「サバティカル」を知っていますか?注目を集める長期休暇制度の中身

サバティカルという言葉をご存知でしょうか。使途に制限のない1ヶ月以上の長期休暇のことですが、日本の一般的な企業ではまだあまり浸透していない制度かもしれません。今回は、そんなサバティカルの意味やメリット、導入に当たっての注意点について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.サバティカルとは
  2. 2.サバティカル導入の目的とメリット
  3. 3.サバティカル導入への課題
  4. 4.国内におけるサバティカル導入事例
  5. 5.ワーク・ライフ・バランス向上にも効果がある

サバティカルとは

サバティカル(sabbatical)とは、「安息日」を意味する英語で、1ヶ月以上~1年程度の長期休暇のことを指します。これは一定以上の期間を勤務している従業員に与えられるもので、年次有給休暇と違って「使途が決まっていないこと」が特徴です。

1990年代のヨーロッパの企業において、人材流出を防ぐことを目的にサバティカル休暇制度が始まりました。


サバティカル導入の目的とメリット

日本ではまだ広く浸透しているとは言い難い制度なので、「何の効果があるのか」という疑問もあることでしょう。前段でも説明したように、この制度の大きな目的のひとつは人材流出、すなわち離職を防ぐことにあります。

例えば、10年間同じ企業に勤め、部門や担当業務も大きく変わらなかったとすると、従業員が「環境を変えて新たなチャレンジがしたい」と思うのもそれほど不思議なことではありません。伝統的な日本の雇用形態からすると違和感があるかもしれませんが、欧米では職場やポジションを変えることでキャリアアップを図ることが一般的なのです。

離職による人材流出を防ぐために企業側が長期休暇を提供し、それまでと異なる環境で過ごすことができれば、従業員にとっても中長期的なキャリアにおけるリフレッシュにつながります。また、長期間業務から離れるため、復帰後には日々の業務のなかですり減らしがちだった創造性を取り戻すことも期待できるでしょう。

この休暇が単純なバカンスのためではなく、「新しいことをするチャンス」と捉えられていることも意味があります。例えば、大学で興味のある分野の勉強をしたり、まったく違う業種の企業で短期間仕事をしたりすることも考えられるでしょう。こうして得た新しい知識やスキルを復帰後に会社にフィードバックしてくれる可能性があることもサバティカルのメリットです。

なお、日本の企業に限って言えば、現在サバティカル休暇を制度化している企業はまだ少ないため、導入することそのものが対外的なイメージアップにつながることもメリットとして挙げられるでしょう。


サバティカル導入への課題

さまざまなメリットのあるサバティカルですが、通常よりも長期の休暇であるため、導入に当たっては当然課題もあります。企業側・従業員側双方の視点から見てみましょう。

■収入がなくなる
従業員にとって最も大きな課題となるのが収入がなくなることです。サバティカルは基本的に無給の休暇制度なので、取得期間中には収入がなくなることになります。この点をクリアするためには、従業員側であらかじめ準備をする必要があるでしょう。企業側からこの制度についての周知が入社時からあれば、中長期的なキャリアパスのなかに組み込んで何年も前から準備することが可能かもしれません。一定以上の勤続年数を満たすことが要件となっているのは、こうした背景も関係しているのでしょう。また、こうしたデメリットで制度が活用されなくなることのないよう、企業によっては一定の給付を行っているケースもあります。

■不在時の対応
企業側にとっても、場合によっては1年もの間必要な人材が不在となってしまうため、入念な準備が必要です。ヨーロッパでは失業者を期間限定で雇用することでこの不在を穴埋めするというケースも見られるようです。これにはサバティカル取得者の復帰後の計画とあわせて慎重に計画する必要がありますが、後任者へのスムーズな引継ぎのためにマニュアルが作成されるといったメリットも存在しています。

■制度への理解
日本でも大学教授のような職種では徐々に広がっているものの、一般的な企業ではまだまだハードルが高いと言えるかもしれません。制度を導入して取得者が現れても、周囲の理解が得られなければ復帰後の人間関係にネガティブな影響を及ぼし、最終的に離職してしまうことも考えられます。もちろんこれでは何の意味もないので、サバティカル制度について社内での徹底した周知が求められるでしょう。取得促進のためには、特に管理職の理解を深めることが重要と言えます。


国内におけるサバティカル導入事例

日本ではまだ「言葉も知らない」という人も多いサバティカルですが、いくつかの企業での導入事例も知られています。

インターネット事業大手のある企業では、勤続10年以上の従業員を対象として2~3ヶ月のサバティカルを制度化しています。キャリアや経験、働き方を見つめなおすことで従業員の成長につなげることが目的で、一定期間は支援金を支給。同社が公開する情報によれば、短期留学をする従業員もいるといいます。

また、別のIT系企業でも使用目的を制限しないサバティカルとして、3年ごとに最大連続28日までの長期休暇を取得できる制度を設けています。こちらの対象は勤続3年以上の従業員で、休暇中には一律30万円の支援金が支給されます。どちらの企業でも共通しているのは、従業員が成長し続けることを標榜(ひょうぼう)していることだと言えるかもしれません。

ワーケーションとは?

そもそも年次有給休暇において取得率が低いことで知られる日本では、長期間会社を離れるサバティカル導入はそれほど容易なことではありません。ただし、最近登場している「ワーケーション」であればもう少しハードルは低くなるかもしれません。

ワーケーションは「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を合体させた造語で、休暇先(旅行地や帰省先)でテレワークを行うことを意味します。旅先でもメールやWEB会議などで仕事をし、休憩時間や就業時間外には休暇としての時間を過ごすことができるというものです。従来は「仕事があるから」という理由で行きづらかった旅行も「ワーケーション」とすれば行きやすく、まとまった休暇取得のハードルが下がるかもしれません。

ワーケーションはアメリカで生まれた働き方ですが、すでに国内でも導入事例が見られます。ワーケーションを導入したある企業では、従業員が「休暇に仕事を持ち込む」ことと誤解しないように、「休暇中の急な仕事にだけ対応する」ことか「旅行期間を長くして休暇とテレワークを行う」ことと厳密に定義して実践しました。日本では「休みを取る」ことそのものに罪悪感を持つという欧米には見られない事情があることからも、こうした働き方が広まれば、休暇取得率の向上につながるかもしれません。


ワーク・ライフ・バランス向上にも効果がある

伝統的な日本企業では、長期休暇を取ること自体が一般化していないことや、業務に必要なスキルについて企業がある程度面倒を見ていた面もあり、専門知識の再習得のような用途に向くサバティカルは日本ではまだ普及していません。しかし、ワーク・ライフ・バランスに注目が集まるなか、長期的なキャリア形成においてもサバティカルのような制度を設けることには意義があります。このような制度の導入には業務の効率化や制度の見直しが必須になるので、そうした意味でも検討することには一定の価値がありそうです。


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