従業員でも無理なく働けるように、努力目標という形で時短勤務などの措置を設けているようです。ですので、こうした従業員を受入れる企業では、自社と従業員に合った方法で働きやすい環境づくりに取り組む必要があります。

プライベートな事情で勤務時間の調整が必要とされる従業員の多い企業には、JTBベネフィットの福利厚生サービス「えらべる倶楽部」の利用がおすすめです。えらべる倶楽部を導入すると、ベビーシッターやホームヘルパーの利用特典を通して、会社の外でも従業員をサポートできるようになります。時短勤務は基本的に給与が減額される分、全従業員が平等に利用できる福利厚生制度を手厚くすることで従業員のモチベーション維持にもつながります。ぜひ、チェックしてみてください。


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