介護離職を防止するために!国の取り組みと企業ができること

​​​​​​​離職防止のために1on1ミーティングを実施する従業員

少子高齢化によって労働力不足が懸念される中、優秀な人材が介護のために退職するのは企業にとって大きな損失です。現時点で介護離職した従業員がいないとしても、将来的な状況を見据えて介護が必要な家族を持つ従業員が働きながら介護をおこなえるよう、できる対策から取り組んでいきましょう。

この記事では、介護離職を防止するための方法を知りたい担当者に向けて、介護離職を防止するための国の取り組みと、企業としてできることを紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.介護離職の現状
  2. 2.介護離職防止のための国の取り組みをチェック
    1. 2.1.介護休業制度
    2. 2.2.介護休暇制度
    3. 2.3.勤務時間・勤務地の配慮
    4. 2.4.時間外労働・深夜業の制限
    5. 2.5.不利益取扱いの禁止・ハラスメント防止措置
  3. 3.介護離職防止に企業ができる対策
    1. 3.1.休業制度や介護への理解を進める
    2. 3.2.労働環境の整備
    3. 3.3.相談窓口設置やメンタルヘルスケアを充実させる
  4. 4.介護離職防止の事例
    1. 4.1.退職後5年以内の復職制度を導入
    2. 4.2.介護離職防止のためのソリューションを導入
  5. 5.介護離職防止には、状況の把握と相談の場を設けることが重要

介護離職の現状

ワークライフバランスが維持できている従業員のライフプラン

総務省の統計調査である「平成29年就業構造基本調査結果」によると、介護をしている人は約628万人となっており、そのうち働きながら介護をする人は約346万人と、介護をしている人の半数が仕事を持っている状態であることがわかりました。
しかし、介護・看護を理由に離職した人は2016年10月~2017年9月の期間で約10万人にも上り、これは離職者全体の約2%にあたります。様々な理由から介護と仕事の両立が困難であると判断する人が10万人も存在する事実は決して見逃せることではありません。

近年、正規雇用の離職者数が非正規雇用の離職者数を上回っています。これは介護をしている人の年代に40代以降の割合が多く、働き盛りで責任の大きいポジションと介護の両立が負担となっていることが理由の一つと考えられます。

一方で企業の視点に立ってみると、20~30代が育児休業で一時的に会社を離れ、40代以上が介護離職で会社を離れるため、どの年代でも慢性的な人手不足が起こっていることが課題です。
また、最近では「ヤングケアラー」と呼ばれる、本来であれば大人が担うべき家事や介護を日常的におこなっている18歳未満の子どもが増加しています。近い将来、彼らが仕事を持つようになってそのまま家事や介護を続けているとなると、全世代で仕事と介護との両立支援はより必要になることが目に見えています。
なお、次回のこの調査は、令和4年に実施されます。


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介護離職防止のための国の取り組みをチェック

一億総活躍社会を目指す日本は、介護離職を防ぐための国の取り組みをおこなっています。その基盤となるのが育児・介護休業法であり、事業主に介護休業の導入を義務付けています。

ここでは、介護休業を始めとした国の介護離職を防ぐための取り組みにはどのようなものがあるのかを具体的に紹介します。

介護休業制度

要介護状態の家族一人につき通算93日までの休業日を3回まで分割して取得できる制度です。対象となる家族は事実婚を含む配偶者、子、父母、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母です。
雇用保険の被保険者の方が介護休業をした場合、一定の要件を満たすと介護休業給付の支給が受けられます。有期契約労働者も条件を満たすことで取得可能です。
介護休業給付金制度で得られる支給額は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」となります。

介護休暇制度

介護休業制度がまとまった休業日を取るための制度であるのに対し、介護休暇制度は短時間から取得できます。日常的な介護のために使用する他にも、福祉施設の見学や入所手続き、病院・買い物の付き添いなどに使用することが可能です。
対象となる家族は介護休業制度と同じで、介護を必要とする家族一人につき1年に5日、対象となる家族が複数の場合には1年に10日の休業日を取得できます。

勤務時間・勤務地の配慮

企業は家族の介護をおこなう従業員に対し、以下のうちいずれかの措置を講じる必要があります。

・短時間勤務
・フレックスタイム制度
・時差出勤制度
・介護サービスを利用した際の費用の助成

時間外労働・深夜業の制限

要介護状態にある家族を介護する従業員は、原則として1ヶ月で24時間、1年で150時間を超えて時間外労働をさせてはなりません。
また、22:00~5:00の深夜労働についても禁止となっています。

不利益取扱いの禁止・ハラスメント防止措置

介護休業や介護休暇の申請、取得などを理由とした解雇は不利益な取扱いとし、禁止されています。また、介護をおこなう人が各種制度を利用することで上司や同僚からの嫌がらせ(ハラスメント)を防止することが義務付けられています。


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介護離職防止に企業ができる対策

介護離職を防止しどの世代でも仕事との両立を支援する従業員

職場の理解と協力が得られることは、介護をおこないながら働く人にとって大きな手助けとなります。ここでは、優れた人材の介護離職を防止するために企業ができる具体的な対策を紹介します。

休業制度や介護への理解を進める

前述にもあった総務省の「平成29年就業構造基本調査結果」によると、介護休業制度の利用率は500名以上規模の企業でも3割程度と低く、他の制度を利用する人の存在を考慮しても制度が充分に活用されていないといえます。

介護休業や時短勤務など働き方の制度があっても、利用できなければ意味がありません。従業員へ介護の心身における負担を理解し、介護者が働き方や休業における各種制度を利用しやすい環境を作ることが大切です。

労働環境の整備

リモートワークや時短勤務など柔軟な勤務方法が選択できるよう、社内制度を整えることも重要です。厚生労働省の「令和元年度仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」では、仕事と介護の両立支援を推進する上での課題として、「従業員の年齢構成から、今後、介護を行う従業員が増えることが懸念されること」が 76.9%で最も多く、その次に「制度利用者のいる部署に代替要員を確保することが難しいこと」が47.5%と回答されました。いずれにしても人手不足が避けられないうえに、そのための要員を確保することも容易ではないということが大きな課題として掲げられています。

属人的な業務をマニュアル化し、個人にかかる負担を減らすことで周囲に気後れせずに介護休業を取得できる場合もあります。あわせて、職場全体の長時間労働・時間外労働の是正などをおこなうことで、制度を利用する人以外からの不満の発生やハラスメント防止につながります。

相談窓口設置やメンタルヘルスケアを充実させる

従業員が気軽に介護について相談できるよう、企業内に介護休業取得やリモートワーク支援のための相談窓口を設置することも介護離職の防止に効果的といえます。
日々の介護と仕事を両立しながら、様々な種類の介護サービスの利用を検討するのは難しいものです。社内あるいは外部のサービスと連携し、専門の知識を持った相談員からアドバイスを受けることで上手にサービスを利用できれば負担を軽減できます。

また、介護のために休暇を取得したり、短時間で帰宅したりするのは、「周囲に迷惑をかけている」といった気持ちから自分を追い詰めてしまう場合もあります。メンタルヘルス対策の一環として、一人で悩まない環境を作るという面でも相談先を充実させることは有効です。


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介護離職防止の事例

介護離職を防止するための取り組みを導入する際には、事例を参考として取り入れやすい部分から始めましょう。ここでは、介護離職を防止するために実際に企業がおこなっている事例を紹介します。

退職後5年以内の復職制度を導入

ある企業では、退職5年以内であれば双方のニーズを把握した上で退職時と同じ待遇で再就職できる制度を導入しました。介護離職時に仕事の継続希望があり、退職後5年間は戻る場所が用意されていることは大きな安心感となるでしょう。優秀な人材に再度働いてもらえる可能性が上がるため、企業にとってもメリットの大きい制度です。

介護離職防止のためのソリューションを導入

働き続けられる環境を整備するため、法定を超える様々な両立支援制度や施策を整備している企業もあります。さらに、従業員のきめ細やかなケアをおこなうためには、ツールを上手に利用することが効果的です。

例えば、JTBベネフィットの「コンケア」は勤怠システムと連動し、お天気マークを選ぶ簡単なコンディションチェックをおこないます。コンディションデータは蓄積され、コンディションの不調な状態が続いた場合や変化があった場合には、登録者にメールでサインが送られます。そのため、小さな変化や不調の兆候があればすぐに声かけや相談の機会を持つことができ、離職防止に大きな効果を発揮します。


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介護離職防止には、状況の把握と相談の場を設けることが重要

介護離職を防止するためには従業員一人ひとりが抱えている問題を把握し、気軽に相談できる場所を作ることが重要です。

JTBベネフィットでは、前述の「コンケア」以外にも個々の課題を発見・解決し、成熟した組織を作るためのソリューションを多数提供しています。
その中でも代表的なものが、ホームヘルパー利用特典や有料老人ホームの斡旋割引があり、介護に関する相談ダイヤルも無料で利用可能な福利厚生サービスの「えらべる倶楽部」です。えらべる倶楽部を導入して仕事と介護の両立を目指す人を多面的に支援し、優秀な人材が働きやすい職場作りをおこないましょう。


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