非正規雇用者を企業・労働者の視点から解説。中小企業向けの同一労働同一賃金も網羅!

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この記事のまとめ

・非正規雇用者の約7割が女性で、非正規雇用者の約8割がパート・アルバイトと契約社員

・非正規雇用者採用のメリットは採用・雇用コストが低く、採用フローが短いこと

・非正規雇用者採用のデメリットは長期の人材育成ができず、早期退職の可能性があること

・非正規雇用者は保険の加入条件をよくチェックして、適正な保障を受けることが重要

目次[非表示]

  1. 1.非正規雇用とは?契約期間や働き方等に関する正社員との比較と保険の詳細
    1. 1.1.非正規雇用の特徴
    2. 1.2.非正規雇用者の5年ルールとは?
    3. 1.3.具体的な非正規雇用の職種は?
    4. 1.4.社会保険と雇用保険の違い
  2. 2.非正規雇用者における女性と男性の比率と非正規雇用を選ぶ理由
    1. 2.1.女性と男性の比率(非正規雇用)
    2. 2.2.非正規雇用に就いた理由
  3. 3.非正規雇用のメリットとデメリット 〜企業の視点と労働者の視点〜
  4. 4.2021年4月から施行された中小企業向けの同一労働同一賃金とは
    1. 4.1.同一労働同一賃金とは
    2. 4.2.同一労働同一賃金のメリットデメリットの比較
  5. 5.まとめ

非正規雇用とは?契約期間や働き方等に関する正社員との比較と保険の詳細

タブレットを使用してオンライン会議を実施している従業員

非正規雇用の特徴

日本における非正規雇用者の割合は、全労働者数の約4割を占めると言われています。ここでは、非正規雇用者と正規雇用(正社員)の違いを以下の表で紹介します。
※非正規雇用者は非正規社員、正社員は正規社員と表現されることもあります。


非正規雇用者と正社員の比較表

雇用形態
雇用期間
給与等の待遇
仕事の内容
昇格規定
非正規雇用者
有期雇用
限定的
ほぼなし
正規雇用者
無期雇用
応用的
あり

非正規雇用者は正規雇用者に比べて基本的に給与が低く、昇格規定も充実していない一方で、仕事の内容は限定的で、責任もそれほど重くないノンコア業務が主であることが一般的です。このように、ワークライフバランスの充実を求めやすい働き方ができる特徴があります。

近年では、正規雇用者のみならず非正規雇用者の副業を認める企業が増えたことから、自身のライフスタイルに合わせて柔軟な働き方が可能です。また、ジョブ型雇用は非正規雇用であることが多く、職務の範囲は限られているものの空いている時間で専門性が高いスキルを企業へ提供できることから、企業にとってもプロジェクト単位でハイレベルな人材を雇用できるメリットがあります。

非正規雇用者の5年ルールとは?

非正規雇用については、同一の使用者(事業主)との間で、有期雇用契約が通算で5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申し込みにより「無期労働契約」に転換可能です。
ただし、この時、5年経過時に申し出る必要があるのは労働者からであることに注意しましょう。

なお、非正規雇用者であっても5年が経てば有期雇用でなくなるため、正規雇用(正規社員)に転換されると思われがちなのですが、無期雇用になっても非正規雇用には変わりありません

これは正社員への転換を希望する方にとってはデメリットですが、働き方を変えることなく雇用が保障される(有期雇用契約でなくなる)点にメリットを感じる非正規雇用者も近年では増加しています。

具体的な非正規雇用の職種は?

非正規雇用者の中にも様々な職種があります。職種間の主な違いとして、社会保険(厚生年金、健康保険)の加入有無や雇用契約形態などがあげられます。


非正規雇用の職種比較表

職種
社会保険
雇用契約形態
パート
原則なし
直接雇用
アルバイト
嘱託社員
原則あり
契約社員
派遣社員
派遣元企業との契約による
間接雇用

パート・アルバイト(以下、パート等)については、原則、社会保険に加入できません。ただし、パート等でも、短時間労働者と言われるパートタイム労働者ではなく、週30時間以上勤務した場合は社会保険に加入できます。なお、学生を除くパート等の場合は、以下の条件をすべて満たす場合でも社会保険への加入が可能です。


非正規雇用者の社会保険加入条件

内容
加入条件
所定労働時間
週20時間以上
月額賃金
88,000円以上
勤務期間
1年以上(見込み)
対象
学生以外
従業員数が500名以下の企業
労使の合意が必要

派遣社員は間接雇用であることで疎外感を覚えやすく相談環境が社内にないことが、コミュニケーション不足やエンゲージメントの低下につながり、離職しやすい傾向があると問題視されています。企業としては、派遣社員が相談できる機会の提供を意識しつつ、どのような雇用形態であっても働きやすい環境を整えることが重要です。

社会保険と雇用保険の違い

前述の社会保険とよく混同されるものとして、雇用保険があります。この2つの保険の違いを確認しましょう。


社会保険
雇用保険
内容

・主に日々の健康保険や将来の厚生年金のための保険

・保険医療費の一部を負担したり、出産時における手当金、傷病手当金(※)、老後の年金など

・主に失業時や職が見つからない時のための保険

・傷病手当(※)や失業給付金、育児休業給付など
加入条件

・所定労働時間(休憩時間を除く労働時間)が1週間で20時間以上

・雇用見込みが31日以上

※社会保険の傷病手当金と雇用保険の傷病手当について
 社会保険の傷病手当金・・会社に在職中に病気や怪我で働けなくなった方が対象
 雇用保険の傷病手当・・・失業した後に病気や怪我で働けなくなった方が対象

出典:厚生労働省 人を雇うときのルール


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女性と男性の比率(非正規雇用)

非正規雇用者における女性と男性の比率                       単位:万人

職種
女性
男性
パート・アルバイト
1,125
348
1,473
嘱託社員
41
75
116
契約社員
133
146
279
派遣社員
85
54
138
その他
42
43
85
合計
1,426
666
2,091

出典:総務省 労働力調査2020年(令和2年)


非正規雇用者の合計2,091万人のうち、女性は68.2%(1,426万人)、男性は31.8%(666万人)です。その一方で、契約社員や嘱託社員に関しては、女性よりも男性の割合が高い傾向がみられ、全体的には、非正規雇用者の8割以上がパート・アルバイトと契約社員であることもがわかります。

非正規雇用に就いた理由

順位
女性
男性
1位
自分の都合のよい時間に働きたいから
2位
家計の補助・学費等を得たいから
正規の職員・従業員の仕事がないから
3位
家事・育児・介護と両立しやすいから
専門的な技能等をいかせるから

出典:総務省 労働力調査2020年(令和2年)


女性、男性共に1位である「自分の都合のよい時間に働きたい」という理由は全体の30%以上を占めており、その数はここ7年で1.5倍に増加しています。正規社員として働くことが「よい」とされてきた時代から、ライフスタイルに合わせた働き方が重視される時代になってきたことが数字でも表れています。


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非正規雇用のメリットとデメリット 〜企業の視点と労働者の視点〜

ノンコア業務のコールセンターをアウトソーシングしてそこで働く従業員

非正規雇用者のメリットとデメリットを、企業と労働者それぞれの視点から確認しましょう。


非正規雇用のメリットとデメリット比較表


企業の視点
労働者の視点
メリット

・採用、雇用コストが低い

・採用フローが短い

・働く時間、場所の自由度が高い

・転職しやすい
デメリット

・長期的な人材育成が不可

・早期退職のリスク

・雇用の保証が無い

・収入が相対的に低い


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2021年4月から施行された中小企業向けの同一労働同一賃金とは

マスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保ちながら会社で仕事をする従業員

同一労働同一賃金とは

同じ職場で同じ仕事をする非正規雇用者と正社員の待遇を同一にする趣旨の法律を同一労働同一賃金と言います。簡単に言うと、『「誰がやるか」ではなく「何をやるか」によって賃金を決める』ということになります。

厚生労働省では「いかなる待遇差が不合理なもので、いかなる待遇差が不合理なものでないか」について、事業主に対してガイドラインを示しています。
このガイドラインでは、同一の労働の場合は同一の賃金にすることだけでなく、労働に違いがあるのであれば、違いに応じた賃金設定をおこなわなければ不合理であるとしている点に、事業主は注意が必要です。

前項の非正規雇用における企業の視点でメリットとなる採用、雇用コストや労働者の視点でデメリットとなる収入が相対的に低い点については、同一労働同一賃金の施行によってメリットやデメリットでなくなる可能性があります。また、同一労働同一賃金では、給与や手当などの金銭面だけに限らず、休暇付与やスキルアップの機会、福利厚生制度についても、正規雇用との不合理な格差は禁止されるようになりました。

同一労働同一賃金のメリットデメリットの比較


企業の視点
労働者の視点
メリット
・非正社員の生産性が上がる
・賃金上昇やキャリアアップの道が拓ける
デメリット

・人件費高騰の可能性がある

・賃金の説明が必要になる

・賃金引き下げのリスク(正社員)              

・派遣の流動性が低くなり雇用不活性化

企業(事業主)のデメリットとして、賃金の説明が必要になる点があげられます。これは、労働に違いがある場合は、その違いに応じた昇給規定や賃金支給が必要とされるためです。
また、「同一労働同一賃金」は非正規雇用者の賃金の増加をイメージしがちですが、正規雇用者の給与ダウンによって、賃金の整合性を図る可能性もあります。これは正規雇用者の不利益変更にあたるので、労働組合と企業(事業主)とでしっかりと話し合うことが求められています

同一労働同一賃金の施行は、守らなかったところで企業(事業主)に罰則が科されることはありませんが、専門性の高いスキルを持つ優秀な人材の確保が困難になることや、非正規雇用者のエンゲージメント低下による離職率の上昇社会的責任(CSR)が果たせない企業というイメージを持たれるデメリットがあることを念頭に置いておきましょう。
なお、罰則規定がないとはいえ、不合理な格差に対して法律違反である場合、非正規雇用者から損害賠償請求を受けるリスクがあり、労働新聞社の労働判例によると、すでに訴訟問題に発展している事例もあります。


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まとめ

今回は、非正規雇用者の概要や各種保険の説明と、同一労働同一賃金について紹介しました。同一労働同一賃金には、賃金や手当だけでなく、福利厚生に対する格差への対応も必要です。

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この記事のまとめ

・非正規雇用者の約7割が女性で、非正規雇用者の約8割がパート・アルバイトと契約社員

・非正規雇用者採用のメリットは採用・雇用コストが低く、採用フローが短いこと

・非正規雇用者採用のデメリットは長期の人材育成ができず、早期退職の可能性があること

・非正規雇用者は保険の加入条件をよくチェックして、適正な保障を受けることが重要


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